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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第198通常国会

大学不祥事問題/自浄作用の仕組み必要/吉良氏が追及

要約

吉良よし子議員は16日の参院文教科学委員会で、大学不祥事に責任を負わない理事会が横行している実態を示し、理事長などによる専横的、独裁的な法人運営をただす仕組みを設けるよう強く求めました。
 留学生の行方不明や医学部での入試差別など大学での不祥事が相次いでいます。吉良氏は「不祥事が起きた場合、各学校法人が自浄作用を発揮して、自ら問題を解決するのが基本だ」と指摘し、柴山昌彦文科相も認めました。しかし、教職員や学生らが不祥事を告発し、責任を追及しても、大学当局がそれを無視し、逆に是正意見を出した教職員を解雇する悪質な事例もあるとして、「教職員や学生からの訴えに真摯(しんし)に向き合うよう求める仕組みこそ必要だ」と強調しました。
 吉良氏は、2016年の学校教育法改定で、教授会の権限が縮小し、同法施行通知で学長選挙の廃止が進められていると指摘。「文科省の旗振りのもと、教職員の意向を反映した大学運営が次々と壊されてきている」として、施行通知の撤回が専横的、独裁的な大学運営を改めさせるには欠かせないと強調しました。

しんぶん赤旗2019年05月21日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 初めに、白須賀文科政務官の問題についてですけれども、報道によると、緊急事態に備えて東京に待機すべき在京当番日に不在だったのが十五回あったというわけですが、この報道が事実かどうかを確認するための資料提出を私たち野党は求めたわけです。けれども、提出された資料というのは極めて不十分と言わざるを得ないものだったと。報道で示された日というのが本当に在京当番日そのものだったのか、その日の行動の詳細というのも全く分からないものだったわけです。これだと本当に不在と言われる状況なのかどうなのかという判断すらできないわけでして、先ほどの理事会の中でより詳細な資料の提出を求めたところではあるわけですけれども、これに対する真摯な対応を強く求めまして、法案の質疑に入りたいと思います。
 本改正では、まず、学校法人の情報公開を進めることとしているわけです。特に、財務情報を公開するということは、この間、閲覧しかできないような大学もある下で重要、大学の不祥事を未然に防ぐためにも重要なことだと思うんですが、本改正で情報公開する財務情報というのは、学校法人会計基準に従って作成されたものをそのまま閲覧に供し、また情報公表をするということでよろしいでしょうか、いかがでしょう。

政府参考人(文部科学省高等教育局私学部長 白間竜一郎君)

お答え申し上げます。
 この情報公開につきましては、平成十六年に私立学校法を改正したときに学校法人による財務情報の公開を義務付けた際、文部科学省では財務情報の様式参考例というのを示して情報公開を進めてきております。この中では、学校法人会計基準に従い作成している学校法人においては、それらを公開すれば足りるものという扱いでこれまで来ているところでございます。
 実際、これに基づきまして、文部科学省の調査では、約半数以上の学校法人では学校法人会計基準に基づき作成した財務情報を小科目まで公表をしているというところまで来ております。
 文部科学省では、今回の私立学校法の改正案も踏まえまして、更なる情報公開が進むよう、学校法人に対して積極的な情報公開を指導してまいりたいと考えております。

吉良よし子

いや、それでいいんですか。
 要するに、先ほどおっしゃったのは、学校法人会計基準とは別に示された様式参考例、それを公表するだけでもいいということになるわけですけど、つまり簡略化したものを公表さえすればいいと。それでは意味がないんじゃないかと。
 やはりちゃんと学校法人会計基準に基づいたそのものの財務情報を公表すべきと、そうすべきではないんですか。

政府参考人(白間竜一郎君)

更なる情報公開を進めていくということは重要であると考えておりまして、今後、この改正案を踏まえまして、この様式参考例についても検討していきたいと考えておりますので、いずれにしましても、この学校法人の財務情報公表が推進されるように努めてまいりたいと考えております。

吉良よし子

いや、単に公表することだけじゃなくて、ちゃんと詳細な財務情報を公表することが求められているわけです。そうでなければ不祥事の事実の有無の確認だってできないわけですから、その点は、学校法人会計基準に従い作成されたものをそのまま公開する、このことを徹底していただくよう強く求めるものです。よろしいでしょうか。

政府参考人(白間竜一郎君)

この学校法人会計基準そのものにつきましても、先ほどの御答弁で申し上げましたように、その在り方について今後慎重に検討するということになっておりますので、こういったものと併せて今後検討していきたいと考えております。

吉良よし子

そのものの情報公開を是非進めていただきたいということを繰り返して申し上げておきたいと思います。
 不祥事の件でいいますと、この間、医学部での女性差別とか留学生の行方不明などの不祥事が最近でも次々と起こっているわけですけれども、文科省では私学助成を減額するペナルティーというのをそれぞれ科しているわけです。昨年度でいけば、前年度からの継続含めて十二大学で学校法人の管理運営が適正を欠く等を理由に減額措置を講じているわけです。ただ、この私学助成の減額措置というのは、減額となった理由とは直接関係のない学生や教職員にも影響がもたらされるものであり、ペナルティーとしていい措置だと私は言えないと思うわけです。
 やはり、本来的には、こうした不祥事が起きた場合、私立学校の自主性を重んじる私立学校法第一条の目的規定の立場から、不祥事が起きた場合は各学校法人が自浄作用を発揮して自ら問題を解決する、これが基本だと思いますが、大臣、いかがでしょう。

国務大臣(文部科学大臣 柴山昌彦君)

全くおっしゃるとおりだと思います。
 私立学校が、社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるために必要なガバナンスに対する信頼の確保、これはまさしく自律的かつ意欲的なそれぞれの自主的な取組が基本なんだろうというように思っております。
 今回の私立学校法改正案においては、まさしくそういった観点から、各学校法人が自ら適正な運営を行えるよう、役員の責任の明確化ですとか情報公開の充実などを図るための規定を設けることとしたものであります。
 今後、制度の運用に当たっては、各私学団体が検討を始めております私立大学版ガバナンスコードの策定を始めとして、個々の法人に応じた自律的な取組が行われるよう、我々も改革を後押しをしていきたいと考えております。

吉良よし子

基本的には自浄作用を発揮することが第一だということだったと思うんですけれども、じゃ、この本改正でそうした自浄作用をしっかりと発揮していただくことにつながっていくのかどうか。
 本改正では、役員の責任を明確化するということが説明されているわけです。もちろん、理事長や理事が、何らか問題が起きたときに自ら責任を自覚して、損害を賠償するとか、自ら辞任するとか、ちゃんと責任を取ってくださるのならいいわけですけれども、しかし、どんなに指摘されていても、その理事長や理事が直接自ら責任を取らないという場合があるわけです。そういう場合に、大学法人が自らその自浄作用を発揮するための仕組みというのはちゃんとあるのでしょうか。

政府参考人(白間竜一郎君)

お答え申し上げます。
 今先生御指摘の点でございます、私立学校において管理運営の不適正などの問題が生じているにもかかわらず理事あるいは理事会の対応が不十分であるという場合には、これは監事又は評議員会が対応を行っていくということになるわけでございますけれども、具体的に申し上げますと、現行の私立学校法におきまして、まず、監事が学校法人の業務に関して不正行為等を発見したというときには所轄庁への報告などを行うことですとか、あるいは評議員会の招集を請求をする、また評議員会は役員の業務執行の状況等について意見を述べ報告を徴する、こういうことは現在の私立学校法でもできる仕組みになっております。
 今回の改正案においては、これに加えまして、監事による理事の法令違反行為等の差止めですとか、また理事会や評議員会の招集権を自ら招集することができると、こういったことを新たに規定をして監事の機能強化を図ると、こういった改正案になっているところでございます。

吉良よし子

監事や評議会等がそうした指摘をし、それに基づいて自浄作用を発揮していただきたいと、そういうことだったかと思うわけですけれども、ただ、本当にそういうふうに絵に描いたようにうまくいくのかどうかというのが問題なわけなんです。
 何しろ、中には、責任を取らない理事や理事長御自身が理事会のメンバー全員を選ぶことはできるわけですし、その理事会がその評議会のメンバー、監事のメンバー全て選ぶ、恣意的に選ぶことは可能になるわけです。だから、監事も評議員も、そして理事会メンバーも全てが理事長のお友達で構成されていた場合に、どんなに外部から不祥事を告発されてもそれをみんなで無視するということは可能になってしまうということなのではないかと、それを防ぐ手だてはないのではないかという懸念があるわけです。いかがですか。

国務大臣(柴山昌彦君)

役員がその職責をしっかりと果たして自律的なガバナンスの強化を図るということが重要なわけなんですけれども、まさしく本法案においては、理事長を含む役員の責任を法定することによって、当該任務を怠った場合には損害賠償責任が発生をすることになります。この損害賠償請求は、先ほどの質疑にもありましたけれども、第三者、あるいは当該学校に通う学生あるいはその保護者も請求することができるということになります。
 また、監事の差止め請求に係る規定の新設を行いましたけれども、そういった監事がそういった職責をしない場合には、その監事にも損害賠償責任が掛かるということになります。これによって、例えば御指摘のように、不祥事の問題に対して、例えば教職員ですとか学生からの内部告発に耳を傾けずに理事や監事が他の役員の不正等の行為を黙認した場合であっても、そういった損害賠償責任のリスクが掛かってくるということから、不正の抑止効果というものがこれまでの制度に比べて高まるということも期待をされるところだと思います。

吉良よし子

損害賠償請求はできるかもしれないですけど、その請求を受けるかどうかというのは理事会等に任されているのではないですか。そうなれば、結局、理事会の側がそれを黙殺すれば全く責任取らずに終わらせることは可能なわけで、それを阻止する仕組みはないんですよ。
 実際、その教職員らの告発に耳を傾けるようにと大臣おっしゃいましたけれども、現時点では、教職員や学生らが不祥事を告発して責任追及しても大学当局が無視し続けている例なんていうのはたくさんあるわけです。
 例えば、日本大学では、教職員の皆さんらが署名集めて、理事会に対して理事長の退陣、更迭、刷新を要望。さらに、元総長らまで呼びかけをして理事会の責任追及をしたにもかかわらず、執行部はこれを完全に無視したままなわけです。また、教職員、学生からの様々な不祥事の告発を無視し続けただけじゃなくて、そのことを理由にして、理事会に刃向かったと言わんばかりにその教職員らを解雇したような事例だって幾つもあるわけですね。
 こうした不祥事を告発した、是正意見を出した教職員などを一方的に解雇するような悪質な理事運営を本改正で妨げることができるのかということが問題なわけです。やはり、学校法人が教職員、学生からの訴えを真摯にちゃんと聞ける、そういう仕組みを明確にすることが求められていると思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柴山昌彦君)

ちょっと誤解されていると思うんですけれども、学校として当該告発に関するその責任を受けるかどうかは理事会で決めることかもしれませんけれども、個々の理事に対する責任追及は、これは訴訟を起こせば当該理事の責任を追及することができるということはまず申し上げたいと思います。
 その上で、役員、理事会構成の役員について、それに対して、じゃ、解任等の規定がないということなんですけれども、これについて、学校法人の運営が著しく不適正あるいは法令等に違反しているという場合に、私学法に基づく報告聴取、立入検査を経て措置命令をすることができることになっておりまして、その措置命令に従わない場合には、私学法第六十条に基づく役員の解任勧告を行うこと、あるいは他の手法によって目的が達せられない場合には、解散命令を我々として、当局として行うことができることとなっております。伝家の宝刀ではありますけれども、そういった制度があるということについては一言付させていただきたいと思います。

吉良よし子

結局、訴訟とか私学法に基づく措置命令や解散命令というのは、要するにもう自浄作用ではどうしようもなくなったからというところに来ているわけですよね。ここではやはり自浄作用をちゃんと発揮していただくための仕組みとして十分なのかということを私、今言っているわけですけれども、結局、そうした教職員や学生らの告発を無視するような理事会が出てきた場合には、そうしたもう訴訟とか私学法による措置にしかならない。ちゃんと教職員らの告発に耳を傾けろと、それを担保する仕組みがないというのが問題ですよねと私は申し上げているわけであり、それがないというのが本当に、これは適切な改正だとは、私、十分な改正とは言えないということを強く言いたいと思いますし、やはりそういう意味では、こうした理事会や理事長の専横的、独裁的な運営を許さない仕組みというのが今求められていると思うんです。
 ただ、その際に、この文科省がそれを本当に防ぐ役割を果たしてきているのかということでいうと、ちょっと疑問が残ると。何しろ、この間、二〇一四年の学教法等の改正に伴う施行通知というのが出されています。その中では、学校法人自らが学長選考方法を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこととされているわけですが、それを理由にして、各大学の中で、学長選考を教職員の投票によらない、理事長の意向のみで決定すると、そういう仕組みにしている大学が増えてきているわけです。こうした中で、教授会の権限がどんどん縮小され、教員の意見を聞かない理事会、理事長、そういう大学運営がまかり通ってしまっている事態が起きていると思うわけです。
 やはり、そういう意味では、大臣、こうした学長選挙の廃止につながっているような、若しくは理事長権限の強化につながるようなこの二〇一四年の学教法等の改正に伴う施行通知、これを撤回すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(柴山昌彦君)

公的な解決によらずして自主的な役員の変更などが行えないのではないかという前段についての御指摘については、今の御指摘も含めて、これから引き続き長期的にこのガバナンス改革について議論を続けていきたいというふうに思います。
 その上で、今御指摘になられた二〇一四年の学教法改正通知についてでありますけれども、こちらは、学長と理事会の関係について、私立大学において理事会が最終的な意思決定機関として位置付けられていること、そして、学教法に基づく学長の権限と私立学校法に基づく理事会の権限との関係に変更を加えていないということが記載をされているものでありまして、これは私立学校法における理事会の位置付けを明確にしたにすぎず、その通知によって理事会の権限を強化したものではありません。
 ただ、いずれにいたしましても、理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側が法律に基づく相互の役割分担を理解し、協力し合いながら学校運営を行っていくことが重要であると考えております。

吉良よし子

大臣、そうおっしゃいますけれども、けれどもやはり、実際にこの施行通知等を理由にして行われているのがその学長選考、選挙を廃止するようなやり方であり、教授会の権限がどんどん縮小されているような事態が進んでいると、これを問題視されているわけです、現場では。やはり、そういう意味では、こうした通知の撤回というのは、理事会の専横的、独占的な、独裁的な運営を改めさせるためには欠かせないことだということも指摘しておきたいと思います。
 そして、続いて、認証評価についても伺いたいと思います。
 本改正で認証評価制度について、全てについてその認証基準に適合しているか否かの認定を義務付けると。その上で、不適合とされた大学については文科大臣への報告、資料提出が求められるわけですけれども、この文科大臣が求める報告、資料というのは、当該大学が不適合と判定を受けたそのときだけ報告すればそれで終わりとなるのか、それとも、その後も継続的なその進捗状況等の報告や調査というのが続くことになるのか、この点、高等局長、お願いします。

政府参考人(文部科学省高等教育局長 伯井美徳君)

認証評価の結果、不適合とされた大学に対しては、今御指摘されましたように、報告を求めることができるということでございますが、その場合、報告の回数につきましては、一度の報告で教育研究活動の状況が改善されていると確認される場合もあればそれでいいわけですけれども、そうじゃない、法令違反の状態が継続するなど、教育研究活動の改善までに時間を要して継続的に報告を求める場合もあり得るというふうに考えております。

吉良よし子

継続的にこの進捗状況を報告させていく、チェックするということはあり得るというわけですよね。だから、一旦不適合になってしまえば、そうした大変な労力というか、文科省に対して報告が求められるというペナルティーが科されてしまうと。これは極力避けたいというのが各大学法人の思いになるわけであり、本来、この認証評価制度というのは、学生の学びの環境を整えて、教育研究の質、悪化しないための制度であるはずなわけですけれども、こうなって不適合となったら報告を求められ、また継続的に監視されるような状態が続いてしまうとなるとするならば、もうとにかく不適合にならないと、そのことだけが目的化してしまい、教育の質向上とかいうことは後回しに形骸化してしまう危険性もあるのではないかと思うわけです。
 しかも、文科省がこうした不適合とされた大学を注視、監視することになれば、もうそういう手段になって、大学自治への介入というのがこの認証評価制度を通じて一層進んでしまうのではないかという懸念があるわけですが、大臣、いかがですか、そうなりませんか。

国務大臣(柴山昌彦君)

当該評価機関による認定及びその文部科学省が報告を求める事項についてでありますけれども、確かに、国が一定の関与として大学の実情を把握するために報告又は資料の提出を求めるんですけれども、その報告を求める事項というのは、適合認定を受けられなかった事項に関する状況、そして当該状況の改善のために講じた措置、今後講じる予定の措置、こういった事柄に限られております。
 それで、今、高等局長から答弁をしたとおり、それらがしっかりとしたものであれば一度限りでその資料の提出というものは終わるということも十分にあるわけでありまして、我々はあくまでも大学自らによる教育研究活動についての必要な改善及び向上を確実に図っていくということを目指しているものであります。
 今申し上げたとおり、この報告等については、各大学の教育研究の内容ですとか活動を制限するものではないことから、大学の自治や学問の自由を侵すものではないと考えております。

吉良よし子

制限するものではないとおっしゃいますけれども、文科大臣に報告するということが制度化されれば、たとえ不適合とされた大学だけだとしても、そういう定期的に長期的に文科省から監視される、注視される状況が生まれるわけでして、そういう中で大学自治への介入というのがまた強まっていく危険性があるというのは指摘させていただきたいと思うわけです。
 また、さらに、私学の場合は本改正でこの認証評価結果を基にして中期的な計画を策定することが新たに付け加えられているわけですけれども、国立の場合でありますと、策定することになっている中期目標、計画の教学面の部分については、学部長らが参加する教育研究評議会というところで審議するということになっており、教学の面については教職員の意見というのが一定反映されるような確固たる仕組みがあるわけですけれども、今度の私学のこの中期計画策定の場合、そうした教学の部分についてちゃんと教職員の意見を聞く、そういう仕組みは担保されているのでしょうか。

国務大臣(柴山昌彦君)

今御指摘になられた中期的な計画の作成を義務付けることについてでありますけれども、各学校法人においては、学内における教学面の意見も踏まえつつ、評議員会の意見を聞いた上で中期的な計画を作成することが重要であると考えておりますので、文部科学省といたしましては、そのように周知徹底をさせていただきたいというふうに考えております。

吉良よし子

評議員会からの意見を聞くことになっていると。評議員会にはメンバーの中に教職員も含まれるということだと思うんですけれども、先ほども確認したとおり、評議員会のメンバーというのは理事会が選出することができるわけです。となると、本当に適切な意見を求められる教職員がそのメンバーに含まれる、ちゃんと入れられるかどうかというのは定かではないと。どんなメンバーが評議員のメンバーになるかというのは全く分からない、理事会の意向に沿った教職員だけが評議員となり、それ以外の意見については反映されないということも十分にあり得るのではないかという懸念があるわけです。
 やはり、そういう意味では、ちゃんと教授会の意見を反映させる仕組みが必要と。何より、この中期計画というのは学校教育法上の認証評価なわけですから、学校教育法上の組織である教授会の意見を聞くようにとすべきではないですか。大臣、いかがでしょう。

国務大臣(柴山昌彦君)

教職員の意見、先ほど申し上げたように、しっかりと評議員会の意見を聞いた上で作成をすることが重要であると。そして、その過程において、今委員が御指摘のとおり、具体的に反映をしてもらえるということが大切だというように思っておりますけれども、具体的にどのように取り入れるかというのは、各学校法人において必要に応じて適切に判断されることが重要だと考えております。

吉良よし子

各学校法人において適切に判断ということは、教授会に意見を聞くと、これもあり得るということでよろしいですか。

政府参考人(白間竜一郎君)

お答え申し上げます。
 今大臣から御答弁申し上げましたとおり、中期的な計画の作成に当たっては、教職員の意見をどのように取り入れるか、これについては個々の学校法人の判断によるものと考えておりますが、私どもとしては、いずれにしても、今回の法改正の趣旨をきちんと御説明し、徹底してまいりたいと考えております。

委員長(上野通子君)

お時間です。

吉良よし子

はい。
 教授会の意見をやはり聞くようにすべきなんです。それを仕組みにするべきだし、今回の改正というのは、やはりそういう教学の意見というのがかなり下に置かれるような改正になっているのじゃないかという懸念があるわけです。
 だから、そういうものでは駄目だということを申し上げて、質問を終わります。

吉良よし子

私は、日本共産党を代表して、学校教育法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案により政府の大学自治への介入が進む懸念があることからです。
 学教法の改正で、認証評価に適合認定を義務付け、不適合となった大学に対し、文部科学大臣が報告又は資料提出を要求できるようにしています。従来、大学関係者が各大学を評価するという自律的な制度とされてきた認証評価制度の在り方を大きく変え、文科大臣による大学の教育研究への介入又は監視に道を開くものであり、認められません。
 第二の理由は、本改正により教育研究を経営優先にゆがめられかねないことからです。
 国立大学では認証評価結果を法人評価に反映できるようにしています。法人評価は運営費交付金の配分に連動しており、国立大学法人の経営と教育研究活動に対する政府の支配がこれまで以上に強まる可能性は否定できません。
 国立大学法人法の改正で、国立大学法人が法人複数大学設置できるほか、法人の長である理事長と大学の長である大学総括理事を置くことができるようにしています。新たに置かれる理事長は、教育研究の審議機関である教育研究評議会に評議員として参加するとしています。これは、教育研究を経営優先にゆがめることにつながる懸念があります。
 また、私立大学での新たな認証評価結果を踏まえ、中期的な計画を策定することを義務付けることについても、中期的な計画に教職員の意見が反映される保証がなく、法人の理事会による教育内容への介入、教学軽視、経営優先の大学運営になりかねないということを指摘させていただきます。
 第三の理由は、本改正が法人の理事会などの専横的、独裁的経営を根本的になくすものになっていないからであります。
 大学運営での問題、不祥事があれば、大学の自主性を重んじ、大学法人自らが解決できるようにしなければなりません。
 私立学校法の改正では、学校法人の責務を新たに規定し、運営基盤の強化や運営の透明性だけでなく、設置する私立学校の教育の質の向上を義務付けていますし、また、本改正で役員の責任の明確化がされるとしていますけれども、二〇一六年、学校教育法改正で学長権限が強化され、教授会の権限を縮小するとともに、同法施行通知で学長選挙の廃止を文部科学省が進めています。この下で、理事会、学長権限が強化されており、教職員、学生の意見を無視する理事長、学長独裁の学校運営がまかり通っている現状を変えるものにはなっていません。結果として、大学不祥事に何ら責任を負わない理事会が横行していることを防げませんし、これでは文科省自身が大学不祥事の責任逃れに加担していると言わざるを得ません。
 大学自治破壊の施行通知などは直ちに撤回するよう申し添え、討論といたします。