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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

教員増・残業代支給を 参院文科委

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は29日の参院文教科学委員会で、公立学校の教員の持ち授業数の削減と、基礎定数の抜本的増員が必要だと主張しました。

 吉良氏は、文部科学省が特別支援学級や通級指導を受ける生徒数、不登校や外国人の生徒数が国立・私立学校よりも多いことを理由に、公立学校で残業代不支給としていることを追及。子どもたち一人ひとりに臨機応変な対応をするための業務量、労働時間は当然多くなるとして「それに対し、対価、残業代を支払うのは当然ではないか」と追及しました。

 阿部俊子文科相は、教員の業務の専門性と特殊性を理由に挙げ「時間外勤務手当ではなく、教職調整額を支給している」と強弁。吉良氏は「教職調整額を10%に引き上げても教員の職務の困難さには見合っていない」として、公立学校の教員への残業代不支給をやめるよう求めました。

 27日の同委参考人質疑で、4人の参考人全員が持ちコマ数の削減と、定数を増やす必要性を訴えました。吉良氏は、義務標準法の制定時は、1日4コマで設定されていたものが現在は5コマに近くなることを確認し「現場では1日5コマ、6コマ持たざるを得ず、授業だけで勤務時間が終わってしまう。持ちコマ数が多すぎる」として、これまでの教員の基礎定数の設定の仕方に問題があると迫りました。

 現場の「いま学校に、教員に欲しいのは余白」という切実な声を示し、1日4コマを基本に算定方法を見直して、基礎定数を抜本的に増やすしかないと強調しました。

しんぶん赤旗2025年5月30日付より抜粋

議事録(未定稿)

※こちらの議事録は速報・未定稿版となります

○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 昨日ですけれども、今年三月に高松地裁において、教員の労基法違反の時間外労働、残業についての賠償命令が出されていたとの報道がありました。こうした各判決などを見ていても、時間外の残業を労働時間と認めない今の文科省の異常性というのは浮き彫りになってきているよねということを実感するわけですし、そういう対応を可能にしているのが現在の給特法で、公立学校の教員への残業代の適用除外をしているということにあるわけで、やっぱりこれは改めるべきだと思うわけです。それを改めて、公立学校の教員にも残業代を支給すべきだということは、この間、私、繰り返し主張してきました。
 そして、既に国立学校や私立学校で残業代が支払われているよねということも繰り返し申し上げてきたわけですけれども、この間政府は、いや、公立学校は国立や私立と違うんだと、相対的に多様性の高い児童生徒集団になっているとして、今お配りをした資料一枚目になりますけれども、特別支援学級に在籍する生徒数、通級指導を受けている生徒数、不登校の生徒数、外国人の生徒数が国立や私立に比べ公立の方がより多いということを挙げていらっしゃると。そして、こうした多様な子供たちの状況に応じ臨機応変に対応する必要性が非常に高く、教師の裁量をしっかりと確保していくことが必要である、だから残業代を支払わないと答弁をされているんですね。
   〔委員長退席、理事本田顕子君着席〕
 この多様な子供たちに臨機応変に対応するために教師の裁量を確保する必要があるということは、当然理解をするわけです。しかし、だからといって、残業代を支払わないとなる理由が私には分からないんですね。だって、多様な子供たち一人一人に向き合う臨機応変の対応をするためには、当然、業務量は増えるし、労働時間も長くなるわけですよ。その増えた業務や労働時間に対して、残業代を含む対価を支払うというのは、大臣、当然なのではありませんか。
○国務大臣(あべ俊子君) 委員御指摘のように、近年学校の教師が支援する子供たちが抱える課題が本当に多様化しておりまして、また複雑化する中にございまして、教師の職務の重要性、ますます高まっているものと認識をしているところでございます。
 こうした状況も踏まえまして、今般の処遇改善におきましては、高度専門職である教師の職務の重要性にふさわしい処遇とするために、教職調整額、四%から一〇%に引き上げることなどを行うことといたしました。
○吉良よし子君 いや、多様な様々な子供たち一人一人に向き合う臨機応変の対応にするためには、残業代等を支払うべきじゃないかと聞いているんですけど。
○国務大臣(あべ俊子君) 給特法におきましては、教師の自発的創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどによりまして、どこまでが職務であるか切り分け難いという教師の職務等の特殊性から、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして、教職調整額を支給することとしております。
 教育活動におきましては、日々子供たちと接している教師の創意工夫がまさに重要でございまして、給特法、逐一管理職の職務命令によるのではなくて教師が専門性を発揮して業務を遂行し、この教師の裁量を確保する仕組みとなっているところでございます。
○吉良よし子君 やっぱり分からないんですね。専門性の確保のため、そして裁量を確保するためには残業代ではなくて教職調整額と言うんですけれども、臨機応変に対応する必要性があるから裁量を確保する必要がある、分かりますよ。でも、それと残業代を払わないということはイコールにはなり得ないんじゃないかと。
 裁量があると言いますけれども、それはつまり、ここの例に挙げられているような子供たちの対応をしない裁量まで認められているものではないと思うんですよね。公務員である公立教員、当然こうした多様な子供たちに対応しなければならないんじゃないですか。局長、いかがでしょう。
○政府参考人(望月禎君) 市町村が設置する公立学校につきましては、御承知のとおり、域内の子供たちを基本的に受け入れまして、私学はそうした学校法人と、それから保護者との契約ですけれども、市町村の設置する公立学校につきましては、その全ての地域の子供たちの義務教育の機会を保障する役割を担ってございます。
 子供たちの抱える課題が複雑化、困難化している中にありまして、教師がその子供たちの状況の変化も考えながら子供たちに適切な教育を行う、そうした裁量を確保するということが大変大事だというふうに考えているところでございます。
○吉良よし子君 いや、学校が受け入れなきゃいけないというのは当然だと思うんですよね。
 今言っているのは教員の裁量の部分で、裁量といったときに、例えば自分が担任を受け持つクラスの中にこの挙げられたような多様な子供たちがいるというのは当然あり得るんですけど、このクラスにその子たち入れないでとか、長時間労働になるのでもう無理ですとか、この子たちには対応しませんなんという対応はあり得ないと思うんですよね。いかがですか。
○政府参考人(望月禎君) それはもとより、教師が面と向かっている子供たちに対して対応することは必要でございます。
○吉良よし子君 対応することは必要なんですよ。断ることができない当然の校務。当然、だから、教員の皆さんは使命感持って教師の仕事としてこうした問題に対応しているわけですよね。だから、業務が増える。なのに、それで時間も増える、なのに残業代を支払わなくていいなんというのは、やっぱり納得できる理由とは思えないんですよね。
 むしろ、文科省の言うように、公立の教員が、国立、私立より、よりそうした様々な課題に向き合っている、そういう活動になっているんだというんだったら、それに見合った対価をちゃんと支払わなきゃいけないはずなのに、なのに、国立、私立に払われている残業代は払わない。教職調整額引き上げたというけど、結局、毎年一%ずつ僅かですよ。それで一〇%にまでしか引き上げないと。これがその公立教員の職務に見合う待遇だと、そうおっしゃるんですか、大臣は。いかがですか。
○国務大臣(あべ俊子君) 給特法は、公立学校の教師におきまして、ついて、その給与その他の勤務条件について、労働基準法及び地方公務員法の特例を定めたものでございます。
 この教師の業務につきましては、教師の自主性で自律的な判断に基づく業務と、校長等のこの管理職の指揮命令に基づく業務とが日常的に混然一体となって行われているという教師の職務等の特殊性から、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給していることとしております。
 中央教育審議会におきましても、一年以上にわたりまして、給特法上、給特法等の法制的な枠組みを含めましてこの総合的な議論が行われました結果、教師の裁量の、裁量性を尊重する給特法を維持した上で、高度専門職としての教師の職務の重要性にふさわしい処遇を実現するため、教職調整額を一〇%に引き上げることといたしました。
○吉良よし子君 お答えになっていないんですね。
 私が聞いているのは、その一〇%が、おっしゃるような公立学校の教員の職務の困難さ、大変さに見合った額と言えるのかということを聞いているんです。日常的に混然一体に行われている業務だというのは、別に国立、私立も同じですよね。ただ、文科省の皆さんは、いや、しかし、公立の教員については、より多様な子供たちに向き合わなきゃいけない、より困難な課題を抱えているからと、だから残業代払わないと意味が分からないことを言っているわけなんですけれども。
 いや、国立や私立ではそうした対応だってしているし、そういう対応をしていなくても、長時間労働があって残業代を払われている、けれども公立には払わなくていいと言いながら、これだけ大変な業務をこなさなきゃいけない、時間外労働もたくさんあるでしょうと、なのに一〇%で見合っていると言えるんですかと言っているんです。
○国務大臣(あべ俊子君) 教師の処遇に関しましては、人材確保法に基づきまして、一般行政職の公務員の給与と比較をして優遇措置が講じられなければならないとされているところでございます。
 今回の教職調整額の一〇%への引上げ、またその他の手当の改善が完成する際には、教師の優遇分は人材確保法に基づく処遇改善が完成した昭和五十五年当時と同程度の水準となるところでございます。また、このような教員給与の大幅な引上げは約四十五年ぶりとなっているところでございます。
○吉良よし子君 見合っているかどうかって答えられないんですね、答えないんですよ。というか、一〇%に引き上げる一方で、ここに挙げられている特別支援学級の対応をしている教員の調整額というのは引き下げるんですよ、下げる。それは、文科省の言うその困難な教育活動を担う公立職員の職務、労働の対価として十分であるわけがないじゃないですか。で、この現在の超過勤務の状況だって、それに、その時間、残業時間を見ても、一〇%というのは全く見合わないんだということは先日の参考人質疑でも広田参考人も指摘されていたことなので、見合わないんです。基本給として調整額引き上げるのは当然ですけど、やはりちゃんとその職務、その仕事に見合った給料を払うということでいえば、ちゃんと働いた時間分の対価として残業代を支払うべき、このことを強く求めるものです。
 続いて、この残業代制度だけではなくて、やはり私、この残業代制度によってこの教育行政の側にコスト意識を持たせることが何よりも重要だということをこの間も指摘をしてきたわけです。で、コスト意識を持って何をするかといったときには、やっぱり教員を増やす、これこそが長時間労働をなくすための改革の本丸だということは間違いないと思うんです。とりわけ、この間も、参考人質疑の中でも、持ちこま数を削減して定数を増やすことの必要性というのは四人の参考人の皆さん全てが同意をされていたわけで、基礎定数を増やすべきという声もあったわけです。
 そこで、文科省の基礎定数の考え方について質問していきたいんですけど、そもそもこの義務標準法、制定されたのは一九五八年で、このときに国は基礎定数、どうやって算定をしてきたのか、どういう考え方に基づいて算定したのかと。
 当時の、一九五八年の「学校経営」七月号に、文部省財務課長補佐としてこの法案策定に関わった佐藤三樹太郎さんという方の解説がありました。これを見ますと、小学校における教職員数を何から割り出したかと、それは一教員当たりの標準指導時数との関係を押さえることにしたとあって、つまり、持ちこま数との関係で定数を換算したんだと。そのこま数というのは、一日平均四時限、これは一日勤務時間八時間のうち休憩時間を含んだ四時間を正規の教科指導に充てて、残り四時間を教科外の指導ほか、指導のための準備、整理、その他の校務一般に充当するという考え方だとあるわけなんです。
 つまり、当初は教員一人一日四こまとすることを基本に乗ずる数を設定して教員の基礎定数を算定していたと、これは間違いないですね、局長、いかがですか。
○政府参考人(望月禎君) 一九五八年、昭和三十三年の義務標準法制定の際の考え方でございますけれども、小学校の教員一人当たりの指導時数につきまして、教科指導時数を週二十四こま、教科外の指導時数を週二こまの計二十六こまと想定して基礎定数を算定してございました。このうち、週二十四こまの教科指導時数を週、当時六日でございましたので、週六日の勤務日数で乗じますと、一日四こまとなりまして、教科外の指導時数の週二こまを加えた週二十六こまを週六日で割りますと、一日約四・三こまとなります。
○吉良よし子君 当時、一日四こまということで教員定数を算定していたということになるわけですね。これは参考人質疑でも妹尾参考人もおっしゃっていたことだと思うんですけれども、では、今現在はどうなっているかということなんです。
 お配りした資料二を御覧ください。
 これは、学校規模別に義務標準法で算定される教員数、基礎定数を配置した場合の週当たりの教員の授業時数というのを表した文科省の資料になるわけですけれども、今の小学校では標準的な学級数というのは十二学級だと伺っているわけですけど、この十二学級校の場合、教員一人当たり、週当たりで二十四・六こまになっているということになりますけど、これ、一日に換算すると一日一人何こまということになるんですか。
   〔理事本田顕子君退席、委員長着席〕
○政府参考人(望月禎君) あくまで基礎算定上のことでございますけれども、現在の義務標準法の乗ずる数によりまして算定される平均学級規模の十二学級の小学校における教科外指導時数を含む教諭等一人当たりの週平均持ち授業時数は二十四・六こまとしてございますので、平均五日間で割りますと、一日当たりは約四・九こまとなっております。
○吉良よし子君 つまり、一日四・九こま、ほぼ五こまというふうになっているんです。
 義務標準法制定当時は一日四こまで定数を換算していたはずなのに、現在は一日ほぼ五こま。実際には、この義務標準法上のこの時数ではなくて、標準授業時数を基ではなくて、現場ではその余剰時数なんかを上乗せして年間授業時数を設定しているという学校も多いので、当然一日五こまのみならず一日六こま持たざるを得ないような教員の方というのは少なくないと、だから、授業するだけで勤務時間内のほとんどが終わってしまうような教員の皆さんがもうほとんどになってしまっている実態があると。
 つまり、この基礎定数の考え方が一日四こまだったものが一日五こまになっていることがそもそも長時間労働の原因じゃないかと思うんですけど、大臣、今の基礎定数の計算というのは、つまり、文科省として、教員は一日五こまを担うものだと、そういう考えにあるということなんですか。
○国務大臣(あべ俊子君) 先ほど局長から答弁がありましたとおり、十二学級規模の小学校の教師の一日当たりの持ち授業時数につきまして、義務標準法における乗ずる数のみに関わる教員数で計算すれば約五こまとなります。
 この小学校の教師の持ち授業時数に関しましては、特に負担が大きいと考えておりまして、文部科学省といたしましても、この持ち授業時数の軽減を図るために、令和四年度からは三年間で小学校高学年の教科担任制の導入のための定数改善を行ってきたことに加えまして、令和七年度からの四年間で計画的に小学校四年生への教科担任制の拡充、また、新規採用教師の支援などに関わる定数改善を行うこととしているところでございます。
○吉良よし子君 何か大臣の答弁聞いていると、何か自然発生的に一日五こまに計算上はなっちゃったんですみたいなふうに聞こえるんですけれども、そうじゃないと思うんですよね。
 やっぱり、この一日四こまを守るというそういう思いを持っていなかったから、文科省が。人を増やそうというコスト意識を全然持たないまま、とにかく道徳とか外国語とか教科だけ、仕事だけを増やしていくということをするから、結果として一日五こまということが前提となる基礎定数の計算方法になっちゃったんじゃないんですか。やっぱり、これこそがやっぱり長時間労働の最大の原因なんだというのは間違いないんだと、コスト意識持っていないのが問題だということを申し上げておきたいと思うわけです。
 その上で、大臣、今、加配で、例えば教科担任制で持ちこま数削減に努めているというようなお話されたわけですけれども、じゃ、局長に伺いたいと思いますけれども、この小学校における教科担任制、この間ずっと進められてこられたわけです。まずは二〇二四年度までで高学年に、そして二〇二五年度からはこれから四年かけて中学年にこの教科担任制の加配を配置するということですけれども、合わせて総数何人配置することになるんですか。
○政府参考人(望月禎君) 小学校における教科担任制のための加配定数の総数でございますけれども、高学年分に関しましては、令和四年度から令和六年度一年間前倒しでやった分も含めまして、新たに改善した三千八百人と既存の加配定数五千六百人の計九千四百人でございます。
 四年生分に関しましては、令和七年度からの四年間計画で定数改善を見込む三千二百人と既存の加配定数の千九百人の五千百人となりますので、九千四百足す五千百ということで、合計一万四千五百人分が小学校四年生から六年生までで教科担任制を実施する加配定数となります。
○吉良よし子君 済みません、複数数字足されていると思うんですけど、三千八百人と三千九百六十人ではないんですか、高学年と中学年で。
○政府参考人(望月禎君) 三千九百六十人というのは、新規採用の、若手職員のための持ちこま数軽減でございまして、教科担任制の四年生ということですと、あっ、失礼しました。四年生分に関しもう一度申し上げます。失礼しました。
 四年生分に関しては、令和七年度からの四年間で計画的な定数改善を見込む三千二百人でございます。そして、既存の加配定数千九百人を合わせると五千百人となります。
○吉良よし子君 まあいいです。
 最初に聞いていた数字と違うんですけど、一万四千五百人だと、全部合わせてもね。
 でも、今、全校、全部の小学校の数は現在で約一万九千校なんです。これでも足りないんですよ。一校一人加配が回らないという状況なんです。やっぱりこれでは足りないんです。
 実際、この委員会の理事、オブザーバーで視察に参りました。千葉県市川市の小中一貫校の塩浜学園。ここでは、七教科、教科担任制を導入したんだと。名目上は一人当たりの持ちこま数が週二十こまになりましたと校長はおっしゃっていましたけれども、同時に、しかし、現場の教員の数が足りないので、実際には空きこまであるはずの時間にほかの学年等の補助指導に入る必要が出てきていて、結果として先生方の勤務時間というのは長いまま、長時間労働は改善に至っておりませんというお話があったと思うんですね。
 結局、教科担任制、加配、多少増やしたとしても、全ての学校で教員が確実にちゃんと増えていかないと、長時間労働を改善することにはならないというのはこの実例で明らかだと思うわけです。やっぱり基礎定数なんですよ、基礎定数を増やさなきゃいけないんです。
 しかし、文科省は、先ほど来あるとおり、一九九三年以降この三十年、この乗ずる数、基礎定数を増やすための乗ずる数そのものの見直しをしてこなかったんだと。その理由として、衆議院の答では、この乗ずる数の見直しで基礎定数が増えたとしても、それは必ずしも増加した教員定数が持ちこま数、持ち授業時数の減少のために用いられない可能性があるからだとおっしゃっているんですね。
 そこで確認をしておきたいんですけれども、この間、小学校で三十五人学級を進める際に基礎定数というのが増やされました。この基礎定数が増やされた際に、この基礎定数は三十五人学級以外の目的で使われたという事実はあるんですか。
○政府参考人(望月禎君) 基礎定数につきましては、加配定数とは異なりまして、そもそも活用方法に制限はないわけでございますので、目的外使用という考え方もないわけでございますけれども、その上で、学級編制の標準の引下げに伴う基礎定数の増につきましては、学級数の増加に伴って学級担任の増員が当然必要となります。そのため、学級担任分については想定どおり活用されているわけです。
 また、学級数の増に伴って、いわゆる乗ずる数の話になりますけれども、増加する学級担任外に係る基礎定数につきましては、その活用方法には制限はございませんので、少人数指導とかあるいは専科指導といった、そこはもう各教育委員会等の任命権者の判断になっているかと考えます。
○吉良よし子君 実態としてあるのかと聞いています。
○政府参考人(望月禎君) そこは、目的外使用という考えてはございません。
○吉良よし子君 いや、はっきりおっしゃらないんですけど、いや、三十五人学級以外で使用するなんてことはできないはずなんです。だって、加配を基礎に読み替えたりしているわけで、学校内ではいっぱいいっぱいですから、あり得ないはずなんです。で、三十五人学級はちゃんと確実に進められているわけですから、それ以外に使われたということはあり得ない。
 つまりは、ちゃんと法律でこうした持ちこまの上限、持ちこま数を削減するために使うんだとか、持ちこま数の上限を入れるなど工夫をすれば、その目的外使用を防ぐなんていうことは大いにできるんですよ。やろうと思えばできるはずなんです。何よりも、目的外使用があろうがなかろうが、全ての学校現場に人が、教員が増えれば、確実に一人一人の負担というのは減らせるわけで、今学校に一番欲しいのは余白、教員に余白をつくってほしいという現場からの切実な声に応えるためには、一日五こまを前提にした基礎定数ではなくて一日四こま基本にして、乗ずる数見直して、基礎定数そのものをやっぱり増やさなきゃいけない。それこそが本丸じゃないかと思いますが、大臣、最後いかがですか。
○国務大臣(あべ俊子君) 教師を取り巻く環境整備、図ることはまさに重要でございまして、乗ずる数に関しましては現段階で具体的な方向性等を申し上げることはできませんが、今後、学校の指導、運営体制の更なる充実を図るためには、必要に応じましてこの乗ずる数も含めた今後の義務標準法の在り方についても検討してまいります。
○吉良よし子君 必要に応じてじゃ駄目なんですよ。一日五こまなんというのは前提にした計算方法では、絶対に教員の長時間労働はなくせません。一日四こまで計算すれば、一校当たり二人は教員増やさなきゃいけないんです。
 広田参考人は、万単位で教員をまず増やさなきゃいけない、それから減らさないということが大事だとおっしゃっていたわけで、やっぱりそういう基礎定数を改善する、乗ずる数を見直すことなしに長時間労働是正できないということを申し上げて、質問を終わります。