変形制は長時間労働助長/教員増と授業数上限を/参院文教科学委
要約
日本共産党の吉良よし子議員は15日の参院文教科学委員会で、公立学校の教員への1年単位の変形労働時間制(変形制)の適用が長時間労働をいっそう助長する危険を明らかにし、「変形制ではなく、教員の授業の持ちコマ数の上限設定と、それに見合う教員増こそ本当の『働き方改革』だ」と迫りました。
変形制は業務の繁閑に応じて労働時間を調整するもの。文部科学省は変形制によって総労働時間を短縮するとし、夏休みなどの労働時間を学期中に振り分ける案を中央教育審議会に示しています。
吉良氏は、文科省調査でも小学校で6割近く、中学校で7割以上の教員が過労死ラインを超える長時間労働をしていることを告発。柴山昌彦文科相は「教師の業務負担の軽減は喫緊の課題だ」とし、本来の勤務時間である1日7時間45分まで削減を目指すことを認めました。
変形制についてただした吉良氏に、永山賀久初等中等教育局長は、変形制を導入しても年間の所定労働時間は変わらず、残業も禁止されないと答弁しました。
吉良氏は、「仕事量が抜本的に減らない限り変形制でもこれまでの長時間労働は変わらない」と指摘。さらに1日の勤務時間がのびることで見ための残業時間が減るうえ、拘束時間も増えることをあげ「これがあなた方の『働き方改革』か」と批判。柴山文科相は「多様な働き方を広げ、夏季休暇を確実にとらせることでリフレッシュしていただく」などと現場の実態にそぐわない答弁に終始しました。
吉良氏は、「保育園の送迎に支障がでる」「勤務時間いっぱいまで部活動をやれと言われるかもしれない」といった現場の悲鳴を突き付け、8月についても行政研修やプール指導、夏休みの短縮などにより、「閑散期とは言えない」と指摘。「変形制の検討そのものをやめるべきだ」と訴えました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
では、今日は、私も教員の長時間勤務、働き方の問題について質問をいたします。
学校がブラックな職場になっている、こういう実態を是正するということは、労働条件の改善として緊急であると同時に、子供の教育条件として極めて大切な、国民的な課題です。
九月に十年ぶりになる二〇一六年度の教員勤務実態調査の確定値、これが明らかになりましたので、改めてこの数字の確認からしたいと思うんですけれども、これによりますと、学内の勤務時間というのは、小学校で十一時間十五分、中学校で十一時間三十二分、前回、十年前の調査よりもそれぞれ四十分から三十分増加しているということです。現在、一日当たりの正規の所定の勤務時間というのは七時間四十五分となっているので、そうすると、教員は毎日二時間四十五分程度、三時間近くの超過勤務、残業をしているということになります。
ここで確認しますが、一日十一時間以上毎日働いている、一週間当たり学内勤務時間が週五十五時間以上となっている教員の割合というのは小学校、中学校でそれぞれ何%になるか、お答えください。
政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 永山賀久君)
御指摘いただきましたとおり、私どもの方の教員勤務実態調査、九月に確定値を公表いたしましたけれども、これは小学校、中学校の公立、それぞれ四百校につきまして、フルタイムの教員全員を対象として行いました。(発言する者あり)はい、失礼いたしました。
その結果ですけれども、一週間当たり五十五時間以上勤務している教員の割合、小学校教諭では五七・八%、中学校教諭で七四・二%という結果になってございます。
吉良よし子
小学校で五七・八、中学校で七四・二という数字でした。
今回の調査によりますと、学内だけじゃなく、持ち帰り業務も行われているということも明らかになっています。その持ち帰りの業務の時間というのが大体一日二十分から一時間あるということなので、それも合わせると、週五十五時間以上の勤務というのは月八十時間以上の時間外労働、厚労省が定めている過労死ラインを超える長さに相当するということです。つまり、小学校で六割近く、中学校で七割が過労死ラインを超える状態で働いているという実態があるということです。
だから、文科省も既に看過できない深刻な状況ということで認識を示しているわけですが、おとといの委員会で、大臣所信でこの働き方改革についても述べられたわけですが、教職の専門職にふさわしい勤務環境を確保と述べるにとどまっていて、この長時間労働についての言及がなかった、これは本当に残念なことだと思うんですけれども、多数の教員が過労死ラインを超えるような超長時間労働になっている、その実態が明らかになっている下で、こうした長時間勤務を減らす、是正すると大臣自らはっきりと明言するべきと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(柴山昌彦君)
ただいまの吉良議員との質疑の中で、教員勤務実態調査において、教師の長時間勤務、これがしっかりと如実に表れているということが明らかになっております。質の高い学校教育を維持発展させるためには、教師の業務負担の軽減を図ることは、御指摘のとおり、極めて重要かつ喫緊の課題であるというように明言をさせていただきます。
負担軽減のためには、教師でなければできない業務以外の多くの仕事を教師が担っているという現状を抜本的に変えることが先決でありまして、昨年十二月に学校や教師の業務の役割分担や適正化を着実に実行するための方策などを盛り込んだ緊急対策を取りまとめて、今年の二月に各教育委員会へ既に通知を発出いたしました。
また、小中学校のそれぞれの状況を踏まえて、本年度においては、小学校の英語教育のための専科教員千人の定数改善や教師の業務負担の軽減のために中学校における部活動指導員やスクールサポートスタッフの配置により対応しているところであり、引き続きこれらの取組をしっかりと推進してまいります。
あわせて、中央教育審議会において、昨年六月から学校における働き方改革をテーマに集中的に審議をいただいておりまして、その審議を踏まえて、さらに勤務時間管理の徹底、業務の役割分担、適正化、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実、勤務時間制度の改善など、教職の専門職としての教師にふさわしい勤務環境の確保に取り組んでまいります。
吉良よし子
いや、聞いていないところまでお答えいただいているんですけど、私が聞いているのは、長時間労働を是正するという立場かどうかと、そこを聞いているわけです。つまりは、今ある所定の勤務時間、七時間四十五分ですけれども、それを目指して今の十一時間十五分なりを縮減していく、減らしていく、七時間四十五分を目指していくと、そういうことでよろしいですか。
委員長(上野通子君)
この際、申し上げます。
答弁は、大臣、質疑者の趣旨を体し的確に行うよう申し上げます。
国務大臣(柴山昌彦君)
御指摘のとおりです。
吉良よし子
じゃ、七時間四十五分目指していくということですね。御指摘のとおりということなので、そうだということだと思うわけです。
では、そこで伺いますけれども……(発言する者あり)いやいや、いいです。それで、先ほど大臣、緊急対策とおっしゃいました。おっしゃったとおり、その緊急対策の中身で業務の役割負担、適正化を進めることなどを挙げているわけですね。じゃ、この緊急対策で現状の一日十一時間を超えるような勤務時間、具体的に何時間、あるいは何分縮小できるのか、減らせるのか、お答えください。局長で結構です。
政府参考人(永山賀久君)
昨年十二月にお示しした緊急対策に掲げるそれぞれの施策につきまして、各学校の状況も様々でございまして、教師の勤務時間の具体的な削減時間についての試算は行っておりません。おりませんけれども、一方で、文科省といたしましては、これまで様々な実践研究というのを行ってございまして、少し例を申し上げますと、具体的な勤務時間の削減ということで、都道府県単位で統合型校務支援システムというのがございます。教務ですとか学籍ですとかいろんなシステムを統合したシステムを複数で回すと、そういったシステムを導入した場合に、年間で百二十時間、約ですね、縮減された例ですとか、あるいはその校務の整理とかサポートスタッフの整備、それから退勤時刻設定のルール化ですとか留守番電話とか、様々な施策を合わせまして、これ、年間六十時間程度の縮減された例というのも承知をいたしてございまして、私どもとしては、これらの取組の共有あるいは横展開を図ってまいりたいと思っております。
吉良よし子
年間六十時間、若しくは百二十時間ですから、月に直すと大体二時間程度ということかと思いますが、これは確実に減らせるということでしょうか。もう一度確認をいたします。
政府参考人(永山賀久君)
これ、一つの実践例でございますので、この例に従って取り組んだ場合にこういったことも期待できるということではないかと思います。
吉良よし子
まあ期待ができるということで、それはもちろん各学校現場で話し合って不要な業務を減らしていく取組を進めるというのは当然ですし、最大で、最大なのか分かりませんけれども、そういった事例もあるということは大事だとは思います。
では、ここで私、確認をしたいんですけど、ただ、この緊急対策見ていくと、各学校現場や地方自治体が進めるべき取組という内容しか挙げられていないと思うんです。それがほとんどだと思うんですけれども、じゃ、文科省として、今学校現場に実施するように求めてきた様々な施策のうち、何か一つでもやめる決断をしたというものがあるのかどうか。大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(柴山昌彦君)
先ほど、何か一つでも様々な文科省として学校を対象として行う調査の廃止や頻度、時期、項目の見直しを行ってきたのかということなんですけれども、例えば、今年の四月には、各団体などが主催する児童生徒を対象としたコンクールやイベントなどについて、文部科学省への後援名義等の使用許可、これが出てくるわけなんですけれども、その条件として、例えば作品の提出方法や広報などに係る負担軽減をしてくれということを条件とすることといたしました。また、同じく四月に、学校に対して、これまでそれぞれ作成することを指導してきた個々の子供たちに対する支援計画を一つにまとめて作成することができるよう、そのモデル例を各教育委員会に対してお示しをいたしました。
さらに、文部科学省の組織再編によって、これまで三課に分かれていた学校における働き方改革に関する業務について、初等中等教育局財務課において一元的に推進することとして、その上で、学校に新たな業務を付加するような制度改正等を行う際には、必ず事前調整を行うことといたしました。
こうした取組を通じて、スクラップ・アンド・ビルドの考え方によって学校の負担を軽減をさせるように取組を進めてまいりたいと思います。
吉良よし子
スクラップ・アンド・ビルドとか様々言われましたけど、私、抜本的に削減できる業務、まだたくさんあると思うんですよ。この間、教育改革、教育再生と称しながら、文科省、様々な業務を学校現場に押し付けているわけです。
例えば、テスト対策のために放課後に補習授業などを押し付けるような全国学力テストとか、若しくは子供たちの評価に困るような道徳の教科化であるとか、授業時数を増加させる小学校英語とか、教員不足の原因にもなっている教員免許更新制、行政研修の増加、削減すべき文科省主導の業務、大きなものが山ほどあると思うんですけれども、これら見直すべきだと思いませんか。大臣、いかがですか。
国務大臣(柴山昌彦君)
それぞれの施策については、背景をしっかりと検討してキックオフをさせていただいたものばかりでありますが、現在の状況の検証等も含めてしっかりとまた確認をさせていただきたいと思います。
吉良よし子
確認すると言うけど、減らす、やめる、そういうことはおっしゃれないと、それじゃ私、駄目だと思うんですね。
都教組の青年部のアンケートで若い教員の皆さんが答えていますけれども、過労死ラインを大幅に超えても、それでも仕事が終わらない、そういう実態を把握してほしいと言っているんです。長時間過密労働の打開策は決して現場の意識改革といったものじゃない、我々の意識などに責任転嫁をしないでいただきたい、こうおっしゃっているわけです。
やはりそういう意味では、文科省の方が現場に押し付けている業務、過大な業務を抜本的に見直す、削減していくと、そういう立場に立たなければならないということを強く指摘したいと思います。
ところで、中教審特別部会では、この長時間勤務の解消策として一年単位の変形労働時間制、これが検討されていると。先ほども神本委員がおっしゃっていましたけれども、これ重大だと思うんですね。
まず基本的な仕組みから確認をしたいんですけれども、この一年単位の変形労働時間制、これは具体的にはどのような制度なのか、お答えください。
政府参考人(永山賀久君)
一年単位の変形労働時間制でございますけれども、法律上は労働基準法第三十二条の四に定められておりまして、休日の増加による労働者のゆとりの創造ですとか時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮等を実現するために、一か月を超える一年以内の期間を平均して一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない、これを条件といたしまして、業務の繁閑に応じ労働時間を配分することを認める制度であると承知いたしてございます。
吉良よし子
今御説明いただいたわけですけれども、私もこの中教審に示された配付資料というものをお示しをしております。
つまり、休日の増加、ゆとりの創造などとおっしゃっていますけど、要するに、これ見ると、夏休みなどのいわゆる閑散期と呼ばれる日の勤務日を減らして閉庁日などとして休みの日をつくったり、若しくは一日の勤務時間をその月は短縮するなどして、その短縮した分を学期中の平日に回して、正規の勤務時間、七時間四十五分を長くしていくということなわけです。
じゃ、その正規の勤務時間、つまり残業以外の勤務時間をグラフにされているわけですけど、この資料の数字足し上げると、年間で変更前で千九百時間となっているわけですけど、それは制度を導入した以降でも足し上げると千九百時間と変わらない、減ることはないという理解でよろしいですか。
政府参考人(永山賀久君)
この御指摘のグラフでございますけれども、これは変形労働時間制を導入した場合の勤務時間のイメージということでございます。
御指摘のとおり、これいずれの図につきましても、二番目、三番目の図につきましても所定の勤務時間の合計は同じ年間約千九百時間になるようになってございますが、制度上、一年単位の変形労働時間制を適用して変更前と変更後で異なる総労働時間を規定する、設定するということは可能かということにつきましては、制度上は総勤務時間を同一とするということは要件とはなってございません。
吉良よし子
いずれにしても、いろいろおっしゃいましたけれども、基本的な考え方としては、繁閑に合わせて一年間をずらすというだけなので、所定の勤務時間は変わらないということなんですよ、年間の、残業時間以外の勤務時間というのは変わらない。
そこで、もう一つ確認をしたいと思うんですけれども、変形労働時間制を導入したときに、この正規の勤務時間以外のいわゆる残業、超過勤務ということを行うことは禁止されるのかどうか、お答えください。
政府参考人(永山賀久君)
現行の労働基準法等の制度におきましては、一年単位の変形労働時間制を導入した場合でも、所定の労働時間を超えて時間外労働させることは禁止されてはおりません。
吉良よし子
所定の勤務時間以上残業することを禁止するものではないということです。つまり、変形労働時間制を取っていたとしても、年間の法定されている勤務時間は全く変わらないし、残業だって今までどおりできるということ。つまり、仕事量が抜本的に減らない限り、これまでのような十一時間十五分等の長時間労働は変形労働時間制を取ったとしても全く変わらないということなんです。
じゃ、何が変わるのかということで、私、イメージ図を作ってみました。資料二を御覧ください。
これ、一日の労働時間のイメージです。現時点で十一時間十五分が平均値ということで、それを前提として作ってみました。
導入前は正規の勤務時間が七時間四十五分ですから、はみ出ている残業時間というのは二時間四十五分となりますが、それが変形労働時間制を導入して正規の勤務時間が八時間四十五分となった場合、同じように十一時間十五分学校で仕事をしていても、一時間半しか残業していなかったということになってしまうわけです。
つまり、全体の勤務時間、学校に居続ける時間は変わらなくても、減らなくても、残業時間を見かけ上減らすことができると。同時に、逆に学校に居続けなくてはならない拘束時間というのは、勤務時間が八時間四十五分に延びますから増えることになってしまうと。これでどうして長時間労働の是正ができるというのかと。学内で勤務している時間は変わらないけれども、見た目の残業時間が減ればいいのか、拘束時間をそして増やしていくのかと。これがあなた方の言う学校の働き方改革なのですか。
こういう変形労働時間制、今の現状追認でしかない合法化、現状の長時間労働の合法化、固定化でしかないと思いますが、それ大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(柴山昌彦君)
多様な働き方を可能にするという意味で、現在、中央教育審議会においては議論がなされております。
現行法では公立学校の教師に導入することができない、今御指摘になった一年単位の変形労働時間制を各教育委員会などの判断で導入できるような制度改正について検討がされているということでありまして、中教審の議論においては、学期と学期の間に長期休業が存在するという教師に固有の勤務の態様に沿うものである、また、長期休業中に確実に長期間の休日を確保でき、リフレッシュにつながるといった肯定的な意見もあります。
ただ、導入に当たっては、今おっしゃったとおり、学期中の勤務時間、そして長期休業中の業務の縮減、こういうことが前提となりますよ、あるいは育児や介護を伴う教師について配慮が必要ですよと、こういった意見もあったというように承知をしております。
このような意見も踏まえて、引き続き中教審で検討が深められるというように承知をしております。
吉良よし子
いろいろおっしゃられましたけれども、結局、この長時間労働が変形労働時間制で減るわけではないんですよ。だから、ネット上でも教員の皆さんから批判的な声が続出しているわけです。
例えば、これ、八時間四十五分になったら居続けなければならないから保育園の送り迎えができなくなるとか、そういう声が出ています。また、変形労働時間制が導入されて例えば十時間勤務とかになったら、勤務時間内に収まるから全員六時までは部活動を指導しなさいなんて言われるかもしれぬと、そんな可能性があるから、まじでしゃれにならぬ、こういう声が上がっているわけです。
部活動だけじゃなくて、例えば勤務時間が十八時まで延長されたとしたならば、七時間目の授業を一律に入れていくとか、これまでは五時前までには職員会議は終わらせるように現場では努力しているわけですよ、それをもう延長されたからということで職員会議を五時から始めるとか、そういう事態も起きかねない。そして、会議の後に行っていた授業準備を始める時間が更に遅くなってしまって、むしろこれまで以上に長時間労働が助長される、そういう可能性だって否定できない事態だと思うんですけれども、そういった変形労働時間制、この導入検討はもうそもそもやめるべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
国務大臣(柴山昌彦君)
繰り返しになりますけれども、中教審でも指摘があったとおり、仮に導入するに当たっては、まず業務の役割分担、適正化、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実などを図ることによって、年間の勤務時間の縮減を徹底するということが必要です。また、長期休業中の研修や部活動の大会などの在り方、実施時期の大幅な見直し、これも不可欠です。そのために文部科学省が果たすべき役割も大きいと認識をしております。
今後は、こうした中教審の審議をしっかりと踏まえつつ、教職の専門職としての教師にふさわしく、教師としての職業の魅力を高める勤務時間制度の改善に取り組んでいきたいと思います。
なお、育児や介護について御言及をいただいたんですけれども、労働基準法施行規則第十二条の六において、使用者は、一年単位の変形労働時間制を導入する場合には、育児、介護を行う者等に配慮をしなければならないという旨が定められておりまして、一年単位のこの変形労働時間制、対象者の範囲を定めて導入されるものでして、全ての職員に一律に導入されるものではないわけです。したがって、仮に公立学校の教師に導入する場合であっても、育児、介護等のために定時に帰宅するような教員への配慮がなされることは当然必要だと考えております。
吉良よし子
いや、だから、個別に導入されると言いますけれども、そんなの、教員一人一人当たりで違う変形労働時間制を入れるなんていったら現場がますます混乱して、それこそ長時間多忙化になりますよね。しかも、それだって現実的じゃないし、やっぱり一人だけ先に帰るなんというのは相当大変。もう既にそういう変形労働時間制が導入されているような国立大附属の学校などでは送り迎えのために一時間の年休を取って帰らなきゃいけない、それがもう本当に申し訳ないと、しんどいという、そういう声だって上がっているわけですよ。そういう事態を生み出しかねないということを言っています。
そして、夏休みなどの休日を増やしてリフレッシュとかおっしゃいましたけれども、現状、夏休みがじゃ本当に閑散期なのかという問題もあるんです。実際には、夏休みに様々な行政研修をこなしているという実態があるわけです。教員免許更新制のための講義受講だって夏休み。そして、部活動やプール指導もあって、さらには、授業時数を確保するためなどと言いながら夏休みそのものを縮小して、八月から二学期の授業を開始しているような地方自治体もあると。そういう中でどうやって確実な休日を確保するというのか。
夏休みだからといって、決して業務量は減っていないんですよ。行政研修をやめるというならまだしも、そういう不可能な、絵に描いた餅じゃないかと、もうこんなんじゃ、私、働き方改革とは言えないし、変形労働時間制の検討なんてとんでもないと言いたいと思いますが、いかがですか。
国務大臣(柴山昌彦君)
先ほど私が申し上げたように、長期休業期間中の今御指摘をいただいた行政研修あるいは部活動の大会等の在り方、実施時期、こういったものを大幅に見直す必要があり、そのために果たすべき文部科学省の役割は大きいというように今指摘をされておりますので、引き続きその方向で検討させていただきたいと考えております。
吉良よし子
行政研修を本当に見直すのであれば本当に是非見直していただきたいし、減らしていただきたいと。
いずれにしても、今の変形労働時間制では意味がないと。そうじゃなくて、やはり私は、教員の一番の業務である授業の持ちコマ数、これを減らしていくということが一番の業務量の縮小だと思う。今、教員が週二十六コマ、一日で今五コマ、六コマも受け持っている。どう考えても所定の勤務時間内に仕事が終わらないわけですよ。だから、それを上限付けて一人当たりの持ちコマ数を抜本的に減らして、それに見合うだけ人員を増やしていく、教員を増やしていく、それこそが本当の教員の働き方改革であるということを申し上げて、質問を終わります。