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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第198通常国会

日本共産党議員の国会質問/希望ある暮らしへ具体的対案を提示/読書バリアフリー法案可決/拡充支援は国の責任

要約

参院文教科学委員会は18日、障害者等の読書環境の整備を進める読書バリアフリー法案を全会一致で可決しました。
 吉良よし子議員は同法案について、障害者が読書を通じ情報を得る権利の保障と拡充を趣旨としているかと質問。提案者の自民党の大野泰正議員は「当然(権利を)認めるために努力している」と答えました。
 吉良氏は、公共図書館での障害者サービスの遅れについて「全国での実施率は2割にとどまっている。サービスの内容も、その多くがボランティアが担っている」と指摘。「遅れた実態を変えて、拡充とサービスを支えているボランティアへの公的支援を広げていくことも法案の趣旨だ」と主張しました。
 さらに、図書館そのものの充実が不可欠とし、「全国の図書館が障害者に対し果たすべき役割を果たせるように、専任司書がいない図書館をなくしていくことは政府の責任だ」と強調。柴山昌彦文科相は司書の役割の重要性を認めたうえで、「地方財政措置の活用を促していく」と答弁しました。
 吉良氏は「法案の第6条には、障害者等の読書環境整備の推進に対して必要な財政上の措置を講じなければならないとある。現状にとどまらず財政措置の拡充をすべきだ」と求めました。

しんぶん赤旗2019年06月28日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子でございます。
 私たちは、読書を通じて、生活の中で必要な情報や知識を得、様々な考えに触れ、思想を培っていきます。誰もがこの読書をする権利、保障されるべきでありますが、障害によりその読書をする権利が奪われている方々がいるわけです。この読書をする権利の保障、拡充というのは欠かせません。
 本法案では、先ほど御説明あったとおり、障害の有無にかかわらず全ての国民がひとしく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与するため、障害を持つ方々の読書環境の整備を進めていくとありますが、それはつまり障害を持つ方々の読書をする権利、読書権を保障し拡充するという理解でよろしいでしょうか、提案者に伺います。

提案者 参議院議員(大野泰正君)

委員の今御指摘のとおり、障害の有無にかかわらず、読書を通じて必要な情報や知識を得たり様々な考えに触れられるようにしていくことは極めて重要なことであると考えております。こうした認識の下、本法案では、今委員もおっしゃいましたが、第一条において、障害の有無にかかわらず全ての国民がひとしく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としています。
 この目的を達成するために、法案には、国及び地方公共団体に対し、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の策定及び実施の責務を課すとともに、その講ずべき基本的施策を具体的に規定しております。例えば、公立図書館において視覚障害者等の方々が利用しやすい書籍等の充実や視覚障害者の皆さん向けの書籍等の製作の支援、そしてその製作を担う人材の育成、また図書館サービスを担う人材の育成等であります。
 このように、本法案は、視覚障害者等の方々が読書をする機会を十分に確保するという考え方に立ち、そのために必要な施策を定めるものとなっております。

吉良よし子

ありがとうございます。
 もう一度確認なんですけど、これはつまり障害を持つ方々の読書をする権利を保障すると、そういう趣旨での法案だということでよろしいでしょうか。その点だけお答えいただければと思います。

提案者(大野泰正君)

今委員御指摘のとおり、その点につきましては、基本的に読書権をというお話をずっといただいているということはよく存じ上げております。
 しかしながら、読書権を明記することによって、その内容、概念が条文に規定できるほど明確であるものとはまだ言えるものではありません。法律に権利として位置付けるほど議論がまだ成熟していないことから、慎重であるべきであると私どもは考えております。
 まずは、しっかりと、今できることをしっかりやり遂げ、そして、障害のあるなしにかかわらず、本当に安心して読書を楽しんでいただける環境をしっかり整えることだと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

吉良よし子

法律の中に権利ということが入っていないことは承知しているんですけれども、それはつまり権利拡充を含めた中身であるという趣旨でよいのかという確認なんです。
 権利の拡充という趣旨がこの法案の中に入っているということでいいのかどうか、イエスかノーかでお答えいただければと思います。

提案者(大野泰正君)

基本的に、当然、それを認めるために努力しているということでございます。

吉良よし子

大事な点なので何度も確認させていただきましたが、要するに、障害を持つ方の権利保障への第一歩としての役割を果たす法案だということだと認識しておりますし、そうだという答弁もいただきました。その上で、私たち、我が党としてもこの法案を委員会提出することに賛成の意思を表明するものでありますとともに、その立場からも、以下、もう少しだけ確認をさせていただきたいと思うんです。
 この間、二〇一七年、国立国会図書館が全国の公共図書館における障害者サービスについての調査をしておりますが、その障害者サービスの取組というのは遅れていて、全国的には二割にとどまっている現状があると。また、そのサービスの中身を見てみても、対面朗読であるとか、若しくは点訳、音訳、拡大写本、テキストデータ化など、その資料の製作作業などほとんどが、ボランティアの方々がその多くを担っているという現状があるということを伺っております。
 こうした遅れた実態を前に進めていく、特にこのサービスを支えているボランティアへの公的支援を広げていく、これも法案の趣旨ということでよろしいでしょうか。提案者の方にお答えいただきます、お願いします。

提案者 参議院議員(神本美恵子君)

御質問ありがとうございます。
 吉良委員の御指摘のとおり、視覚障害者等の方々にとっては、身近な公立図書館等において蔵書の充実や図書館サービスの充実が図られることが重要でありますが、いまだ十分ではないということは認識をしております。
 実は、この法案の立案に当たっては、昨年の本委員会での著作権法改正の審議の中で、視覚障害当事者の方を参考人としてお呼びして、皆さんの手元にあるこの書類の束は視覚障害者等にとっては単なる紙の束にしかすぎないというような御意見もいただいて、本委員会のメンバー、本当にそれは大きな教訓を得たわけであります。
 それを基に、衛藤晟一会長を議連の会長として今法律案を成案を見たところでありますけれども、お尋ねの件でありますが、本法案の第九条第一項におきまして、公立図書館等については、一つは、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の購入、製作、サピエ図書館や国立国会図書館の視覚障害者等用のデータ送信サービスへの加入など、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、もう一つは、DAISYプレーヤーの操作支援やレファレンスサービスの充実、郵送による貸出しなど、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用の支援の充実等が行われるように必要な施策を講ずるものとしております。
 また、もう一つ、担い手につきましてでございますが、これもボランティア団体の方々が担ってくださっております録音図書等の製作につきましては、本法案の第十一条に規定を設けております。その製作を支援するため必要な施策を講ずるものとしております。さらに、本法案の十七条におきまして、録音図書等の製作を行う人材や、図書館等において視覚障害者等が利用しやすい書籍等を円滑に利用するために必要な支援を行う人材の育成、資質の向上及び確保を図るために必要な施策を講ずるものとしております。
 これらの施策を通じて、図書館における、いまだに遅れ、不十分である障害者へのサービスの充実が図られることを期待しているところでございます。

吉良よし子

是非、充実進むことを私も期待したいと思います。
 そして、ボランティア等への公的支援の拡充とともに、先ほど、第九条、図書館の体制整備というところもおっしゃられましたけど、図書館そのものの充実も欠かせないと思います。その体制整備の中には司書の配置等も含まれるものと思っています。現在の司書数というのは、増えているという調査もある一方で、専任司書がいない図書館というのが二〇一五年時点で五四%、半数以上に上っているという調査もあるわけです。こういった事態を打破することも、この本法案を踏まえれば大事なことだと思うんです。
 文科大臣、改めて、全国の図書館が障害者に対し果たすべき役割を果たせるように、図書館の体制整備という意味では専任司書がいない図書館をなくしていく、これは文科省の政府としての責任かと思いますが、その点、最後、お願いいたします。

国務大臣(文部科学大臣 柴山昌彦君)

図書館において視覚障害者等へのサービスを提供するためにも、委員御指摘のように、司書などの役割は重要であると考えております。
 図書館の司書等の配置については地方財政措置が講じられているところであり、法案成立後、その十分な活用を私どもとしても促してまいりたいと考えております。

吉良よし子

本法案第六条には、政府は、この障害者等への環境整備の推進に対して、必要な財政上の措置その他の措置講じなければならないということですので、現状にとどまらず、是非、必要な財政措置、拡充もしていただきたいと、このことも申し添えまして、私の質問とさせていただきます。