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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2018年・第196通常国会

文科省の前川氏授業調査/自民議員が執拗な要請/電話とメールの間にも/「政治介入そのもの」

要約

日本共産党の吉良よし子議員は23日の参院文教科学委員会で、名古屋市立中学校での前川喜平前文部科学次官の授業をめぐり、自民党議員の働きかけを受けた文科省が同市教育委員会への執拗な調査をしたのは、「教育内容への国家的介入の抑制をうたった憲法に反する、教育への不当介入だ」と批判し、無反省な文科省と林芳正文科相の姿勢をただしました。

 調査をめぐっては、自民党文科部会長の赤池誠章参院議員と、部会長代理の池田佳隆衆院議員の働きかけが発端だったことが明らかになっています。同省は、あくまでも「初等中等教育局の判断で行った」と言い張っていますが、赤池、池田両氏の問い合わせなどがあった事実を、報道されるまで隠ぺいしていました。
 同省は市教委に対し、前川氏の経歴等を中傷する高圧的な質問メールを2回にわたり送りつけています。その質問メールを送る前に池田議員が同省に「さらにわかったことがあれば教えてほしい」と要請していたことが吉良氏の質問で判明。同省が池田議員に市教委への電話の結果を報告した際のやりとりだと、高橋道和初中局長が認めたものです。
 吉良氏は、これら自民党議員の要請が今回の調査の動機となった可能性が強まったと指摘。さらに、同省が事前に調査内容を池田氏に示し、同氏の意見を参考に内容を一部修正した事実を示し「これこそ政治介入そのもの。文科省が主体的に政治家のいいなりになっている」と断じました。
 林文科相は調査項目のうち出会い系バーに関する記述は一方的な報道をもとにしたもので「誤解を招きかねない」と答弁する一方、「調査は法令に則ったもの」だとして、前川氏らへの謝罪を拒否しました。
 吉良氏は「前川氏が授業を行った事実のみでは、調査が必要な法令違反などがあるとは言えない。調査権の乱用だ」と文科相の姿勢を糾弾しました。

しんぶん赤旗2018年03月24日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 私も、名古屋市立中への調査、日本の教育にとっても民主主義にとっても重大な問題、教育の不当介入の問題について取り上げたいと思います。
 まず、経過について確認をいたします。
 先ほど来ありましたけれども、授業が名古屋市立中で行われた直後に自民党の議員である赤池議員、そして池田議員という政治家からの問合せがあって、さらには、その授業について報じた中日新聞の記事も池田議員から提供されたということですが、つまり、これはやはり政治家の問合せというのが今回の調査のきっかけだったということだと思います。
 そこで、一点答弁を確認したいんですけれども、先ほど神本議員への局長の答弁の中で、調査をする一回目電話を二月十九日に行った後に池田議員に報告した際に、池田議員から更に分かったら教えてほしいとの発言があったと局長から答弁がありました。このことは事実ということでよろしいですか。

政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 高橋道和君)

このときは、たしか私どもの職員が、私ではなくて、担当しておりますけれども、まず、名古屋市の教育委員会の方から資料をいただいて、それを説明に行ったときに、こちらの方でもう少し聞いてみることがありますというふうなことを申し上げて、それでは更に何か分かったことがあったら教えてほしいと、そういったやり取りがあったと承知をしております。

吉良よし子

更に分かったら教えてほしいと、池田議員からそういう言葉があったということですよね。事実ですか、確認いたします。

政府参考人(高橋道和君)

正確な議事録が残っているわけではございませんけれども、大筋のやり取りとしてはそういうようなやり取りがあったという報告を受けております。

吉良よし子

つまり、一回目の問合せのみならず、やはり次のメールによる調査についても、正確に調査せよという言葉があったかどうかというのは確認をという話が先ほど来ありましたけれども、いずれにしても、更に分かったら教えてほしいという言葉は池田議員から発されたと、調査を示唆する言葉があったと、それに基づいてメールが送られたというふうに取られても仕方がない状況がそこにあったとしか私には考えられないと思うわけです。
 しかも、やはり異常なのは、その後、三月一日に一回目のメールを送る、その前に池田議員にそのメールの内容、質問事項を事前に見せてコメントももらったという点なわけですね。
 ここで、やっぱり私、改めて伺いたいんですけど、何でこの質問事項を与党議員に先に、事前に見せたのか。お答えください、局長。

政府参考人(高橋道和君)

池田議員は、まずは、そういった事前の何回かの経緯もございましたし、御地元であるということもありましたので、私どもといたしましては、内容をチェックいただこうなどという気持ちは毛頭ございませんでしたけれども、名古屋市の教育委員会に送付する前に言わば少し丁寧な対応をするということでお届けをしたと、そのようなことでございます。

吉良よし子

いずれにしても、丁寧な対応だと。地元の方なら直接聞けばいいんですけど、とにかく丁寧な対応を文科省がやったと言うけれども、それで済む問題じゃないと思うんですね。
 だって、文科省の主体的な調査だとおっしゃる、その一方で、質問事項は事前にわざわざ与党議員に見せている、これでいいですかと。主体的とは到底言えない状況じゃありませんか。しかも、問題は、その問い合わせた内容を見せたのみならず、コメントに応じて、その池田議員から出されたコメントを参考にして、メールの内容、文言も修正したという事実があると。もうこれこそ政治家からの影響そのものだと思うんですが、いかがですか、大臣、そう思いませんか。

国務大臣(文部科学大臣 林芳正君)

先ほどの質疑の中でも局長から答弁があったとおりでございまして、いろんなコメントを賜って、その上で局としての判断で質問を行ったと、こういうふうに報告を受けております。

吉良よし子

あくまでも局の判断だとおっしゃるんですね。
 でも、そうしてくると、私、やっぱり疑問が出てくるんですよ。じゃ、何で、当初文科省は、この問題が明らかになった直後、赤池議員や池田議員から問合せがあった、その事実を隠していたんですか。後に報道で明らかになってから、このことが明らかになった。でも、文科省としての判断だと、たとえ議員からの問合せがあったとしても局としての判断だとおっしゃるのであれば、この調査が問題になった当初から、こうした経過、包み隠さずおっしゃればよかったじゃないですか。なぜ隠していたんですか。

政府参考人(高橋道和君)

今回の私どもがこういった記事を知るきっかけになったのは赤池議員からのメールをいただいたことでございますけれども、しかし、今回調査をすることにつきましては、その記事の内容を私どもが確認して、初中局としてこれは確認が必要だろうと判断したということでございますので、直接、赤池議員なり池田議員からの指示を受けて調査をしたわけではございませんので、そういったことについては当初は説明をあえてしなかったということでございます。

吉良よし子

全く答えになっていないですよね。結局、そうやって情報を小出しにしている、隠していた。財務省で改ざんも問題になっているわけですけれども、財務省のみならず文科省もそういう隠蔽体質だということを言っているに等しいじゃないですか。やっぱり本当に大問題だと言わざるを得ないんですよ。
 大体、今もいろいろ資料出てきていますけど、これで十分かといえば、私は不十分だと言わざるを得ないと思うんです。
 もうあえて時間ないので質問しませんけれども、一回目、問合せを電話で行った後、二十二日に池田議員に状況を説明した後、三月一日にメールを送るまで一週間空いている、その間、何していたのかということが全く不明なんですね。
 委員長、これ是非、提案なんですけれども、この間、この初中局でどういう検討がなされていたのか、なぜメールで十五項目もの項目を質問するということを決定したのか、その経過が分かる資料を是非委員会に提出していただきたい、そのことを求めたいと思います。

委員長(高階恵美子君)

ただいまの件につきましては、後刻理事会で検討させていただきます。

吉良よし子

いずれにしても、本当に分からないことだらけですし、ただしかし、今現時点で分かっているというのは、今回の調査は主体的に文科省が判断したと言うけれども、やはりきっかけを見ても、その調査の内容を見てもどうしても文科省主導だと私は思えない。むしろ明らかになっているのは、文科省が主体的に一政治家の言いなりになったと、その事実だと思うわけです。大体、今回の調査やったということは法的に問題ないとはおっしゃっているわけですけれども、やはり、国家権力が特定の学校の特定の授業を調査するということはよほどの事情がなければやってはならないことだと思うわけです。
 十六日、大臣は記者会見の中で、例えば法令違反若しくは生徒児童に不利益が及ぶような扱いがあるという可能性があると認められる場合にこうした調査を行うことがあるとおっしゃっていました。
 ここで伺いますけれども、前川さんが学校で授業をすると、何の法令に違反するのか、あるいは児童生徒に何の不利益が及ぼされるとされるのか、それはどういう理由なのか。大臣、お答えください。

政府参考人(高橋道和君)

先ほどの答弁とも重なるところがあって恐縮でございますけれども、教育行政の事務方最高責任者にあった方が、一方で、自らの非違行為によって国家公務員法の停職相当の処分を受けたと、そういったような今回はケースでございます。
 このような方でございますので、私どもとしては、仮にそういった行政トップにいた方の発言であれば、その内容が、仮にでございますけれども、学習指導要領と整合しない場合であっても、それが正しい解釈として受け止められる可能性が高いこと、それから、停職相当となった者であるということについて、特に心身の発達が途上段階にあり、必ずしも公正な判断を行う能力が十分に備わっていない中学生に対して授業を行うことについて適切な教育的配慮が求められることであろうと、さらには、保護者がそれに対してどういった、保護者の当該学校に関する信用に与える影響があるのかないのか、こういったようなことについて十分な配慮が行われているかどうかということを確認する必要があると判断して地教行法の五十三条に基づく調査を行ったと、こういうような経緯でございます。

吉良よし子

全く答えになっていないと思うんですね。だって、何で前川さんが授業をしたら学習指導要領に反する講演が行われると言えるのかと。そんなことは言えないじゃないですか。
 実際、調査をされたわけですけど、じゃ実際にそうした学習指導要領に反する授業が行われていたんですか、子供に対して不利益があったんですか。その結果をお答えください。

政府参考人(高橋道和君)

名古屋市教育委員会から聞き取りました内容によりまして、授業内容そのものについては法令や学習指導要領に違反する内容はなかったと理解をしております。
 ただ、前川氏を講師として招くに当たって、天下り問題で処分を受けたことは知っていたけれども、それは言わば監督責任であって、本人が自らの非違行為によって停職相当という重い処分相当と評価されたことについては知らなかったというような御回答もございましたので、その点についてはもう少し調べていただく方がよかったんじゃないかといったようなことを申し上げたというのは先ほど答弁申し上げたとおりでございます。

吉良よし子

経歴を知らなかったことだけを問題にするって、それで教育内容の調査まで行うというのはやっぱり異常だとしか言いようがないんですよね。やっぱり結果として何ら授業には問題なかったんですよ。あなたたちが問題にしたのは、前川氏が授業をしたと、その事実のみを取って問題として調査をしたということで、そこが何らか問題になり得るという根拠が示せていないということなんですよね。
 ところで、私も確認したいんですけど、この市教委に送ったメールの中では、前川氏のことを、出会い系バーを利用して、そこで知り合った女性と食事したり、時に金銭を供与したりしたなんという決め付けた書きぶりがあるわけですけれども、こうした出会い系バーに関しては、前川氏は子供の貧困の実態を知るためだったというような報道もあるわけですけれども、こうした一方的な報道に基づいたこの記述は不適切だったと、そういうことでよろしいですね、大臣。

政府参考人(高橋道和君)

今御指摘いただきました部分につきましては、大臣からも、誤解を招きかねない表現であって、なおかつ事実を文科省として確認できていない報道に基づいたことであったということで注意を受けておりますので、その注意を私どもとしては真摯に受け止めているところでございます。

吉良よし子

誤解を招きかねない表現だったわけですよね。とすれば、こういう一方的な報道を基にして決め付けでこうした書きぶりをしたと、このことだけでも私、大問題だと思うんですよ。前川氏に対する誹謗中傷とも受け取られかねない、そういう記述でしょう。やはりこういうのが誤解を招きかねない問題ある表現だったとするならば、大臣、このことを取って、少なくともこの部分については前川氏御本人に謝罪するべきではありませんか。いかがですか、大臣。

国務大臣(林芳正君)

文科省として、先ほど局長から答弁をいたしましたように、法令に基づいて教育委員会に対して必要な調査を行ったというふうに先ほど私からも答弁をしたとおりでございます。
 したがって、教育委員会等に対して謝罪が必要なものとは考えていないところでございますが、先ほど来申し上げておりますように、質問状の表現ぶり等について誤解を招きかねない部分があったことについては担当の初等中等教育局に注意をしたところでございます。
 今回の事案を踏まえて、教育現場に対してより一層丁寧な対応に努めてまいりたいと思っております。

吉良よし子

私、前川さんに謝るべきじゃないかと言ったんですけど、その必要ないということでよろしいんですか、大臣。

国務大臣(林芳正君)

教育委員会等と申し上げましたので、教育委員会を始め、今回直接問合せは教育委員会に対してしたわけでございますが、それらに対して謝罪が必要なものとは考えていないというふうに申し上げたところでございます。

吉良よし子

誤解を招きかねない表現だったと言っている一方で、間違ったことをしたと言っている一方で、そのことを反省もしない、謝罪もしない。それが道徳教育を子供に説こうという省庁の姿勢なんですかと、逆にそう私は言いたいと思うわけですよ。
 大体、問題にされている天下り問題ですけれども、本当に一度でも自ら非違行為を行った人を講師にするということが問題になり得るのか。私、ならないと思うんですよ。だって、馳元文部科学大臣、御自身のサイトで書いていらっしゃいます。前川さんについては天下り関与行為で停職扱いとなり、不名誉な辞職をしたことは事実だが、だからといって公教育の現場で講師をしてはならないわけではない、むしろ、失敗をし、社会的制裁を受けた人の体験談は、主体的な学ぶ力、考える力を中学生が培うには意味のある教材ではないのか、文科省どうしたんだと述べていらっしゃるわけですよ。
 実際、前川氏御自身も、非違行為したことについては万死に値すると言って、その処分を受けたわけですよ。そうした人を呼ぶことが問題じゃないじゃないか、むしろ意味ある教材じゃないかという、私、この馳さんの認識の方が教育に処するにふさわしい見識だと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(林芳正君)

その手前の報道については、先ほど申し上げたように、表現ぶりについての注意をしたところでございますが、今のお尋ねのことについては、まさに、部下のしたことについて責任を取ったということにとどまらず、本人の非違行為について責任を取ったと、処分を受けたと、こういうことでございまして、そのことについての御認識が現場にあったのかという事実確認をさせていただいたということで、その経緯は先ほど局長から答弁させたとおりでございます。

吉良よし子

全く答弁になっていないと思うんですよね。本当にそういうことしか言えないのかと、本当に悲しくなるわけですけれども、結局、天下り問題とか違法とかいうのは調査の根拠になり得ないんですよ。非違行為したからといって授業に立っちゃいけないなんてことはあり得ないわけですよ、教育現場においては。やっぱり今回の調査というのは、前川氏を対象にした、標的とした調査なわけですよ。そこがやっぱり問題だと言わざるを得ないと思うんです。
 改めて確認をしますけれども、今回の調査、地教行法五十三条に基づいたと言いますが、それはつまり、四十八条に基づいて市教委へ指導、助言をするということが法律上の前提となっているわけです。じゃ、今回の調査の結果、どんな指導、助言を行ったのか、改めてお答えください、局長。

政府参考人(高橋道和君)

先ほども申し上げましたけれども、授業内容について法令違反等があったわけではございませんので、授業内容についての指導、助言は行っておりませんが、この講師の方を選任するに際して、この講師の方が、監督責任だけではなくて、自らも非違行為を行って、国家公務員法違反で言うと停職相当の処分になるということについては、事実を知らずにそういった計画をしたということですので、その点についてはもう少し配慮があってもよかったんじゃないですかということを助言申し上げたということになります。

吉良よし子

助言と言いますけれども、結局、四十八条で言う教育課程や学習指導、つまり教育内容についての指導、助言は必要なかったということなんですよ。あくまでもその経歴のみを問題にしていると。やっぱり天下り問題は口実で、あなた方が、何が言いたかったかというと、加計学園問題で、安倍政権に行政がねじ曲げられたと証言して、総理の御意向文書が間違いなく省内に存在していると証言した、その前川氏を狙い撃ちした調査だということであって、指導、助言という前提も何もない下での恣意的な調査、すなわち調査権の濫用としか私は思えないんですよ。
 そもそも、憲法というのは教育内容についての国家的介入はできるだけ抑制的でなければならないとしているわけです。
 ここで資料を見ていただきたいんですけれども、一九七六年の全国学力テストの最高裁大法廷の中で、この憲法に基づいて、国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されていると判決があるわけです。さらに、新教育基本法についての審議の際にも、その当時の大臣は、この最高裁判決の趣旨はこの今の新しい教育基本法にも生かされていると、そういうこともおっしゃっているわけなんですね。だから、これは生きているわけなんです。
 しかも、重要なのは、この同判決では、あなた方は法律に基づいていると繰り返されますけれども、同判決では、教育行政機関の法律に基づいて行う行政についても不当な支配とならないように配慮しなくてはならないという判決もしているわけなんです。
 今回の文科省の調査は、やはり違法な調査であるだけではなくて、こうした憲法の原則に反する重大な誤りだと、そういう重大な問題だという認識、大臣、ありますか。

委員長(高階恵美子君)

時間が参っております。

国務大臣(林芳正君)

我々の認識は、先ほど来お答えをしてきているところでございまして、この不当な支配ということについてのコンメンタールの中身も先ほど私の方から御紹介をさせていただいたとおりでございます。

吉良よし子

本当に重大な問題であるとの認識がないということは、本当にそれこそ重大な問題だと思うんですよ。こういう教育の不当介入が行われているときに、文科省は毅然としてそんなこと絶対にならないと、大臣、あなたが先頭に立って言わなきゃいけないんです。そういう問題なんだということを強く申し上げまして、今日のところはこれで終わらせていただきます。