学費・給食無償化、国の責任/参院本会議
要約
日本共産党の吉良よし子議員は20日の参院本会議で、2023年度決算について質問し、学校給食費や大学の学費無償化、安保3文書に基づく大軍拡などについてただしました。
吉良氏は文部科学省の調査で、小中学校で完全に給食を無償にした自治体が547に上ったことを示し、「学校給食の無償化が求められていることは明らかだ」と強調。一方で多くは国からの地方創生臨時交付金を活用しているため、無償にしても次年度以降は実施しないなどとする自治体があると指摘し、「国の責任で全国どこでも給食を無償にすべきだ」と迫りました。
大学の学費値上げについて、石破茂首相が値上げを止めることに言及せず、従来の修学支援新制度の拡充を述べるにとどまっていると指摘。「『学生はバイトで稼げ』『政府は予算を出しません』では、若者は夢も希望も持てない。大学の学費値上げを止めるため緊急に予算措置をすべきだ」と求めましたが、石破氏は従来の答弁を繰り返しました。
吉良氏は23年度決算について、安保3文書に基づく大軍拡が始まった年だと指摘。防衛関係費が同年度だけで11兆円超に上り、日米同盟強化へとひた走る中、昨年11月には米軍横田基地所属のオスプレイが鹿児島県・屋久島沖で墜落したとして、「事故原因が特定できないまま、オスプレイの飛行を容認するのか。全機を飛行停止、全面撤去すべきだ」と迫りました。石破氏は「配備を撤回する考えはない」などと強弁しました。
さらに吉良氏は、旧ジャニーズ事務所元社長の故ジャニー喜多川氏による性加害問題について、長期の子どもへの性虐待は「世界に類を見ない世紀の性犯罪であり、人権侵害だ」と指摘。「おとなになってから被害を申告しても公訴時効で訴訟に至らないことも少なくない。公訴時効の撤廃に踏み出すべきだ」と求めました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
私は、会派を代表し、二〇二三年度決算について総理に質問いたします。
二〇二三年度決算を審議するに当たり政治が決着を付けなくてはならないのは、裏金事件の真相解明と金権腐敗の一掃です。
今国会では、年内に幕引きとばかりに裏金議員の政倫審への出席と弁明が始まっていますが、全く反省がありません。総理も予算委員会で、企業献金の何が悪いのかとまで開き直っていますが、これでは金権腐敗は一掃できません。
日本共産党は、企業・団体献金全面禁止法案、政党助成法廃止法案を参議院に提出しました。裏金政治、金権腐敗を政界から一掃するには、国民の求める企業・団体献金の禁止こそ実現すべきではありませんか。お答えください。
二〇二三年度決算の税収は七十二兆円で、過去最大となりました。そのうち、庶民に重い負担となる逆進性の強い消費税が二十三兆円と、一番多いという税制のゆがみがあらわになっています。まず、何よりも生計費非課税の原則に立って、最悪の生計費課税である消費税を緊急に減税し、インボイスは撤廃すべきではありませんか。
二〇二三年度、学校給食費の無償化が各自治体で大きく広がりました。文部科学省が行った調査では、小中学校で完全に給食を無償にした自治体は五百四十七自治体に大きく広がっており、学校給食の無償化が求められていることは明らかです。
課題は財源です。多くの自治体が国からの地方創生臨時交付金を活用していたため、一旦無償化を実現した自治体でも、次年度以降実施しない、検討中などとする自治体も少なくありません。今回の補正予算では重点支援地方交付金が追加されましたが、国の責任で全国どこでも給食を無償にすべきではありませんか。
総理は、この間、学校給食の支援対象の妥当性や公平性などを強調し、これらの課題を整理すると繰り返しています。これは、できない理由を挙げて、いつまでたってもやらないと言っているのに等しいのではないですか。直ちに実施すべきではありませんか。
あわせて、緊急に行うべきは大学の学費値上げを止めることです。
先日の予算委員会で総理は、国立でも私立でも相次いでいる学費の値上げを止めるとは言わず、従来の修学支援新制度の拡充を述べるにとどまりました。学費値上げは御自由に、学生はアルバイトで稼げ、政府は予算を出しませんという姿勢では、若者は夢も希望も持てません。大学の学費値上げを止めるため、緊急に予算措置をすべきではありませんか。改めてお答えください。
二〇二三年度決算は、安保三文書に基づく大軍拡が始まった年の決算にもなります。防衛関係費は、二〇二三年度だけで防衛力強化資金への四兆円超えの繰入れも含めて十一兆五千四百七十三億円、前年度から六兆百八十七億円の大幅増となりました。金額が増え続けている上、敵基地攻撃能力を持ち、日米同盟強化へとひた走っていることも大問題です。
昨年十一月には、横田米軍基地所属の垂直離着陸機CV22オスプレイが屋久島沖で墜落し、搭乗員八人全員が死亡した事故が発生しました。その後も、この事故と同じ不具合を示す警告が出た事故も発生しています。しかも、事故調査報告書では、正確な根本原因を特定することができなかったとし、今後の再発防止策も示していません。
根本的な事故原因が特定できないまま、同じような墜落事故が起きる危険も残された状態でオスプレイの飛行を容認するのですか。国民の命と安全を守るために、オスプレイ全機の飛行停止、全面撤去をすべきです。答弁を求めます。
世界では、軍事対軍事などの抑止力の強化などではなく、対話と外交、国連憲章と国際法に基づき平和を築こうという流れが力強く前へと進んでいます。
今年十二月十日、日本被団協へのノーベル平和賞授賞式が行われました。核兵器は地獄の兵器だ、絶対に使ってはならない兵器だという核タブーを国際社会に確立し、核兵器禁止条約を誕生させた被爆者の皆さんの歴史的な闘いに心から敬意を表します。授賞式でスピーチした日本被団協の田中熙巳代表委員は、原爆で亡くなった死者に対する償いは日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたいと繰り返し強調し、強い憤りを表しました。
日本政府の姿勢に世界の厳しい目が向けられています。総理、直ちに国家補償を実現し、援護施策を抜本的に拡充すべきではありませんか。そして、被爆者の長年の思いに応え、来年三月の核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加、核兵器禁止条約の批准へと進むべきではありませんか。
元日の能登半島地震からもうすぐ一年がたちます。これも二〇二三年度の出来事です。まずは、震災、豪雨、二重の災害で深刻な被害を受けている皆さんが能登で生きていく希望が持てるよう、これまでの延長線上でない支援の抜本強化を求めます。
あわせて、能登半島地震では志賀原発も被害を受けました。地震直後の複数のトラブルや周辺道路の寸断で避難経路も確保できないという事態を前に、改めて、地震の国日本に原発は共存できないことが明らかになりました。
先日、政府が公表した第七次エネルギー基本計画の原案では、これまでの可能な限り低減するとしていた原発について最大限活用としていますが、速やかに原発ゼロへと踏み出すべきではありませんか。
また、温室効果ガスの排出削減目標についても、二〇一三年度比六〇%などではなく、二〇一三年度比七五から八〇%という、一・五度目標の達成へ、CO2排出大国としての責任にふさわしい野心的な目標を設定すべきではありませんか。
二〇二三年、忘れられないのは、旧ジャニーズ事務所の元社長、故ジャニー喜多川氏による長期にわたる子供たちへの性虐待が明らかになったことです。古くは一九五〇年代から二〇一〇年代半ばまでの長期にわたり、被害申告が一千名を超える多数の当時十代前後だった子供たちが性虐待の犠牲になった驚くべき事実が明らかになり、社会に衝撃を与えました。
このジャニーズ性加害問題は、世界に類を見ない世紀の性犯罪事件であり、深刻な人権侵害です。総理にその認識はありますか。
今年十月九日、被害を訴えた当事者の皆さんが、このまま終わらせてはならない、風化させないでと会見を行いました。この声に政治も真剣に向き合うべきです。
特に子供の性被害は、被害に遭った子供がその行為の意味がすぐには分からず、すぐ告発できないという場合が多くあります。被害に遭ってから数十年たって、大人になってから被害を告発しようとしても、公訴時効があり、訴訟に至らない場合も少なくありません。事件を風化させない、子供たちを性犯罪から守るため、公訴時効の撤廃に踏み出すべきではありませんか。
今年は、子どもの権利条約を日本が批准して三十年という節目の年でした。子供たち一人一人が、自分は大切にされている、この社会に愛されていると実感できる、子供の権利が社会のあらゆる場所で尊重される政治、社会を目指す決意を申し上げ、質問を終わります。