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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2025年・第217回通常国会

全て必要な労働時間 給特法改定案 参考人が批判

要約

参院文教科学委員会は3日、教員給与特別措置法(給特法)改定案の参考人質疑を行いました。改定案には、労働時間と見なさない「時間外在校等時間」という文言が組み込まれ、公立学校の教員への残業代不支給の枠組みを残しています。

 本田由紀・東京大学教授は、時間外在校等時間の実態は明らかに労働時間であると指摘。「教員にとって全ての時間が必要な『労働時間』であり、時間外在校等という言葉により明らかな労働時間に報酬を支払わない改定案には大きな問題がある」と批判しました。

 日本共産党の吉良よし子議員は、教職調整額など教員の処遇に関して、特別支援学校・学級に支給する特別支援調整額の引き下げは不公正で、特別支援教育の軽視になるのではないかと尋ねました。本田氏は「軽視そのものだ」と述べました。

 吉良氏は、学校現場に必要なのは教員同士の負担を軽減する『同僚性』が発揮される共同性だとして、新たに創設される「主務教諭」は階層をつくり共同性を妨げると主張。本田氏は「お互いに相談し分かち合うことが重要で、一部の教員に主務と名指しし、他の教員と差をつけることは弊害しかない」と述べました。

 吉良氏は、長時間労働の改善には持ちコマ数の削減と基礎定数の改善が必要ではないか質問しました。

 青木栄一・東北大学教授は「まずは学校あたりに1人定数を増やすことがいい」と答弁。鍵本芳明岡山大学教授は、小学校の教員の持ち時間数軽減が最も重要だとして「計画的な教員数の改善が大切だ」と述べました。本田氏は、学校あたり1人も増やせていないとして「さまざまな手を尽くして定数を増やしてほしい」と強調しました。

しんぶん赤旗2025年6月4日付より抜粋

議事録(未定稿)

※こちらの議事録は速報・未定稿版となります

○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 四人の参考人の皆様、今日は本当に貴重な御意見ありがとうございます。
 では、早速ですけれども、露口参考人と本田参考人に、その給与、処遇の在り方について伺っていきたいと思うんです。
 冒頭の話の中で、本田参考人からは、やはりこの教職調整額一〇%というのが、現在の教員の労働時間に比して見合わないんだという御指摘があったと思います。また同時に、露口参考人からは、その処遇に関して公正に行われることが重要であるとの御指摘もあったと承知をしているわけですが、今回の法改正では、この教職調整額一〇%に段階的に引き上げるだけではなくて、中教審も受けてということで、学級担任への手当の加算もあるという一方で、問題となっているのは、私、特別支援学校、特別支援学級、そして通級を担当する教員の調整額、給料の調整額を引き下げるというこの改定、改悪だと思うんですけれども、これについて、文科省は、全体としてはマイナスにならない、改善になるように調整をしているんだと言い張っているわけですけれども、マイナスにはならないとしても、その改善幅、引上げ幅というのが小さくなるというのは明らかで、そういう事態の中から、現場の側からは、特別支援が必要な子供もそれを担う教員の立場も軽んじられているんじゃないかと、こう批判の声が上がっているわけで、やはりこうした給料の調整額を引き下げるこの行為そのものは公正とは言えないし、むしろそういった教育を軽視するというメッセージになってしまうのではないかと思うのですが、この点に関してのお二人の御意見をそれぞれお聞かせください。
○委員長(堂故茂君) では、本田参考人。
○参考人(本田由紀君) 特別支援手当を引き下げることは軽視につながると思います。どんどん教員の方たちのこの軽んじられているという思いというものが強くなっていくということは、現場にも悪影響があると考えます。
 以上です。
○委員長(堂故茂君) では、露口参考人。
○参考人(露口健司君) 御質問ありがとうございます。
 私の方で現職の先生方から聞いている意見が、特別支援学級の担当であると一日千円から千二百円に対して、学級担任をされている教務主任さんの方が二百円であると、これが果たして公正かどうかというような意見を現職の先生方から伺っております。
 そこで、今回、学級担任手当ということで加算していくわけなんですが、その金額というのも非常に微々たるもので、ある先生によりますと、これは日額か月額か分からないというレベルでございます。やはり現場の先生からすると、この学担を持つかどうかというのはもう、非常にその一年間の仕事のありようが決定的に変わってきますので、そういった先生方の業務量であったりとか、この熱意であったりとか、なされることに対する評価をもうちょっと上げていただけたらなという意見を持っております。
 済みません、以上でございます。
○吉良よし子君 学級担任の手当の引上げも当然必要だと思うんですけれども、一方で、特別支援に携わる教員の皆さんは、この学級担任の手当の加算の対象からも外されるという意味では非常に不公正と言わざるを得ない中身になっているんじゃないかと、やはりそれは軽視につながるんじゃないかというふうなことも感じている次第でございます。
 続いて、本田参考人に伺っていきたいと思うんですが、最初のお話で、主務教諭の問題点についての御指摘があったかと思うんです。やはり私自身も、この学校現場の皆さんの話聞くにつけ、学校で、そして子供たちの教育にとって大切なのは、同僚性というものが発揮される教職員の協働であるんだと。文科省も問題視している、その新任の先生方の負担も重いということもあるでしょうし、また主任を担当している先生方も様々任務があって大変だと。そういった大変な教員、お互いに支え合うという同僚性、協働性というのが、やはり何よりも学校現場で大事だと思うときに、この主務教諭というものを導入して階層化をするというのは、そういう協働性の発揮を妨げることになるんじゃないかと、そして分断になるし、もっと言えばその新たに主務教諭となる方の負担にもつながる、過労にもつながるんじゃないかと思うんですけれども、その辺りについて是非詳しく教えていただければと思います。
○参考人(本田由紀君) 資料にも書いてあるとおりなんですけれども、同じ考えを持っております。
 主務教諭については、サポートをするといったような表現で書かれたりもするんですけれども、サポートをする、されるというような関係というのは、される側の一般の教諭にとってはやはり指示を受けるのと同じことになります、似たようなことになります。そうではなく、全員が同じ資格でもって対等に、敬意を払い合いながら、相談しながら、アドバイスをしながら、アドバイスというか、お互いに分かち合いながら決めていくということそのものは、非常に学校にとって重要で、それは既に非常にもう危機に瀕しているような事柄になりますけれども、その中で一部の教諭だけを主務と名指して役割と手当を付けるということは、それ以外の教諭との間の落差ということが非常に際立つことになります。
 何の益もないというふうに、むしろその弊害の方が大きいことをなぜもたらすのかと。それが中堅教諭に対して、多少その賃上げというか、の口実として用いられているようであれば、それはやはりサクジュツ的なものだというふうに考えます。
 以上です。
○吉良よし子君 何の益もない、弊害しかないのではないかという御指摘、重く受け止めるところであります。
 それでは、青木参考人、鍵本参考人、そして本田参考人に伺いたいんですけれども、前回の参考人質疑の際にも伺ったんですけれども、やはりこの長時間労働の改善するといったときに、持ちこま数を削減していくこと、一人当たりの、そして教員の定数、基礎定数の改善こそがやはり本丸ではないかと思うのですけれども、一言ずつ御意見をいただければと思います。
○委員長(堂故茂君) では、青木参考人。
○参考人(青木栄一君) お尋ねありがとうございました。お答え申し上げます。
 定数改善につきましては大事なことだと思います。
 ここまでの議論を拝見していますと、その乗ずる数というものが論点になっているかと思いますけれども、これは私、十分詳しくない分野なので、どうお答えしていいかと考えながら今お答えしているのですが、乗ずる数が開発されたときは日本の人口が増加基調だった時代でありまして、現在の少子化が急速に進んでいるときにあの乗ずる数というのがどのように機能するかというのは、私まだ十分考えが及んでおりません。
 その上で、例えば、今現実で先生方が大変だと、学校でいろいろ大変なことが起こっている、お休みされる先生も増えているという中で、例えば、今回の定数改善の議論とは少し離れるんですけれども、副校長先生と教頭先生をダブルで配置するとかですね、そうすると、教頭先生は教育もつかさどるという規定ですので、何かあったときにバックアップ的な機能もしていただく、で、若手先生を育てるという機能も担っていただく。他方で、副校長先生に例えば行政の方、一般行政の方の、兼業をしてマネジメントをしっかりするというような形で定数改善が、中期的にはそういった点も、つまり学校当たり一人まずは定数を増やすというようなこともあっていいかなと思っております。
 以上です。
○参考人(鍵本芳明君) 持ちこま数についての考えということでございますけれども、教員は、授業だけではなくてほかの校務分掌も全体で分担して、生徒指導でありますとか進路指導とかやっておるところもございます。また、授業時数が多くても、持つ生徒が少なければそれは負担は軽くなるということもありますので、授業時数のみということでその負担が把握できるというところは十分検討が必要な部分かなというふうに思っております。
 ただ、小学校におきましては、やはりこれまでも議論がありましたように、教員の持ち授業数が軽減されることがとても重要だなというふうに思っております。高学年に行って、今度は四年生に行くわけでありますけれども、ここはやはり、今後も継続的に要は負担の軽減ということが図られまして、計画的な教員数の改善ということが今後も引き続き行われることが大切かなというふうに思っております。
 以上でございます。
○参考人(本田由紀君) こま数であれ乗ずる数であれ、あるいは学級のクラスサイズを削減していくのであれ、手を尽くして定員は、教員基礎定数を増やしていただきたいところではあります。
 先ほど青木委員から学校当たり一人増やすという提案が出ましたけれども、学校当たり一人増やすような状況にも全然達していないんですね。学校当たり一人増えて、仮にですけれども、一体どれだけ今の先生方の業務の削減になるのか。それすら達成されていない。これは、これまでいかに過酷な、無理を学校現場に強いてきたかということの表れですので、もうとにかく抜本的ということを強調しておきたいと思います。
 以上です。
○吉良よし子君 時間になりましたので、終わりたいと思います。御貴重な御意見をありがとうございました。