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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2024年・第216臨時国会

外苑再開発、認めるな/文科相に求める

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は19日の参院文教科学委員会で、神宮外苑再開発事業に文部科学相の認可を与えないよう求めました。
 同計画の柱となる秩父宮ラグビー場の移転新築は、文科省所管の独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が実施し、今後、財産処分に伴う文科相認可の手続きが予定されています。
 吉良氏は、10月に樹木の伐採が始まり、怒りと悲しみが広がっており、国際記念物遺跡会議(イコモス)が警告を出し、国連ビジネスと人権作業部会も人権侵害だと指摘する中で伐採を強行している現状への見解を質問。阿部俊子文科相は「東京都などが事業者と協議しながら適切に対応していくべきもの」「関心を持って見守る」と述べるにとどめました。
 吉良氏は、JSCの土地と建物は国が出資したもので、評価額が三井不動産の言いなりでは問題だと指摘。スポーツ庁の寺門成真次長は「JSC独自の評価を行うことにより説明がなされるもの」とし、JSCの芦立訓理事長は「(JSCが)主体的に行う」と答弁しました。
 吉良氏は、再開発が文化遺産である100年の森を壊し、ラグビーとしてよりもイベントホールへと様変わりするとし、財産処分を認可しないよう強く求めました。

しんぶん赤旗2024年12月27日付より抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 初めに、私は、この間、この委員会でも何度も取り上げておりますが、神宮外苑の再開発について伺っていきたいと思います。
 総選挙が終わった直後、十月二十八日からこの神宮外苑再開発に向けた樹木の伐採が始まっており、ヒマラヤスギ、スダジイを始めとした百年の歴史ある樹木が次々と伐採されていることに悲しみと怒りの声が広がっています。何より、この計画については、この樹木の保全を求める声が広がっているだけでなく、七月の世論調査では七割の都民が反対の声を上げ、また事業の見直しの求める声も広がっているわけです。
 ユネスコ、国連教育科学機関の諮問機関であり、世界文化遺産の保護等を行うICOMOSからは、ヘリテージアラート、警告が出され、国連ビジネスと人権作業部会からも人権侵害の影響があるとの指摘もあったものです。
 しかし、この事業者、四者あるわけですけれども、四者は、国連からの警告に対して正面から回答もしない、住民の声も無視したまま伐採を強行しているわけで、東京都や新宿区がこれらを追認していると。私これ大問題だと思っているわけですが、大臣は、この神宮外苑の再開発、そして進んでいる樹木伐採というのが、こうした住民の声を無視して、国連からの度重なる指摘も無視して進んでいるということを御存じでしょうか。

国務大臣(文部科学大臣 あべ俊子君)

神宮外苑地域のこの再開発事業につきましては、様々な御意見があることは承知をしております。また、本再開発事業に関しましては、基本的には事業に関連する許認可権限を持つ東京都及び新宿区、港区において、地権者を始めとする関係事業者と協議しながら適切に対応していくべきものだと考えておりまして、スポーツによる町づくりを推進する文部科学省としても関心を持って見守ってまいります。

吉良よし子

文科省としても関心を持って見守っていくというお話がありました。
 ちなみに、この樹木保全をめぐっては、九月に事業者側から変更案というものが出されていて、お配りした資料で変更後の案というものも示されているんですが、これは抜本的な見直しにはなっておらず、樹木保全としては不十分と。切らなくなる樹木の本数も数本程度、このラグビー場のところに関して言うと、ですし、その残った樹木も保全できるのかという疑念があると。しかも、その見直し案を公表後、事業者が行った説明会というのは新宿区や港区の住民だけが対象で、神宮外苑を避難場所にしている渋谷区の住民は対象外でという意味では、適切に協議をしながら進められている状態とは到底言えないと、そういうことは是非大臣には御認識いただきたいと思うんです。
 その上で、この計画、ここでもう終わりということではなくて、これからこの秩父宮ラグビー場の移転が進むわけです。これを運営管理するのは文科省の所管するJSC、日本スポーツ振興センターであるわけです。その移転に伴う、このラグビー場を移転することに当たる財産処分については、認可をするのが文科大臣とされているわけです。なので、注視するだけではなくて、当事者であると思うんですね、文科大臣は。
 だから、この計画、樹木伐採だけではなくて、このラグビー場の機能もこれ本当に維持できるのかと、客席数なんかが減らされるという話もあるわけで、こうした財産処分はやっぱり認可の段階、認めるべきではないんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。

政府参考人(スポーツ庁次長 寺門成真君)

法手続の点でございますので、事務方からの御答弁をお許し賜れればと存じます。
 一般論として申し上げますれば、財産処分の認可に当たりましては、日本スポーツ振興センターからの申請に基づきまして、処分等の内容が、方法が適正であるか、また、申請にあった財産を処分等することによって日本スポーツ振興センターの業務運営が阻害されないかといった内容を確認をすることになります。
 その上で、委員御指摘の点につきましては、現時点におきまして日本スポーツ振興センターから認可申請がなされておりませんので、仮定の質問にはお答えできない点、御理解を賜れればと存じます。

吉良よし子

大臣のお考えを伺いたかったんですけれども、また後で伺いたいと思いますが。
 先ほど、適正かどうかを確認していく手続なんだということでした。改めて伺いますけれども、じゃ、この事業者からの認可申請が出された場合、文科省は何を審査することになるのか、端的にお答えください。

政府参考人(スポーツ庁次長 寺門成真君)

お答えをいたします。
 日本スポーツ振興センターが財産処分認可申請に当たりましては、独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令第十六条に基づきまして、申請書に、処分等に係る財産の内容及び評価額、処分等の条件、処分等の方法、センターの業務運営上支障がない旨及びその理由を記載することになってございまして、文科省といたしましては、これらの事項について申請書に記載された内容を確認をする、このようになっているところでございます。

吉良よし子

四点、その通則法、そしてそれにのっとった省令に基づくもので四点記載を求めていると、で、その中身を審査していくことになるというお話だったと思うんですけれども、つまり、先ほどお話あった処分に係る財産の内容及び評価額などの話があるわけですけど、つまり、このJSCの土地、建物、ラグビー場を含むそれは国が出資したものであって、国の土地に準ずるような扱いだと、だからそれを処分するに当たっては国が、文科大臣が認可をする必要が出てくるということになるわけですけれども、じゃ、その評価額、その権利変換後もちゃんとそのまま事業が継続できるのかということは本当に公正に審査される必要があるわけですね。
 現在、この権利変換に伴う不動産の評価というのを進めているのは、再開発を進めている四事業者のうちの一つ、三井不動産だと聞いているわけですけれども、しかし、国の独立法人であるJSCの財産の評価ですから、これをJSC以外の事業者が行う、三井不動産が行ったものをそのまま受け入れて認可するというのはあり得ないと思うんです。少なくともJSC側が、ちゃんと適切な評価なのか、JSCとしても独自のこの財産評価というのをやるのは当然の前提になるんじゃないのかと、そういう経過が必要じゃないかと思いますが、次長、いかがですか。

政府参考人(スポーツ庁次長 寺門成真君)

お答えを申し上げます。
 神宮外苑地区の再開発事業におきましては、都市再開発に基づく権利変換を行い、JSCは事業の対象区域に現在保有する資産の評価額に見合う資産を取得することになると承知をしてございます。
 この資産の評価につきましては、例えば御指摘のようなJSC独自の評価を行うことなどによりまして、当該財産処分が適正であるか、JSCの申請書において説明がなされるものと承知をいたしております。

吉良よし子

JSC独自で、当然ですよね。三井不動産言いなりではなくて独自で評価をする、そして妥当性を判断していくというプロセスが必要になっていくと。
 で、JSC理事長にも来ていただきました。当然、三井不動産とは別個にJSC独自でその財産評価をするということでよろしいですね。

参考人(独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長 芦立訓君)

お答え申し上げます。
 私ども独立行政法人日本スポーツ振興センターの従前従後の資産に係る価額の妥当性の確認につきましては、私どもとして、独立行政法人都市再生機構、いわゆるURでございますが、そこに依頼するということにしておりまして、その結果を踏まえて行う。したがいまして、三井不動産だけではないということでございます。

吉良よし子

URに依頼をすることになっているということですが、確認です。それはつまり、JSCとして、JSCが主体的にこの不動産価格について評価、判断するということでよろしいですね。もう一度お願いします。

参考人(独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長 芦立訓君)

私どもとして依頼いたしますのは、主体性を持って依頼するということでございます。

吉良よし子

当然、JSCとしての評価、判断が必要になってくると。やっぱりそういうプロセスをきちんと取るというのは当然だと思うわけです。そういう姿勢が問われている問題だということは重ねて指摘をしておきたいと思います。
 そして、やはりこの計画、今後の財産処分の認可に当たっては業務運営上支障がないことについても確認することとなっていると聞いているわけですけど、先ほども申し上げましたが、今回、樹木の伐採というのは単に樹木を伐採するということだけじゃなくて、明治時代から続く百年の森と言われる、文化遺産とも呼ばれるような森を壊す、そういう計画になっているわけで、文化、文化財を保護しようという文化庁、文科省としても、その点からもこの問題を見ていかなきゃいけないんだということは指摘しておかなきゃいけないし、業務運営上支障ということでいうと、このラグビー場なんですね。ラグビー場を移転する先で、じゃ、本当にそのラグビー場としての業務が継続できるのかということでいうと、先ほど申し上げたとおり、客席数が減ります。芝生は人工芝になってしまいます。そして、ラグビーをしない日にはイベントをすることで収益を上げることを中心としていく。
 ラグビーよりもイベントホールとして様変わりしてしまうんじゃないかと、そういう指摘もあるわけで、そういうラグビー関係者からも、これはラグビー場としては適切じゃないんじゃないかという声も上がっている、そういう計画なわけで、改めて、このような事業を進める財産処分の認可というのは、やはり文科大臣としてすべきじゃないんじゃないかと私は思うんですが、その点、是非お立場はっきりお答えいただければと思います。

国務大臣(文部科学大臣 あべ俊子君)

この再開発の事業に関しましては、先ほど申し上げたように、基本的には事業に関連する許認可権限を持つ東京都及び新宿区、港区において、地権者を始めとする関係事業者と協議しながら適切に対応すべきものだと考えております。その上で、JSCから許可の申請がありますれば適切に対応してまいります。
 以上です。

吉良よし子

適切に対応するということでしたけど、来たものをそのまま認可するじゃ困るわけで、やはり文科大臣もそういう財産処分の認可をする役割を負っている以上、こうした計画全体、どういう動きなのか、そして市民からどういう声が出ているのか、そしてその権利変換の正当性まで含めてしっかり調査をしていただきたいですし、やはり私は、こうした住民の声を無視した、また文化とも言える百年の森を壊すような計画というのはそのまま認可すべきではないということを強く申し上げておきたいと思います。