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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2018年・第197臨時国会

原発事故、国は責任を/参考人陳述/参院委

要約

参院文教科学委員会で11月29日、原子力損害賠償法改定案の参考人質疑が開かれ、参考人4氏が意見陳述し、日本共産党の吉良よし子議員が質問しました。
 FoEジャパンの満田夏花事務局長は「原賠法で守られているのは原子力事業者とその株主や銀行ではないか」と批判。福島原発訴訟津島被害者原告団の佐々木茂副団長は「一日も早く平穏な生活に戻してほしいだけだ」と訴え、国の対応を求めました。
 「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士は、福島第1原発事故後の集団訴訟の一審判決の多くが国の法的責任を認めたとして、「国は加害当事者として責任に向き合わなければならない」と強調しました。
 吉良氏は「国はどう責任を取るべきか」と質問。馬奈木氏は「原発は国策民営であり、国も当事者であると踏まえた立法がなされるべきだ」と述べ、包括的救済のための立法措置を要求。すぐすべきこととして賠償指針の見直しをあげました。
 吉良氏は中間指針の見直しについて質問。原子力損害賠償紛争審査会の鎌田薫会長は「訴訟は確定していない」が「改善すべきところは改善したい」と答えました。

しんぶん赤旗 2018年12月02日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、四人の参考人の皆さん、貴重な御意見を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。
   〔委員長退席、理事江島潔君着席〕
 それでは、質問させていただきたいと思います。
 先ほど鎌田参考人が国の責任の問題について、法的枠組みの問題として国の責任とは書いていないというお話があったんですけれども、とはいえ、先ほど来ほかの参考人の皆さんもおっしゃっているとおり、原発事故については、国が進めてきた国策である以上、その責任が免罪されるということはあってはならないですし、裁判の中でも法的責任、法的義務というところが認められていると馬奈木参考人からもお話があった。加害当事者として責任に向き合う必要があるということを馬奈木参考人が述べられたわけですけれども。
 馬奈木参考人に伺います。じゃ、国の責任の取り方、どう取っていくべきなのか、是非お示ししていただければと思います。

参考人(弁護士 馬奈木厳太郎君)

ありがとうございます。
 二つ必要になると思います。一つは、既に発生してしまったこの福島第一原発事故に関する、例えば被害の救済をどうするか、その際の国の法的な責任の在り方という問題だと思います。これが一つあると思っています。
 これは、もう正直、原賠法というのはお金の話しかしませんので、それ以外の被害も当然出ているわけです。その意味では、ある種、網羅的、包括的な救済のための立法というのが必要になってくると思います。で、そこでの、これはこの間もないわけじゃないんです、実は。一部あります。ただ、私が強調したかったのは、それが国が当事者ではないような、つまり社会的責任にとどまるような在り方で立法化がされている。ところが、本当にそうなんですかと私は申し上げているわけです。これは法的義務として国がやらないといけないレベルの話なのではないか。既に裁判で幾つもそういう話が出ている。
 そして、委員の皆さんに是非ともお願いしたいのは、最高裁とかで判決が確定してから、その後になって立法じゃ遅過ぎますよ。そこを本当に考えていただきたい。これまでの公害とか薬害とか、たくさん経験してきています。一日も早い救済、それは、私たち裁判に携わっている当事者、原告の方もそうですが、誰一人として原告になんかなりたくなかったですよ。裁判なんかしたくてやっているわけじゃないですよ。国会が率先して、裁判なんかするまでもなく、救済のための制度をつくっていただければ、それが一番いいんです。私たちの裁判も、原告の人たちだけが救済されればいいということを掲げていません。全体救済という言い方をしています。将来の世代のためにも一日も早くしたい。過去には、残念ながら、裁判が確定したときには三分の一近くの方がもう亡くなってしまっていた、これはじん肺などの裁判ではそういうこともありました。そういうことがあってはならないと思っています。それができるのは皆さんたち議員の方々です。網羅的な救済のための立法を一日も早くお願いしたいと思いますし、これが既に起きてしまった事故の話。
 これからのものについても、国策民営ということは皆さんおっしゃっているわけです。だとすれば、事業者任せにするのではなく、国もきちんとした形で当事者なんだということを踏まえたような立法がなされるべきだというふうに思っています。
 以上です。

吉良よし子

立法が必要だというお話でした。
 では、その賠償というところでいけば、国の責任というのはどういうふうに果たしていくべきか、引き続き馬奈木参考人、よろしくお願いいたします。

参考人(馬奈木厳太郎君)

これは先ほど来、事業者の金額の話として、要するに幾ら準備しておけばいいのかという形で千二百億円というのが話題になっていたところですけれども、これが少ないというのは恐らく多くの方の共通するところではないかと個人的には思っているところです。
 被害総額、はっきり言ってまだ分からないですよ。いつまで続くかも分からない。で、その中で国として何ができるかというところなんですけれども、これが仮払いというのは、例えば貸し付けるという形で一日も早く被害者の人たちに賠償金が届くという意味では重要だと思いますけれども、これだって千二百億円ではやっぱり足りないというのは先ほど申し上げたとおりです。賠償の在り方一つ取ってみても、国が事業者を免責するわけではない。これは現行法上もそうはなっていませんけれども、国がもっと動けるところがあると思っています。
 その一つが、今の立て付けの中でもできるのが、やはり指針の見直しをもっと頻繁にすることです。今日、紛争審査会の会長である鎌田参考人お越しになっていますけれども、この数年、審査会は年に二度か三度ぐらいしか開かれていないです。もっと頻繁になぜ見直すことができないのか。私たちので判決も出ているわけです。前橋地裁判決は資料としてペーパーが配られていますけれども、まだ見直す状況じゃありませんねということで、ほとんど実は審議もされていません。
   〔理事江島潔君退席、委員長着席〕
 国の機関として独立している、ある程度独立していますけれども、紛争審査会がもっと積極的に打ち出していく、賠償の問題についても、そういうことが必要なのではないかなというふうに思いますし、ADRなどが例えば和解案を出すだけでなく、紛争審査会に対して、こういうふうに見直しを検討してもらえませんかというような形で意見を具申できるようなことなども仕組みとしては、つまり一番最も現場に近いところの人たちですから、そういうような制度も考えられてもいいのかなというふうに思います。

吉良よし子

ありがとうございます。
 中間指針の見直しが必要だというお話があったかと思います。
 そこで、佐々木参考人、そして鎌田参考人に伺いたいんですけれども、やはりこうした小まめに適宜被害者の立場に立ってその中間指針見直すということは必要だという、私はそういう認識ですけど、その点、佐々木参考人、被害者の立場としてどうなのか。そして、鎌田参考人、中間指針見直せということで、現場のこの要望に対して御意見をよろしくお願いします。

参考人(福島原発訴訟津島被害者原告団副団長 佐々木茂君)

私は、紛争審査会のメンバーになぜ被災者の代表を入れなかったのかと、こう思っております。幾ら私たちが声を上げても、紛争審査会のメンバーの方が年に一回ぐらい訪れたという、新聞やテレビで見るだけであります。なぜ、もっと被災者である方々と意見の交換やヒアリングを続けて、それを審査会に、できることとできないことがあるわけですから、それをしっかりと反映をさせていただきたいなと、こう思っております。
 学者の皆さんは東京で勉強だけできるだけでありまして、現実に社会性がないわけです。これははっきりしています。先生には申し訳ありません、後輩なもので。ですから、私は紛争審査会にメンバーの、私たち避難者の代表として何名か入れていただくことと、もう一つ、今地方の自治体では、県も含めてですけれども、避難に関わった費用をADRを通して東京電力に求めています。しかし、加害者である東京電力が認めたのは二割、三割であります。だから、自治体で誰がその負担を強いられているか、それは住民である私たちにその負担が強いられようとしています。
 先ほどの話に戻りますけれども、千二百億円なんというのは、自治体がその避難に対する費用だけでももう上回ってしまいます。それが、ADRがいいのかどうかは分かりません。紛争審査会にそれが書いてあるかどうか。地方自治体の損害賠償についても是非明記すべきだろうと、そう考えております。

参考人(原子力損害賠償紛争審査会会長 早稲田大学前総長 鎌田薫君)

ADRは基本的に個別の案件についての具体的事情に応じてきめ細かく対応するのが役割であって、審査会は、とりわけ当初においてはともかく広範、大量の被害の中で一刻も早く救済をするということで、損害賠償に関わる基本的な指針を出していくと。この二つがうまく組み合わさってそれなりの成果を上げてきたというふうに考えているところでございます。
 自治体の財物あるいはその他の賠償に関しましては、指針の改定ではありませんけれども、その自治体の損害賠償に関わる考え方を提示して、それに基づいて自治体との交渉も進めていただいているというふうに思っておりまして、必要な場合については指針の改定、あるいは、それとは違う形ではありますけれども、方針を提案するということはそれなりにやってきたところでございます。
 裁判で判決が出てきたものについては、誠に申し訳ありませんけれども、裁判が確定する前にその判決の内容に応じた指針の改定ということについては、現時点では我々少しちゅうちょをしているところではございますけれども、今日頂戴したような意見も踏まえて、きめ細かい対応がその指針の改定という形で行うのが最も適切だということであれば、それをいとうところではございませんし、基本的に現状については様々な形でADRからの報告もきめ細かく受けておりますし、そういったものを踏まえて改善すべきところは改善していきたいというふうに考えております。

委員長(上野通子君)

お時間です。

吉良よし子

ありがとうございました。終わります。