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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第198通常国会

予算委員会公聴会 保育、高等教育の無償化

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子でございます。
 両公述人、今日は大変ありがとうございました。
 それでは、早速ですけれども、天野妙公述人からお話を伺っていきたいと思っております。
 先ほど来、無償化か全入化というところで、いや、無償化も待機児解消も大事なんだと、それだからこそ保育予算を抜本的に増やしてほしいんだと、おっしゃるとおりだと思うわけです。一方で、やはり今回無償化だと言われる下で、むしろ保育の需要が増えるんじゃないかという懸念も公述人の資料の中にもあったかと思うんですけれども、本当にこの無償化に伴ってむしろ待機児童が深刻化してしまっては本末転倒だと思うわけです。
 今、政府の方では、保育の受皿を二〇二〇年度末までに二十九・三万人分拡大としているわけですけれども、それで本当に十分なのかと。少なくとも、今回無償化するというのであれば、それに伴う需要の変化を加味した需要の見直し、保育ニーズの試算をやり直して、それに合わせたプランを作っていくべきと考えますが、その点についていかがでしょうか。

公述人(みらい子育て全国ネットワーク代表 合同会社リスペクトイーチアザー代表 天野妙君)

まさに私が申し上げたかったところを端的に御説明いただいてありがとうございます。
 やはり政府が出されていらっしゃる目標が、二年前ですけど三十二万人という数字が出されていますけれども、それについての見直しがまだなされていないという状況ですので、改めて、無償化を実施されるのであれば、どういった需要が出てくるのかというのは試算が必要ではないかなというふうに思っています。

吉良よし子

ありがとうございます。
 そして、あわせて、先ほどの話では、待機児童の解消にはやはり人手不足の解消が欠かせないんだと、特に処遇の改善であるとかそういった必要な施策が必要なんだというお話もありました。事実、保育の現場で働いている保育士の皆さんの給与の実態を見ると、他の産業と比べると十万円も低いような実態があると。その背景には、様々な制度的な問題もあると思うんです。委託費が弾力化されていて、人件費をコストとして扱うような法人等もある下でどんどん下げられているようなところもあると思いますし。
 ただ、もっとその背景見てみると、先ほど、保育者のアンケート分析の中にも書かれていますとおり、政府、国会議員含め、そしてまた保護者を含めた一般社会における保育職の専門性や業務負担への適切な理解促進が必要なんだという結果があったという話があったわけですけど、まさにその視点というのが大事だと思うんです。保育士というのは、単に子供を預かっている人というわけではなくて、やはりその年齢に応じた成長、発達を促す大事な役割を果たされていると。
 私自身も子供を保育園に預けていますけれども、今パンツトレーニングの真っ最中で、私、親だけだとなかなかくじけてしまいそうなところを、保育士の皆さんの支えや励ましがあるからやっていける、やはりそういう専門性というところの理解をいかに広げていくかというのは大事だと思うんですけど、その点についてのお考えや広げていくための方策等ありましたら、是非お聞かせいただければと思います。

公述人(天野妙君)

また代弁をいただき、ありがとうございます。
 保育士さんのヒアリングをさせていただいて大変勉強になったのが、本当に、毎週の週案ですとか月案といって、細かく子供の成長をどういうふうに見ていくかというのを一人ずつ作っているということが分かったんですね。私も利用者として保育園にお世話になっていますけれども、実際働いていらっしゃるサイドの方々がどれだけ子供に対して思いを持っていて、かつ業務としてきちんと管理をされているかといったところの具体的なところが見えていなかったんだなということを改めて感じました。
 これをどういうふうに皆さんに理解していただくかというポイントですけれども、もしよろしければ、皆様の中で、保育園に一日若しくは一週間、三日でもいいですけれども、体験ではないですが、していただくと、どれだけの業務量があって、書類を作成して、子供と向き合う、一対三が適切な数字なのか、一対二十が適切な数字なのかというのも御理解いただけるのではないかなと思いますので、もし御要望があれば段取りさせていただきますのでお申し出いただけたらなと思います。

吉良よし子

本当に現場を知るということが大事だというお話だったと思います。そういう意味でも、保育の予算、抜本的拡充が必要ですし、今回、子育てや教育の予算を増やさなきゃいけないというのは、皆思いは同じだと思うんです。
 ただ、今回の、先ほどもありましたとおり、今回政府が進めている教育無償化について言えば、幼児教育についても、また高等教育についても、その財源は消費税の増税分で賄うんだということが法案に明記されている状態なわけですよね。これは本当に今、先ほどもありましたけれども、大きな矛盾だと思うんです。
 実は、学生グループの高等教育無償化プロジェクト、FREEというところの皆さんは、昨日記者会見を行って、この政府の政策についてのステートメント、意見を発表されました。そこでも消費税が財源になっていることについて問題視をされていて、学生を支援するための費用が学生の暮らしと直接関わる消費税増税によるものであることは大きな矛盾だと、この財源を消費税と特定するのはやめてほしいと、そういう御意見を出されているわけです。
 先ほどもあったけれども、消費税増税じゃなくても大企業や高額所得者の皆さんに応分の負担を求めるとか、若しくは武器の爆買い、軍事費の増大などではなくてその分を教育や保育に回していくなど、やり方というのは様々あると思うわけです。少なくともこの無償化の財源を消費税に特定するようなことはすべきじゃないと思うのですが、両公述人の御意見をお聞かせください。

公述人(公益財団法人あすのば代表理事 小河光治君)

先ほども申し上げたように、私は、本当に、確かに今のおっしゃるところもそうかもしれません、先ほど申したことと重なるかもしれませんが。
 財源問題という問題もありますが、とにかく、とはいってもこれを、例えば無償化、せっかくここまで来ている、さっき言った困っている子供たちを放置するとかそういったことにはやっぱりしていただきたくない。そういう意味では、財源の問題、広くもっと議論をしていただくことは必要かもしれませんが、是非とも、特に高等教育の無償化、逆に言うと、そこだけではなくて高校に対する支援というのも非常に手薄い部分もありますので、そういったものを含めてしっかりと議論をしていただきながら財源を確保していただいて、より充実していただくことを望んでいます。

公述人(天野妙君)

小河公述人と同じく、やはり財源を特定すると、何か人質を取られたような、そんな気持ちになってしまいますので、できれば、いろんな財源の創出の仕方があると思いますので、そこは本当に皆さんで議論をいただいて、皆さんのお考えの中で子供が社会の宝だということを真ん中に置いていただいて推し進めていただけたらなというふうに思っています。

吉良よし子

議論いただいてということでしたけれども、やはり消費税ということで特定するというところについては問題があると言わざるを得ないと思うわけです。もちろん、一方で、そういう教育や子育てに予算を付けなければならないというのは当然のことですし、そのための議論が必要だということだと受け取りました。
 あわせて、では小河公述人の方にまた伺いたいと思いますけれども、では、今回の政府の奨学金の拡充、無償化政策についてですけれども、まあ一定前進はあるのは間違いないとは思いますけど、ただ、対象者がまだまだ限られていて、多くは先ほどおっしゃられたような有利子の借金となる奨学金を利用せざるを得ない状況はまだまだ続いているし、また現在返済困難に陥っている方もたくさんいると。自己破産件数も二千件超えているというような実態もあるわけですけれども、そうした奨学金返済に係る救済策拡充は急がれていると思うのですが、公述人の御意見お聞かせください。

公述人(小河光治君)

おっしゃるとおりだと思います。
 そういう意味では、先ほども申しましたように、これから進学をする子に光を当てるのと同時に、今苦しんでいる、返済ができないかもしれない、そういう若い世代の人たちも、例えば、せめて有利子の分のその利子分だけでも国が持っていただくだとか、あるいは今、返還猶予というところが、これも延ばしていただいて、十年ですけども、これもちゃんとやっぱり延ばしていただく。あしなが育英会ではそういったものも、猶予もしっかり例えば取っているような制度がありますし、そういったようなことも含めて幅広く、やはり今困っている子供、若者に漏れなく光が当たるようにしていただきたいと強く思います。

吉良よし子

今困っている若者に漏れなくということで、本当に制度の拡充は急がれていると思います。
 また、現在の学生の生活状況についても伺いたいんですけれども、私、先日、三月六日の予算委員会の中で、借金となる奨学金が怖いという認識が学生の中で広がる下で借り控えが起きていると、一方で、家庭からの仕送りも減っているためにアルバイトをせざるを得ない、学生アルバイトが増加しているということを指摘させていただきました。一方で、首相は、そのアルバイトの増加については様々な要因だと、生活苦、生活が苦しい学生が増えているとは言えないとの認識も示されたわけですけれども、ただ、先ほどの学生グループFREEの調査でも、アルバイトをしている学生のうち八割の方がその収入を生活費に充てているという回答もされているわけであり、このアルバイトの増加というのは学生の生活苦と決して無関係ではないと思いますし、それが学業の支障になっているというのは大変な問題かなと思うのですが、その点について、学生のアルバイト就労の実態等について、生活実態について、公述人、いかがお考えか、お聞かせください。

公述人(小河光治君)

奨学金を借りて将来多額の借金を背負うだけではなくて、今なお例えば家庭にも仕送りをしている子供たちも、学生たちもいますし、おっしゃるように、生きるため、学ぶために本当にもう倒れるまで働いている。で、なかなか、結局それで体調崩してしまって大学をやめざるを得ないということに追い込まれる学生たちも、私も何人かそういう、もう本当につらい状況を見てきました。
 なので、今本当おっしゃられたとおりに、こういう状況は一日も早く解消しなきゃいけないということを切に思うのとともに、今、一方で、私たち、あすのばで調査をしますと、高校一年生の三人に一人がもう既にバイトをしている。それが同じように、学校に行くためあるいは家庭のために高校生の段階でそういう状況になっている。ここもやっぱりもう無視できない状況ですね。やりたい部活動もそれで諦めるとか、中にはやっぱり高校を諦める子供たちもまだいるという実態もありますから、そういう意味では、大学のみならず高校生も含めて是非手厚い支援をお願いしたいと思います。

吉良よし子

大学のみならず高校生をと、子供たち、子育て、教育、学生への支援というのは本当に必要だし、そのための予算がまだまだ足りないんだということをお二人の御意見からよく分かりましたので、また頑張っていきたいと思います。
 今日は、本当に貴重な御意見、ありがとうございました。