災害時にも力発揮 再エネ普及は市民、地域主体で 参院エネ調査会で参考人
要約
参院資源エネルギー・持続可能社会調査会は2月5日に「エネルギー安全保障の確立にむけた方策」をテーマに参考人質疑を行い、日本共産党から吉良よし子議員が質問しました。
吉良氏は、エネルギー安全保障、脱炭素を進めるには、再生可能エネルギーの普及が重要だと述べた上で「市民、地域主体の再エネ普及でこそ、地域振興につながるのではないか」と質問。浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)の寺崎正勝理事長は「再エネは地域、住民の信頼を得てこそ開発できる。海中設置のコンクリートに付着する海藻に魚たちが集まり、新たな生態系をつくり漁業が振興した例などもあり、地域の雇用創出や地元振興に貢献できる」と答えました。
吉良氏は、災害時の電力確保に再エネが果たす役割についても質問。東京大学大学院レジリエンス工学研究センターの小宮山涼一教授は、非常時の電源の安定供給には、自治体の建築物や住宅での積極的な太陽光発電や蓄電池利用を促進する政策が必要だと述べました。
寺崎氏は、災害非常時の送電が技術的にも可能な風力発電は、災害時に安定性、安全性を発揮できるなど、再エネが持つ可能性を評価しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
三人の参考人の皆様、今日は本当にありがとうございます。
初めに、私は寺崎参考人から伺っていきたいと思うんですけれども、先ほど来の議論の中ではやはりエネルギーの安全保障、そして脱炭素、両方進めていくことが大事というお話があり、またその中で再エネということが本当に重要な位置を占めるというのは、参考人の皆様共通の御認識だったのかなと考えるわけです。その中で、寺崎参考人からやっぱり浮体式洋上風力の可能性、期待ということが語られて、非常に私も面白く、またこの中で日本の風土に特化した技術開発を進めていく可能性もあるということは本当に期待を持ってお話を伺った次第です。
その中で、この間、私、この調査会で様々な参考人の皆さんから、この再エネの普及に関わって、やはり自治体や地域、市民主体で進めることが地域振興、活性化につながるんだということもるる語られたと記憶しているんですが、寺崎参考人の資料の中でも、この浮体式洋上風力が地域振興にも期待されるということが書かれておりました。是非、この地域振興にどのように貢献できていくのか、具体的な中身というのをお話をいただきたいなと思います。
あわせて、その地元の住民の皆様、漁業関係者の皆さん、地域共同でやってこそ普及ができるのじゃないかと思いますけれども、その可能性についてもお話しいただければなと思います。お願いいたします。
参考人(浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA) 寺崎正勝君)
御意見ありがとうございます。また、御質問ありがとうございます。
地域振興、特に私、これまでいろいろな電源開発に取り組んでまいりまして、一番気に掛けておりますのがこの地域。やはり、再生可能エネルギーというのは、海でありましたり山でありましたり、森でありましたり川でありましたり、地元の宝物を使わせていただくものでございます。この地元の宝物をよその者が使うわけなんですね。そこを、例えば所有権を持ったから、又は権利を取ったから勝手に使っていいという代物では決してないというふうに思っております。ここのやはり地域、住民の方々の信頼を得て初めて開発できるものが再生可能エネルギー。私よく使う言葉でございますけれども、法にかない、理にかない、そして情にかなわなければならないと、いつもその気持ちを念頭に置いて電源の開発を行ってきたところでございます。
この洋上風力でございますけれども、まず海の中に物を造りますので、その海域の近くに拠点をつくらなければなりません。で、ここに部品を置いたり、又はメンテを行う人たちが常駐いたします。大体数十人規模になります。当然ながら、そこは海でございますので船で行く形になりますので、港の近くになってまいります。こうしたことから、地元のところにそういう拠点をつくるということで、全てではございませんけれども、専門的な技術等も必要になりますけれども、やはり簡単な技術で雇用の面で一つ貢献できる。
それから、設備ができますので、当然ながら、固定資産税という面で、地元にそれだけの設備投資、これまで大きな工場は来なかったけれども、再生可能エネルギーが来たことによって固定資産が相当増えた自治体さんもございます。
さらには、海の中に造るということで、特に鉄とかコンクリートといったものは非常に海藻が付きやすい、海藻が付くことによりまして魚が寄ってまいります。小魚が最初に寄ってくるんですけれども、その小魚を目掛けて大きな回遊魚が寄ってくるということで、漁業の振興にもつながる。もちろん、海底に又は鎖等でつなげるもののところでは漁はできませんけれども、新たな生態系をつくることができます。
こういった形で漁業の振興にもつながるといったところもございまして、さらにはサプライチェーンの面でいえば、これまで造船業に携わる方々、仕事が減っているというお話を聞いたり、特に中小企業の工場でございます、ここが一番私心配しているところでございまして、こういったところに少しなりともお仕事が回るようになってまいります。
例えば、私がやりました北九州の響灘でございますけれども、一度、そういった直接的に建設に関わっていらっしゃる方々もいらっしゃれば、関わっていない方もいらっしゃいます。とりわけ、これは北九州市での出来事でございますけれども、地元の中小事業主の集まりに参加をさせていただきまして、その懇親会のときに、旅館業とかレンタカー業とかクリーニング業をされている経営者の方々から、自分たちには関係ないんだよねというふうにおっしゃられました。
ところが、建設が始まるということは、人がそこに集う形になります。人が集うということは、そこで衣食住のいろいろな要素が必要になってまいります。例えば、これだけの規模のものを建設しようとすると、延べでございますけれども数十万人の人間が必要になってくるわけでございまして、それだけ、例えば建設期間中であれば、お昼のお弁当とか、さらにはクリーニング、泊まるところも必要になってくるという形で非常に裾野が、連関的に直接投資から間接投資の方に裾野が延びてくるという形で地元が振興していく。
さらには、それは建設時でございますけれども、建設終わった後でも始終メンテが必要になってまいりますので、先ほどのようなお仕事も出てくるということでございますので、そういった意味での地域貢献、それからそれを核とした活性化ということにも期待ができるのではなかろうかと思っているところでございます。
以上でございます。
吉良よし子
非常に多岐にわたる効果があるのだなと、お話聞いて、楽しく伺いました。雇用から税金、そして新たな生態系の創出、漁業にも貢献もしていくし、そして裾野が広がっていくということは、やはり本当にこの再生可能エネルギーのポテンシャルという可能性の広がりを感じるものです。
あわせて、次に小宮山参考人、そして寺崎参考人にももう一度お伺いしたいと思うんですけれども、小宮山参考人は、最初のお話の中で地域のエネルギー安全保障という話で、やはり災害時のときのエネルギー安全保障が大事というお話があったんですけれども、やはりそうした際の、災害時の電力確保といったときに、やはり私はこの再生可能エネルギーこそその役割が果たせるのではないかと思うわけですけれども、その災害時における再エネの役割についてどうお考えかということを、小宮山参考人、そして寺崎参考人、それぞれお話伺えればと思います。お願いいたします。
会長(宮沢洋一君)
申合せの時間がかなり近づいておりますので、短めに御答弁をお願いをいたします。
参考人(東京大学大学院工学系研究科附属レジリエンス工学研究センター教授 小宮山涼一君)
はい。
御質問ありがとうございます。
全く賛同するところです。自治体でも、特に建築物や住宅、やはり積極的に太陽光発電、さらに、そうした強靱、非常時の安定供給を高めるためには、蓄電池のようなやはり広がりのある投資を促進するような政策なんかが大事ではないかというふうに考えております。
以上でございます。
会長(宮沢洋一君)
続いて、寺崎参考人。
参考人(寺崎正勝君)
私は、災害時の面に特化して御回答申し上げたいと思います。
災害時には、こうした浮体式にしましても着床式にいたしましても、系統から切り離して電気を例えば港湾エリアとかいわゆる重要なエリアに特別に送るということも技術的に可能でございます。こういった面でも、風さえあれば電気を生むわけでございますので、そういった形でも災害面でもよりレジリエンスは上がってくるんじゃないかというふうに考えております。
以上でございます。
吉良よし子
大変参考になるお話ありがとうございました。上野参考人、お時間なくて伺えなくて申し訳ありません。
終わります。