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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第198通常国会

消費税増税前提の修学支援法案/反対表明/参院文科委で可決

要約

参院文教科学委員会は9日、消費税10%への増税を前提とした大学等修学支援法案を、与党などの賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党は反対。共産党の吉良よし子議員は、低所得世帯の学生への「支援」をいいながら、消費税増税で重い負担を押し付けることになると反対しました。
 吉良氏は質疑で、支援対象となる学生について、経済的条件に加えて、特に優れたとする成績要件も課されると指摘。アルバイトに追われるなど学生のさまざまな事情を、すべてもれなく公正にくみとれる保障がどこにあるのかとただし、柴山昌彦文科相は「さまざまな事情を勘案する」との答弁にとどまりました。
 さらに吉良氏は、警告や支援打ち切りとされた学生の人数などが大学ごとに公表される問題で、小規模な大学では学生個人が特定される危険があると追及。柴山氏は「配慮や工夫が必要だ。検討する」と答えました。
 吉良氏は、大学の「機関要件」では、職業に直結した実学が重視され、「直結しない」とされる学問がますます軽視されると指摘。さらに同要件では、資産や経常収支のマイナス、定員割れといった経営問題が挙げられ、200近い大学が今後、支援対象外になる危険を告発し、「頑張っても定員割れが起きている大学もある。経営悪化で大学の縮小・撤退を進めるなどとんでもない」と批判しました。
 吉良氏は「機関要件」の規定、消費税を財源とする規定を削除する修正案を提案。賛成少数で否決されました。

しんぶん赤旗 2019年05月10日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 では、まず、本法案で課される個人要件について私も伺いたいと思います。
 本法案で学生に課されるのは、経済的な条件だけではなくて、特に優れた者という成績要件を課しているわけです。大学進学後に、先ほど来ありますとおり、単位の取得、GPA、処分等の状況に応じて警告を出したり、そして支援を打ち切ることもできるというわけですけれども、私学の場合であれば、支援対象の非課税世帯であっても学費が全額免除になるわけではないと、学費の負担も出てくるわけです。その不足分を賄うためのアルバイトなどで、どうしても出席日数が足りないとか学業成績が基準に達しないなどの事情というのは起こり得るわけです。しかも、GPAで下位四分の一といった学生全体の相対的な順位付けという、もう本人の努力だけではどうしようもない、必ずしも乗り越えられない指標まであるわけです。
 この間、しんしゃくすべき事情はよくしんしゃくするという答弁は繰り返されているわけですけれども、本当にその学生個人のそれぞれの多種多様な事情をちゃんと全て漏れなくしんしゃくできるのか、公正に判断できるその保証があると言えるのか、お答えください。

国務大臣(文部科学大臣 柴山昌彦君)

この要件につきましては、制度の検討の過程において、例えば国家資格の取得を目的とする専門学校などでは、成績がたとえ下位四分の一に属する学生であっても資格を取得できる場合もあるなどの意見があったことを踏まえて、しんしゃくすべきやむを得ない事情がある場合の特例措置について検討することとしております。
 今委員が、じゃ、漏れなくそういったやむを得ない事情についてきちんと検討できるのかという御指摘があったわけなんですけれども、我々といたしましては、各学校種の現場ですとか、あるいは学習評価の専門家の意見もしっかりと踏まえさせていただいて、様々な事情を勘案しながら具体化をしっかりと考えていきたいと考えております。

吉良よし子

しっかり考えていきたいということですけれども、ただ、本当にそれで漏れなくしんしゃくできるのかというところにはまだ疑問があるわけです。相対評価も基準に含まれている以上、一定そこに含まれてしまう学生が必ず出てきてしまうと。それで漏れなく公正に判断できる保証はやはり私はないと言わざるを得ないと思いますし、やはりこうした成績要件を課すことによって、政府の押し付けた条件の下で能力あると判断した学生にだけを支援しようという、その発想自体が教育の機会均等から懸け離れていると私は強く指摘したいと思うわけです。
 その上で、この間、先日の委員会等の中でも、こうした警告を行った、又は支援を打ち切った学生の人数、その事由などを、その運用状況の公表を大学に求めるということも答弁されているわけなんですけれども、じゃ、具体的には何をどのように公表するのか、局長、お答えください。

政府参考人(文部科学省高等教育局長 伯井美徳君)

高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議の報告の中では、大学等への進学後の学習状況につきましては、警告を受けたり支給しないこととされた学生の数、その事由などについて大学等ごとに公表するというふうにされているところでございます。
 その公表の内容としては、例えば警告については、一年間の修得単位が六割以下の場合、GPA等が下位四分の一に属する場合、出席率が八割以下の場合等の事由に分けるなどが考えられますが、具体的なその内容あるいは公表の方法につきましては、実施に向けて更に検討を進めていきたいと考えております。

吉良よし子

警告を受けた人数とか打ち切られた人数とかその事由ごとの人数等を公表するということですけど、じゃ、それが不当に多くないのかどうかなんていうことを確認するには、やはり支援を受けている学生の総数だって公表する必要が出てくるかもしれないわけですけれども、それも公表するということですか。

政府参考人(伯井美徳君)

そういうことも含めて、具体的な内容については今後実施に向けて検討したいと考えております。

吉良よし子

決まっていないということですけどね。ただ、人数を公表するということなわけですけど、それ大学ごとに公表するということなんですよ。ということは、規模の小さい大学とか専門学校の場合には、そうした支援を受けている人数であったり、若しくは警告を受けた人数というのが示されるだけでその学生が誰なのか特定される危険性だってあり得るということなんです、人数が少なければその対象というのはおのずと絞られてくるわけですから。そうした個人が特定されるようなことは絶対に避けるべきと思うのですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柴山昌彦君)

高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議の報告にあるとおり、やはり授業料減免や給付型奨学金の大学別の受給状況については報告、公表が必要であると。そのことが当該大学のやはり改革につながっていくというふうには考えておりますけれども、ただ、今委員が御指摘になったように、支援対象者が極めて少人数の場合には、そのプライバシー確保のために何らかの配慮や工夫が必要になってくるというふうに考えております。
 そういった点も含めて、その具体的な方策について、今後、是非適切に検討していきたいと考えております。

吉良よし子

適切にということですけど、こうした個人の特定につながりかねないような制度を放置したままでは、それを避けるために、本来経済的な条件等に当てはまる学生であっても、その制度の申請自体をちゅうちょするなんていうことが出てきかねないわけです。
 だから、これは絶対避けるべきですし、やはりそうした成績要件を課すことによって伴っているこの公表制度なわけですから、そういう成績要件を課すこと自体をもうやめるべきだということを私は強く申し上げたいと思います。
 さらに、機関要件に関わっても伺いたいと思います。
 これについては、社会で自立し活躍するには大学等での勉学が職業等に結び付くことが必要であるということで機関要件を課すということをこの間言われているわけです。
 ただ、先日の参考人質疑では、既に日本は諸外国と比べれば極めて学部構成は実学に偏っていると、ヨーロッパやアメリカと比較してはるかに実学部門が大きいという特徴を持っているのに、なおかつそれを今言うというのは、ちょっと国際比較から考えてバランスを欠いているという指摘があったわけです。
 既に多くがこうした職業に直結した実学、勉学重視の学部構成になっていると。にもかかわらず、更にこうした法律によって実学重視の機関要件を設定していけば、ますます、先ほども質問でありましたけれども、職業に直結しないような学問というのが軽視されて衰退していくことになりはしないのかと。その点、大臣、いかがお考えでしょう。

国務大臣(柴山昌彦君)

今回の支援措置においては、支援を受けた学生が大学などでしっかりと学んだ上で、大学等での勉学が社会の活動に結び付くことによって自立、活躍ができるように、学問追求と実践的教育のバランスの取れた質の高い教育を実施する大学などを支援の対象とするために機関要件を求めるということとしております。
 文部科学省としては、大学等にとってこの現在の取組をきちんと充実をさせていけば満たすことができる内容であると考えておりまして、今委員が御指摘のとおり、今の状況から何か殊更にバランスを欠く方向にかじを切るというようなことは考えておりません。
 多くの大学がしっかりと適切な経営、運営等を行うということによってこの基準をクリアできるように、また申請に向けた準備をきちんと進めていけるように、今後とも制度の周知や説明に努めていきたいと考えております。

吉良よし子

今の状況を変えるわけではないということだったわけですけれども、だったら、本当に機関要件を今課す必要はどこにもないわけなんですね。大体、それに、目的の中でやはり勉学が職業等に結び付くことが必要と、それが質の高い教育の保障だと言っている以上、やはりこれ更に実学重視、実学偏重になりかねないということなわけですよ。さらには、質の高い教育というのは職業に直結する学問だと言っていることも私は許し難いと。そうじゃない学問のその価値だって認めるべきじゃないですか。そういう発想が全くない、見えないというところが問題だということを改めて指摘したいと思います。
 そして、教育の質の確保と言いながら、経営に問題のある大学等も支援対象から外すということも機関要件として挙げられているわけです。要約してみますと三点挙げられているわけですけど、負債が資産を上回っている、もう一点が三年連続赤字決算である、三点目が三年連続収容定員の八割に満たない、切っていると。この三つに当てはまる大学が対象になって、それは現時点で大体十法人、十大学程度だというお答えもあるわけですけど、では、現時点でこの三つ全てに当てはまるわけではないけれどもどこかに当てはまっている学校や法人の数はどの程度あるのか。単年度の状況で結構ですので、その数、具体的にお答えください。

政府参考人(伯井美徳君)

現時点でその経営要件、三つの項目のそれぞれに該当する数をお答えすることは、今後の大学等の申請に影響する可能性がありますので控えさせていただきますが、日本私立学校振興・共済事業団や文科省の調査におきまして既に公表している私立大学や短大の関連の指標を参考として申し上げます。
 まず、運用資産と外部負債を比べて資産がマイナスの学校法人の数でございますが、平成二十九年度決算で大学法人が五百五十一法人中二十八法人でございます。それから、経常収支差額がマイナスの学校法人数につきましては、同じく平成二十九年度決算で大学法人が五百五十一法人中二百二十九法人でございます。入学定員の充足が八割未満の学校数につきましては、平成三十年度の状況といたしまして、五百八十二校中六十五校となります。
 ただし、これらはあくまで単年の状況でございますので、要件は三年連続という要件もございますので、かなり数が絞り込まれ、かつ、今回は三項目いずれにも該当する場合ということを経営要件としておりますので、更に数が限定されるということでございます。
 更に申し上げれば、文科省としては、これまでも経営状況が厳しいと認められる学校法人に対しては、私学振興事業団と連携しながら指導、助言、経営改善の着実な実施に向けた支援を実施しているところでございまして、今後ともこうした支援にも努めてまいりたいと考えております。

吉良よし子

お答えいただきました。
 この三つの要件に当てはまる予備群で言えば、最大で二百法人近く、二百法人ぐらい存在しているということです、現時点でも。それが今後もし三年連続になっていけばとかいうことになれば、対象は更に拡大される。現時点では十法人程度かもしれないけど、今後の経営状況の悪化に伴って最大で二百ぐらいが更に対象から除外される可能性、危険性だってあるということなわけですよ。
 そうした場合、この支援対象から外れた大学というのは、そしたら学生も進学を希望しなくなるわけですから、ますます経営状況が悪化するということも予想されるわけです。つまり、この法案によって経営が立ち行かなくなった大学というのは順次縮小、撤退せざるを得なくなる危険性があると思うわけですが、それでいいんでしょうか、大臣。

国務大臣(柴山昌彦君)

今回の支援制度につきましては、支援を受けて進学した学生が質の高い教育環境の下で安心して勉学を修めることができるように、学生を受け入れる大学などについては経営が継続的かつ安定的に行われるところを対象とすべきであるというように我々は考えております。
 このため、今回の支援措置では、教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学などについて実質的に救済がなされることがないように、対象となる大学などにはやはり一定の経営要件が必要だということにしておりますけれども、ただ、今少し局長の方からもお話があったように、文部科学省としては、これまでも経営悪化傾向にある学校法人に対しては経営改善に必要な指導や助言を行ってまいりましたけれども、昨年七月にこの経営指導の充実に関する新たな通知を各学校法人に発出をいたしました。この通知を踏まえ、本年度から新たな財務指標を設定して法人の自主的な経営改善を一層推進するとともに、経営改善に向けた指導を強化していきたいと考えております。
 この要件を満たすことができない大学などを対象機関としないことはやむを得ないというふうには考えておりますけれども、繰り返しになりますが、文部科学省としては、要件を設定した趣旨をしっかりと御理解をいただくとともに、多くの大学などにこういった対応を積極的にしていただけることを期待しております。

吉良よし子

いろいろおっしゃったわけですけれども、指導を強化するとか様々おっしゃったわけですけれども、つまりは、こういったことで対象外となった大学等が経営できなくなって、縮小、撤退してもいいと、それでいいということなんですか。

国務大臣(柴山昌彦君)

ですから、そういうことが極力起きないようにするために、我々としてはしっかりと関与していきたいということを申し上げた次第でございます。

吉良よし子

極力起きないようにということは、結局、そういう大学も出てきてもやむを得ないと、そう言っているということになるわけでしょう。それは、やはり私、おかしいと思うんです。
 参考人質疑の中で、参考人も、定員割れイコール大学の質がなっていないとか努力不足とは言えないんだとおっしゃっていたわけなんです。大学の経営状態と教育の質というのは本来直接関係ないわけです。地方の中小規模の大学など、頑張っていてもどうしても定員割れが続くような大学もあるわけですよ。そういうところに支援になってはいけないなんていう、そういう発想がやっぱり間違っていると私は思うんです。そうやって地方で頑張っている中小大学を応援するのが文科省の果たすべき役割なんじゃないのかと。
 何よりも、経営が悪化しているというのはその大学を受験した学生には何の責任もないわけですよ。学生の支援をする本法案で、その学生に責を負わすようなこの立て付けというのはやはりどう考えてもおかしいと。余りに不当な、修学支援を言わば人質にして大学運営の責任、問題の責任を学生に負わせていくようなやり方はやめるべきと、機関要件外すように改めて主張するものです。
 また、同じく参考人質疑の方では、中間層の問題が取り残されているということも繰り返し指摘されているわけです。この間、大臣、答弁で、この中間層の支援拡充について質問した際には、低所得世帯以外は奨学金の拡充により進学機会が開かれているなどとお答えになっていて、支援拡充は直ちに必要ないという認識を示されているということだと思うんですけれども、ただ、中間層は本当に進学機会が開かれているのかと。多くの中間層が大学進学のために利用しているのは、今、貸与型奨学金なわけです。その返還制度について全く手が着けられていないということも参考人質疑の中で触れられていたわけです。この間、ブラックリスト、自己破産の件数が増加していると、その中で返還困難者が本当大変な思いをしていると、そうした困難な貸与型奨学金を借りるのは怖いから、借りないようにしてアルバイトを増やしている学生も増えていると。
 この間、私も様々な指摘してきたわけですけれども、これは決して中間層の学生が進学機会開かれているとは到底言えないと思うのですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柴山昌彦君)

何もしていないというふうに今おっしゃいましたけれども、文部科学省においては、これまでも希望者全員に対する貸与の実現など無利子奨学金の充実を進めてまいりましたし、また、経済的理由から奨学金の返済が困難となった方については、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなどきめ細やかな救済措置を講じて、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところであります。
 文部科学省としては、こういった教育費の負担軽減策を着実に実施することによって、また、今回の制度と併せて、家庭の経済事情にかかわらず安心して学べる環境の整備に努めていきたいと考えております。

吉良よし子

いろいろおっしゃいましたけど、今の現状の制度の下でも、返還困難でブラックリストに登録されたり自己破産したり、そういう若者が増えているんですよ。それだから、今の対策ではとてもじゃないけど足りないということを申し上げているわけなんです。この間も、参考人から、借りたものは返すのが当たり前とか、耐える強さというものに乗っかって甘えている制度なんだという指摘もありました。
 返還制度についても幾つか確認をしたいと思うんです。
 先ほど来、延滞金の利率についても検討するという話がありましたけれども、これ、新しい民法、債権法、来年四月から施行される中で、現行の法定利率五%から三%になるわけですが、これ、今後もこの延滞金の利率についても現行の五%から三%に下げるということなのか。それからもう一点、有利子奨学金について、無利子化する場合に必要な予算額は幾らか。その二点、お答えいただきたい。

政府参考人(伯井美徳君)

まず、延滞損害金、延滞金、遅延損害金、延滞金に係る賦課率についてでございますが、従前は一〇%と設定していたところを二〇一四年度に民法における法定利率である五%に合わせるよう引下げを行っているところでございます。
 文科省といたしましては、その従前の対応なども考慮しつつ、奨学金の遅延損害金に係る賦課率の取扱いについては、関係機関とも調整しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから、有利子奨学金の利息収入でございます。これは日本学生支援機構の二〇一七年度決算において、約三百五十億円であるというふうに機構より聞いております。

委員長(上野通子君)

時間が来ておりますので。

吉良よし子

いろいろおっしゃったんですけど、延滞金についてまず一つ言わせていただきますけれども、そもそも延滞金を掛けるのが間違っているんです。利率を下げる方向で調整ということであれば、もう一刻も早く下げなきゃいけないと。そして、有利子を無利子化にするには三百五十億でできるという答弁でした。だとすれば、すぐにでもできるんですよ。

委員長(上野通子君)

時間が来ております。

吉良よし子

高等教育予算を確保して、これぐらいのことをしないことには修学支援とは絶対に言えないんだと、このことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

吉良よし子

私は、日本共産党を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 修正案提案の趣旨及びその内容について御説明を申し上げます。
 本法律案は、修学を支援する大学等に要件を課し、確認を受けた大学等のみを修学支援制度の対象とする機関要件を設けています。これは、政府の進める大学改革と学生個人に対する修学支援を結び付けるものとなっています。本来、修学支援は、学生個人に着目し、自ら選択した大学で学ぶことができるよう支援すべきものです。したがって、設置認可の段階で一定の基準を満たしている大学等に対して更に要件を課すべきではありません。
 また、本法律案が、学資支給及び授業料等減免に係る財源を、消費税増税分を活用して確保するとしていることも問題です。低所得者世帯の学生に対する修学支援について、低所得者に負担の重い消費税を財源とすることは極めて不当であり、許されません。
 そこで、機関要件の規定、消費税を財源とする規定を削除する修正案を提出するものです。
 次に、修正案の内容について御説明を申し上げます。
 第一に、大学等の確認に係る規定を削除すること。
 第二に、学資支給及び授業料等減免に係る財源については消費税増税分を活用して確保する旨の規定を削除すること。
 第三に、その他所要の規定を整理すること。
 以上が修正案提案の趣旨及びその内容でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げまして、提案の理由説明とさせていただきます。

吉良よし子

私は、日本共産党を代表し、大学等における修学の支援に関する法律案に反対、我が党提出の修正案に賛成の討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、修学支援の財源に消費税一〇%への増税分を充てると法案で明記をしていることです。
 この財源を前提にするならば、その支援対象者を拡大するとき、更なる消費税増税が押し付けられる懸念が生まれます。経済的理由により修学が困難な低所得者世帯の学生を支援するとしながら、そうした世帯ほど負担が重くなる消費税をその財源とすることは許されません。何よりも、消費税は、支援の対象となる学生にも対象とならない学生にも重い負担となってしまいます。さらに、消費税増税を理由にし、学費を値上げする大学も出てくるかもしれません。
 先日の質疑の中で、大臣も学費の値上げが続くことについて否定をされませんでした。学費の値下げはしない一方で、値上げを容認する。見かけ倒しの高等教育無償化を口実に消費税増税という重い負担を国民に押し付けることはやめるべきです。
 本法案に反対する第二の理由は、支援対象とする大学等に要件を設け、政府の方針に従わない大学等を選別し、支援対象から排除していることです。
 実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の一割以上や法人の理事に産業界等の外部理事を複数任命、収容定員割れしている大学等を支援対象から外すとの機関要件は、大学教育の質とは無関係なものであり、設置認可の段階で一定の要件を満たしている大学に更に要件を課す必要はありません。学生が自ら選んだ大学で学ぶことができるよう支援することが求められているのであり、大学に要件を課し、学生が進学先を選ぶ自由を奪うことは許されません。
 しかも、経営が厳しい私立大学などの多くが地方の中小規模の大学です。それらの大学を修学支援の対象から外したら、学生が集まらず、定員割れがますます進み、大学の再編、淘汰が加速しかねません。地域社会で奮闘している地方の中小規模大学を苦境に立たせ、今以上に大都市圏と地方の教育格差が拡大しかねず、問題であることを指摘します。
 以上の観点から、我が党は、大学等に対する機関要件を削除し、財源を消費税とする規定を削除する旨の修正案を提出したものです。
 なお、国民民主党提出の修正案は立場が異なるため賛成できないことも併せて申し述べ、討論を終わります。