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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第198通常国会

留学生ビジネスの東京福祉大から報酬/秋元副大臣、300万円超/参院決算委

要約

3年間で1400人の外国人留学生が所在不明となっている東京福祉大学の運営法人の理事だった秋元司内閣府副大臣が、2014~17年に総額300万円超の報酬を得ていたことが分かりました。4日の参院決算委員会で、日本共産党の吉良よし子議員に対して秋元氏が認めました。
 秋元氏をめぐっては、2014年に、同大学を創設した元総長から50万円の献金を受けていたことが本紙の調べで分かっています。留学生急増を主導した元総長は、過去に実刑判決を受け、本来、大学運営に関わることはできません。
 秋元氏は決算委で、14年4月~17年7月に、同大学を運営する学校法人から、理事報酬として「月9万6000円程度」、総額300万円以上を受け取ったと認めました。
 吉良氏は、同氏が報酬を受けた3年間に、同大学は留学生を約3倍に急増させていると指摘。大学の方針への関与を否定した同氏に対し、法定ビラには「留学生や就学生に対しても門戸を広げ、雇用機会の拡大を図る」との「決意」が記されているとして、「大学の方針と合致している。大学の動きを知らず、関心もないというのは不自然だ」と強調しました。
 吉良氏は、非正規の「研究生」の名で外国人を大量に受け入れ、ずさんな環境で1人60万円もの授業料を徴収するやり方を「留学生ビジネスだ」と批判。柴山昌彦文科相は「由々しき問題だ」と認めました。
 吉良氏は、「同大学は当初、『国策に沿っている』と開き直っていた。『留学生30万人計画』を掲げ、外国人を安価な労働力として使おうという安倍政権の姿勢が留学生ビジネスの温床になっている」と告発しました。

しんぶん赤旗2019年04月05日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 この間、低賃金で劣悪な条件で働かされている技能実習生を始め、外国人労働者の問題が社会問題化しています。その中で、外国人留学生の深刻な問題も浮上しております。留学とは名ばかりで、日本に出稼ぎに来たいというアジアの若者の受入れ窓口として日本の大学や日本語学校が機能していて、その留学生が大量に所在不明となっている問題です。今日は、まずこの問題、特に三年間で約千四百人もの留学生が所在不明となった東京福祉大の問題を取り上げます。
 東京福祉大で大量の所在不明の留学生が出てきた背景、これにはこの大学が異常なほど大量の留学生を受け入れてきた実態があります。このパネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)当初は三百人程度だった留学生の数が、二〇一八年で五千百三十三人と急増しているわけです。しかも、この留学生は、ほとんどが非正規の学生、研究生という名の、法律による定員の定めもない、そういう非正規の学生であり、青天井で受入れ拡大ができていたと、で、一人当たり約六十万円の授業料も取っていたと。
 一方、この非正規学生に対する教育研究体制は極めてお粗末であり、報道によりますと、キャンパスの外の銭湯の二階、アパートの一室などを教室の代わりにしていたという、驚くほど大量の数の留学生受入れをしながら、その教育体制にはほとんど責任を負っていなかった。さらに、連絡が取れなくなった留学生も多数生じていたにもかかわらず、放置状態が続いていたというわけです。
 こうした実態を見ますと、東京福祉大学で行われていたということは、留学生を大量に受け入れて、それにより莫大な入学金や授業料収入を得ることが目的の留学生ビジネスではないかと疑われるわけですけれども、文科大臣、この件いかがでしょうか。

国務大臣(文部科学大臣 柴山昌彦君)

東京福祉大学においては、所在不明とも思われる除籍者が多く発生するなど、在籍管理に懸念があるほか、履修科目数や出席率を考慮すると、法務省令で定める在留資格の基準である週十時間の聴講時間を確保できない、できていない学生が存在する可能性があり、また、名目上、大学の正規課程の研修生、科目等履修生として受け入れているものの、実質的には、日本語能力が足りず大学に進学できない留学生のための予備課程となっている懸念があると考えられます。
 このため、文部科学省では、留学生の適正な受入れが行われているのか、学習環境が適切に提供されているのかなどの観点から、法務省東京入国管理局と連携し、先日、実地調査を行ったところです。
 特に、今委員が御指摘の悪質な留学生ビジネスとなっているとすれば、これはまさにゆゆしき問題でありまして、文部科学省としては、法務省と連携し、引き続き徹底した調査を行うとともに、精査をし、必要な改善指導を行っていきます。

吉良よし子

まさに悪質な留学生ビジネスの疑いもあると、懸念もあるという話でしたけれども、まさに東京福祉大の事例というのは、日本で学びたい、若しくは働きたいという留学生をもうけの対象とする留学生ビジネスというあしき事例だということだと思うんです。
 ちなみに、ある裁判資料によりますと、この東京福祉大の創設者であり元理事長である中島恒雄氏という方が、二〇一一年の九月に同大学の経営学部運営会議の中でこういう発言をしているわけです。留学生の受入れ拡大について、四年間上手にやりゃあ、今の勝手な試算だけど、百二十億入るって、どうだ、すごいだろう、このアイデアは、そしたら、がばちょ、がばちょなど、留学生をもうけの対象とするという発言を行っていると。
 これだけでも問題だと思うわけですが、それに従って留学生も増えているわけですが、その発言している元理事長の中島氏は、二〇〇八年六月に強制わいせつ罪で実刑判決を受けて収監された人物なんです。それは、私立学校法第三十八条第八項における役員としての欠格事由に該当するわけです。その中島氏が服役後の二〇一一年に学校運営に係る会議に出席して発言して、その発言どおりに留学生受入れが拡大をされたと。これは大問題だと、中島氏が学校経営に関与しているということであり、大問題だと思うんですが、文科大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(柴山昌彦君)

平成二十年に実刑判決を受けた元理事長につきまして、この東京福祉大学を設置する学校法人は、文部科学省に対して、以後、元理事長を法人の経営、教育へ関与させないと報告して、その旨をホームページでも公表しておりました。
 しかしながら、平成三十年度に入って、元理事長が東京福祉大学の運営や教育に関与していると思われる情報が複数寄せられたことから、学校法人に元理事長の関与の状況について報告を求めたところ、元理事長が、例えば、教員研修会の講師として複数回にわたり講義しているというような回答もありました。
 このため、平成三十年度の私立大学等経常費補助金を五〇%カットしたところでございます。

吉良よし子

つまり、この中島氏が経営に関与していた事実があるのは間違いなく、実際、その発言のとおりに留学生拡大が行われ、その留学生ビジネスが行われていたということなわけです。
 実は、問題は中島氏だけではないわけです。この重大な問題を抱える東京福祉大学を運営する学校法人の理事に安倍政権の副大臣が就任していたと。あきもと司環境省副大臣兼内閣副大臣であります。あきもと副大臣は、二〇一四年に東京福祉大学を運営する学校法人茶屋四郎次郎記念学園の理事に就任して、先日、留学生所在不明問題がマスコミで報道された直後の今年三月十八日に理事を辞めたということです。
 また、二〇一七年に国交副大臣に就任して以降は学園からは報酬は受け取っていないとマスコミ等に答えているわけですけれども、じゃ、それまでの間には理事として幾ら報酬を受け取っていたのか。また、元理事長の中島氏からの政治献金もあったということですが、その献金の額についても併せてお答えいただきたいと思います。

副大臣(環境副大臣 あきもと司君)

お答えします。
 環境副大臣としては所管外でございますけれども、せっかくの御質問なので幾つかお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、私自身がこの学校法人茶屋四郎次郎記念学園の理事に就任したのが、今御指摘のとおり、二〇一四年四月から二〇一七年の七月までであります。そして、理事報酬を、この間は御指摘のように理事報酬を得ておりましたけれども、副大臣に就任したこともありまして、就任直後からはもう既に理事報酬も辞退し、また理事会への出席、また理事活動というのは一切停止をさせていただいたというところでございます。
 政治献金ということでございますけれども、学校法人茶屋四郎学園から献金は受けておりませんが、政治資金収支報告書に報告しておりましたように、そのもう当時の学校関係者じゃなくなった中島さん個人からは、多分陣中見舞いという形で選挙直前に政治献金という形で資金提供があったことは事実だと思います。
 理事の報酬につきましては、大体月九万六千円程度だったと思います。

吉良よし子

理事報酬というのは月九万六千円程度であり、またその献金、収支報告書によると五十万円ほど中島氏から受け取っていたということですけれども、単純に計算すると、理事報酬だけで、九万円掛ける十二か月掛けるおよそ三年ということで、大体三百万円以上の報酬をいただいていたということになると思うんですが、それでよろしいでしょうか。

副大臣(あきもと司君)

理事報酬としてはそのとおりだと思います。

吉良よし子

総額三百万円以上、理事として学園から報酬を受け取っていた事実があったということです。
 そもそも、じゃ、なぜ、あきもと副大臣はこの学園の理事を引き受けたのか、学園とどういうつながりがあったのか、その点もお答えください。

副大臣(あきもと司君)

学園との直接の関係につきましては、私が、多分、参議院選挙が終わった後、浪人中に時間があったもので、自分の経験をどこか大学の場で生かせないかという、そういったことを私の友人から声を掛けていただきまして、客員教授として、そしてまた非常勤講師として経済学部と政治学の授業を一年間受け持たせていただいたというのが学園との直接の関係であります。
 その後、衆議院選挙を経て、私も政治活動、すなわち現職として国政に復帰したものでありますから同学園は辞めさせていただいたわけでありますけれども、私が直接そういった授業をやらせていただくという機会をいただいたということもございまして、そこでの現場経験もあるから、その後、ただ学校を去るだけじゃなくて理事としてひとつ受けてくれないかという御相談がありましたので、まあ、私は非常勤であるならば私のできる範囲でのアドバイス活動はいたしましょうということの中で理事を受けさせていただいたというのが事実であります。

吉良よし子

客員教授だったことがそもそものきっかけだったということですが、先日、しんぶん赤旗の日刊紙の取材に答えて、理事を拝命した理由として、大学の理念に賛同して理事を拝命していたがと、そういう発言もされていた。ということは、あなたは理事として東京福祉大学の留学生ビジネスに賛同していたと、そういうことになるのでしょうか、いかがでしょう。

副大臣(あきもと司君)

お答えしますけれども、私は確かに理事としての立場はありましたけれども、その東京福祉大学が経営を行う際に、その外国人留学生をそこまで拡大をしている云々は、実は私のところには理事会も通じて報告がなかったものでありますから、実際、この福祉大学がその留学生に対する拡大を何かするということについては、私は直接知り得る立場じゃなかったというのが事実であります。

吉良よし子

いや、直接知らなかったとおっしゃいますけど、実は、このあきもと副大臣が報酬受け取って理事していた二〇一四年から一七年の間にも留学生が急増している時期なんですよ。まさに重なっているんです。しかも、あきもと副大臣のホームページ見ますと、その掲載されている選挙時の法定ビラの決意というところで、全産業に共通する問題として人手不足が深刻化しています、今後は外国人労働者に対する雇用の拡大を図るべく、留学生や就学生に対しても門戸を広げ雇用機会の拡大を図ることが必要であると、そういう決意を述べられているわけですね。
 外国人労働者の雇用拡大のために留学生への門戸を広げる、つまり東京福祉大で行われている名ばかりの留学生増やしていく、そしてその先で労働者として活用するということとまさに同じ考えにつながるのじゃないかと思うわけですが、その点いかがですか。

副大臣(あきもと司君)

お答えします。
 私自身が、政治活動の思いとして、外国人労働者に対する雇用の問題であるとか、就学生、留学生に対する思いはあるのは事実であります。それは、私も自分がこれまでの各選挙等で訴えてきたことでございますけれども、それとこの東京福祉大学が今日のように行っていることとは別問題でございまして、私自身が、東京福祉大学の例えば理事会等にこういったことをやるべきであるだとか、そして大学からこのようなビジネスをすることに対する報告があってそれを私が後押ししたということは一切ございません。

吉良よし子

後押ししたことはないかもしれませんが、もしかしたらね、でも、知らなかったとか関心がなかったと言うには余りに不自然じゃないですか。何しろその決意の中で述べられている、留学生に門戸を開こうと、外国人労働者の雇用拡大のためにと言っていることと東京福祉大学で起きていることとはほぼ一致するわけなんですよね。だから、それを知らないとか関心なかったとか言うのは余りに不自然だと言わざるを得ないと思うんです。
 総理に伺いたいと思うんです。この留学生をもうけの対象としている留学生ビジネスを進めていた東京福祉大学に、安倍内閣の副大臣がもしかしたら学園の考え方に強く賛同して理事に就任していたかもしれない。とするならば、現時点で理事を辞めているからといってそれで済む問題ではないと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

政治家一人一人の、一人一人の政治家は、内閣、与党、野党を問わず、その活動について何らか指摘を受ければ、国民の信頼が得られるよう、常に自ら襟を正し、説明責任を果たしていくべきであろうと、その上で与えられた職責をしっかりと全うしてもらいたいと思います。

吉良よし子

何言っているか分からないんですけれども。
 要するに、安倍内閣の副大臣がこういう留学生ビジネスをやっていたその東京福祉大の理事であったということ、しかもそれの理念に賛同していたかもしれないということは問題ではないかと聞いているんですが、その点はいかがですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

今申し上げたとおりでございまして、まさに、一人一人の政治家は、内閣、与党、野党を問わず、その活動について何らか指摘を受ければ、国民の皆様から信頼を得られるように、常に自ら襟を正し、説明責任を果たしていくべきであろうと、その上で与えられた職責をしっかりと全うしてもらいたいと考えております。

吉良よし子

あきもと副大臣が、私、説明責任を果たしているとは到底思えないんですね。不自然なところが多過ぎるわけですから、それは職責果たしているとは到底言えないと思うんです。それと同時に、やはりこの問題というのは、あきもと副大臣だけの問題ではないということも指摘しておきたいと思うんです。
 この間、自民党は、国際人材議員連盟というものをつくっています。これは二〇一六年に解散はしているんですけど、その前身である自民党がつくった外国人材交流推進議連というところが二〇〇八年に日本型移民政策の提言というものを発表し、その中で留学生三十万人の受入れを早期達成と提案したと。その直後、同じ二〇〇八年に留学生三十万人計画が閣議決定をされたと。そして、その十年後の二〇一八年には留学生の数は二十九万八千九百八十人と、この計画ほぼ達成したところにまで来ているわけですけれども、その裏で、今御紹介したような、東京福祉大のような悪質な留学生ビジネスが横行していたわけなんですよ。東京福祉大だけじゃないと、日本語学校などでも、留学生からパスポートを取り上げて派遣バイトに従事させたような問題なども様々発覚しているわけです。
 つまり、こうした留学生三十万人計画がこのような留学生ビジネスとか人材ビジネスの温床になっていたということだと思いませんか。総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

東京福祉大学の問題については、現在、文部科学省と法務省が共同で実地調査を行うなど、実態の早期解明に向けて取り組んでおりますが、就学目的か確認もせず、多くの所在不明者が発生するようなずさんな在籍管理が行われていた事実が判明すれば、厳正に対処していく必要があると考えています。
 さらに、この事案に限らず、今後の制度悪用の防止策などを強化するため、関係省庁において早急に対応策を取りまとめ、再発防止の徹底に万全を期すこととしたいと、このように考えております。

吉良よし子

こうした問題は、政府が留学生三十万人と数字を高々と掲げた下で起きている問題なわけですよ。
 東京福祉大学側は、当初、国策に沿っているんだと開き直る発言も行っているわけです。まさに、そういう国策がこうした留学生ビジネスの温床となっているというのは事実としてあると。その背景には、やはり留学生をも安価な労働力として使おうという政府や与党の狙いまで見えてくるわけです。
 この間、四月から特定技能の受入れも始まったわけですけれども、昨年末の国会で指摘された多くの問題、解決していませんし、法務省が公表した外国人技能実習生の失踪事案について、死亡事例、把握できなかったという話もあります。不法就労、ブローカーの暗躍など数々の問題を放置したまま外国人労働者や留学生の数だけを増やそうという安倍政権の姿勢そのものが問題だということを強く指摘して、次に移りたいと思います。
 続いて、私は国民健康保険について取り上げます。
 この間、我が党は、国保料、国保税、この負担が重くなっていることを何回も国会で取り上げ、その値下げを求めてまいりました。この高過ぎる負担増の下で、今、国保料、国保税が払えないという事態が広がっております。
 そこで、厚労省、数を確認いたします。国保の滞納世帯数、それが全加入世帯に占める割合、そして滞納によって正規の保険証でなくなっている世帯、短期保険証、資格証明書の世帯数、それぞれお答えください。

政府参考人(厚生労働省保険局長 樽見英樹君)

お答えいたします。
 まず、滞納世帯数でございます。平成二十八年度における国保の滞納世帯数は二百八十九万世帯、全世帯数に占める割合は約一五・三%というふうになっております。ただ、これはここ数年減少傾向にございます。
 それから、もう一つのお尋ねでございます。資料でお書きいただいております短期証、資格証ということになりますけれども、まず国民健康保険の短期被保険者証、いわゆる短期証につきましては、平成二十八年度における交付世帯数は約八十二万世帯です。
 それから、資格証の方。恐縮です、一言。この資料で医療費の全額が自己負担となると書いてあるんですが、これは事後に償還払いで保険給付が行われて、結果的に三割負担にできる仕組みですので、ちょっと誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、この交付世帯数は約十八万世帯でございます。
 以上です。

吉良よし子

短期証は八十二万世帯で資格証が十八万世帯という数字でしたね、数字だけをお答えいただきたいと思うんですけれども。
 まず、滞納世帯数が全加入世帯のうちの一五・三%に上っている、本当にこれがもう重い負担になっていることを示していると思うんです。
 この国保加入者というのは、年金生活者若しくは非正規雇用労働者などの低収入世帯なわけですよ。真面目に皆さん何とかやりくりしながら支払っているわけですけど、一たび失業とか病気とか何かがあったら、払いたくても払えない状況にすぐに陥ってしまう、そういう状況なんだということです。
 そして、その滞納世帯に交付されている短期証、資格証、これ、パネルを御用意しました。短期証というのは、有効期間が一か月から六か月と、通常の保険証から比べて極めて低いものになります。そして、資格証というのは、やはり病院に行った場合には、まずはその病院で、その場で医療費の全額自己負担を払わされると、そういうものなんです。だから、後で戻されるとしてもその場では全額払わなければならない、そういう資格証、保険証とは言えない資格証なわけですけれども。
 ここで、短期証について厚労大臣に確認します。
 これは、あくまでもペナルティーではないと、たとえ滞納があったとしても必ず本人に交付するということでよろしいでしょうか。端的にお願いします。

国務大臣(厚生労働大臣 根本匠君)

お尋ねの短期保険証は、保険料を滞納している被保険者の方に対し、通常よりも有効期間の短い被保険証を交付するごとに市町村の国保窓口の接触の機会を確保することを目的にしております。
 そして、実はこの制度は、これをきっかけに保険料の減免や分割納付をも含めた納付相談を行う、そして納付相談に加えて必要に応じて生活困窮者支援制度の相談支援窓口につなぐことによって保険料の納付につなげていくことを図るものであって、これはペナルティーということではありません。

吉良よし子

必ず交付するということでよろしいですね。一言でお答えください。

国務大臣(根本匠君)

私、今、性格について説明しました。ですから、それは交付をいたします。

吉良よし子

はっきり答えていただきたいんですね。ペナルティーではないということなんですよね。それで相談も行っているということですよね。それは分かっています。それ確認したいと言っているだけなんで、はっきりと短くお答えください。
 そして、ペナルティーではないというわけですけれども、資格証、先ほど言ったように、病院で十割負担をまずは払わなければならない。そういう意味でいえば保険証取上げとしか言いようがないですよねということで、この間、我が党はこの問題も取り上げてまいりました。
 その中でも、特に子供への資格証交付というのは事実上の子供の無保険状態になるわけだからと大問題になって、二〇〇八年、たとえ資格証の世帯であっても中学生までは子供に対しては短期証を交付すると、議員立法が全会一致で成立したわけです。二〇一〇年にはその対象が高校生まで拡大されました。
 もう一度、厚労大臣に確認します。短くお願いします。
 現在、短期証世帯、資格証世帯、それぞれの世帯の子供への対応どうなっているか、端的にお答えください。

国務大臣(根本匠君)

まず、短期保険証が交付された世帯であっても、今委員がおっしゃられたように、高校生世代以下の子供に対しては有効期間を六か月以上とすることにしています。また、資格証明書が交付された世帯であっても、高校生世代以下の子供に対しては、資格証明書を交付せずに、有効期間が六か月の短期被保険証を交付することとしています。よろしいですか。

吉良よし子

六か月以上の短期証をどちらの世帯についても交付していると。速やかに手に渡るよう、郵送も含めて対応するようにと自治体にも通達をしていることだと思うんですけれども、実際にはそうなっていないんです。
 東京のある自治体では、シングルマザーの方が生活困窮で滞納になりましたと。区の窓口でちゃんと納付相談も行って、毎月数千円ずつ払っていたけれども、幾ら払っても、それは全て過去の滞納額の解消に充てられるばかりで、当年度分の支払には充てられないままだったと。そんな中で、昨年の秋、子供の保険証の交付を求めるために自治体の窓口を訪れたら、滞納額二十七万円全額すぐ払うか、四万五千円ずつ六回で払わない限り子供の保険証を渡さない、渡さないと言われたと。
 これは、先ほどの、すぐに手渡す、交付すべきということに関して言えば、あってはならない対応だと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

国務大臣(根本匠君)

短期被保険証というのは、通常の被保険証と比較して有効期間が短いのみで、医療機関において通常の窓口負担で受診が可能でありますが、短期被保険証という趣旨を踏まえて、市町村においては、個々の滞納世帯の状況に応じて有効期間を適切に設定するとともに、交付については電話連絡や家庭訪問等を実施することで速やかに被保険者の手元に届くようにするためなど、きめ細かな対応をするように指導しております。
 滞納があったときも、きちんと納付相談に応じていろんなアドバイスをしている、それぞれの市町村においてそういう対応をされているものだと思います。(発言する者あり)

委員長(石井みどり君)

御答弁は簡潔に願います。

吉良よし子

私が聞いているのは、先ほどの事例は問題じゃないかと聞いているんです。速やかに交付されていない事例でしょうと言っているんです。
 それは、決して一つの自治体の問題じゃないんですね。山梨県甲府市では、保護者が国保料を滞納して短期保険証、資格証明書となった世帯の子供百四十八人に保険証が渡っていなかったことが判明しているんですよ。滞納したのは親です。けれども、その責任を子供に負わせるのは余りにもひどい話なのではないかと私はこの場で訴えているわけなんです。
 こうした子供に対するペナルティー、あってはならないと思いますし、たとえ滞納がある世帯であっても、その責任を子供に問わない、子供の医療は、何があっても命と健康は守り抜く、総理、そう言うべきではないですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

家庭の経済事情にかかわらず、医療を受ける機会を確保し、そしてその生命と健康を守っていくことは、私たち大人の全員の責任であります。そのことはまず明確にさせていただきたいと思います。
 厚労大臣からも答弁させていただいたように、国保の保険料を滞納している世帯であっても、子供については通常の窓口負担で医療機関を受診することができることとしています。
 今後とも、こうした仕組みによって子供に配慮するとともに、引き続き、厚生労働省において、滞納世帯の実情に応じたきめ細やかな納付相談等の対応について市町村に徹底させたいと思います。

吉良よし子

市町村に徹底と言いますけれども、やっぱり国保の滞納の責任を子供に問うべきではないんですよ。今、全国で子供の医療費無料化制度というのが広がっています。ただ、手元に保険証がなければその制度だって受けられない状態になってしまう、もうこれは本当に問題なわけです。
 どんな経済状態であっても子供の命を守るというのであれば、やはり子供についての保険証、留め置きはやめさせる、もう短期証じゃなくて正規の保険証を速やかに子供に交付すべきだと思いますが、最後、大臣、いかがでしょう。

委員長(石井みどり君)

時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

国務大臣(根本匠君)

子供たちの医療が途切れることのないように、短期被保険証を適切に運用すべき旨、市町村に指導していきたいと思います。

吉良よし子

話にならないですけれども、引き続き子供への医療確保を求めて、質問を終わります。