修学支援 学生の声聞け 参院委 学費無償求める 改定法成立
要約
日本共産党の吉良よし子議員は3月27日の参院文教科学委員会で質問し、大学修学支援法改定案について、線引きばかりの支援ではなく高すぎる学費に焦点をあて、無償化をめざすことが必要だと訴えました。
吉良氏は、法案審議にあたり、当事者である学生を参考人として招致するよう求めたが合意を得られず認められなかったことを明らかにし「一人前の人間として認められていないようだ」「学生抜きに決めるな」という学生の声を紹介しました。
2月13日に「学費値上げ反対の院内集会」を行った学生有志がまとめた修学支援法改定案についての「意見書」を紹介。その上で「特に優れた者」であることを支援の「条件にしない」など、学生の声にこたえるよう求めました。特に、修学支援新制度の成績要件について、学生から「成績要件があることで、成績を下げないため、必要最低限の授業のみをとることになり、逆に学習意欲がそがれている」などの声があがっていると指摘。「成績要件が学生の学習意欲を削っている認識はあるか」とただしました。
阿部俊子文科相は「必ずしも学生の学習意欲を削っているとは考えていない」と述べ、学生の実態に背を向けました。
吉良氏は、線引きでは支援されない学生が増えるだけだと強調し、成績要件の撤廃を要求。学生たちが切実に求めているのは学費そのものの値下げ、無償化だとして「すべての学生を対象に学費を引き下げることこそ最大の修学支援だ」と迫りました。
改定大学修学支援法は31日の参院本会議で自民、立憲民主など各党の賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
初めに、本日、委員会の冒頭でも大臣から御発言ありましたけれども、三月二十四日の委員会で、私の質問に対して、大臣が人の容姿についてわざわざ言及する不適切な答弁があったことについて改めて抗議をしておきたいと思います。大臣の冒頭発言でも触れられましたけれども、これは質問内容とは全く関係ない発言であったと同時に、容姿に言及したということはルッキズムに基づくハラスメントそのものの発言であって、だからこそ国会の場で許されないというものでした。
そして、併せて言うなら、私がこの二十四日の委員会で指摘したのは、教員の残業時間三割減という文科省の推計が誇大表現であり、粉飾ともいうべき意図的な操作が行われていたのではないかという大問題を指摘したわけですが、これを矮小化するような答弁になっていたという点でも悪質だったと考えているものです。
大臣からの謝罪については受け止めたいと思いますけれども、今後、二度とこのようなことがないよう、一つ一つの質問に丁寧に真摯に真剣にお答えいただくよう求めて、質疑に入りたいと思います。
今回の法案は、学生の支援のための法案とされているわけです。だからこそ、私、この法案審議に当たって、当事者である学生をこの委員会の場に呼んで参考人として話を聞くべきではないかということを求めてまいりました。しかし、各党の合意が得られないということで認められなかったわけです。その理由についても伺ったんですけれども、研究者などの有識者であればいいけれども、学生というのは当事者であるから駄目だという声があったと聞いているわけです。いや、学生だから駄目とか当事者だから駄目というこの理由というのは、私は到底納得できるものではありません。
ユネスコ高等教育宣言というのがありますが、この中では、国及び教育機関の意思決定者は、学生及び彼らのニーズをその関心の中心に置き、彼らを高等教育の革新における主たるパートナー、そして責任のある当事者とみなさなければならないとあり、この法案の審議をするに当たって責任ある当事者として学生の声を聞くことは、私は当然だと考えているものです。
学生の皆さんからは、この参考人として呼ばれなかったことに関わっても、学生抜きに決めるのはおかしいと、一人前の人間と認められていないようだというような声も上がっていました。
そこで大臣に聞きたいんですけれども、大臣は学生について一人前の人間だと認識をされているか、今の学生たちの生活のリアルというのがどういう状況なのか御存じなのか、お答えください。
国務大臣(文部科学大臣 あべ俊子君)
委員にお答えさせていただきます。
大学等のキャンパスには、一人一人異なる個性、また多様な社会、経済的背景を持った学生が集まり、それぞれの興味、関心、専門性に基づいて日々学びを深めているものと私も承知しております。
また、御指摘の学生の生活についてでございますが、全国的な状況につきまして調査等を通じて把握に努めているところでもございますが、御家庭の事情で学費の工面に苦労するケースなどを含めまして、データだけでは必ずしも分からない様々な学生ごとの事情があるということも承知をしているところでございます。
そうした各学生のニーズに応えていくためには、様々な形で学生の方々の状況を把握をさせていただきながら、学修状況やまた相談体制等の充実に努めるとともに、この経済的な理由で学びを諦めることがないようにしっかり支えていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
吉良よし子
大臣、学生が一人前の人間だと認識しているかどうかについては御答弁なかったというのは、私は残念だと思っております。
一方で、学生について、学費の苦労について様々事情があることは承知していると御答弁されました。また、昨日の本会議の中でも様々声を聞いてきたやに聞いているわけですけれども、その中で、例えば学費値上げ反対の院内集会について触れられました。ただ、その集会に大臣御自身は参加されていないわけですね。現在、現に今この委員会にも学生を呼べていないと。本当にその直接学生のリアルな声を聞く意思があるのかどうかというところはやっぱり問われているんだということを申し上げたいと思うんです。
この二月十三日に行われた学費値上げ反対の集会に参加された皆さん、学生の皆さんと、私、懇談もしました。今回の法案の議論に参加できないことについて本当に落胆をして憤っていたわけですけれども、私たち学生は、何かというと、若くて元気で、しかし何も分かっていない存在とか、暇だけはあるような勝手なイメージ持たれているんじゃないかということを言っているわけですね。でも、実は、リアルはそうじゃないんだと。日々バイト漬けで疲弊して、勉強する時間もないぐらい忙しいし、そして困窮によって夢を語ることもできないし、病院にも通えないような学生がもう増え続けているんだと、そういうリアルな実態があることが理解されているとは思えないという声を聞いたわけです。何より学生たちは、何も分かっていないどころか、学費の問題のみならず、今回の修学支援の制度についてもよく理解して、問題意識持って改善を訴えていると私は思っています。
お配りした資料、御覧ください。
これは、その学費値上げ反対運動に立ち上がった学生有志の皆さんによる本法案に対する意見書です。これは各会派にも届けられたと聞いています。
読み上げますが、「二〇二五年二月十三日に行った「学費値上げ反対運動に立ち上がった:苦しむ学生の声を聴く! 院内集会」に参加した私たち学生有志は、大学等における修学の支援に関する法律の改正案について、以下に示すように五項目の意見を表明いたします。同法案の審査・審議の際には、学生当事者の意見として尊重していただきたく存じます。」とあり、一、学費問題を焦点化した目的にしてください、二、世帯年収約六百五十万円まで授業料等の負担を求めることが極めて困難な状況と認めてください、三、特に優れた者であることを授業料等減免の対象となる条件にしないでください、四、授業料等減免の対象の判定において家計の特別な事情を認めてください、五、財源について消費税増税分を上限とするように読める条文を削除してくださいという意見を掲げられているわけです。
今日、私は、この学生の意見に基づいて質問していきたいと思います。
まず、二の世帯年収約六百五十万円まで授業料等の負担を求めることが極めて困難な状況と認めてくださいについて確認していきたいと思うんですが、今回の法案、先ほど来あるとおり、多子世帯に限って支援を拡充するというものですが、なぜこの年収要件の引上げで対象を拡大しなかったのか、局長、御答弁ください。
政府参考人 (文部科学省高等 教育局長 伊藤 学司君)
お答え申し上げます。
現行の高等学校、失礼、高等教育の修学支援新制度は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることを踏まえ、低所得者世帯の進学率が全世帯の進学率に達することを目指し、これまで低所得者世帯の学生等に対し支援を行ってきたところでございます。
この制度については、令和六年度にはこの対象を負担軽減の必要性の高い多子世帯や私立理工農系の中間所得世帯に拡充をしたところであり、その点については引き続きしっかり支援してまいりたいというふうに思ってございます。
そうした政策目的に新たに加える形で、今回、多子世帯に対する支援の拡充というものを設けさせていただいたところでございますので、従来の経済的支援のところは中間所得者まで拡大した令和六年度の支援というものを引き続き実施をするとともに、新たに多子世帯に対する支援の拡充ということを実施をしたいということで提案をさせていただいているところでございます。
吉良よし子
いや、令和六年に中間世帯まで拡充したと言いますが、それだって多子世帯、そして理工農系の学生と対象を限定しているわけですよね。全ての学生の年収要件を引き上げたわけではないわけです。今回の多子世帯の支援ということでも、扶養している子だけと新たに線引きを持ち込んでいると。
現行の高校、高校等就学支援金制度で見ても、世帯年収五百九十万円までは実質無償なわけです。なのに、大学になると授業料の全額免除は世帯年収二百七十万円まで。余りに低過ぎるんじゃないかと思うわけです。さらに、その支援対象になったとしても、その収入要件クリアして支援対象になったとしても、収入状況が変わらないのに、この間指摘したとおり、扶養状況、親の扶養状況や課税額の変化によって在学中に支援が打切りになる例があるということを申し上げてきたわけです。これ、収入が変わらないのに課税額が変化、もっと言うと、これ、課税額が増えたということですよね。課税額が増えて支出が増えているのに、さらに支援の対象から外れてしまうなんというそんな制度設計、余りに理不尽な制度になっているんじゃないのかと思うんです。
大臣にはこの間聞いていますけれども、何か制度の説明されるだけでなかなかその感想等をお答えにならないので局長にも伺ってみたいと思うんですけど、局長、いかがですか。この制度設計、余りに理不尽だと思いませんか。
政府参考人(伊藤学司君)
お答え申し上げます。
この制度は、所得に応じた家計の負担能力を踏まえた支援を行うものでございますので、住民税の所得割の課税標準額を基に支援区分の判定を行うこととしてございます。これはまさに家計の負担能力を踏まえた制度になっているというふうに私どもでは考えてございます。
それに加えて、支援の崖というものが小さくなるように、その所得に応じ段階的な支援を導入をしているところでございまして、こうした段階的な支援も含め、きめ細やかな支援を行っているというふうに考えてございます。
吉良よし子
負担能力を踏まえた制度だとおっしゃるんですけど、先ほど来言っているとおり、収入状況は変わらないんですよね。上の子が就職して扶養から外れることによって課税額が変わって、課税額が増えたことに伴って支援から外れる、そういう理不尽なことが現場で起きているわけです。意見書の四番にも書いてあるわけです。授業料等減免の対象の判定において家計の特別な事情を認めてくださいと述べているわけで、収入は変わっていないんです。なのに、扶養の状況が変わるだけ、課税額の変化が起きるだけで支援が打切りになる。こんな理不尽なことはやっぱりあってはならないと思うんです。
やっぱり、一回少なくとも支援の対象になった、年収要件で支援の対象となった学生に対しては、不利益になるような支援区分の見直しはしないで、安心して学びが継続できるように支援を続けるべきと思いますが、大臣、いかがですか。
国務大臣(あべ俊子君)
高等教育のこの修学支援新制度におきましては、家庭の経済状況にかかわらず大学等への進学、修学を諦めることがないように支援を行うものでございまして、支援を受ける学生につきましては、経済的な不安なく勉学に励んでいただくことはまさに大切だと私どもも考えておりまして、一方、本制度におきましては、所得に応じた家計の負担能力を踏まえて、必要となる支援が確実に行われるよう、毎年住民税の課税標準額を確認しているところでございまして、引き続き本制度の適切な実施に努めてまいります。
吉良よし子
いや、適切な実施になっていないから伺っているんですよね。結局、この制度、経済要件というのは、世帯単位で、先ほど水野委員からもありましたけれども、世帯単位で収入の状況、しかも課税額で捉えている、だから問題が発生するんです。
たとえ家計、世帯で見ていれば裕福だと判定されるような家庭だったとしても、学生が家族との関係がうまくいかないとか進路への理解がないという状況の中で、家族から支援をされないまま自ら学費を捻出しなければならないような学生がいる、そういう学生もいるわけですよね。そういう学生が世帯で年収を見ることによってこの支援から外されてしまう、本当は支援が必要なのに支援が外れてしまうという問題が出てくるわけなんです。
やっぱり学生個人の、家計ではなくて学生個人の状況にちゃんと焦点を当てて、必要な支援ができる制度に変えていかなきゃいけないと思うんですが、大臣、もう一度、いかがですか。
国務大臣(あべ俊子君)
委員にお答えさせていただきます。
本制度の支援対象でなくなった場合においては、更に修学のための費用が必要な場合に、例えば民間企業や大学独自の奨学金等の御案内や日本学生支援機構の貸与型の奨学金の御案内などが考えられまして、現行制度におきましても、各大学等の学生等が直接相談できる窓口におきまして継続的に修学できるような支援が行われるというふうに、行われていると承知しているところでございまして、文部科学省といたしましては、各大学等に対しまして、修学に関わる相談体制の整備等の徹底、また適切かつきめ細かい、細やかな対応を実施するように要請しているところでございまして、個々の学生の事情に応じまして丁寧に相談支援を行っていただけるよう、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。
吉良よし子
貸与型奨学金があるからということですが、それは将来の借金になるだけで、それはこの支援の継続ではないんですね。だからそれでは不十分だということは指摘しておきたいと思います。
この経済要件何とか乗り越えたとしても、その先には成績要件、学業要件が待っているわけですね。これも問題で、意見書の三番に特に優れた者であることを減免の対象にする条件にしないでくださいとあるわけですけれども、学生たちからは例えば、この成績要件、学業要件があることで、成績を下げない、確実に単位を取っていくために、もう必要最低限の授業しか取らなくなったと、まあ単位が取りづらいような授業はもうそもそも受けないようになったと。つまり、逆に学修意欲がそがれているんだという声がありました。
学修意欲を測るための成績要件がむしろ学生の学修意欲を削っていると。そういう認識、大臣ありますか。
国務大臣(あべ俊子君)
高等教育の修学支援新制度におきましては、支援を受ける学生がしっかりと学べるよう公費により支援を行う制度でございまして、この制度の目的、また趣旨を踏まえて、この学修成果の質の観点から一定の学業要件を設けさせていただいているところでございます。
本制度を利用していた者に関しまして実施したアンケートにおきましても、学業要件を設けていることによって勉強に取り組む動機付けになるのである程度必要だ、学業要件があったから一生懸命頑張って勉強できたという声もあるところでございまして、この要件が必ずしも学生の学修意欲を削っているとは考えておりません。
吉良よし子
大臣、ですから学生のリアルを理解されていないと学生たちから言われるわけですよ。本当に学修意欲がそがれているんだと。
相対評価の問題も先ほど来ありましたけど、例えば朝日新聞では学生の声が紹介されていました。私の学科では成績はみんなだんご状態と聞くと、少しでも気を抜くと下位四分の一に入ってしまうと、もうこれじゃどうしようもないとか、もうお金のあるみんなは勉強しないでほしいと、そういう声が出ていると。もう周りとの競争に苦しみ、疲弊し、学生の間で分断が広がっている。それをもたらしているのが成績要件です。
さらに、学業要件の中には、出席率、留年したかどうかなども入っているわけですけれども、院内集会では、例えば難病とか障害があった場合に出席日数が少なくなってしまったり留年を余儀なくされる実態があり、そういう学生が支援から排除されてしまうという問題の告発もあったわけです。結果として、成績が優秀かつ健康で家族との関係も良好な学生以外を排除しやすい制度になっているじゃないかと指摘があるわけです。
大臣、これ、学業要件がそうやって学生を排除する、そういう仕組みになっていると思いませんか。
国務大臣(あべ俊子君)
御指摘の成績要件に関しましては、GPA等が学部等における下位四分の一の範囲に属する場合であっても、疾病等、傷病等のやむを得ない事情のある場合、また社会的養護が必要な者である場合などについて警告としない特例を定めておりまして、個別の状況を十分に把握、確認を行った上で対応させていただいているところでございまして、御指摘は必ずしも当たらないというふうに考えております。
吉良よし子
いや、指摘当たらないじゃないんですよ。実際にそうやって支援から排除されたという学生の訴えがあるわけで、個別の状況を把握してと大臣答弁されているけど、実態はそうなっていない。ちゃんと本当に配慮できていないんじゃないんですか。
政府参考人(伊藤学司君)
お答えいたします。
ただいま大臣からも御答弁申し上げましたとおり、例えば疾病等やむを得ない事由がある場合には、これは、いわゆる成績、GPA要件のみならず、単位の取得の状況ですとか若しくは出席の状況などで通常であれば廃止や停止になる場合についても、特別にやむを得ない事由がある場合にはこれらに該当しないということを私ども大学の方にも明確にお示しをして、大学の方でしっかり学生にその旨を御説明した上で個々に御対応いただくようお願いをしているところでございます。
今後も引き続き、こうした制度があるということをしっかり大学の関係者にも周知をしながら、学生の相談に真摯に対応していただけるようお願いをしてまいりたいというふうに思います。
吉良よし子
周知と言いますけれども、結局、実態としては全然周知が行き渡っていない状況があるということです。しかも、今回の法改正に伴って、この学業要件、更に厳格化をすると、出席日数等の厳格化をするということで、もうあり得ないと思うんですね。
改めて、学修意欲をそぎ、また難病や障害のある学生が事実上排除されているこういう成績要件、学業要件は今すぐ撤廃するべきではないですか、大臣。端的にお答えください。
国務大臣(あべ俊子君)
高等教育の修学支援新制度における学業成績の要件につきましては、こども未来戦略におきまして、多子世帯の学生等の授業料等無償化に当たって、学業要件について必要な見直しを図ることを含め早急にこの具体化することとされたことを踏まえまして、有識者会議を開催しておりまして、この現行の学業要件について必要な見直しを行い、来年度から適用することとしておりまして、まずは来年度以降における状況の推移も踏まえて考えていく必要があるんだと考えております。
吉良よし子
要するに、支援対象を拡大するから学業要件を厳格化するんだという御答弁で、いや、それだと結局線引きで支援されない学生が増えるだけじゃないですかと言いたいと思うんです。もうこんな成績要件は撤廃しないと学生の支援にはならないんだということは強く訴えたいと思います。
そして、意見書五番、財源についても伺っていきたいと思います。
これも、先ほどもありましたけれども、附則の四条、法案、法律附則四条に、費用の財源、増加する消費税の収入を活用して確保と明記をされてしまっているわけですけれども、これは、学生の皆さんも指摘されていますけど、この条文自体が支援の抜本的拡充の阻害要因になり得ますし、そして消費税そのものを増税する理由になったり、若しくは消費税を減税できない理由とされてしまうと。本当に問題あると思うんですけれども、支援の拡充を妨げるこの附則四条はもう今すぐ削除すべきではありませんか。大臣、いかがでしょう。
国務大臣(あべ俊子君)
大学等における修学の支援に関する法律の附則第四条におきまして、高等教育の修学支援新制度に要する費用の財源について、消費税の収入を活用して確保すると、こととしているのは、本制度の対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応できるような十分な予算を確保するために規定をしているところでございます。
令和七年度からのこの多子世帯への支援拡充につきましても、本規定に基づく消費税財源を活用して、対象となり得る学生等の全員が支援を希望した場合でも対応ができるよう必要な予算を確保しているところでございまして、現時点におきましては本規定を改正する必要はないものと考えています。
吉良よし子
大臣、消費税というのは、御存じだと思いますが、逆進性のある税金になるわけですね。低所得者世帯とか、今回拡充の対象になり得る多子世帯のような経済的に困窮している世帯、家計にこそ負担が集中する。困窮している学生にも重くのしかかる税金が消費税なわけです。その低所得者への負担を増やしながら低所得者の学生を支援するというのは、もう本末転倒、自己責任論そのものであり、困窮学生を救うという理念に全く反したものであり、こんな消費税を財源とする条文というのは今すぐ削除すべきです。
そして、何より当事者である学生の皆さんが切実に求めているのは、学費そのものの値下げ、無償化です。意見書でも、学費問題を焦点化してくださいとあるわけです。修学支援というなら、全ての学生を対象にして、線引きの支援じゃなくて学費を引き下げていくこと、これが最大の支援だと思いませんか。大臣、最後、いかがでしょうか。
国務大臣(あべ俊子君)
教育費によって進学を断念することがないようにしたいという思いは委員とも共有をしているというふうに考えております。
文科省としては、機関支援と個人支援の両者を組み合わせながら予算確保に取り組むことが重要というふうに考えておりまして、まずは、この法案におきましての制度改正を着実に実施を移し、その上で、教育の機会均等、少子化対策の観点から効果を見定めつつ、引き続き高等教育費の負担軽減に取り組んでまいります。
吉良よし子
大臣、学生からは、今の支援制度から漏れてしまった学生というのは、政治家や官僚が思っているよりもはるかにたくさんいますという訴えがあるんです。
もう既に今の修学支援制度で対象から漏れてしまっている学生が出てきている、そういう学生たちを救うどころか、更なる線引きで追い詰めていくなんということはあってはならないんだと、線引きばかりの支援ではなくて、高過ぎる学費、値上げが続く学費そのものを値下げして、無償にすることこそが支援だということ強く申し上げて、質問を終わります。