【学校教育情報化推進法案】
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子でございます。
ICT機器を活用して子供たちの学びを充実させていくことは大切な取組です。本法案は、学校でのICT環境整備を進めるものであり、賛同できるものであるということを初めに述べた上で、以下、質問をしたいと思います。
まず、提案者に伺いたいと思います。
昨年、デジタル教科書をめぐっての質疑の中でも、私は、コンピューター、無線LANなど、ハード、ソフト、ネットワークといったICT環境そのものが地方自治体間、学校間で格差があるということを指摘しまして、自治体任せにしないで国として取組を進めるべきだと指摘をしたところであります。
本法案で、地方間、学校間で格差を生まないよう国として学校ICT環境の整備を進めていく、そういうことでよろしいでしょうか。提案者、お願いいたします。
提案者 衆議院議員(高井崇志君)
吉良委員にお答えをいたします。
本法案では、基本理念として、第三条第三項において、学校教育の情報化の推進は、全ての児童生徒が、その家庭の経済的な状況、居住する地域、障害の有無等にかかわらず、ひとしく学校教育の情報化の恵沢を享受できるよう行わなければならないと規定しておりまして、委員御指摘のとおり、地方間、学校間で格差を生まないようICT環境の整備が進められるべきと考えております。
また、法案第十五条では、国が学校におけるICTの活用のための環境の整備に必要な施策を講ずべきことを規定しておりまして、国として情報通信機器の導入を始めとする環境の整備を推進していくこととなると考えております。
吉良よし子
是非、地方間、学校間での格差を生まないように努力をしていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
また、同じく昨年の質疑では、デジタル教科書の利用について様々な意見がある中で、その効果があるというものもある一方で、子供たちの心身、健康面への影響に対する懸念もあるということが議論されたと思っております。
タブレットPCを使うことに邁進する余り、筆記具を用いて実際に手で書くこと、若しくは声を出して文章を読むといった活動、軽視することがあってはならない、タブレットPCの活用については、それが最もふさわしい場面で活用することが大切であることだと思います。その最もふさわしい場面の判断というのは、まさに日々その教育に当たっている教師、そして学校現場の判断が優先されるべきものだと考えるわけですが、改めて提案者に伺いたいと思います。
このICTの活用に当たっては、学校現場の自主性を阻害しないように配慮すること、これは何よりも重要だと考えますが、その点いかがでしょうか。
提案者 衆議院議員(城井崇君)
学校におけるICT活用の推進については、政府の教育振興基本計画でも言及され、これに基づいて、各地方自治体においてその地域の実情に応じて進められているところでございます。学校現場の自主性を阻害しないように配慮することが重要であることは御指摘のとおりであります。
本法案でも、委員御指摘の趣旨から、第八条第三項において、学校教育の情報化の推進に関する計画は教育振興基本計画との調和を保つことといたしております。
吉良よし子
是非とも、自主性を阻害しない、学校現場の自主性を何よりも最大限重視していただきたいと思っております。
また、このICT教育を進めるに当たって、ICT機器、ネットワークの整備といったハード面の整備がそもそも進んでいないということは本当に課題なんですけれども、それらが、じゃ、導入されればそこで終わりというわけでもないと思うわけです。
機器やネットワークを導入、整備した後も、学校現場では、その機器の保守、整備など、継続的なメンテナンスなどもある手の掛かる業務が働き方改革を進めるべき学校現場で逆に増えてしまうといった懸念もあるわけです。全国の中でICT教育が進んでいるとされる東京でも、一斉に生徒たちが電源を入れることによって、ダウンロードしようとした瞬間にフリーズをしてしまう、使っている途中で突然フリーズしてしまって、もう授業そのものが止まってしまってといった事態があるという話もこの間聞いてきたところであります。
こうした問題も踏まえますと、導入の時点の、導入だけではなくて、機器の保守、整備を行う、また、その授業の中でちゃんと円滑にICT活用できるような環境を整えるためには、やっぱり現場にこうしたICT機器等に精通した方々がいるということが何より大事だと思います。この際、ICT支援員という配置をこの間、文科省で進めると聞いておるわけですけれども、一方で、文科省の調べでは、そのICT支援員というのは全国で約二千八百人にとどまっているという話も聞いているわけです。
大臣、ICT機器の導入と併せてこのICT支援員の配置、もっと進めるべきだと考えますが、その点についてお願いいたします。
国務大臣(文部科学大臣 柴山昌彦君)
委員御指摘のとおり、学校においてICT機器を円滑に活用できるよう、教員等に対してICT活用をサポートするICT支援員の配置を進めることは重要であります。
このICT支援員の配置に係る所要の経費については、四校に一人の割合を前提とした地方財政措置が講じられているところでありまして、文部科学省といたしましては、この経費を活用して円滑に配置がなされるよう、各自治体に対し、ICT支援員の必要性や具体的な役割などについて情報提供を行っているところでございます。
今後とも、学校におけるICT活用のため必要な支援員の配置がなされるよう、自治体に対して様々な手段で地方財政措置の積極的な活用を促していきたいと考えております。
吉良よし子
進めていくということでした。
いずれにいたしましても、ICT環境の格差を是正すること、それから学校現場の自主性を大切にすること、そして授業そのものが本当にICTを使うことによって効果的に促されるように是非これからも努力を続けていただきたいということを心から申し上げまして、私の質問を終わります。