「残業代ゼロ」論拠崩壊/政府例示の職種、自律性なく長時間拘束
要約
「働き方改革」一括法案が参院厚生労働委員会で5日審議入りし、日本共産党の吉良よし子議員は、政府が残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)の対象業務のひとつである金融アナリストから直接聞き取った労働実態が、法案のいう「時間と成果の関連性が高くない」働き方とは言えないと法案撤回を求めました。
金融アナリストは、安倍政権が高プロのニーズを示す唯一の調査でわずか12人から聞き取った3業種のひとつ。吉良氏は、「私の聞き取った金融アナリストは、朝7時から夜1時まで18時間拘束され働いていた」と実態を告発。早朝7時半の朝会や夜行われる企業説明会など本人の意思とは関係ない仕事による長時間労働であり、「これは大臣のいう『自律的』な業務とは言えない。高プロの対象にすべきでない」とただしました。
加藤勝信厚労相は、「個別の話は承知していない」としつつ、「この時間のミーティングに出なさい、となれば時間配分に制約があり、(高プロに)該当しない」と言わざるを得ず、高プロ対象業務に挙げた金融アナリストの論拠が崩壊しました。
吉良氏は、コンサル業の労働者からも「仕事の7割は時間と成果は比例する。それ以外の部分も新人のうちは時間がかかる」と聞き取り内容を指摘。加藤厚労相は、「時間配分に制約を受けないことを省令に規定する」などと弁解しながら、高プロ導入に固執しました。
吉良氏は政府が1075万円の年収がある人は「交渉力」があるので高プロを導入しても問題ないとしていることに対し、直接話を聞いたアナリストなどは「リスクを引き受けて働くには年収1000万では安すぎる」と話していたとし、政府のいい分に根拠がないと批判しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
今日、この厚労委員会で質問する機会をいただきまして、感謝を申し上げます。
昨日、本会議で審議入りした本法案ですが、この法案はそもそも審議する前提が崩れていると思います。
例えば、データ問題があるわけです。裁量労働制のデータにとどまらず、一般の労働時間のデータについても二割削除、さらに、衆議院の強行採決当日にダブルカウントの誤りも発覚したと。これらのデータ削除によって、年間千時間超えの残業が、修正前は三・九%だったのが、修正後に四八・五%に跳ね上がっている。公的な統計としての信頼性が失墜していると、先日、倉林議員が本委員会で指摘しましたけれども、こんなでたらめなデータを前提にした法案審議などはあり得ないと強く申し上げたいと思います。
そして、問題はデータ問題だけではないわけです。この間、加藤大臣は、高プロ制度にはニーズがあると繰り返されていて、三業種十二人の方のヒアリングを行ったということを明らかにしました。このヒアリングが高プロニーズについての唯一の調査だとおっしゃっていますけれども、その十二人の方々は企業側が選んだ労働者であり、調査の席には企業側の経営者もいたとか、企業丸抱えの調査だったということも言われておりますし、また、本当に十二人なのか、延べ十二人なのではないかという疑念もあるわけですし、そういった様々な問題があると思うんですけれども、ただ、私が今日問題にしたいのは、このヒアリングの中身の話です。
これ読みますと、チャレンジしたい人にはチャレンジできる環境をつくってほしいとか、労働時間の制約があると仕事のチャンスを失うとかあります。また、現在、労働時間に裁量があるなどの意見もあったということは書いてありますが、じゃ、この発言をした方々が実際には今どういう働き方をされているのか。その点については聞いたのでしょうか、大臣、いかがですか。
政府参考人(厚生労働省労働基準局長 山越敬一君)
この高度専門職に対しますヒアリングでございますけれども、高度専門職に就かれている方のニーズについて聞いたものでございまして、今おっしゃられましたような、今どういう、現在ということであれば、どういうことに就いているということについては承知をしていないところでございます。
なお、このヒアリングにつきましては、これ先方との関係で、この範囲において開示をするということになっておりまして、このお示しした範囲以上のことについてお話をさせていただくのは差し控えさせていただきたいと思います。
吉良よし子
いや、ニーズについて伺っただけって、与党の側からもあきれた声が上がったと思いますけれども。
じゃ、何でこの方々は労働時間の制約があると仕事のチャンスを失うのか。分からないじゃないですか、今具体的にどういう働き方をしているのかを聞かないと。現在既に裁量があるとおっしゃっていますけど、じゃ、一体今どういう働き方をしていて、なぜ新たに高プロの制度が必要なのかということも全くこの声を読むだけでは分からないわけですよ。そういう方々の働き方の実態を聞き取りもしないで、その発言だけで制度の必要性があるなんて何で言えるのかと。根拠がないじゃないですか。
先ほどこの範囲でしか公開できないとおっしゃいましたけど、公表した以上の資料は全くないということなんでしょうか。
政府参考人(山越敬一君)
まず、このヒアリングの概要でございますけれども、その内容につきましては、これは、民間の働く方、労働者の方からのヒアリングでございますので、その同意を得られた範囲でお示しさせていただくということで、了解が得られている範囲がこの範囲でございますので、この範囲にさせていただきたいと思います。
また、このヒアリングでございますけれども、こういった高度専門職の方がどういった、働き方についてのどういったニーズを持っているかということを把握するため行ったものでございまして、そうした観点でお答えをいただいているものでございます。
吉良よし子
いや、だから、なぜこれ以上公開できないのかということが分からないんです。公開できないということはもうほかにもあるということだと思うんですけれども、やはりこの発言をした方々がどういう働き方をしたのかやっぱり分からないと、ニーズだとは言い切れないと思うんです。
というのも、実は私もある金融アナリストの方にその働き方の実態を伺いました。その結果、この法案に書かれているような従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないとか、大臣がおっしゃっているような自律的な働き方とは言えない働き方だということが分かったんです。
その方は、現在は個人経営で仕事をしているんですけれども、新人当時、企業に勤めていたときには、朝七時に出勤して夜中の一時まで、十八時間会社にい続けていたとおっしゃっていました。というのは、毎朝七時半に朝会、レポート報告の朝会があったためで、その準備も含めて七時には出勤しなければならなかった。夜は夜で、取引が終わった三時以降に各企業の説明会がひっきりなしであると。遅い場合は七時半から説明会と。それを聞いてから会社に帰るともう九時過ぎで、そこからレポートを作成して、終わるのが十二時を回って、そのレポートを次の日の朝会で提出しなきゃいけないからまた七時に出勤と。これが基本的なルーチンだっておっしゃっていたんです。今、この方は経験積んでいって裁量の利く働き方だともおっしゃっているんですけれども、それでも繁忙期はやっぱり朝会は毎朝出なきゃいけないし、説明会も毎晩聞かなきゃいけないから、同じようなルーチンで繁忙期は働いていると。これが時間と成果との関連性が高くないとか自律的な仕事だと言えるのかと。
先ほど石橋議員からもありましたけど、こういう業務、アナリスト、やっぱりこの対象とすべきではないのじゃありませんか。大臣、いかがでしょう。
国務大臣(厚生労働大臣 加藤勝信君)
その方の個別の話というのはちょっと私もよく承知をしておりませんからあれですけれども、基本的に、一定、例えばこの時間のミーティングに出なさいとか、この時間にあれをしなさいということになれば、これはもう時間配分等の制約を受けているということになるわけでありますから、これは先ほど議論させていただきましたけれども、今回の中で我々省令を作った段階をベースにすれば、当然該当しないということになるわけであります。
吉良よし子
いや、個別じゃなくて、やっぱりそういう働き方をしているわけですから、その業務自体がやっぱり対象にならないという話になると思うんですね。そういう話だったと思うんです。
私がお話聞いた金融アナリストの方は、やはり時間と成果の関連性が高くないという表現には違和感が多少あるとおっしゃっていたわけです。
また、私、コンサル業の方にもお話聞いたんですけど、その方も、自分の仕事の七割は時間と成果は比例するとおっしゃっていた。残りの三割は、発想や切り口といった部分で比例しない部分もあるかもしれないけど、その三割も新人のうちは大変時間が掛かる部分だともおっしゃっていたと。
結局、このコンサル業についても時間と成果の関連性がある業務だとしか言いようがないわけですよ。なのに、それらを業務を指定して時間の規制を外していくということはやっぱりとんでもない話で、もしこれが制約を受けているんだとしたら、この業務を対象から外すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
国務大臣(加藤勝信君)
ですから、先ほどの、物の規定の仕方として、省令の中においてそうした業務を規定すると同時に、時間配分等々について制約を受けない、そういった旨をその省令の中に規定をしていくということを考えているわけであります。
吉良よし子
いろいろおっしゃったんですけど、結局、先ほどの大臣の答弁を聞いていても、私はこうやって個別にお話聞いて、実際の働き方聞いたわけですけれども、どう考えても、その十二人のヒアリングにしても、この法案の出てきた中身を見ても、何で金融アナリストやコンサル業、研究開発、そういった皆さんが時間と成果の関連性が高くないと言えるのか。本当に精査したのかどうかというのが全く分からないわけですよ。やっぱりこれじゃ、この法案の正当性が疑われる重大な問題だと思うんです。
改めて、やはりせめて先ほどのヒアリングがあった十二人の皆さん、その働き方の実態が分かる資料、これを本委員会への提出求めたいと思います。委員長、お願いします。
委員長(島村大君)
後刻理事会において協議をさせていただきます。
吉良よし子
是非よろしくお願いいたします。
ところで、私がお話聞いた方々というのは外資に長く勤めていたそうなんです。その経験上、確かに成果を出したら高額のペイがもらえる、けれども、出せなければ例えば解雇といったようなリスクを背負いながらチャレンジをしていくということはあり得るし、万一解雇されたとしても転職するということはできるということもおっしゃっていたんです。
しかし、この続きが重要なんですけど、そういうリスクを背負ってもいいと、リスクを背負ってでもチャレンジできると思える年収条件については、一千万では安過ぎるとおっしゃっていたんですよ。これは、国際的にそうやって渡り歩くものとしては、一千万というのはアナリストとかコンサル業では低いんだ、この一千万だというのは保護されて働く労働者の年収だということもおっしゃっていた。これ私、重要な指摘だと思うんです。
政府は一千万の年収がある人は交渉力があるとおっしゃっていましたけど、それだって、こういう現場の声を聞いたら怪しいと言わざるを得ないということを強く今日は指摘しておきたいと思います。
ところで、この年収も、まあ一千万が高いか低いかというのもあるんですけれども、年収についても私聞きたいんですけれども、大臣は衆議院の審議の中で度々、この年収要件、基準年間平均給与額の三倍額を相当以上ということで、一千七十五万は確実にお支払いいただける金額だと、少なくとも支払っていただかなくてはならないなどと答弁されているわけですけど、しかし、法案を読むと、四十一条の二の二号ロでは、労働契約に使用者から支払われると見込まれる賃金の額と書いてあるわけですね。これ、見込みとしてしか法案に書いていないのに、本当に確実に支払われるのかどうか疑問が出てくるわけですけど、本当に、高プロ労働者となった場合には一千七十五万円、確実に支払われるのか、これは下回ることないということでよろしいのか、大臣、お答えください。
政府参考人(山越敬一君)
この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、労働契約に支払われると見込まれる賃金が一定の額ということになっておりまして、そういうことでございますので、労働契約におきまして、その賃金額が使用者と労働者の間で定められるということでございます。その契約上の義務として、使用者は労働者に賃金を払っていただく義務があるということでございます。
吉良よし子
義務義務とおっしゃっていましたけど、一千七十五万円を下回ることはないということでよろしいんですか、これ聞いているんです。大臣、お答えください。
政府参考人(山越敬一君)
この額でございますけれども、労働契約により支払われると見込まれる賃金の額でございますので、労働契約で定められている額の最低がその一定の額だということでございます。
吉良よし子
最低の額ということだったと思います。
取りあえず、それを踏まえて聞いていきたいと思うんですけれども、この、じゃ仮に一千七十五万としますが、その支払方法ですけど、例えば、一年間高プロとして働く合意をしましたとしたときに、毎月支払うのは二十万程度にして、残りの八百万というのはプールしておいて最後の月に成果を含めてまとめて支払うと、そういうやり方は許されるんでしょうか。
政府参考人(山越敬一君)
高度プロフェッショナル制度におきましては、今申しましたように、労働契約で一定の年収要件を満たすことは前提にしておりますけれども、その配分については法律上は特段の規定をしていないものでございます。
賃金の額については個々の労使の取決めによって設定されるものでございますので、支払方法も基本的には労使の取決めによって定められていくものでございますけれども、ただ他方で、例えば法律では最低賃金の規定がございますので、そういった所要の規定は当然遵守をしていただく必要があるところでございます。
吉良よし子
いや、最低賃金を上回るのは当然ですけれども、今は一千七十五万が最低ラインだというお話をしているわけですよね。それを払うときに、何か大臣、手を振っていますけど、そうじゃないんですか。最低支払われる、確実に支払われるとこの間答弁していますよね。そうじゃないんですか、違うんですか。
国務大臣(加藤勝信君)
いやいや、毎月支払われる賃金が幾らだとおっしゃるので、そういった意味においては、毎月支払う賃金については最低賃金を超えていかなければならないということを局長が申し上げたという意味でそういうジェスチャーをさせていただいたわけでございます。
吉良よし子
紛らわしいことをしないでいただきたいと思いますね。
私が言っているのは年収の問題ですよね。一千七十五万、最低払うと。それが、毎月は二十万ずつでよくて、最後、八百万プールしておくことができるということになるわけです。これ、とんでもない話だと思うんですよ。
衆議院の修正では、一応この契約解除ができると、同意の撤回ができるようになったというけれども、そういう支払方法を認めたら、労働者は満額支払が終わるまで契約解除できないということになるじゃないですか。これでは権利がないに等しいわけですよ。そんな不合理な契約が認められるなんということは絶対にあってはならないと思うんです。
この給与の支払方法についてもちゃんと明記すべきじゃないんですか、法律で。少なくとも、この一千七十五万円を均等に毎月割った給料を支払わせるようにすると、そうすべきではないですか。大臣、いかがでしょう。
国務大臣(加藤勝信君)
いや、ですから、それは個々の労使の取決めによって設定されるということでなるわけでありますし、その上で申し上げれば、元々働き手側の、合意に基づいてこれ成り立っているわけでありますから、先ほど一千万の話もありました、これは最低限として申し上げているので、いや、とてもそれじゃ私はやらぬと言えば、それは高度プロフェッショナルとしての働き方はそこでは成立をしないということに当然なるわけであります。
吉良よし子
とてもそれではできないとおっしゃいましたけど、いや、年収で一千七十五万もらえるというはずで始めたのに月二十万しかもらえないというのはやっぱりおかしいですし、最終的にもらえるかどうかというのが分からないというのはおかしいと思うんですけど。
先ほど一千七十五万下回らないとおっしゃいましたけど、それだって法律にはやっぱり書かれていないと思うんですよね。これ、ちゃんと法文に書かなきゃいけないと思うんですけど、その点いかがですか。
政府参考人(山越敬一君)
これは、法律上は労働者の平均的な賃金の三倍程度を相当程度上回る額という算式が書いてあるわけでございまして、それを踏まえまして具体的には省令で定めるということでございますので、法律を定める以上は一定の額が担保されるという仕組みになっているところでございます。
吉良よし子
いや、でも、見込みとしか書いていないんですよ、法律上は。だから、確実に支払われるかどうかが分からないわけですよ。
ちゃんと書くべきじゃないんですか、確実に支払えって、下回ってはならないって。
政府参考人(山越敬一君)
これは労働契約により支払われると見込まれる額が一定額ということでございますので、これ労働契約上の権利義務関係としてその使用者は労働者にその額を払わなければいけないということになるわけでございます。
吉良よし子
じゃ、聞きますけど、先ほどの支払の方だった場合、二十万ずつ払って、最後八百万プールしていると、その場合に、一年間高プロで働きました、一年後、成果を査定したら思っていた成果が出なかったのでその八百万は払えませんと、そういうことができるんじゃないですか。いかがですか。
政府参考人(山越敬一君)
これは、この省令で定めることとなっている最低額をその業績とかにかかわらず確実に払っていただく必要がございますので、そういった業績が下がったからということでそれを割り込むという契約は結べないということでございます。
吉良よし子
じゃ、それを明記するべきじゃないですか。
つまり、使用者側が成果を評価したときに、一千七十五万円を下回るような労働者は高プロの対象とはならないと、確実に一千七十五万円分の成果を出せる労働者でなければ高プロの対象としないと書くべきではありませんか。
政府参考人(山越敬一君)
労働契約で支払われると見込まれる額が一定額以上、省令で定める額以上でございますので、それはその額を確実に払うという契約を結ばないとこの高プロの対象にはできないところでございます。
吉良よし子
高プロの対象にできないということだったら、それ法案に書かなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
大体、幾ら大臣が確実に上回ると言ったって、悪意を持った経営者はいるんですよ、残念ながら、この国には。ブラック企業、ブラック経営者、そういう人たちがこの法を悪用して使う、違法、脱法をする、それを許さないルールの作り方が必要なんじゃないかと言っているんです。それを防ぐ手だてがない下でこのまま進んでしまうわけにはいかないと言っているんですよ。
じゃ、ここでもう一つ聞きたいんですけど、今度は解除の問題です。
午前中もちらりとあったように聞いていますけれども、今度は労働者側が解除できる規定はあるわけですけど、じゃ使用者の側が、今度は、先ほど言ったような、一年後、あなたは約束した成果を出さなかったから高プロに値しませんでしたと一方的に高プロを解除するということはできるんですか。いかがでしょう。
政府参考人(山越敬一君)
高度プロフェッショナル制度につきましては、対象労働者のこれは同意の下に制度の適用がなされることとされておりますので、使用者が特段の事情なく一方的にその適用を解除することは認められないというふうに考えます。
吉良よし子
一方的に解除することは認められないということでしたけど、それって法文に書いてあるんでしょうか。労働者側の解除の手続については書いてあると思うんですけど、使用者側の解除、一方的な解除してはならないと書いていないんじゃないですか。いかがでしょう。
政府参考人(山越敬一君)
これは、労使間で契約、同意をもってしてこういう制度を適用するということでございますので、そういったことから、その同意というのは、一方的に適用を使用者の方から解除するということは通常はできないというふうに考えます。
吉良よし子
通常はっていっても、そこが書かれていないと分からないじゃないですか。
例えば、だから先ほどのような、毎月二十万十二か月払って、残りの八百万支払う段階で、いや、成果が出せなかったということで一方的に解除をして、そして、その解除を理由にしてプールしていた八百万支払わないとか、そういうことが可能になるんじゃないですか。いかがですか。それを防ぐ手だて、あるんですか。
政府参考人(山越敬一君)
そういった形での、何と申しますか、契約というものは通常一方的に解除したりすることはできないでしょうから、元の契約に従って賃金支払義務が存続しているものだというふうに考えます。
吉良よし子
通常できないと言うけれども、絶対あり得ないとは言わないわけですよね。合意を、先ほど労働者の同意を必要とすべきって、一般的にはそうだ、通常はそうだと言うけれども、通常はって言うだけで、じゃ、そのことは書いていないじゃないですか、高プロの要件の中には。使用者側が一方的に解除して給与を払わないなんてことをしちゃいけないってどこに書いてあるんですか。
政府参考人(山越敬一君)
それは、労使間で契約を結んでいることでございますので、そういった、使用者が一方的にその適用を解除することは認められないということでございます。契約が解除されない以上、元の契約に従いまして賃金支払義務が残っている、そういうふうに考えます。
吉良よし子
具体的に、高プロに関わって、高プロ制度の解除に関わって、使用者側が一方的に解除してはならない、解除する場合は労働者の合意が必要であると、そういった規定があるんですか。
政府参考人(山越敬一君)
この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、対象労働者の同意ということが要件になっていると、そういうことで規定がされているというふうに考えます。
吉良よし子
それは導入時ですよね。契約するときに、あなたは高プロですねって契約するときに同意をしましたということでしょう。でも、私が言っているのは解除の段階の話なんですよ。だって、それ認めちゃったら、書かなかったら、使用者の側は、それこそ一千七十五万払いますよというニンジンをぶら下げて、あなた高プロですと言って過大なノルマを押し付けて、それこそ馬車馬のように酷使して働かせた挙げ句、成果が出なかった、だからやっぱりあなたは高プロではなかったですって、ぶら下げたニンジン取り上げられる、そういうことが許されるということになるわけでしょう。
あなた高プロだって言いながら使用者側の判断一つでそれを撤回して、低賃金、長時間過密労働を強いることができるようになるなんということになったら、もうこれ高プロでも何でもないじゃないですか。そんな抜け穴、絶対に作っちゃいけないでしょう。そういうことをちゃんと法律に書かなきゃいけないんじゃないですか。