2025年・第217回通常国会
学校の施設整備/学用品負担ゼロへ
議事録(未定稿)
※こちらの議事録は速報・未定稿版となります
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。それでは、初めに学校の施設整備について伺っていきたいと思います。
学校の施設整備、つまり学校施設の耐震化とか老朽化の対策、また防災対策など、これらは着実に進めていく必要があるものだと思うわけです。特に特別支援学校などでは教室不足ということが長年言われて、これがなかなか解消できない問題もあるわけです。また、今暑い夏が近づく中、体育館などでの空調設備の整備なども進めていく必要があると思うわけです。しかし、今全国でこうした学校の施設整備が滞る事態になっていると聞くわけです。
五月二十七日、全国都道府県教育長協議会と全国都道府県教育委員協議会は学校施設環境改善交付金事業に関する緊急要望というのを出されたわけです。これを見ますと、国の学校施設環境改善交付金の採択保留となった自治体が前年より大幅に増えて、最優先と位置付けられているはずの耐震や防災の事業も含めて、各自治体の計画的な学校施設の環境整備に著しい支障が生じていると訴えているわけです。
私のところにも福島県などからも問合せがあったり、東京都内でも採択保留になってしまったというところがあるということなども聞いているところで、まず確認をしていきたいんですけれども、学校施設環境改善交付金の採択状況についてです。前年度の当初予算分と今年度の当初予算分の採択保留となった件数というのはそれぞれ何件か、お答えください。
○政府参考人(笠原隆君) お答えいたします。
まず、学校施設環境改善交付金につきましては、令和七年度事業につきましては、前年度に前倒し可能な事業、まず六千七百七十三件については令和六年度中に全て採択をしているところですが、令和七年度の当初時点になると思うんですけれども、千九百六十四件採択をしておりまして、採択保留となった件数は三千六百九十九件となってございます。
一方、前年度事業、令和六年ですけれども、につきましては、年度当初時点では四千八百七十六件採択しておりまして、採択保留となった件数は九百九十二件となってございます。
○吉良よし子君 三千六百九十九件が保留ですね、今年度は、となっていて、ということでいくとですよね、かなり、で、前年度でいくと九百九十二件だったのが三千六百九十九件ということで、かなりこの保留の件数が増えていると。で、お配りした資料は、これは先ほど申し上げた、全国都道府県教育長協議会等が添付した、その緊急要望に添付した資料でありますけど、これを見ても、大体ほぼ同等の数字があって、保留件数というのは約三・七倍になっているよということが訴えられているわけです。
なぜこんなことになったかというと、その背景にはやはり予算の問題があるんじゃないかと思うんです。これも確認したいと思うんですけれども、この学校施設環境改善交付金の今年度の当初の予算ですね、当初予算と前年度の当初予算比べた場合に、減額になっていると思うんですけれども、どれくらい減額となっているのか、当初予算の比較でお答えください。
○政府参考人(笠原隆君) お答えします。
学校施設環境改善交付金につきましては、そもそも当初予算と前年度の補正予算とを一体に執行しているところではございますが、先生からお尋ねのありました当初予算に限っての比較ということでございますので、まず、今年度につきましては六十二億円、前年度は百七十七億円となってございます。
○吉良よし子君 だから、お配りした資料のとおりで、差引きすると百十五億円の減額ということになるんですね。
そもそもですね、この学校の施設整備費の予算というのは、毎年、当初予算というのはかなり少ないように設定されていて、で、先ほど御説明あったとおり、補正予算で何とかカバーをしていくという、倍以上の補正を付けてですね、何とかこの対応をしていくというような現状で回しているというのが状態なんですけれども、今回はもう当初予算からそのものが大きく減ってしまっているということが問題で、それがこの採択保留件数の増大につながっているのは間違いないと思うんですけれども。多くの学校の場合、子供たちの教育活動に影響が生じないようにということで夏休みに工事を行うことが多いわけです。その夏休みの工事を計画していたにもかかわらず、今回採択保留になってしまって、もう今年度の工事、実施見送りを余儀なくされる、そういう著しい事象が出てきているというのは本当にゆゆしき事態だと思うわけです。
特に、私、憂慮するのは、老朽化したぼろぼろの校舎をどうするかという問題だと思うんです。例えば東京日野市の場合は、小中学校の多くの校舎で老朽化のために雨漏りが発生する深刻な事態になっているんですけれども、予算の問題で改修できる校舎の数に限りがある中で、屋上防水とか外壁工事など全面的な改修というのが、全部直すために、日野市内全部直すために十五年掛かるって言われている。十五年、雨漏りする校舎で子供たちが過ごさざるを得ないような状況が現にある。やっぱり大問題だと思うんですよね、大臣。
この学校施設整備について、ちゃんと自治体が計画的に整備できるように、補正予算を待たずに、もう緊急に予算措置することを含めて対応すべきではありませんか。
○国務大臣(あべ俊子君) 吉良委員にお答えします。
公立学校の施設でございますが、やはり、子供たちの学習、さらには生活の場であるとともに、地域コミュニティーにとっても拠点となりまして、災害時には地域、住民の方々とともにその避難所になる極めて重要な施設だと私ども認識させていただいているところでございます。
文部科学省といたしましては、各自治体が計画的に施設設備が行うことができますように、今後、あらゆる、あらゆる機会を捉まえまして、必要な予算総額の確保も目指していきたいと思います。
○吉良よし子君 あらゆる機会を捉えてということなんですけど、補正待っていたら間に合わないですから、夏休みも目の前ですしね、もう是非、緊急な予算措置を含めた対応、強く求めるものであります。
続いて、教育費の負担軽減についても残りの時間で聞いていきたいと思うんですけれども、この間、文科省は、希望する誰もが質の高い教育を受けられるよう教育費負担軽減に取り組むことが重要であるとの立場を示されていて、学校給食費の無償化等についても来年度以降目指していくんだということも言われていると。義務教育であり無償とされている小中学校でも、とはいえですね、この学校給食以外にも掛かる費用というのはまだあるというのは現状だと思うんです。
まずは、これ実態を確認していきたいと思うんですけれども、子供の教育費調査というのをされていて、この二〇二三年度で学校教育のために各家庭が支出した経費、学校教育費というのは公立の小学校、中学校で年間幾らになっているのか、総合教育局長、よろしくお願いします。
○政府参考人(茂里毅君) お答え申し上げます。
令和五年度の子供の学習費調査の結果によりますと、これ二年に一回やっていますが、保護者が支出した一年間子供一人当たりの学校教育費は、学用品費や通学用品費などを含めまして、公立小学校につきましては八万一千七百五十三円、公立中学校につきましては十五万七百四十七円となってございます。
○吉良よし子君 毎月となると、小学校でも毎月一万円から二、三万円の負担になるし、卒業するまでということを考えると、年間八万円、中学校で年間十五万円ということでいくと、小学校も中学校も大体四十万円を超えてしまう、四十五万円前後の御負担になってしまうということで、決して少ない金額ではないと思うわけですね。しかも、その前年の、前回の調査から比べても、小学校で一万五千七百七十九円、中学校では一万八千三百九十八円増えていると、増えているという状況なんです。
先ほど局長も幾つか、学用品などということをおっしゃられましたけど、具体的にこの学校教育費って何かというと、小学校入学時のランドセルから始まって、中学校では制服など、そういうまとまったお金は必要ですし、入学後ですよね、漢字ドリル、計算ドリル、書道セット、辞書、算数セット、車の実験セット、アサガオセット、鍵盤ハーモニカにリコーダー、絵の具セットに版画セット、彫刻刀、粘土、裁縫セット、木工キット、英語はリスニングの教材とか、体操着から運動靴、水着、柔道着、夏休みになれば夏休みの宿題用のワークブックなど、教科ごとに補助教材というのが次々にあって、これほとんどが保護者負担になっていると。
中にはたった一回の授業でしか使わないようなものまであるというわけで、本当にこの教材が必要なのか、必要だとしても子供たち一人一人が家庭で購入しなきゃいけないものなのかということ、学校が備品としてそろえておけばいいんじゃないのかということの、そういう工夫が必要だということで、そうした努力を地方自治体単位で行っているところもあるとは聞くわけです。
文科省としても、補助教材の購入に関して、保護者等に経済的負担が生じる場合はその負担が過重なものにならないよう留意することと通知をしていることも承知をしているわけですけれども、当然そうした保護者の負担過重にならないように精査をしていくことというのは必要だと思うんですけれども、やっぱり本来は、こういった教材費、できる限り保護者負担にならないように、ゼロを目指していくべきではないかと思うんですけど、大臣、いかがですか。
○国務大臣(あべ俊子君) この授業料以外の教育費の件でございますが、やはり私どもも、憲法第二十六条二項が規定します義務教育の無償とは授業料不徴収の意味と解することが相当と最高裁判例が示されているところでもございまして、国公立学校につきましては授業料を徴収しないことにしておりますが、その点で、委員のおっしゃっているこの学用品等の保護者負担につきましては、憲法や法律上、この教材費などの教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないこととはされていないことを踏まえますと、必ずしも非合理であるとは言い切れないというふうに思っておりますが、委員が御指摘のように、文科省におきましては、学用品の購入に関しては経済的負担が過重なものとならないように留意することを各教育委員会に周知をしているところでございまして、引き続き、教育に関わる経済的な負担軽減を向けた取組はしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。
○吉良よし子君 大臣、憲法の義務教育無償というのはあくまでも授業料であって、その他までは入っていないはずであるという御答弁だったんですけれども、以前も当委員会で私は紹介させていただいたんですけど、一九五一年、当時、教科書を無償にする際の国会の参議院文部委員会で文部省の政府委員が答弁しているんですよ。義務教育を教育として実施する場合に必要な経費はこれは公共の方から出して、義務教育を受ける立場からはこれは無償にすることとしたいというふうな理想を持っているんだと、すなわちその内容といたしましては、現在は授業料でございますが、そのほかに教科書とそれから学用品、学校給食というふうな、なおできれば交通費ということも考えておりますという答弁があるんですね。
これは憲法における義務教育無償化と言ったときはどこまでかという質問に対する答弁なわけですけれども、要するに、当時、義務教育無償化と言ったときには、やっぱり授業料だけじゃなくて学校給食費や学用品、できれば交通費も含めて無償にしたいと、それが政府としての理想だという答弁があったわけなんです。
それについて、私、二〇一八年に質問したところ、当時の柴山文科大臣はこの当時から意識を変えているわけではありませんとお答えになったわけで、大臣、やっぱりそうした憲法の義務教育無償を実現していく、その理想と言ったときに、かつての文科省が理想と言っていたことを踏まえれば、学用品もやっぱり、教育費ゼロ、負担ゼロ目指していくと、やっぱり文科省として言うべきではありませんか。いかがでしょうか。
○国務大臣(あべ俊子君) 答弁は承知しているところでございますが、やはり文科省としては、経済的な理由によって就学困難となることがないように、引き続き教育費の負担軽減に取り組んでまいりたいと思います。
○吉良よし子君 答弁承知されているのであれば、やはりその理想を目指すと言っていただきたいと思うんですよ。
もう既に各自治体、品川区などで、一部の自治体ではその学用品の負担ゼロ、実現しているところもあるわけです。修学旅行の費用をゼロにしているような自治体もあるわけです。ただ、自治体間で財政に様々ありますから格差が出てしまうと。だから国こそが率先して、学用品も含めて負担ゼロ、教育費ゼロ、目指していただきたいということを強く申し上げまして、質問を終わります。