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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2018年・第196通常国会

教員不足対策急いで/〝小中の教育に穴〟指摘

要約

吉良よし子議員は5月29日の参院文教科学委員会で、小中学校の非正規の教員不足に対し早急な対策を求めました。
 吉良氏は、非常勤講師不足で「教育に穴があく」事態が広島・島根両県で今年4月から1カ月続いた事例や、1人で3校分の家庭科を担当する例、広島では小中合わせ病休などの代替教員が27校で27人が足りない状況を指摘しました。林芳正文科相は「必要な教員の確保に苦労しているのは承知している。大変懸念する事態だ。退職教員の活用、社会人の採用など工夫を」と述べました。
 吉良氏は「広島だけではない。北海道から静岡、福岡、全国各地で欠員が出ている」として、2011年は全国で欠員800件、17年は教員不足357人などの報道を紹介し、全国調査を要求。林文科相は8道県3政令市を調査したと答えましたが、全国調査には難色を示しました。
 吉良氏は、教員不足の原因は、規制緩和で臨時や非常勤講師を増やす一方、定数改善計画を持たなくなったなどの文科省の施策だと指摘。応急的対応として、子育てなどで離職した30~40代の教員免許保持者に対し、免許更新の弾力的な運用の拡大を求めました。

しんぶん赤旗2018年06月04日付より抜粋

議事録

吉良よし子

今日お配りも、資料、しているんですけれども、先日この委員会でもお話がありました、非常勤講師や病休、介護休の代替教員が見付からない、教育に穴が空くという問題についてです。取り上げたいと思います。
 五月十五日の中国新聞では、中国四県で非常勤講師が不足しているとして、授業を担当する教員がいない、穴が空く事態が広島県と島根県で今年四月から一か月続いたと報じられました。
 私、事務所を通して広島県教委にお話を伺いました。非常勤講師不足校では、教師が自らの時間数を増やして対応していると。まさに働き方改革に逆行するような状況が起きているわけですね。ある市では、二校で家庭科の教師が見付からなかったために、ほかのある中学で勤務する家庭科の教員に業務命令出して兼務をしている、つまり三校分の家庭科を一人の教師が一気に担当しているという話も聞きました。また、常勤教員の欠員補充、代替教員についても、小中学校合わせて二十七校二十七人が今も、いまだに確保されていないと。
 もう本当に重大な問題で見過ごせないと思うんですけれども、こうした教育の現場に穴が空く、子供たちに教える先生が見付からないという事態はあってはならないし、一刻も早く文科省として対応するべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(文部科学大臣 林芳正君)

最近、各地域の小中学校におきまして必要な教員を確保するのに苦労しているという事例が多く生じていることは承知をしておりまして、授業等の実施にも支障を来すような状況であれば、大変懸念すべき事態であると認識しております。
 今委員からのお話もありました、広島県内において必要な教員が確保できていない状況につきましては、速やかに確保できるよう努めていただきたいと考えております。
 文科省としては、今後多くの教員が退職することが見込まれるため、以前から、教員の年齢構成に配慮して、中長期的視野から計画的な教員採用、人事を行うことを促してきたところでございます。
 各任命権者において、教員の確保に関する厳しい現状を踏まえて、より一層退職教員の活用、社会人の積極採用等の工夫をしていただくとともに、文科省としても、学校における働き方改革を進めることなどを通じて多くの方に教職を志していただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

吉良よし子

いろいろおっしゃったんですけど、やはり教育委員会に教員確保に努めていただきたいとか工夫していただきたいとか、どこかちょっと現場に丸投げというような感じが見受けられるんですね。
 ただ、やはり文科省としてできることがあると思うんです。というのも、先ほど来、大臣もちらりとおっしゃいましたけど、これ広島県だけの問題じゃないんです、全国なんですね。
 お配りした資料、是非見ていただきたいんですけれども、報道記事を一部抜粋したものですけれども、北海道から静岡、福岡、全国各地で先生の欠員が出ているという記事があって、それはもう決して最近の話じゃなくて、例えば二〇一一年の時点で朝日新聞でも、先生欠員埋まらない、全国八百件超え、自習もという、そういった報道もなされているわけですし、最近でも、小中教員不足三百五十七人と、非正規頼み困難になって、六十七教委の調査によりそれが明らかになったということが述べられていて、広島県知事も、全国的にも教員の人員確保が難しいという状況の中で、非常に苦慮しているというのが実態だとおっしゃっているわけです。
 もはや、一部の地域の問題ではなくて、やはり全国の問題だと。そういう意味では、まずこの全国の状況について、穴空きがどうなっているのか、文科省、把握するべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(林芳正君)

文科省におきましては、こういった報道等も踏まえまして、昨年の末から今年の初め頃にかけまして、教員が不足している人数が多いと考えられました幾つかの都道府県教育委員会や政令指定都市の教育委員会から状況をお伺いするということをいたしまして、実態の把握に努めてきたところでございます。
 全国的な状況の調査まで行っておりませんが、聞き取った状況からは、やはり地域によってそれぞれ事情は様々であるとともに、要因も複合的に関連していることがうかがえまして、こうした状況が全国の同様の状況にある地域においても当てはまるものと、こういうふうに考えておるところでございます。
 したがって、現時点では、各都道府県教育委員会等の負担等も考慮して、改めて全国的な調査を行うことまでは考えておりませんけれども、この事案の重要性に鑑みまして、引き続き、広島県始めとして状況の推移をしっかりと把握してまいりたいと考えております。

吉良よし子

問題が生じているところを調査するのは当然なんですけれども、やはり全国的だし、もう長期にわたってこの問題は起きているわけですから、やはり全国の状況をまずはつかむ、それを努力すべきと思いますが、大臣、改めてどうですか。全国状況、把握していただきたい。

国務大臣(林芳正君)

先ほど申し上げましたように、この都道府県、八道県、それから政令指定都市も三市ほど把握をさせていただいたところでございまして、その結果、いろんなことが把握をできておるところでございます。
 やはり、教員の働き方改革というのを一方で進めておる現状の中で、先ほど申し上げましたように、やはりこの全国的な調査ということになると各都道府県教育委員会等々の負担ということも出てまいりますので、しっかりと今のやり方で状況の推移を把握してまいりたいと思っております。

吉良よし子

負担とおっしゃいますけど、一番負担が生じるのはやはり現場なんですよ。子供たちが教育を受けられない事態が起きる重大な問題で、八道県と言いましたけど、東京都内ででもここ数年の中で、四月、新学期に入ったけど担任の先生決まらなかったなんという話も聞いているわけで、決してこれだけで済む話じゃなくて、やっぱり全体を把握しなきゃいけないということを強く申し上げたいと思います。
 そして、先ほど様々な要因がということをおっしゃいました。ここで改めて伺いますけれども、じゃ、こうした授業に穴が空くという事態の原因、これは何だと考えていらっしゃるのか、大臣、お願いします。

国務大臣(林芳正君)

この幾つかの都道府県教育委員会等から伺っている状況を踏まえますと、やはり現在各地域において生じております事案の原因につきましては、大量の教員、これが定年によって退職していることに伴って大量の教員を採用しなければならない、こういう必要性が生じている、それから特別支援学級の数が増加をしていること、そして産休や育休を取得する教員が増加をしていること、それから民間企業等の採用が活発になっているということに伴って教員採用試験の受験者が減少している、こういうこと等が複合的に関連しているものと、こういうふうに認識をしておるところでございます。
 文部科学省としては、引き続き、各都道府県教育委員会等に対して、こうした原因も十分に踏まえるとともに、教員の年齢構成、これに配慮いたしまして、中長期的視野から計画的な教員採用、人事を行うということを促してまいりたいと考えております。

吉良よし子

四つほど原因を挙げられたわけなんです。
 ただ、この今の答弁というのは、原因だと私は思えない。この事態が起きている状況の説明ではありますけれども、原因の分析になっているのかというとそうではないですし、何か政府、文科省に何の責任もなく自然発生的にそうなったんだと言わんばかりの言い方というのも私は納得がいかないんですね。
 先ほど、最初の方で、先ほども計画的な採用をとか、若しくは正規教員の採用が望ましいという通知を出したとか、そういう話も出てきているわけですけれども、一方で、この間文科省は一体何をしているのかというと、計画的な採用どころか定数改善計画を政府は持たなくなってしまっているわけですよね。そういう下で幾ら計画的な採用をと文科省がおっしゃっても、教育委員会の方では、やっぱり自治体の財政状況に左右されて長期的な正規採用が困難な自治体も出てくることは必須だし、そういう状況の中で学生も集まってこなくなるのではないかと。
 また、さらには、文科省は定数崩しというものを認める中で、多くの免許保持者がもう既に臨時的任用の教員とか非常勤講師として採用されてしまって、つまり、代替教員や非常勤講師として働いてきた人たちがもう現場で働いていて、その人たちが産休とかに入ったときの代替要員がいないという事態が起きてしまっていると。
 まさに、こうした政府、文科省主導の政策によってこうした現場の穴空き問題が深刻化していると、そういう原因があるのではないかと思うんですが、これらの政策、改めるべきではありませんか。大臣、いかがでしょう。

政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 高橋道和君)

今御指摘いただきました件に関しまして、例えば昨年度の義務標準法の改正によりまして、加配定数の一定割合を今後十年掛けて基礎定数に振り分けるといった形で、各都道府県教育委員会が見通しを持って採用しやすいような、そういった一定の定数措置なども講じております。
 今後とも、引き続き、各都道府県教育委員会に対しては計画的な採用について促していきたいと思いますし、また、教員の働き方改革を進めるなどによって教職というのが魅力ある職になるように、そういった努力は文科省としてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。

吉良よし子

定数、基礎定数化したとおっしゃいましたけれども、私が言っているのは定数改善計画がなくなっているという話なんですね。改善計画が、計画がなければ幾ら単年度で多少改善しても改善にはなりませんし、実際差引きでは自然減というのでマイナスになっているわけですよ、教員の数というのは、文科省が出している、要求しているものは。それでは定数増には決してはならないし、そういう下で穴空きができているんだと、その点は強く指摘して、改善を求めたいと。
 そして、やはりこの事態の応急的な対応として、現場から出している要望の一つに教員免許更新の弾力化というものがあります。六十歳の定年を迎えた教員が六十四歳で更新しなければならないという。けれども、そこでやはり更新をするのを忘れて免許がなくなって、失効してしまって現場に戻れないという事態が起きると。
 弾力化については本委員会でも議論になって、神本議員の質問に対して大臣は、不断の見直し、検討は常にやっておかなければならないとも述べられておりますけれども、その見直し、検討はその後されたのかどうか伺いたい。
 そしてもう一つ、六十代だけではなくて、子育てなどで一旦職場を離れた三十代、四十代の教員免許保持者についても弾力的な措置、必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(林芳正君)

教育免許更新制でございますが、やはり先生が最新の知識、技能を身に付けて自信と誇りを持って教壇に立っていただいて、社会の尊敬と信頼を得られるようにすることを目的として導入されたものでございまして、教師の質、能力、これを一定水準以上に担保するために重要な制度であると考えております。
 講習の形態について、多忙な教師やへき地で勤務する教師が時期や時間を問わず受講できるようにインターネット等を活用した講習の開設を促しておりまして、平成三十年度には昨年度と比べて約一六%増の五百十七の講習が開設をされておるところでございます。また、こうした講習の開設を後押しするための予算措置、これも講じておりまして、更新講習を受講しやすい環境というのを整えておるところでございます。
 また、この教員免許更新制、より効果的なものとするために、更新講習の内容につきましても、子供の貧困対策とか心のバリアフリーといった現代的な諸課題に対応した教育課題を学べる講習の開設を大学等に促しておるところでございます。
 こうした取組によりまして、今後とも教員免許更新制の理念が達成できるよう、引き続き環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

委員長(高階恵美子君)

おまとめください。

吉良よし子

時間が来ていますので簡潔に申し上げますけれども、弾力化を求めていくとともに、抜本的な解決に向けて是非努力していただきたいと申し上げて、質問を終わります。