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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2024年・第213通常国会

コロナ後遺症 学び保障を。学校での理解求める

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は11日の文教科学委員会で、コロナ後遺症の特徴を踏まえた子どもの欠席扱いの問題などへの対応を学校に徹底するよう文部科学省に求めました。

 吉良氏は「全国コロナ後遺症患者と家族の会」のインターネットアンケートなどで、後遺症で寝たきりになった生徒が、定期試験を全日登校して受けるよう求められた例や、体育の授業の見学が許されず、無理をして参加し症状が悪化したなどの例が寄せられているとして、「学校の理不尽な対応がコロナ後遺症の子どもたちを追いつめている。体育の見学や定期試験時の配慮など、後遺症の特徴を踏まえた対応を徹底すべきだ」と求めました。

 盛山正仁文科相は「後遺症の児童生徒への適切な配慮を行い、学びを保障することが重要」だと答弁しました。

 さらに吉良氏は、昨年の同委での同氏の質問に、文科省が、コロナ後遺症の児童生徒について「校長の判断で『出席しなくてもよいと認めた日』として欠席扱いにしない対応が可能だ」と答弁したが、「すでに自治体や学校で対応している事例も含めて、欠席扱いにしないことができることを国公私立すべての学校に周知すべきだ」と要求。盛山文科相は「周知徹底を図りたい」と応じました。

 吉良氏は、コロナ後遺症の子どもたちを絶望させない学びの保障の徹底を求めました。

しんぶん赤旗2024年6月19日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 本日は、私、子供のコロナ後遺症、学校の対応について伺っていきたいと思います。
 本委員会でも、昨年私も取り上げましたし、先日は宮口治子議員も取り上げたと承知しています。子供でもコロナ後遺症となる場合があるというのは明らかですし、厚労省の抽出実態調査でも、コロナに罹患した子供のうち六・三%にその後遺症の症状が出ていることが分かっています。先日も、コロナ罹患前は運動が得意で学校の成績は普通の子でした、コロナ後遺症により歩行困難で学校に通えなくなり、自宅学習もうまくできず、学力が止まってしまったという切実なメールが私の事務所にも届いたところです。
 また、全国コロナ後遺症患者と家族の会の皆さんがウェブ上で行った子供のコロナ後遺症に関するアンケートでも、三六・七%が通学できていないと回答。また、留年した、七・八%、退学又は別の選択肢を選んだというのが二一・一%に上っているというのも重大なんです。
 先ほどメールくださった方とは別のコロナ後遺症となった中学二年生の保護者の方から、私、先週末詳しくお話を伺いましたので、是非この場で紹介したいんですけれども。
 この子は、二〇二二年、小六の夏にコロナに罹患、その後、一年以上熱が続く後遺症となって寝たきり状態になったと。この寝たきり状態でも、本人の意思で中学受験を頑張って、私立の中高一貫校に合格をしたと。入学後、四月、五月は月の半分は何とか登校していたわけですけど、六月、七月となるにつれ徐々に登校頻度が減ってしまって、九月の段階では慢性疲労症候群と診断を受けるまで悪化して、その後は通学できていない状態だというんですね。元々、スキー、スケート、釣りなどが大好きで、風邪も引かない元気な子だったと。なのに、今や車椅子がないとどこにも移動ができない状態になってしまったということで、御本人、御家族の絶望はいかばかりかと思うわけです。
 しかも、それに加えて、その頑張って入学した学校側の対応が余りに冷たいというんです。学校に通えなくなってから授業や学習のフォローは一切ないままだと。なのに、もうこの出席日数では高校への内部進学は無理だと中一の段階で通告を受けたと。中二になった今年四月になってやっと授業のオンライン視聴というのが可能になって、高校へ行きたいという思いを持ってベッドからずっと視聴を続けているわけですが、先日、学校側から、この六月に行われる中間考査の四日間、全て学校に来て試験を受けて、全科目で及第点を取らなければ放校、除籍すると通告されたというんです。試験については、保健室受験もできない、追試もしないということで、お母さんはこんな体調で四日間連続で全てのテストを受けたら死んでしまうと泣きながらお話しされていました。この中学生自身ももう絶望していて、何でみんな青春しているのに俺だけこんなんなん、死にたい、生きていてもこの先将来楽しくないと訴えていると聞いているわけです。
 大臣、このようにコロナ後遺症となった生徒を追い詰めるような学校の対応、絶対に避けるべきだと思うんです。学校においてコロナ後遺症となった生徒に対する理不尽な取扱いはあってはならないし、学びの保障を徹底すべきだと思いますが、いかがですか。

国務大臣(文部科学大臣 盛山正仁君)

 今、吉良先生からお話があったとおり、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症としていろんな多岐にわたる症状があることが報告されているということは承知しております。
 学校においては、罹患後症状を有する児童生徒等に対して、教育活動の実施に当たり適切な配慮を行うこと、児童生徒等の間で差別、偏見等がないように適切に指導すること等の対応を行うことが必要であり、それらを通じて児童生徒等の学びの保障を確保していくことが重要であると一般論としては考えております。
 個別のお話につきましては、ちょっと具体的な内容が分かりませんので、またそれはそういった内容を受けての御対応ということになるかなと思います。

吉良よし子

 適切な配慮が必要だし、学びの保障が必要だということだったと思うんです。でも、個別のことにはとおっしゃいますけど、やっぱり絶望させちゃいけないと思うんですよね。
 先ほど、そのお母さんがこんな体調で四日間連続でテストを受けたら死んでしまうとおっしゃっていたと言いましたけど、これ絶対、決して誇張表現ではないと思うんです。というのは、昨年の委員会でも私申し上げましたけど、コロナ後遺症というのは、特に体が動かせないとかすさまじい倦怠感がある場合、このときに無理をしてしまうとクラッシュを起こす、急激に悪化してまさに寝たきり状態になって、その症状が長期に続いてしまうということが臨床現場で実態が明らかになっているんですね。そういう状況で四日間連続で登校してテストを受けろというのは、コロナ後遺症に対して余りにも無理解な対応だと、ひどい対応だと私は言わざるを得ないと思うんです。
 確認をしたいと思うんです、初中局長。学校内の定期考査などのテストを行う場合、コロナ後遺症になった生徒に対して、保健室での受験を可能にしたり、追試で対応したり、場合によっては試験そのものを免除するなどの合理的な配慮、学校の判断で当然行えるということでよろしいですね。

政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 矢野和彦君)

 お答え申し上げます。
 一般論としてでございますけれども、定期考査において健康課題を有する児童生徒に対しどのような対応を取るかは各学校の判断により決定されるものでございまして、罹患後症状を有する児童生徒に対しても各学校の判断により合理的配慮を行うことは可能であると考えております。

吉良よし子

 当然、合理的配慮を行うことは可能だし、やっぱり私はやるべきだと思うんですね。
 学校で無理をさせられる場面というのはテストだけではないんです。体育の授業や部活なども同じでして、全国コロナ後遺症患者と家族の会が集めたこのアンケートの調査の結果見ると、うちにもコロナ後遺症の高校生がおり、一年半、出席日数ぎりぎりで何とか通っていますが、体育の見学が許されず、クラッシュも度々ありましたと、こういう声が出されているんですね。
 スポーツ庁次長に伺いますが、コロナ後遺症でこうした倦怠感とかがありながらも学校に通っている生徒に対して、体育や部活動を無理にさせないよう対応を徹底するべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(スポーツ庁次長 茂里毅君)

 お答え申し上げます。
 御指摘ありましたが、新型コロナウイルス感染症につきましては、感染した後、症状が長引く罹患後症状、いわゆる後遺症が見られる場合もありますことから、そのような児童生徒の体育の授業や運動部活への参加につきましても適切な配慮が必要となることは言うまでもないと考えております。
 このため、特に新型コロナウイルス感染症の罹患後症状につきましては、昨年の委員の御指摘も踏まえ、これまでも、全国の都道府県・指定都市教育委員会の担当者が集まる会議におきまして、児童生徒の体調を注視して丁寧な対応を行うこと、あるいは必要に応じて医療機関を受診させることなどについて適切な対応を行うことを求めてきたところでございます。

吉良よし子

 担当者に周知をしているというわけですけれども、しかし、現場でこうした無理な対応がこの一年もなくなっていないというのは重大だと思うんです。
 資料を御覧いただきたいと思うんですが、これ、東京都が作成をした、学校関係者や保護者向けの子供のコロナ後遺症に関するリーフレット、ハンドブックの一部で、これは学校関係者向けのハンドブックの一ページになるわけですけど、ここでは、学校における対応例ということで、その中に私が先ほど来申し上げました体育の見学、代替手段の検討とか、定期考査時の配慮とか、又はオンラインを活用した学習の実施とか、そういった具体例を例示していて大変分かりやすいものになっていると思うんですね。
 大臣、やはりこうした現場の適切な配慮を徹底するために、コロナ後遺症の児童生徒に対する対応、国としてもこの東京都のハンドブックのような具体例示しながら学校現場に周知をしていくべきと思いますが、いかがですか。

国務大臣(盛山正仁君)

 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状を有する児童生徒への適切な配慮として、具体的には、例えば教育活動の負担の軽減、ICTの活用による学習指導、心身の健康状態の把握、心のケア、周囲の児童生徒、保護者の理解促進などが考えられ、このような対応の重要性についてはこれまでも周知してきたところでございますが、引き続き、都道府県教育委員会等の担当者が集まる会議の場など様々な機会を通じて周知に取り組みたいと考えています。

吉良よし子

 周知をしてきたとおっしゃるんですけれども、やっぱり担当者レベルの会議としかおっしゃっていないんですね。実際にもう今無理な対応がまかり通っているわけですから、やっぱり担当者レベルの周知にとどまらない、もう学校長レベルも含めて徹底してこの対応を周知しなきゃいけないと思うんです。
 資料二枚目、御覧ください。
 厚労省もこの間、新しいリーフを作成して、その症状について改善と悪化を繰り返すこともあるとか、無理せずしっかりと休養を取ることが大切、こういうことを伝えるようになってきているんですね。
 改めて、文科省としても、少なくともこの点、このコロナの症状についての注意すべき点は学校現場に、ちゃんと学校長にも伝わるように徹底すべきと思いますが、大臣、もう一度お願いします。

国務大臣(盛山正仁君)

 今回のこの新型コロナウイルス感染症は、これまで経験したことがない新しい感染症でございます。児童生徒の安全、安心な学校生活を最大限確保する観点から、例えば感染不安による欠席についても、校長の判断により……(発言する者あり)はい、周知ですね、いや、分かっています。それで、校長がいろんな対応できるようにしております。
 そういったことを踏まえれば、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状を有する児童生徒についても、校長の判断により出席しなくてもよい人……(発言する者あり)はい。こういうような周知につきましても、厚生労働省その他関係の省庁とも御相談をしながら、対応について、適切な対応について考えていきたいと思っております。

吉良よし子

 大臣、ちゃんと質問聞いていただきたいです。
 私、今聞いているのは、症状についての周知をしてほしいということなんですね。その点について周知いただけるということでよろしいですか。

国務大臣(盛山正仁君)

 厚生労働省とも相談をしながらということになろうかと思います。

吉良よし子

 その上で、大臣が先ほどおっしゃられた出席対応、欠席対応について伺いたいんです。
 というのは、無理せず休養が必要なんだけど無理して学校に行かなきゃいけない状況になっている事態があって、というのは、出席日数が足りなければ留年とか退学になってしまう、そういう事例が後を絶たないからなんですね。
 私、昨年、この問題聞いたときに、文科省は出席の扱い、欠席扱いについて、新型コロナウイルス感染症の罹患に限らず、一般的に、非常変災等、児童生徒又は保護者の責に帰することのできない事由で欠席した場合などで校長が出席しなくてもよいと認めた日につきましては、指導要録上、出席停止、忌引数の日数の欄に記入をし欠席とはしないことも可能としておりますと御答弁されたわけです。つまり、コロナ後遺症になった場合、学校長の判断で、学校長が出席しなくてもよいと認めた日という欠席扱いにしない対応は可能だという答弁だったと思うわけです。
 これをやっぱり本当に学校現場に周知してほしいんです。いまだにそういう対応をしてもらえていない、単なる欠席扱いにされているという事例が多いので、欠席扱いにしなくていい、そういう対応は可能だということを全ての国公私立の学校に改めて周知すべきと思いますが、大臣、いかがですか。大臣にお願いします。

国務大臣(盛山正仁君)

 先ほど途中まで申し上げたところでございますが、新型コロナの罹患後症状を有する児童生徒について、校長の判断により出席しなくてもよいと認めるということはあり得るということ、そして、現段階でまだ罹患後の症状についてその実態や病態がまだ明らかではないということから、厚生労働省における調査研究の状況等も踏まえつつ、今後の対応ということになってまいります。

吉良よし子

 欠席扱いにしない対応というのはあり得ると明確に御答弁いただいたわけです。
 ちなみに、もう自治体によっては既に対応しているところもありまして、患者の会のアンケートにも、出席停止の基準が大幅に改善されて、それで進級することができましたとか、朝にオンラインで返事するだけで出席認めている自治体もあって助かっていますと、そういう声もあるわけですね。こういう事例があることも是非学校現場に周知徹底してほしいと思うんです。
 もう一度、こういういい事例、好事例の展開もすべきと思いますが、いかがですか、大臣、一言。

国務大臣(盛山正仁君)

 グッドプラクティス、好事例の紹介ということも含めて、周知徹底を図っていきたいと考えます。

吉良よし子

 是非周知してほしいと思います。
 コロナ後遺症となった子供たちが、学校に通えないだけじゃなくて、やっぱり進学も断念しなきゃいけないかもしれないという絶望にさいなまれているという事態は本当に問題だと思うんですよ。その子供たちが人生に絶望しなくていい、そういう教育行政、政治を強く求めて、私の質問を終わります。