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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

全学生に学費無償化を 大学修学支援法改定案 参院本会議

要約

3人以上の子どもを扶養している世帯を対象に、大学の授業料などを減免する大学修学支援法改定案が26日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の吉良よし子議員は、学生の学ぶ権利を阻害する高すぎる学費の無償化こそ最大の修学支援だと強調しました。

 改定案は、支援対象を子どもを3人以上扶養する世帯に限定し、扶養する子どもの数が2人以下になった途端、在学中であっても支援が打ち切られます。吉良氏は、3人産まなければ支援しないなど理不尽な線引きはやめるべきだと追及。「家庭の扶養状況や課税額の変化で支援が停止されることは不合理だ」と強調し、学生が求めているのは高すぎる学費の値下げ、無償化だと主張しました。

 阿部俊子文部科学相は「財源が限られている中、効果を見定めながら検討していく」と述べるにとどめました。

 また、政府は改定案の施行に合わせ、修学支援新制度で学生個人に課される取得単位状況、授業の出席率などの成績要件を厳格化するとしています。吉良氏は「支援を受けていても生活費が足らずアルバイトをせざるを得ない。学業要件が満たなければさらにバイトの負担が増える立場に追い込まれる」との学生の訴えを紹介。「成績要件は今すぐ撤廃するべきだ」と主張しました。

 吉良氏は、学費値上げの背景に大学の経営難があるとして、国からの支援を求める学生たちの声を示し、大学への基盤的経費を増額するよう要求。学費や修学支援のあり方は、当事者である学生の声を聞くよう求めました。

しんぶん赤旗2025年3月27日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表して、大学等修学支援法改正案について文部科学大臣に質問をいたします。
 本法案は、高等教育費により理想の子供数を持てない状況を払拭するためとし、授業料の無償化などの支援対象を多子世帯へと拡大するとしています。しかし、なぜ拡大する範囲を多子世帯、三人以上の子供のいる世帯に限定するのですか。三人産まなければ支援しない、とにかく産めという姿勢は、余りに上から目線ではありませんか。
 しかも、政府の言う多子とは、親が扶養する子供が三人以上であることが条件です。例えば、上の子が就職し、親の扶養から外れ、扶養する子供の数が二人以下になった途端、たとえ在学中であっても下の子の支援は打ち切り、対象外になってしまいます。こんな理不尽な線引きは直ちにやめるべきではありませんか。
 何よりも、今学生が求めているのは、高過ぎる学費に焦点を当てることです。国立でも私立でも学費の値上げが相次ぐ中、値上げではなく値下げ、学費の無償化こそ目指してほしいと学生たちが声を上げています。
 二月十三日、学費の値上げ反対の声を上げ、院内集会に集まった学生からは、今の年間五十三万円の授業料が大きな負担、学費が払えず既にキャンパスから去るしかなかった友人がいるという涙ながらの訴えもありました。
 石破首相は三月十四日の予算委員会で、経済的理由で教育が受けられないことはあってはならないと答弁されました。であるならば、すぐにでも、相次ぐ学費の値上げを止め、学費の値下げに踏み出して大学無償化を目指すべきです。学生の学ぶ権利を阻害している高過ぎる学費を無償にしていくことこそが最大の修学支援だと思いませんか。お答えください。
 二月十三日の院内集会では、現行の支援制度は到底困窮学生を救うという理念にかなうものではありませんという指摘も学生から出されました。例えば、親の収入は全く変わらないのに、上の子が卒業して扶養から外れ、親に対する課税額が変わったことにより支援が打切りとなった事例があります。収入が変わっていないのに、本人の努力ではどうすることもできない家庭の扶養状況や課税額の変化で支援が停止したり打ち切られたりしてしまうことは不合理ではありませんか。大学在学中、支援が途切れることなく安心して学び続けることができるようにすべきではありませんか。
 更に問題なのは、成績要件です。修学支援新制度は、学生個人に対し、特に優れた者とする成績要件が課され、授業への出欠や単位の取得状況、成績評価の結果、処分等の状況に応じて警告を発し、さらには支援を打ち切っています。成績評価については、GPAで下位四分の一という相対的な順位付けで評価をしており、本人の努力を公正に評価しているとは到底言えません。支援を受けていても生活費が足らず、アルバイトをせざるを得ず、学業成績が基準に達しないなどの事情は生じ得ることです。
 学生たちも、仮に支援を受けられたとしても、生活費などを賄うためにバイトをせざるを得ず、勉強時間が奪われ、学業要件が満たせなければ更にバイトの負担が増えるという立場に学生が追い込まれますと訴えています。
 政府は、本法案の成立、施行に合わせ、更に取得単位数、授業の出席率の基準を引き上げる成績要件の厳格化を実施するとしていますが、とんでもありません。厳格化などではなく、成績要件は今すぐ撤廃するべきではありませんか。
 また、修学支援新制度は大学にも機関要件を課しています。勉学が職業等に結び付くことが必要として実務経験のある教員による授業科目の基準を設けているほか、二四年度からは私学の理工農系学部のみ中間層への支援を拡大するなど、政府の方針に従う大学と従わない大学を選別しています。さらに、収容定員割れしているなど、経営に問題があるとされる大学等も支援対象から排除しています。しかも、二〇二四年度から、三年連続収容定員が八割未満になっただけで対象外とする厳格化まで実施しています。
 このように、修学支援制度を使って大学を差別選別、排除し、何の責任もない学生に負担を強いる機関要件は余りに不当です。廃止すべきではありませんか。
 定員が埋まっていないことをもって、その大学自体の質がないとか、あるいはその努力が不足しているとイコールで結ぶことなどはできません。現在、経営が厳しい私立大学などの多くが地方の中小規模の大学です。それらの大学を修学支援の対象から外せば、更に学生が集まらなくなり、定員割れがますます進み、大学の再編、淘汰が加速しかねません。地域社会で奮闘している地方の中小規模大学を苦境に立たせ、大都市圏と地方の教育格差を更に拡大させることを見過ごすわけにはいきません。
 厳しい機関要件自体が地方に暮らす若者の進学環境をより一段と悪化させてしまうと思いませんか。こうした大学を修学支援の対象から外すのではなく、地方の中小大学にこそ手厚い支援をすべきなのではありませんか。
 学生たちは、学費値上げの背景に経営難があることを知っています。政府への要請書の中でも、私たちはこの問題を取り上げ、大学等と闘う中で、学費の値上げの背景に経営難があることを察知しました、国からの支援がなければ大学等は学費値上げせざるを得ない状況にますます追いやられていくことに気が付きましたと述べた上で、学費の値下げや給付奨学金の拡充とともに、国が国立大学運営費交付金、私学助成などの基盤的経費を増額することを求めています。
 国大協も、もう限界ですと基盤的経費の増額を切実に求めています。私立大からも、私学助成の増額を求める声が毎年のように上がっています。
 この現場の声に応え、大学への基盤的経費を増額すべきではありませんか。
 あわせて、大学の入学金についても伺います。
 今や、入学金制度は日本にしかありません。国立で二十八万円、私立で二十四万円もの額は大きな負担です。しかも、入学しなかった大学にも支払っている実態があります。民間の入学金調査プロジェクトの調査によれば、入学しない大学にも入学金を支払う二重払いを受験生の約二七%が経験し、入学金を考慮し受験する大学を諦めた人を含めれば四割が二重払いの当事者だと指摘されています。学生の受験機会の不平等を生み、学問選択の自由を奪っている入学金は廃止すべきではありませんか。お答えください。
 何よりも、学費の在り方や、修学支援の在り方を議論するのであれば、その当事者である学生の声を真っ先に聞くべきです。各大学が学費の値上げを決める際も、当事者である学生の声が全く聞かれないまま議論が進んでいることに怒りの声が上がっています。東京大学は、学生が大学にいない夏休みの間に学費値上げ案を発表しました。中央大学は、九割以上の学生が値上げ計画を知らない状態のまま値上げが進められています。
 大臣は、今回の法改正に当たり、当事者である学生の声を聞きましたか。聞いていないなら、改めて当事者である学生の声を聞いてから法案を出し直すべきではありませんか。
 学生の声にしっかりと耳を傾けるよう強く求めて、私の質問を終わります。