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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

命と安全守る原子力規制を 参院調査会

要約

参院資源エネルギー・持続可能社会調査会は2月12日、原子力問題について質疑を行いました。日本共産党から吉良よし子議員が質問に立ち、日本原子力発電(原電)の東海第2原発(茨城県東海村)で繰り返される火災事故や、敦賀原発(福井県敦賀市)の審査書類への相次ぐ誤記などに言及し、規制のあり方を追及しました。

 吉良氏は4日に火災が起きた東海第2原発は2022年度から11回もの火災事故を繰り返していると告発し、茨城県と東海村から厳重注意を受け、再発防止策をまとめてもなお火災事故を繰り返す原電の資質が問われると追及。さらに原電の敦賀原発の設置許可申請の審査書類に1140カ所以上の誤記やデータ書き換えがあった問題も示し、「原電の原子力事業者としての適格性を厳しく問うべきだ」と強調しました。

 原子力規制委員会の山中伸介委員長は「意図的に書き換えが行われたことは確認できなかった」などと述べ、原電を事実上擁護しました。

 吉良氏は、規制委員会がまとめた「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム」報告書(案)は、自治体の懸念や不安の声に答えておらず、屋内退避の具体化は自治体任せだと批判。「住民の命と安全を守ることができない状況で、原発の再稼働や最大限活用などありえない」と主張しました。

しんぶん赤旗2025年3月3日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 初めに、私は、この二月四日に茨城県東海村にある運転停止中の東海第二原発において発生した火災事故について伺いたいと思います。
 この二月四日の火災については、中央制御室内の制御盤から炎などが確認された、すぐに鎮火もされたものだというお話ではあるんですが、この東海第二原発では、この火災のほかにも、二〇二二年度以降毎年のように、今数えてみましたところ、合計十一回、今回のも含めて十一回もの火災事故を繰り返していると。
 そういう中で、茨城県と東海村は二〇二三年の十一月時点にもう既に、繰り返されている火災について日本原子力発電、日本原電に対し厳重注意を行い、原因究明と再発防止対策を求めていたわけです。日本原電側も、それを受けて火災を防ぐための対策というのを昨年五月には取りまとめていたというわけですが、それでも、この二〇二四年末も含め、またこの二月も含め火災が起きたと。
 規制委員長に伺いたいと思うんですが、この東海第二において繰り返し火災が起きている、このことについては重大な問題だという認識ありますか。

政府特別補佐人(原子力規制委員会委員長 山中伸介君)

お答えいたします。
 委員に御指摘をいただきましたように、二月の四日に発生をいたしました東海第二発電所の中央制御室における移動式炉心内計装制御盤からの火災につきましては、事業者において迅速な消火が行われ、原子力安全に直接影響を及ぼす事案ではございませんでした。
 一方、当該原子力発電所では、非管理区域での火災も含めて、二〇二三年度から先週までに発生したものを含めて八件の火災が発生していると認識しております。特に、今回は中央制御室という重要な施設での火災ですので、極めて私自身重要視しているところでございます。
 原子力規制委員会では、本件に関わる事業者による原因究明の妥当性及び火災事案に対する発生防止策の有効性等について、原子力規制検査の中で厳正に確認してまいる所存でございます。

吉良よし子

先ほど八件とありましたけど、二〇二二年度に三回、二〇二三年度に五回、二〇二四年度で今回のも含めて三回ということなので合わせて十一件だと認識をしておりますが、二〇二三年の東海村からの厳重注意では、管理体制の改善が実質的に機能していない、防火に対する貴社、日本原電の組織風土に問題があると判断せざるを得ないとあり、同じく二〇二三年の茨城県からの厳重注意では、県民の原子力事業所に対する信頼を大きく損ねると指摘をされているわけです。
 そういう指摘を受けてもなお今回のような火災事故が起きている。先ほど重要視しているという御答弁はありましたけれども、私、これは、こういう火災を繰り返していること自体が、原発の安全守るべき事業者として資質が問われる問題じゃないかと、その原発事業者としての適格性があるのかということを規制委員会として厳しく問うべき局面に来ているのではないかと思いますが、もう一度、委員長、いかがでしょう。

政府特別補佐人(山中伸介君)

本日の原子力規制委員会の中でも、委員何名かから、今回の案件については、極めて重要な案件であるという意見もいただいておりますし、私自身もそういう認識で発言をいたしております。
 今後、検査の中で事実確認あるいは原因究明、再発防止策等を確認した上で、委員会で改めて議論をしてまいりたいというふうに思っております。

吉良よし子

本日の委員会でもそのような発言が多々あったということですし、やはりこの茨城県若しくは東海村からの指摘からも、そういう住民の信頼を損ねているのは明らかなわけで、その点を踏まえて、やはり資質の問題だと、原発を運営する事業者としての資質の問題が問われているんだという点で見ていただきたいと思うんです。
 しかも、私、指摘したいのは、この日本原電の問題というのは東海第二原発だけにとどまらないと。同じく日本原電が保有する敦賀原発については、先ほども報告がありましたけれども、規制委員会が昨年、設置変更許可申請、二号炉については許可しない判断をされたわけです。この理由というのは、原発建屋の真下にあった破砕帯というのが活断層に連動している可能性を否定できなかったからということだと聞いているわけですが、そもそも、その審査結果に至る前、日本原電がこの敦賀原発二号炉についての設置変更許可申請出してから、その審査が始まった当初から、その審査資料に合計で千三百か所以上の誤り、誤記があったことが次々と判明をして、さらにデータの書換えもあった、そういう問題が審査会で指摘されて審査も中断などもしてきたと。このこと自体、もう日本原電の不誠実さ、信頼性のなさを示す問題だと思うわけですね。
 やはり、そういう意味では、規制委員長、こうした誤記やデータの書換え、繰り返された時点で、もう敦賀原発の審査をやめるとか、もう不許可の判断をするということもあったのではないかと思うんですが、いかがですか。

政府特別補佐人(山中伸介君)

お答えいたします。
 新規制基準への適合性に関わる審査では、データ等に基づく事業者の評価結果の妥当性を技術的な観点から審議を行うということを大前提として、審査資料の信頼性が確保されることが必要でございます。
 したがいまして、ボーリング柱状図の書換え等の問題が確認された時点では、委員に御指摘いただいたような日本原電の資質を問うということよりも、審査資料の信頼性が確保されるということを原子力規制検査を通じて確認することといたしました。
 その後、約二年にわたる原子力規制検査によって、日本原電の審査資料の作成に関しまして、トレーサビリティーが確保されていること、判断根拠を明確に示すようになったことなどの業務プロセスの改善がなされたことなど、信頼性が確保できる見通しが確認できたことから、原子力規制委員会において審査の再開を決定したところでございます。

吉良よし子

二年にわたってその確認をして、トレーサビリティーして信頼性を確認してという作業をやってあげたと。私、本当に優し過ぎるんじゃないかと思うんですよね。
 問題となった、今回の不許可となった活断層の審査結果について読んでみても、日本原電によるその断層の評価結果について信頼性が乏しいということを規制委員会御自身が断じていらっしゃるわけで、そもそも誤記を繰り返し、資料の書換えまでがあったと、そしてその断層の決定的な評価に関しても信頼性が乏しいと言わざるを得ないような状況の資料しか出せなかったのが日本原電なわけで、やはりそういう意味では本当に原発を稼働する資格に欠けていると言わざるを得ないわけで、やはり、そういう二年にもわたって確認をしなければならないような多数の誤記であったり書換えがあった、やっぱりその時点で申請そのものを受け付けない、そうやるべきだったのではないですか。もう一度、規制委員長、いかがですか。

政府特別補佐人(山中伸介君)

先ほどお話をさせていただきましたように、二年間にわたる原子力規制検査によって、事業者の調査結果の聴取あるいは審査資料作成当事者へのインタビューなどを通じて確認した結果、意図的に審査官を惑わせるような目的で審査資料の書換えが行われなかったということ、書換えが行われたということは確認できませんでした。こうした原子力規制検査の結果を基に規制委員会で議論した結果、日本原電に対する審査を再開したところでございます。

吉良よし子

意図的でなかったにせよ、やはりそういった大量の誤記があった信頼性のないデータしか示せなかった、そういう不誠実な、信頼できない事業者だったと私は思うわけですね。
 しかし、そういう事業者であったとしても、申請があればそうやって規制委員会では審査を続けるしかないという、そういう仕組み自体が私は問題だと思うわけで、やはり本当に原発事故を起こさない、事故による住民の命や安全を脅かすようなことをさせないんだと、事故から住民の命や安全を守るんだということであれば、そういった事業者の適格性、資質というところを事前にちゃんと的確に判断をして、その時点で不許可という判断をするということもあってもいいし、それぐらい厳しい役割を果たすことが規制委員会に求められているということを私は強く指摘したいと思います。
 その上で、活断層に関する規制基準についても伺っていきたいと思うんですが、敦賀原発の場合、さっき確認したとおり、建屋の真下にある破砕帯が活断層に連動している可能性があったから不許可ということなんですが、じゃ、その活断層が建屋の真下になかった場合というのはどうなるのか、規制庁、お願いします。

政府参考人(原子力規制委員会原子力規制庁原子力規制部長 大島俊之君)

お答え申し上げます。
 ただいま御質問ありました活断層、新規制基準におきましては将来活動する可能性のある断層ということになっておりますので、それを活断層ということでお答えを申し上げます。
 御質問にありました点につきましては、新規制基準におきましては、耐震重要施設又はこれを含む建物等の立地する地盤が変位を生ずるおそれがないことということを要求しております。この変位を生ずるということについて、建屋の直下に活断層があるかないかということを確認をし、設置許可申請上必要な判断をしているということでございます。
 この活断層につきましては、変位のみだけではなくて、敷地の中及び敷地の周辺で活断層が見られるかどうかということを調査をした上で、それに基づいて地震に関する評価をしなければございません。具体的には、基準地震動というものを定めまして、その基準地震動の結果として原子炉施設の安全性が確保されているということを要求をしております。この両方にわたって基準適合性を認めた場合には許可を行うという判断をしていくということでございます。

吉良よし子

端的にお答えいただきたいんですね。
 その活断層が建屋等の重要施設の真下になかった場合は、そこの時点では不許可にはならないということでよろしいですか。

政府参考人(大島俊之君)

新規制基準上は、建屋の直下にない場合にはほかの基準の適合性を見るということで、直ちに不許可ということではございません。

吉良よし子

というわけで、つまり、その活断層と思われる断層があったとしても、それが建屋等からちょっとでも離れていれば、その時点で不許可という判断には直ちにはならないということなんですよね。本当にそれでいいのかということが問われると思うんですよ。
 ここで確認したいと思うんですけど、やっぱり本当に想定外ということが様々起こり得ると思うんです。
 例えば、能登半島については、能登半島地震の震源断層というのは、半島の南西側から北東の佐渡島方向に伸びる長さ約百五十キロに及ぶ複数の断層帯が連動されたとされているわけですが、これは昨年の能登半島の地震以前に想定されていたことなのかどうか、規制委員長、いかがですか。

政府特別補佐人(山中伸介君)

お答えをいたします。
 原子力発電所の敷地及び敷地周辺の断層につきましては、詳細な調査を基に活断層を抽出して地震動評価を行っております。断層の連動も含めて新規制基準適合性審査の中で確認することとしております。
 御指摘の令和六年能登半島地震の震源断層につきましては、能登半島地震発生以前から産業技術総合研究所、産総研による調査によって複数の断層が存在することが確認されておりました。志賀原子力発電所二号炉における審査においても、断層の連動について議論をしていたところでございます。
 令和六年能登半島地震では、その審査の最中に発生したものではございますけれども、原子力規制委員会としては、能登半島地震の震源断層に関わる知見も追加的に考慮して、審査の中で厳正に確認をしていく予定でございます。

吉良よし子

これも端的にお答えいただきたいんですけど、それ百五十キロに及ぶ複数の断層帯が連動した、このことは地震前に想定されていたことなのかどうなのか、お答えください。

政府特別補佐人(山中伸介君)

お答えをいたします。
 志賀原子力発電所二号炉においては、新規制基準適合性に関わる審査を行っているところでございます。現在、敷地周辺の断層評価については確認を行っているところでございます。
 能登半島北部沿岸域の断層帯の断層の長さについては、志賀原子力発電所二号炉の設置変更許可申請書では九十六キロと評価をされております。審査会合では、断層の長さや連動に関する北陸電力の説明の科学的、技術的妥当性について議論をしていたところでございます。
 原子力規制委員会としては、令和六年能登半島地震の震源断層に関わる知見についても追加的に考慮して、審査の中で厳正に確認していきます。

吉良よし子

つまり、地震前は九十六キロと言っていたものが、実際には百五十キロだったということでは想定外のことが起きたんだということなわけですね。
 今、規制委員長はそうしたことも踏まえて審査をしていくということはおっしゃっているわけですけれども、やはりそうした想定外のことが起き得るということを踏まえて、断層についての判断も建屋の下にあるかどうかだけを見るとかではなくて、やはりちゃんとそういう様々な想定外を想定した新規制基準へと見直しすることが私は必要だということも強く指摘しておきたいと思います。
 話変わりまして、もう一点、原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム報告書案についても伺いたいと思います。
 この屋内退避の中間まとめについては、自治体から懸念や不安の声が上がっていました。例えば、複合災害時、屋内避難はどうなるのかと、家屋倒壊などで屋内退避が難しい場合、どうやって避難するのかなどの具体策がないという声なわけですね。
 これに対する今回の報告書の回答というのは、自然災害リスクが高い場合は、まず自然災害に対する指定避難所などへの避難、その後に原子力災害に対する避難、その指定避難所などでの屋内退避が難しければ、UPZ、緊急防護措置の準備区域外への避難をするんだという、そういうプロセスが書かれているわけですが、これで先ほどの中間まとめに対して出された自治体からの懸念というのは払拭されたとお考えなのか、これで各自治体は屋内退避、具体的に実行できるようになるということなんですか。規制委員長、いかがでしょう。

政府参考人(原子力規制委員会原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官 児嶋洋平君)

まず、規制庁の方からお答えいたします。
 御指摘の中間まとめに対しましては、まず自治体に意見照会を御案内のとおり行いまして、そこで出た意見や質問を反映した報告書案とQアンドA案を事務局として作成し、去る二月五日の検討チーム会合で公開したところでございます。そして、現在、それらにつきましても改めて自治体への意見照会を行っており、そこで出た質問、意見を踏まえまして、必要に応じて更なる反映を行う予定でございます。
 その結果でき上がった報告書又はQアンドA案につきましては、複合災害への対応を含めまして、従来より自治体が懸念や不安を感じていた原子力災害時の具体的な対応につきまして、規制委員会の考え方がより自治体に理解される効果があると考えておりまして、結果として、それにより屋内退避の実効性も向上するものと考えております。

吉良よし子

要するに、避難の実行を具体化というのができるという御回答ではなかったと思うんですね、向上すると思いますと。つまりは、最終的にこうした屋内退避を含めて実行するのは自治体であり、やるのも自治体であり、考えるのも自治体であり、全部自治体任せということで。しかも、この報告書というのは、各自治体で自然災害対策が十分にできている、これを前提にしたもので、本当にこれで屋内退避というのができるのかという懸念は払拭されていないと思うんです。
 能登の場合は、避難所も不足して、備蓄物資も不足していたと。それに加えて、長期にわたる断水、支援物資などが届かない。とてもじゃないけど、屋内退避できる状況ではなかったわけですし、じゃ、域外に避難するといっても道路寸断でできる状況ではないと。そういった問題をどうクリアするのかという具体策がなく、とにかく自治体任せでは住民の命や安全守れないのではないかと思うわけですが、こういう状態のままではやっぱり私は原発再稼働などあり得ないと思うんですけど、規制委員長、そういう各自治体でちゃんと具体的な屋内退避の計画ができるまで、もっと言えば、その前提となる万全な自然災害対策、備蓄も含めてですね、それらがちゃんとできるようになるまでは、その自治体にある、若しくはその自治体に隣接する原発再稼働はやっぱり私認めるべきじゃないと思いますが、委員長、いかがですか、最後。

政府特別補佐人(山中伸介君)

今回の能登半島地震の教訓として、やはり自然災害に対する防災の強化というのが必要であるというふうに認識をしております。避難所の耐震性の強化、あるいは避難道路の強化、あるいは避難手段の強化というのは、原子力災害が生じた複合災害においても必要だというふうに認識しております。
 国と自治体協力しながら、関係省庁と原子力規制委員会、十分に連携をして今後対応していきたいというふうに考えております。

吉良よし子

連携して対応するというのはいいんですけれども、やはり、いざというときに命が守られない、安全が担保されない状況で原発を再稼働していくとか、ましてや最大限活用していくなんというのはあり得ないと思うんですよ。絶対に住民には理解できないことだと思うわけです。
 やはり、こういう状況で原発再稼働をどんどん進めていくとか最大限活用なんというのはあってはならないということを申し上げて、質問を終わります。