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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

気候危機、若者の意見政策に 資源エネ調査会

要約

参院資源エネルギー・持続可能社会調査会は2月19日、「脱炭素社会に向けた方策」をテーマに参考人質疑を行い、日本共産党から吉良よし子議員が質問しました。

 吉良氏は、気候危機の影響と被害を最も受ける子どもや若者世代は危機感を持ち、声を上げているとして、「子ども基本法でも、子どもにかかわる施策に関し、子どもの意見を聞くことが定められている。脱炭素を進めるにあたり、気候危機政策の策定プロセスで子どもや若者の意見反映、参画を保障すべきではないか」と質問。3人の参考人全員が同意しました。

 森本英香早大法学部教授は、非政府組織(NGO)や学校、地域、企業が子どもたちの声を聞き、取り組みを後押ししていくことが大事だと発言。磐田朋子芝浦工業大副学長は、脱炭素化にむけ、若者たちとの対話を通して進めていくべきだと述べました。

 石川智久日本総合研究所主席研究員は、子どもの権利条約批准から約30年たっても子どもの権利が顧みられていない現状への危惧を示し、「子どもの意見を聞き、おとなが子どもと真剣に議論することが重要」だと述べました。

 吉良氏は「気候危機政策において、子どもの意見があまりに聞かれていない。若者の意見を反映させる仕組みづくりが欠かせない」と強調しました。

しんぶん赤旗2025年4月5日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 三人の参考人の皆様、今日は大変ありがとうございます。脱炭素を進める上で、市民を含む地域社会が果たす役割の重要性であるとか、若しくはその各地域で脱炭素を進めることそのものの可能性について興味深くお話を伺ったところです。
 あわせて、皆様から御紹介あった気候市民会議のように、市民参加型でこの政策決定プロセスを取っていく、政策決定の過程から市民を巻き込んで取組を進めることの重要性についても大変大事だなと思ってお話伺ったところなんですが、そこで、三人の参考人の皆様全てに伺っていきたいと思うんですが、この気候危機、これは地球規模の課題であり、最もその影響、被害を受けるのは今の子供若しくは若者世代だと思っているわけですが、先ほどは、そういう子供たちに学校現場で教育、関心持ってもらう必要性というお話ありましたけれども、一方で、私はむしろ、その関心を持っている子たち、若い人たちはむしろ危機感を持って取り組み、声を上げようとしていると思うわけですね。
 そういう中で、例えば二〇二三年の国連子どもの権利委員会は、気候変動に焦点を当てた子供の権利と環境に関する一般的意見二十六というのを各国の子供たちの意見反映させながらまとめて、その政策決定プロセスにおいて子供たちの声を反映させる仕組みを設けるようにと各国に対して求めていますし、また、日本でもこども基本法が制定されて、その中で、子供施策について、ありとあらゆる子供施策に関して子供の意見を聞くようにということが定められたと承知をしているわけで、そういった観点から見て、やっぱり市民を巻き込むといったときに、若者や子供たちの意見をこの気候危機政策をつくる際に反映していく、政策決定プロセスへの若者、子供たちの参画をやはり保障していくということが重要じゃないかと私は考えているんですが、その点についてどうお考えか、皆様の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

会長(宮沢洋一君)

まず、森本参考人。

参考人(早稲田大学法学部教授 森本英香君)

先生おっしゃるとおり、環境問題というのは、基本的には将来の子供たちに影響してくるという意味で、子供たちの意見を取り入れるというのはとても大事だというふうに思います。
 昔のストックホルム会議、あるいはリオ・サミット、そのときも必ず冒頭で子供の発言があって、それをベースにしてまた議論すると、こういう慣例みたいなものがございます。そういう意味でいうと、まさに先生のおっしゃるとおりだというふうに思います。
 じゃ、それを実際にどうやって進めるかということになると思うんですけれども、もちろん地域という切り口もあると思います。あるいは学校という切り口もあると思います。私の知っているのでは、いわゆるCSOあるいはNGOというのがございますけれども、そういった方の取組と子供たちの取組を重ね合わせることによって、一言で言うと、子供たちの声だけでこのものが動くわけではないので、そういった市民の取組をエンカレッジするようなメカニズムというのは要るんだろうなというふうに思っています。
 私、済みません、また環境省の話して申し訳ないですけど、そういう視点はすごく取り組んでいまして、国連大学と一緒になってパートナーシッププラザをつくったりして、そういった努力はしています。
 実際、NGOもいろんなNGOがございますけれども、例えば海ごみ法なんかは、これはJEANというNGOが中心になって根回しをされて議員立法で作られたわけですけれども、そういった力をだんだんみんな持つようになってきましたので、そういった形、NGOばかりを強調しているわけじゃありませんが、学校、地域、あるいは企業もあろうかと思いますけど、そういう方が子供の声を聞いて、ある意味翻訳することも含めて取り組んでいくということが大事だというふうに思っています。

会長(宮沢洋一君)

続いて、磐田参考人。

参考人(芝浦工業大学副学長・システム理工学部教授 磐田朋子君)

ありがとうございます。
 私自身も若者気候市民会議とかに呼ばれてお話しさせていただいたりとか、クライメート・ユース・ジャパンという団体が、もう若者同士、今SNSの時代で、国の国境を越えて世界中でその若者同士がつながるネットワークなんかももうでき上がっているような状況ですので、そういった若者たちの声をできるだけそういった地域の施策だったり国の方針というところに反映できるような機会というものがやはり増えるべきだというふうには思っております。
 また、そこで、ただ一方で、施策への直接的な反映という点では、やはりそれなりに知識をインプットするということも重要かなと思っていまして、若者の目から見てもっと脱炭素化の速度を上げてほしいとかいろいろ声は聞かれるんですけれども、やはり脱炭素化をするに当たっても経済とのバランスが必要で、投資するお金がなければ脱炭素化も進まないので、そこのバランス、スピード感を若者たちとの対話を通して進めていくべきなのかなというふうに思いました。
 以上です。

参考人(株式会社日本総合研究所調査部長・チーフエコノミスト・主席研究員 石川智久君)

ありがとうございます。
 とても重要な視点だと思います。たしか、子どもの権利条約、日本批准して三十年ぐらいたっていると思うんですけれども、でも、結局、具体的な動きをしたのが本当にこの四、五年ぐらいということで、子供の権利ということが余り見てこられなかったというのはすごく問題だと思います。
 今、国全体として少子化対策をすべきという話があるんですけど、ちょっと子供の数ばっかり目が行って子供の権利ということが余り言われていないのは、ちょっと見ていて危ないなと思っているところであります。少子化対策はもちろん必要なんですけれども、それと同時に子供の権利をきちんと守っていくと。それによってその子供の、今小さな子供たちが健全な市民として育っていくという、そういうふうなことはしていくべきだというのはまず大前提としてありますと。
 その中で、やはり環境が維持されることが子供たちにとっても幸せであるというのはそのとおりでありますので、子供たちの意見をきちんと聞いていく仕組みというのはとても私は重要だと思っております。ただ、まだ海外では結構そういう子供の意見が聞かれているという話が世の中に知られていないのも事実ですので、まずはこれを多くの人に知ってもらうというところから始まっていくというのはあると思います。
 子供の意見を聞くというときには、その子供の意見をそのまま従うという意味ではなくて、大人と子供が真剣に議論をするということだと思います。そういうことができることがすごく大事ではないのかなと。先ほど教育の話もあったと思いますが、学校教育の場でもやはり子供と大人が真剣に議論して意見の合意を達成させると、それがやはり成熟した民主主義をつくっていくと思いますし、同時に環境問題も脱炭素も進んでいくのではないかなと思っております。
 以上です。

吉良よし子

ありがとうございました。
 やはり、今回のエネルギー基本計画第七次やNDCを決めるプロセスの中でも、若い世代が私たちの声が余りに聞かれていないという声を上げていたと承知しておりまして、やはりそういったプロセス、仕組みを整えることは大事だなと、皆さんの話を伺っても改めて思った次第です。
 時間がありそうなので、もう一問伺っておきたいと思います。

会長(宮沢洋一君)

三人は駄目ですよ。

吉良よし子

短めに、はい。 
 石川参考人に伺いたいと思います。
 先ほどお話の中で、脱炭素、公正な移行を進める上でやはり中小企業など対応が難しい企業が取り残されないように進めることが大事だというお話がありまして、これについて、二〇二四年版中小企業白書の報告を見ても、脱炭素に取り組む中小企業というのは二割程度にとどまっていると承知をしていて、どのように推進していいのか分からないとか、若しくは補助金や助成金が欲しい、情報提供が欲しいなどの声が上がっていると承知しているわけですが、こうした中小企業の取組を取り残さずに進められるようにするために政府としてどのような支援が必要だとお考えか、政府ができる取組ということですね、御意見をお聞かせください。

参考人(石川智久君)

非常に重要な視点だと思います。
 中小企業は、どうしても人材の問題や資金の問題もあるので、なかなか、脱炭素というのはなかなかできないと、それよりも目の前のお仕事をするのが大変になってくるので。そういう意味では、商工会議所とか、そういった商工会とかの知識を使ってアドバイスをしていくとか、あと、省エネとか脱炭素的なものについては政府の補助をしていくとか、そういった形をしていく必要があるのかなと。
 あと、大分、先ほど言いましたように、事業承継の必要性がある中小企業もたくさんあるので、そのときにうまくある程度サイズを大きくするような事業承継をしていって、それによって生まれた余力で脱炭素を進めていくということがとても重要になると思います。
 あと、基本的には、東京はすごく大企業が多いんですけど、地方に行けば行くほど中小企業が多いわけですね。例えば、東京のサラリーマンというのは大体半分ぐらいが大企業勤務なんですけれども、地方に行くと大体二割が大企業で八割が中小企業ということになっています。つまり、中小企業に対策するということは地方に対する対策にもなるので、そういう意味では、様々な政策そうなんですけど、中小企業対策とその成長戦略、中小企業対策と脱炭素対策をうまく掛け算していく、それが地方創生につながっていくということがとても重要だと思います。
 以上です。

吉良よし子

大変重要な御意見ありがとうございました。
 終わります。