子どもには休む権利 参院委 不登校巡り支援迫る
要約
日本共産党の吉良よし子議員は9日の参院決算委員会で、子どもの不登校が41万人を超え、子どもも保護者も「学校を変えてほしい」と求めているとして、教育政策の大転換が必要だと主張しました。
吉良氏は、2024年度の不登校は小中学生34万6482人、高校生を含めると41万5252人に上ると指摘し、心が傷つき苦しむ子どもたちに「つらいときには学校を休むことが必要だ」とメッセージを発するべきだと主張。石破茂首相は「子どもの人権が尊重されるために学校を休むことも必要だ」と答えました。
吉良氏は、不登校を巡り共産党が発表した「子どもは安心して休む権利がある」という提言に対する全国の保護者からの反響を紹介し、不登校の子どもたちの休息と回復を温かく見守ることが重要だと強調。また、子どもの不登校に伴って親が仕事を休まざるを得ない場合や「不登校離職」の実態があるとして、親への支援を求めました。
今年1月、厚生労働省が介護休業の判断基準を「引きこもり、不登校の状態にある対象家族」にも適用できるよう見直しました。吉良氏は、不登校の状態にある子の親も介護休業を取ることが可能かとただすと、福岡資麿厚労相は「子どもが不登校のケースも想定される」と認めました。
さらに吉良氏は、子どもがSOSを発した時に親がすぐに安心して休める制度を整えるべきだとして、「不登校休業制度」の新設や介護休業、育児休業制度の拡充を求めました。
吉良氏は、この10年で子どもの不登校が3倍に、精神性疾患で休業した教員が30年で6倍に急増しているとして、「子どもも先生も学校に行けなくなっている緊急事態を打破するには、教育予算を抜本的に増やし、教育基本法改悪以降の過度な競争や管理、抑圧するような教育政策の押し付けそのものをやめる大転換が必要だ」と主張。石破首相は教育政策を押しつけてはいないと開き直りました。
議事録(未定稿)
※こちらの議事録は速報・未定稿版となります
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。今、不登校になっている子供たちが急増をしております。二〇二四年度の調査で、小中学生で三十四万六千四百八十二人、高校生まで含めると四十一万五千二百五十二人に上るわけです。
まず、私が言いたいのは、この不登校になってしまうというのは、その子、子供のせいではないし、保護者の甘やかしとか怠けとかで起こっているわけでもないということです。不登校になってしまった子供たちは、学校や社会の中で違和感を抱え、傷つき、我慢に我慢を重ねた末に登校できなくなっているわけです。その理由というのは様々あるわけですが、この不登校になった子たちの心が傷つき、折れている状態にあるんだと。だから、無理に登校しようとしたり登校を促したりしてしまうと、おなかや頭が痛くなるとか、顔から表情がなくなってしまうとか、心身に不調を来すような症状も出てきてしまうということがあるわけです。
総理、こういう不登校になった子供たち、様々な理由で傷ついて学校に行けずに苦しんでいる子供たちに、つらいときには学校を休むことが必要だ、休んでいいと総理からメッセージ発するべきと思いますが、いかがですか、総理。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、吉良委員御指摘のように、百人不登校のお子さんがいらっしゃれば、百通りの事情があるんだろうというふうに思っております。そういうお子さんたちにとにかく学校に行けということでプレッシャーを掛けますと、それちっとも事態の改善にはつながらないということはよく承知をいたしておるところでございます。
そのいろんな理由がございますので、休むということでそれが事態の改善につながる。それは、登校するようになることだけが事態の改善だと私は思っておりません。その方の人権というものがきちんと生かされる、人間として尊重される。そのために何が必要か。その中の一つとして、学校を休むということも必要な場合があるということは認識をしておるところでございます。
○吉良よし子君 子供たち、人間として尊重される、そのために休むことが必要な場合もあると。これ、大事な答弁だと思うわけなんです。
私たち日本共産党は、先日、不登校についての提言というのを発表しました。提言でまず訴えたのが、先ほど言った不登校というのは子供たちのせいじゃないということとともに、子供は安心して休む権利があるということです。これに対して、こういうことを言ってほしかったんだ、そういう全国の不登校当事者の子供たちや保護者の皆さん、かつての不登校経験者の皆さんから反響をいただいているところなわけです。
総理、今、人間として尊重されるために休むことが必要だということを言っていただいたんですけど、一方で、文科省の二〇一九年の通知では、休むことが必要というと同時に、学業の遅れ、若しくは社会的自立へのリスクが存在するなんてことまで書かれていて、そういう、休むことが必要という一方で、リスクということを強調されてしまうと子供たちを追い詰めることになりかねないわけで、先ほど言っていただいた休むことが必要だ、このことを総理先頭に是非とも周知していただいて、不登校になった子たちの休息と回復を温かく見守る、そういう支援をしていただくように強く求めるものであります。
その不登校になった子供たちが安心して休んでその心の回復をしていく、そのためには親に対する支援というのも欠かせないということも指摘をしたいと思うわけです。
例えば、学校を休んだ子を当然親が家で見守らなきゃいけないということもあるわけですし、場合によっては親が付添い登校ということで学校に一緒に付いていって授業を見守るということも必要な場合もあるわけです。そのために、保護者の皆さん、仕事休むとか、場合によっては不登校離職ということでもう仕事を辞めざるを得ないような状況になることもあって、そうやって収入が減ってしまうのに、フリースクールなどに通う場合にはお金も新たに掛かってしまうという事態は本当に深刻だと思うわけで、まず何よりも、子供が学校に行きたくない、行けないよとなったときに親も不安なく休めるようにするというのは私は必要な対応だと思うわけですけれども。
そうした下で、先ほどもちらりとありましたけど、今年一月、厚労省が介護休業制度における常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直しに関する研究会報告書というものを出しました。これ、介護休業というのは、そもそも、元々、障害のある子や医療的ケア児など子供の介護というのも対象だということなんですけど、判断基準については高齢者介護を念頭に作成されていたので、この見直しということで見直しすることになったと聞くわけです。
このパネル御覧ください。(資料提示)その報告書の中で、不登校の状態にある対象家族ということについての記述があるわけです。
厚労大臣に確認をしたいと思います。ここに書いてある不登校の状態にある対象家族ということの記述があるというのは、つまりこれは、不登校の状態にある子が、医療的ケアとか障害児だけじゃなくて、不登校の状態にある子がこの判断基準に該当した場合にはその親が介護休業を取ることは可能だと、そういうことでよろしいですか。
○国務大臣(福岡資麿君) 御指摘がありました育児・介護休業法におけます常時介護を必要とする状態の判断基準につきましては、これまで主に高齢者介護を念頭に作成されておりまして、子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考え得るとの指摘を受けまして、本年四月に、障害児者や医療的ケア児者を介護、支援する場合も含まれることを明確化する見直しを行ったところでございます。
このため、育児・介護休業法におけます常時介護を必要とする状態に関する判断基準に適合する事例の中にはお子さんが不登校に至っているケースも想定され、基準に適合する場合は親が介護休業制度を利用することも可能でございます。
○吉良よし子君 いや、これも大事なんですね。不登校になった子がこの判断基準に該当した場合は介護休業の対象になるんだと、休めるんだということで、本当にこれ想定が広がっているということは大事だということです。
特に、子供が学校に行きたくない、行けないとSOSを発したそのときに、親が、仕事休めないからごめんだけど行ってねと、そういうことを言ってしまって、無理やり登校させてしまうことで、逆に本当にもう行けなくなって不登校が長期になってしまう、深刻化してしまうという事例だってあるわけですから、やっぱり最初にSOSが出されたときにすぐ対応できる、安心して休めるようにするということは大事だと思うんですね。
また、学校に本当に行けなくなった子供たちが心が回復して学校に通えるようになるまでの十分な期間安心して親も一緒に休める、そういった制度を整えるということも大事だと。
この間、先ほどの介護休業だけではなくて、育児休業制度の中で子の看護休暇というのも小三まで拡大されたと聞いているわけですけれども、こうした休業制度、私、更に拡充必要じゃないかと思うわけです。不登校になった子の親が使いやすい休業制度、不登校休業制度を新たに創設するとかですね、また介護休業や育児休業制度の更なる拡充というのを総理、検討するべきと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御指摘いただきました、不登校休業制度というふうに仮に申し上げるとすれば、それをつくりましょうと、あるいは育児休業や介護休業制度の更なる拡充ということの御提案だと承知をいたしました。
これは、育児・介護休業法に定めます休業制度は、これ全ての事業者に適用され、事業主はそれを拒むことができないということがございます。だから今のままでいいということを申し上げるつもりはございませんが、これを介護休業あるいは育児休業とどのように論理的に結び付けて考えるべきかということは課題なんだというふうに私は思っておるところでございます。
不登校のお子さんであっても基準に該当する場合として、自傷行為などによって保護者の見守りが必要だとか、あるいは周囲のサポートがなければ日常生活に支障を来す状況がほとんど毎日だと、それはそうだろうねということで施行される部分が多いのですけれども、じゃ、それをどこまで拡大をすべきなのかということについて、これは更に議論が必要だというふうに私は思っております。
現状におきましては、事業主さんが拒むことができないということを踏まえますと、現状においてはこれは慎重に判断せざるを得ないというものだと考えております。
○吉良よし子君 すぐに検討するとおっしゃらないのは大変残念なんですけれども。
介護休暇が小三まで拡充された、看護休暇ですね、育児休業制度の看護休暇が小三まで拡充されたのは大事なんですけど、これ年五日なんですね。五日間だけではやっぱり少な過ぎると思うわけですし、先ほどの介護休業制度も条件が一致しなければ使えないという問題もあるわけですし、やはり、そういう意味では、不登校になったときにすぐに休んでその子に対応できるように、親ができるようにする休業制度、休暇制度というのはやはりつくらなきゃいけないんだと、そういう意味で是非議論を前に進めていただきたいということを強く申し上げたいと思うわけです。
そして、パネル御覧ください。
この子供の不登校というのは、二〇〇〇年代には高止まりをしていたんですけれども、この二〇一四年頃から急増していると、この十年で三倍になっている。この急増しているというのが私今問題だと思っているわけです。同時に、もう一つ下のグラフを見ていただきたいんですけど、同じように、子供だけじゃなくて、教員の皆さんの精神疾患による病気休職者の数もこの二十年で六倍と急増している状況があるんですね。
総理、これ学校に行けない子供が急増して、そして学校に行けない先生方も急増をしていると、これやはり私は教育の危機じゃないかと思うんです。改めて、総理、この危機的な状況にある教育、学校の在り方、今こそ大転換をすべきときにあるのではないでしょうか、いかがですか。
○委員長(片山さつき君) まず、あべ文部科学大臣。
○国務大臣(あべ俊子君) 委員にお答えさせていただきます。
本当に私ども、この教員の精神疾患が増えていることも大変私ども懸念しているところでございまして、文科省としては、誰もが安心して学べる魅力のある学校づくりを進めていく中、また、今回提出しています給特法の改正案におきましては、学校における働き方改革、この加速化を図ることとしているところでございまして、こうしたことを通じまして教師のメンタルヘルス対策をしっかり進めてまいりたいと思いますし、また、令和五年度からはメンタルヘルス対策に対しまして調査研究事業を実施しておりまして、効果的な取組の研究、事例の創出に取り組んでいるところでございます。
文科省は、引き続き、子供たちに寄り添いながら、誰一人取り残されない学びの保障に向けまして、教師が心身共に健康な状況で子供たちと向き合うことができるよう、しっかり取り組んでまいります。
○内閣総理大臣(石破茂君) 今文科大臣からお答えしたとおりでございますが、これ、先般、参議院の文部科学委員会でもお答えをしたところでございますが、いかにして教師の負担を減らすかということをまず実行してまいりたいと思っております。
教師の負担を減らすということ、子供に向き合う時間を増やすということ、教師でなければできないということに教師が専念できる、そういう環境をつくっていくということが肝要だと承知をいたしております。
十年間で不登校の小中学生が三倍になったということは、これはかなり深刻なことでございますので、文科省として、これをいかにして減らすかという問題意識を持って今後取り組んでまいりたいと存じます。
○吉良よし子君 総理、かなり深刻な状況だという御認識を話されました。これ重大だと思っているんです。
文科大臣は、しかし、誰もが安心して学べる学校にしていますというようなことを言って、そうなっていないから不登校も急増しているし、先生方の精神疾患も急増しているんじゃないかということを私、問題視しているんですね。
大転換が必要なんですよ。これだけ急増しているんですから、学校に行けない子供も先生も。そのためには、やっぱりまずはもう抜本的に教育予算を増やさなきゃいけないんだと。OECD諸国と比較して最低水準の予算規模です。
そして、もう一つ転換しなきゃいけない問題があるんです。国の教育政策の押し付けの強化なんです。もう学校に対して、政府が、文科省がああしろこうしろって次々と現場に押し付けている状況があるんです。
これ、不登校の人数と併せてこの間の教育政策並べたものなんですけれども、第一次安倍政権で教育基本法が改悪されて以降、学習指導要領の時数、もうどんどん増え続けているわけです。さらには、ゼロトレランスという子供への管理の強化というのも強化されていますし、全国学力テスト、悉皆での調査というのは第二次安倍政権以降ずっと続いていますし、さらには新たな教員評価制度なんというのも押し付けられている。
もうこういうものが現場に次々次々と押し付けられる中、子供たちにはストレスとプレッシャーがたまって、教員の皆さんの中には同僚性、共同性が壊されて、もう学校の余白、時間がないという状況になって、そういう中で先生方は精神を病み、不登校だって増えてきたんじゃないのかと。
やっぱり、総理、大転換をするために、この深刻な状況を打破するためには、教育予算抜本的に増やすこと、過度な競争や管理、抑圧をするようなこの教育政策の押し付け、それそのものを変えていくべきではありませんか。総理いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 先ほど来お答えしておりますように、いかにして先生方の負担を減らすかということは焦眉の急だと思っております。先生方の負担を減らしていく、子供に愛情がある人が先生やっておるわけでございますから、先生が子供に向き合うという今すぐできることをやっていきたいと思っております。
国が押し付けというふうな御指摘でございますが、私はそのような認識は持っておりません。持っておりませんが、とにかく教員の方々の負担を減らすということ、それ教師が楽をするということではなくて、教師以外の方々でも担えることというのをやっていただくということでございます。これは、かなり抜本的な、給特法の仕組みというものは維持をいたしてまいりますが、教師の負担を減らすという意味で、押し付けというよりも、いかにして教師の心身共にストレスを減らしていくか、それが子供たちのストレスを減らすことに直結するという下で、このような政策を取っておるところでございます。
また御指摘を賜りたいと思いますが、私どもとして、国がそういうことを押し付けているような認識は持っているものではございません。
○委員長(片山さつき君) お時間が終了しております。
○吉良よし子君 全く問題意識持っていらっしゃらないというのは本当に問題だと思うんですよね。
何でこんなに不登校が増えて……
○委員長(片山さつき君) 時間です、時間でございますが。
○吉良よし子君 先生方が休まなきゃいけないのか。予算も増やさない、押し付け教育もやめない、教師の働き方だって……
○委員長(片山さつき君) お時間でございますが。
○吉良よし子君 人員増やさないし、残業代も払わないし、先生方の残業を労働時間とも認めていないわけで、それでは学校は、全然ゆとりもなければ自由もない、希望もない場所になっているわけです。
これを大転換しなければ、希望が持てないんだと……
○委員長(片山さつき君) 吉良よし子さん、お時間でございます。
○吉良よし子君 子供たちに希望が持てないんだということを申し上げて、質問を終わります。