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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

教員持ちコマ数減賛意 参院委 吉良氏質問に全参考人

要約

参院文教科学委員会は27日、教員給与特別措置法(給特法)改定案の参考人質疑を行いました。日本共産党の吉良よし子議員が、先生の長時間労働を改善させるために授業の持ちコマ数を削減し、基礎定数を増やすことを尋ねたのに対し、4人の参考人全員が賛意を示しました。

 福島市教育委員会の佐藤秀美教育長は「教員を増やし持ち時数を減らすことは重要だ」と述べ、全国連合小学校長会の植村洋司顧問も「小学校の持ち授業数の多さは大きな課題であり、先生の定数改善は必要だ」と答えました。

 教育研究家の妹尾昌俊さんは、持ちコマ数の削減と上限の設定も賛成だとして「先生たちのゆとりは子どもの学習環境にも重要だ」と話しました。

 法案は、労働者の長時間労働に対して残業代を支払う労働基準法の制度から、教職員の適用除外を続けるというものです。吉良氏は、適用除外を改めることが行政側に対し、教員定数を増やすインセンティブ(誘因)になりうるかと質問しました。

 日本大学の広田照幸特任教授は「残業代を支払う仕組みにすれば仕事を減らし先生の数を増やした方がいいとなる」と応じました。

 吉良氏は、改善する教員定数の総数を6600人予定しているとの阿部俊子文科相の答弁について、全国約3万の小中学校に行き渡らない上、ほとんどが加配定数だという問題があるとして評価を尋ねました。

 広田氏は「(先生の)自然減を食い止めるために、万単位で積み上げないと長時間勤務を構造的に改革できない」と指摘しました。

しんぶん赤旗2025年5月28日付より抜粋

議事録(未定稿)

※こちらの議事録は速報・未定稿版となります

○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子でございます。
 本日は、四人の参考人の皆様、貴重な御意見を本当にありがとうございます。
 それでは早速ですが、初めに広田参考人に伺っていきたいと思います。
 そもそも、この一九七一年に制定された給特法というのは、教職調整額を支払う代わりに、公立学校の教員を労働基準法、残業代支払制度の適用除外としたものだと。結局、そうやって適用を外したことで、妹尾参考人からも御指摘ありましたけど、教育行政、コスト意識ゼロで教員の仕事を増やし続けたと。
 さらに、文科省は、時間外の残業を時間外在校等時間などといって労働時間とカウントしないというあり得ない対応まで行っているということで、これは私は言語道断だと思っていますし、こうした不合理を改めていくためには、公立学校の教員にも残業代制度を適用していく、適用除外を改めることが必要だと考えているわけですが、広田参考人、最初、この残業代について必要だというお話だったかと思うんですけど、この残業代制度、公立の教員に適用した場合、教員の長時間労働是正につながるか。とりわけ文科省を含む行政側に対しての教員定数を増やすというインセンティブになり得るというお考えがあるかどうか。その意義についてお答えいただければと思います。
○参考人(広田照幸君) 給特法を廃止して残業代を払う仕組みにしたら、割増し給で一・二五倍ですから、物すごいお金を各自治体が出さないといけないから、それよりは先生を増やした方がいいという、仕事を減らした方が残業代使わなくていいとかというインセンティブになるのは確かです。
 そういう意味ではその考えには一理あると思うんですが、ただ、今の状況の中で、時間外勤務で働いているやつを残業代を払うという、決めた瞬間から非常に巨額の出費が発生するので、そうすると、その財源は取りあえずどうするんだと言われてしまうから、みんな怖くてそっちの方向へ踏み出せないんじゃないかなと思います。
 そういう意味では、今日私が提案したように、きちんとこれまでの予算で教員数をキープしていくと時間外勤務時間自体が減っていきますから、そうすると、一定程度の時間外勤務をみんながやるから、これを残業代に切り替えても大丈夫だというときがやってくるのではないかというふうに思うので、長期的には残業代払うべき、短期的には私が提案した増やす方向でどうでしょうかという提案ですね。
○吉良よし子君 少なくとも残業代が教員定数増やすインセンティブになり得るというお話だったかと思います。まあすぐやるかどうかという問題はあると。
 私自身も、やはり教員定数を増やすことは絶対的に必要だと思っているわけです。先ほどのお話聞いていましても、現状、多くの教員が長時間の時間外勤務を余儀なくされているのは、やはりそもそもの授業時間が長過ぎる、多過ぎる。一日五こま、六こまを担当して、その結果、勤務時間内のほとんどがこの授業に関する時間で費やされている現状があるからだと考えているわけです。
 ここで、四人の参考人の皆様全てにお答えいただきたいんですけれども、やはりこの教員の長時間労働を改善するためには、教員一人一人の持ちこま数を削減すること、でき得るならば上限を設けること、そして基礎定数、定数を増やしていくことというのはもう絶対に欠かせないことだと思うんですが、それは共通の御認識じゃないかと思うんですが、この四人の参考人の皆様、それぞれ一言ずつお答えいただければと思います。
○参考人(佐藤秀美君) 持ちこま数を、やっぱり教員を増やすことによって持ち時数が減っていく、これは必要だなと思っています。ただ、そこに上限の目標を設定するとなると、学校、いろんな学校があって、例えばこれは産休であったり病休があったり、いろんなことがございますので、それは検討を要するかなと、このように考えております。
 以上です。
○参考人(植村洋司君) まず、先ほども申し上げたとおり、特に小学校においては持ち授業時数が多いというのは大きな課題だというふうに捉えております。小学校高学年の教科担任制、それが今度、中学年、四年生が段階的にということですが、そういったことも含めて、定数改善というのは必要だというふうに思っております。上限につきましては、少し慎重に検討が必要だというふうに考えております。
 以上でございます。
○参考人(広田照幸君) 私、やっぱりしゃべったとおりで、持ちこま数を減らさないといけない、それで教員定数は増やさないといけない、上限を付けるかどうかはプラスとマイナスをちゃんと判断した上で考えたいと思っています。
○参考人(妹尾昌俊君) 私は、持ちこま数の削減なり上限の設定には賛成です。やはり、先生たちのゆとりというのは子供の学習環境の上でも非常に重要な条件の一つでありますので、これは加配ではなくて基礎定数としてしっかり安定的に保障していくことが必要だと思います。
 以上です。
○吉良よし子君 ありがとうございます。
 いずれも、やはり持ちこま数を削減をしていくこと、それに伴い定数も増やしていくということは欠かせないという御意見だったかと思います。これ本当に重要な御意見だったと思っておりますので、議論にも反映させていきたいと思います。
 そして、次に広田参考人、そして妹尾参考人にも是非伺いたいと思うんですけれども、やはりその定数を改善するというのはもう絶対的に必要だというのは間違いないと思うんですけれども、衆議院の議論においてあべ文科大臣は、教員の定数改善の総数というのは、現状六千六百人を予定しているということを御答弁をされているわけです。しかし、これでは全国約三万の小中学校に行き渡らない、全く行き渡らない数だと思いますし、しかも、その数字というのは少子化に伴う自然減が差し引かれていない上、ほとんどが加配定数だという問題があるんじゃないかと思うんですけれども、両参考人、この文科省の定数改善のこの数字についてどう評価されているのか。これで長時間労働是正されると考えるのか。先ほど、その乗ずる数の見直しでということも御提案ありましたけれども、本来的にこの長時間労働を是正するのに今すぐ必要な定数改善といった場合の数、六千六百人との比較で示すことが可能な数字等あれば、お示しいただければと思います。二点、よろしくお願いします。
○参考人(広田照幸君) 今日、私が提出した図を見ていただくと、乗ずる数を十年間で一・五倍にするってした場合と、そのままにした場合では、十年後には大体十一万人違うわけですね。要するに、六千六百人では改善されるまでに長い時間が掛かるから、ある程度、万単位で、自然減を食い止めるという形を前提にした上で、万単位で積み上げていくということが必要だと思います。そんな感じですかね。
 だから、加配定数は、過去の加配定数を見ると、年によっては数百人、年によっては数千人という規模でやっていますから、要するに万までいかないわけですね。そうすると、学校の長時間勤務を構造的に改革できるまでにはあと何十年も掛かってしまうという、そういう問題だと思います。だから、それは避けた方がいいと。
○参考人(妹尾昌俊君) 具体的にちょっと何人という話ではないですけれども、私の資料の二十三ページにも書きましたとおり、義務教育標準法が制定された当初の答弁を見ていますと、一日当たり四こま程度の想定で文部省はいたわけですね。こういった部分ですとかをしっかり踏まえる必要があろうと思います。
 しかも、その当時と比べて随分教育課題は複雑化していますし、しっかり協働的な学び、探究的な学びもやっていかないといけないことも考えますと、しっかり先生方の役割が大事だということであれば、一日当たりのこま数というのをもっと減らしていかないといけないと思います。
 それから、発表の人数につきましては、財務省の発表と文科省の資料が結構違うという部分があって、その部分を含めて、政府としてしっかり、自然減も合わせて誠実にしっかり公表していただきたい、あるいは経年変化もしっかり見据えていただきたいというふうに思っております。
 また、こういった人材不足のときに定数改善しても人が集まるのかという突っ込みはあるかもしれませんけれども、やはり逆でして、しっかりこういった先生方の余白とかゆとりを取り戻さない限り人は集まらないので、しっかりその辺も考えていただきたい。
 以上です。
○吉良よし子君 御意見ありがとうございました。
 先ほど、万単位でやはり教員が必要だというお話に佐藤参考人が深くうなずいていらっしゃったのが印象的でございましたし、一年四こまで定数をそもそもカウントしていたはずだという妹尾参考人の御意見も非常に重要だと感じました。
 どうもありがとうございました。終わります。