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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

大学入学金廃止求める 参院予算委

要約

日本共産党の吉良よし子議員は、14日の参院予算委員会で、大学の高い入学金や学費について「学生に負担を押しつけるのではなく、教育予算を増やして教育無償化をめざすことが政府の責任だ」と強調しました。

 吉良氏は、大学の入学金は日本独自の学生納付金で、韓国にも同様の制度があったが2023年に廃止されたと指摘。「入学金は国立で28万円、私立で24万円もの額になる。大きな負担であり、入学しなかった大学にも支払っている」と指摘しました。

 吉良氏は、入学しない大学にも入学金を支払う「二重払い」を受験生の約27%が経験し、入学金を考慮し受験する大学を諦めた人を含めれば4割が当事者だとの「入学金調査プロジェクト」の調査を紹介。入学金を理由に受験を諦めた学生の声を示し、「受験機会の不平等を生む入学金は廃止して、学生の学問の自由を保障すべきだ」と迫りました。

 石破茂首相は、多子世帯への支援を行うと答えるにとどまりました。

 吉良氏は、高すぎる学費が学びの機会を奪っていると指摘。「2月に多くの学生が国会に駆けつけ院内集会を行い『値上げを止め、学費値下げに予算を』と求め、キャンパスから去るしかないという学生がいると訴えた」と紹介。「学生たちの願いに応えて値下げのための予算措置を行うべきだ」と迫りました。

 石破茂首相は「あってはならない」としつつ、「大学独自で減免などの措置を講じてもらいたい」と大学に責任転嫁。吉良氏は、国連の核兵器禁止条約第3回締約国会議では軍縮させることこそが世界の安全保障につながると議論されたとして、「25年度予算案は教育予算の2・1倍にのぼる軍事費ではなく教育・暮らしの予算を増やして学費無償化をめざすべきだ」と強調しました。

議事録

吉良よし子

それでは、質問変えまして、大学の入学金について伺っていきたいと思います。
 今三月ですが、四月の新学期を前に、今まさに入試、入学準備、諸手続など、進学準備をしている皆さん、少なくないと思うわけです。その中で大きな負担となっているのが入学金だと思うんですね。
 この入学金制度というのは、今世界の中で日本のほかに例がない制度で、同様の制度のあったお隣韓国では二〇二三年に既に廃止をされたとのことなんです。そのほか、登録料などのようなものもあるわけですけど、もうそれは本当に事務手続のような金額になっているわけで、この日本独自の制度と言える入学金、これは、学生受入れのための事務費用とともに、その大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質があるというふうに言われているわけですけれども、しかしこの金額は本当に高いんですね。
 私立大学では平均で二十四万八百六円も掛かると。国立大学ではその私立の平均よりも高い二十八万二千円の設定をされているわけですけれども、二〇二二年六月三日の予算委員会で我が党の山添拓議員がこの問題を取り上げて、国立大学のこの入学金の額について、なぜ二十八万円も掛かるのかと質問いたしました。その当時、末松文部科学大臣は、一遍調べてみたいとお答えになったわけです。
 文科大臣、その後、この件について調べたのか、一体何に使っているのか、お答えください。

委員長(鶴保庸介君)

あべ文部科学大臣、立たなくても大丈夫ですよ、見えています。

国務大臣(文部科学大臣 あべ俊子君)

二〇二二年六月、国立大学の入学金の使途について、当時の文部科学大臣、一遍調べてみたいと答えております。御指摘の国会でのやり取りを踏まえまして、当時、事務方において幾つかの国立大学に聞き取りを行ったところでございます。
 具体的には、入学式の実施、入学に必要な書類の作成や取りまとめなどの事務、入学後に行われる健康診断の実施、学生証の発行などの経費に充てられているものと承知をしております。

吉良よし子

入学式、事務手続、学生証の発行、健康診断の実施、まあどれも当然入学の際に必要なものではありますけれども、それだけで二十八万円にもなるのかという問題だと思うんですよ。余りに高過ぎるんです。
 国立二十八万円、私立二十四万円なわけですけど、これ人によっては一か月分の給料にも相当する額なわけで、これ一気に支払うというのは大きな負担だと思うんですけど、総理、これ重い負担だという認識ありますか。

国務大臣(あべ俊子君)

委員にお答えいたします。
 大学の入学金におきましては、関係法令等に基づきまして、各大学の設置者において適切に設定いただいているものと認識をしております。
 その上で、私立大学の入学金の平均額につきましては平成十一年以降減少傾向にあるところでございまして、この推移に関しましては、平成十一年二十九万八百十五円であるところが、令和五年におきまして二十四万八百六円となっております。
 また、大学教育を受けるに当たりまして学生が負担するものといたしましては入学金のみならず授業料等もありますが、我が国の学生が負担する経費について、総額といたしましては諸外国に比べて一概に高いとは言えないと考えております。

吉良よし子

いやいや、かなり高いんだという認識持っていただきたいですし、入学金制度あるのは、先ほど申し上げたとおり、日本だけですからね。かつ、授業料は高過ぎるというのはこの後取り上げますけれども、入学金というのは入学する大学にだけ払うわけじゃないんです。入学金二倍支払うような例もまれではなくて、第一志望の大学の合格発表より前に第二志望の入学金支払期限があった場合、その第二志望の大学の入学資格を保持するために入学しない大学にも入学金払わなければならない、そういうケースは多くあるわけです。
 パネル御覧ください。(資料提示)
 これ、全国大学生協連の調査、保護者に聞く新入生調査で、受験から入学までに掛かった費用の総額です。合計で百八十五万五千二百円。これ見ても高いと思うんですけど、うち入学した大学への納付金は七十万円程度ですが、それに次いで二番目に多いのが入学しなかった大学への納付金、つまりこれ入学金ですよね。入学しなかった大学への入学金の支払が大きな割合を占めていると、これ異常だと思うわけですよ。これ、この大学に入らなかったとしても返還すらされないと。
 これ、余りに理不尽だと思うんですけど、文科大臣、このように入学金を入学しない大学に支払っている学生というのが一体どの程度いるのか御承知ですか。

国務大臣(あべ俊子君)

民間団体が実施をいたしました調査におきまして、複数大学を合格した場合にいわゆる入学金の二重払いを経験した大学生について調べた調査結果があることは承知をしております。
 大学の入学料につきましては、関係法令等に基づき各大学の設置者の判断により徴収されているものでございまして、また、最高裁の判決におきまして、大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金につきましては、納付後に入学辞退をしても大学は返還義務を負わないとされているというふうに承知をしているところでございます。
 文部科学省といたしましては、学生の負担軽減を図るため、各大学に、入学料を始めとした学生納付金について額の抑制や分割納入等の措置を積極的に講ずるよう要請しているところでございまして、引き続き、入学料を始めといたしました学生納付金に関する柔軟な配慮を促してまいります。

吉良よし子

いや、聞いたことに、聞いていないことに答えないでください。聞いたことに答えてください。
 民間の調査があると大臣おっしゃいました。これがこちらです。入学しなかった大学にも二重払いをした学生の割合、この民間の入学金調査プロジェクトの皆さんの調査によると、二七・〇%いるわけです。さらには、この二重払いを考慮してそもそも受験する大学を諦めた、そういう人も含めれば四割の人がこの二重払いの当事者だと指摘をされているわけです。
 入学金調査プロジェクトの皆さんがこの調査実施したきっかけというのは、ある受験生が、本当は、ここ、この大学も受験したいけど、合格したら入学金払ってなんてお母さんに言えないという言葉だったというんですね。そして、その受験生は、その入学金を理由にして、受けたかった大学の受験を諦めたと。これは、受験機会の不平等であり、入学金が学生の学問選択の自由を奪っているということにほかならないと私思うわけです。
 総理、こういう入学金の二重払いを解消する、そして、受験機会の不平等を生む入学金、もうこれは廃止するしかないと。入学金廃止して、学生の学問の自由、保障すべきと思いますが、いかがですか。

委員長(鶴保庸介君)

コンパクトにお願いします、あべ大臣。

国務大臣(あべ俊子君)

所管担当からまずお答えさせていただきます。
 繰り返しになりますが、入学金につきましては、学生の入学に当たっての経費等に充てられているものと承知しておりまして、関係法令等に基づきまして各大学の設置者において適切に設定いただいているものと認識しておりまして、また、文部科学省といたしましては、国立大学法人運営費交付金、また私学助成などのこの機関支援と給付型奨学金等の個人支援の両者を組み合わせながら予算確保に取り組むことが重要であるというふうに考えておりまして、令和七年度予算案におきまして、国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金の基盤的経費、低所得者世帯や多子世帯の学生等の授業料、入学金の無償化等、必要な予算を計上しているところでございまして、引き続き、高等教育費の負担軽減に取り組むとともに、大学の実情を把握しながら、各大学が安定的、継続的に人材の育成また教育研究を実施できるよう支援してまいります。
 以上でございます。(発言する者あり)

委員長(鶴保庸介君) 

石破内閣総理大臣。あべ大臣、ちょっと注意させてください。

内閣総理大臣(石破茂君)

失礼いたしました。
 今大臣から御紹介を申し上げましたが、最高裁の平成十八年十一月二十七日の判例はこのように述べております。入学金は、その額が不相当に高額であるなど、ほかの性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価、対価としての性質を有するというものであり、その大学が合格した者を学生として受け入れるための事務手続等に要する費用にも充てられると。こういうような法的な位置付けもなされておりますし、その中身はそういうことだというふうに最高裁は述べておるところでございます。
 そういうふうに私ども認識をしておりまして、各大学の設置者が適切に判断をするというふうなものでございますが、政府といたしましては、本年度から入学金、授業料などの減額の対象を多子世帯の中間層に拡充する、令和七年度から無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすというような法案を今国会に提出をして、御審議をいただきたいと思っております。この法案の早期成立に努めてまいる所存でございます。

吉良よし子

入学金の二重払い若しくは入学金によって受験機会を喪失している学生は多子世帯だけではないんですね。だからこそ、入学金を廃止してほしいと、入学金そのものをなくしてほしいということを言っているわけですが、全くその声にお応えにならない。余りに冷たいと言わざるを得ないと思うわけです。
 これ、受験機会の不平等だけではありません。そもそも今高過ぎる学費、それがどんどん値上げされている、これが大学での学びの機会をも奪っているということを申し上げたいと思うんです。
 この値上げに対して、今学生たちが抗議の声を上げています。二月十三日、多くの学生たちが国会に駆け付けて学費値上げ反対の院内集会が開催されて、全国百二十一の大学、大学院、高専、その有志の皆さんが、値上げを止めて、学費値下げ、無償にしてほしいと、その予算を付けてほしいと、政党そして文科省にその要請文を手交したわけです。
 この集会には、残念ながら自民党、公明党、そして国民民主党が参加していなかったわけですけれども、全ての国政政党は教育無償化、負担軽減、公約に掲げていたはずで、やはりこういう現場の学生の声にちゃんと耳を傾けてほしい、総理にもちゃんと耳を傾けてほしいと思うわけです。
 集会で上げられた学生の声というのはどれも切実でした。そもそも現行の五十三万円の学費が高過ぎる、バイトに追われて授業に出られない、悪循環になっている、修学支援新制度は手続が負担で区分も厳しくて支援になっていないという声、そして学費が払えずに既にキャンパスから去るしかなかった友人がいると涙ながらの訴えもあったところです。
 総理、こうして学費が高過ぎてキャンパスから去るしかない学生がいる、学費のせいで学問の機会が奪われる、これはあってはならないと思うんですね。この学生たちの願いに応えて学費の値上げを止める、値下げに踏み出して無償を目指すための予算措置、直ちに踏み出すべきではないですか。これは総理、お答えください。昨日文科大臣はもうお答えいただきましたので、総理、お願いします。

内閣総理大臣(石破茂君)

経済的な理由で教育が受けられないということはあってはならないことだと私は思っております。
 ベースとなります授業料の減免ということは講じておりますが、仮にそれぞれの大学が授業料の引上げを行う場合には、大学独自で授業料減免の対象を拡大するなど、低所得の御家庭の学生さんへの配慮、支援も併せて講じてもらいたいというふうに考えておるところでございます。
 先ほど最高裁の判例を御紹介申し上げましたが、それが一体何の対価であるのか、その中身は一体どのように使われておるのかということは文科省も適切に把握をしておるかと思いますけれども、委員、ですから、委員の御指摘で、本当にそういうような、入学金を払ったんだけれどもそれは一体何なのというようなことがないように、少なくともそういう疑念が抱かれることがないように、私自身、文科省によくお話をして、実際に把握をしたいと思っております。

吉良よし子

いや、入学金についてのお話が最後ありましたけど、授業料については、学費のことで経済的困難で通えないことあってはならないと言いつつも、説明責任さえ果たせばもう値上げしてもいいんだと、そういうことをおっしゃっている。これは私、問題だと思うんですね。やっぱり、そうじゃなくて、ちゃんと教育予算増やして、そして学費値上げしなくても済むようにしなきゃいけない、それが政府の責任だと。
 今、教育予算、なかなか政府は増やさないわけですけど、一方で軍事費はどんどん増やしているわけです。二〇二五年度予算で八・七兆円、教育予算の二・一倍です、二・一倍になるわけです。
 私、先日、ニューヨークの国連本部で行われた核兵器禁止条約第三回締約国会議に参加してまいりました。この国連での議論では、核兵器廃絶含め、軍縮を目指すことこそが世界の安全保障につながるんだという議論がされていました。こういう世界の議論を踏まえれば、日本でも軍縮を進める、軍事費増やすんじゃなくて教育予算など暮らしの予算を増やすことこそが必要じゃないかと、そうした教育無償化を目指すということを申し上げて、質問を終わります。