loading...

吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2018年・第196通常国会

【代表質問】文部科学省設置法改定案 本会議

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 党を代表して、文部科学省設置法案に対し、質問をいたします。
 法案の質問に入る前に、国会審議の前提に関わる問題について質問します。
 一つ目は、おとといの森友問題に関する財務省調査報告についてです。
 この報告書により、公文書改ざんへの首相官邸の関与の疑いが濃厚になりました。昨年二月二十二日、菅官房長官の下へ佐川前理財局長、中村総務課長が森友学園案件について説明に行っていますが、その前日までに、理財局が、安倍昭恵氏による、いい土地ですから前に進めてくださいとのやり取りが記されている決裁文書の存在を認識していたことが報告書で明らかになりました。
 菅官房長官、あなたはこのとき、昭恵氏の関与が記載された決裁文書の説明を受けていたのではないですか。お答えください。
 それにしても、改ざんの原因を麻生大臣が、それが分かれば苦労せぬと答えたのには唖然としました。どう考えても、この改ざんが昭恵夫人の関与を隠すための改ざんだったのは明らかです。何より、原因究明もできないなんて調査とは言えません。無責任極まりない財務大臣は即刻辞任すべきです。
 同時に、この報告書をもって幕引きを図ることは絶対に許されません。一段と深まった疑惑を究明するために、安倍昭恵氏、佐川前理財局長、中村理財局総務課長などの証人喚問を強く求めるものです。
 もう一点、加計問題についても伺います。
 学園側は、ファクスを送り付けただけで二〇一五年二月二十五日の首相と加計氏との面会を否定しましたが、愛媛県が先月、本院予算委員会に提出した新文書には、二月二十五日の面会について何度も詳細に書かれています。
 例えば、文科省に関わる部分では、二月二十五日の面会時に加計側が総理に提供した資料を使って、文科省が獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の委員に対して意見照会を行っていると学園が愛媛県に説明したとの記述もあります。もし、二月二十五日の面会が事実でなければ、その際に提供した資料の話など、こんな詳細な話ができるわけがありません。
 面会はあったし、官邸ぐるみで文科省や農水省も巻き込んで、加計学園の獣医学部新設を首相案件として扱っていた、これはもはや明らかなのではありませんか。菅官房長官、お答えください。
 それでも否定するというのなら、加計孝太郎氏の証人喚問、中村愛媛県知事の参考人招致は欠かせません。関係者を呼んでの徹底的な真相究明を求めます。
 では、法案について、以下、林文部科学大臣に伺います。
 本法案は、新文化庁を目指すと称して機能強化を図り、文化政策を総合的に推進する体制をつくろうとするものです。
 では、これによってどのような文化政策を進めるというのでしょうか。骨太方針二〇一七では、文化経済戦略を策定し、稼ぐ文化への展開を推進するとしています。この稼ぐ文化とは何なのか。文化経済戦略では、投資の促進を通じて文化と経済の好循環を実現させるとして、経済拡大戦略に文化を位置付けています。この下で、文化財保護をおろそかにし、経済政策に文化芸術を利用しようとするのが、安倍政権の稼ぐ文化、文化政策ということなのではありませんか。
 文化芸術基本法は、前文で、「我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重すること」としています。本来、それ自体が固有の意義と価値を有するはずの文化芸術を、稼ぐ資源、産業としてのみ位置付け、その他を排除する、また、時の政権の経済政策を優先させて、表現の自由や文化芸術を行う者の自主性を損なうことはあってはならないと考えますが、大臣の認識を伺います。
 文化経済戦略では、民間資金による文化への投資を飛躍的に拡充するとし、投資を呼び込める文化芸術資源で資金を稼げ、それで文化芸術の振興をとも述べています。また、いわゆるカジノ実施法案は、納付金を観光や文化振興にも充てると言われています。カジノという賭博による人心の荒廃、人の不幸の上に集めたお金を文化芸術に充てるなんて言語道断。そんなことを許していいのですか。大臣、お答えください。
 文化行政の基本は、表現の自由の重要性を深く認識し、全ての人々が文化芸術を鑑賞し、参加し、創造することができる環境を整備することです。文化芸術基本法の理念を実現するための予算の拡充こそ必要です。このことを強く求めます。
 次に、博物館の所管を文化庁へ移す点について伺います。
 本改正案は、社会教育施設である博物館に関する事務を文部科学省から文化庁に移管し、更なる振興を図るとしています。また、文科省は、社会教育課を廃止し、図書館と公民館について、新設される総合教育政策局の地域学習推進課が所管するといいます。
 そもそも、教育基本法第三条では、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならないと、生涯学習、社会教育の理念をうたい、十二条で、国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置などによって社会教育の振興に努めなければならないと定めています。
 社会教育課を廃止し、博物館と図書館、公民館の所管をばらばらにした下で、教育基本法の言う社会教育の理念の実現図ることができるとお考えですか。博物館の文化庁への移管により進める博物館の更なる振興とは何なのですか。社会教育施設である博物館の役割に照らして、具体的にお答えください。
 公立博物館では、その地域の社会教育施設として、地域に根差して資料の収集、保存、展示や調査研究に当たっています。例えば、神奈川県では、学芸員らのほかに考古や民族、植物などの分野で専門性の高いボランティアが博物館での事業展開に関わっています。近隣の学生らがそのボランティアの力も借りながら、自分たちの研究成果を地域に報告し、入門者や初心者、子供たち向けの事業開催や地域の商店街と連携して行事に合わせて移動展示会を開催するなどの取組をしています。
 こうした博物館の社会教育施設としての役割が今後も大いに発揮できるように、学芸員の配置、必要な人員の確保等行うべきと考えますが、大臣の答弁を求めます。
 昨年十月、戦後ずっと社会教育を重視した地域振興を図ってきた長野県飯田市社会教育委員会議並びに飯田市公民館長会から大臣宛てに、社会教育課の存続と社会教育推進のための組織体制の充実を求める請願書が出されました。飯田市のみならず、様々な団体から同様の声が上がっています。
 大臣、こうした声にこそ耳を傾け、社会教育課の廃止はやめるべきです。そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)