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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2024年・第213通常国会

【広域的地域活性化法】住民の声 町づくりに

要約

 二地域居住を促進する広域的地域活性化法改正案が15日の参院本会議で、日本共産党などの賛成多数で可決、成立しました。
 日本共産党の吉良よし子議員は14日の参院国土交通委員会で、本法案による二地域居住の促進が地域の町づくりに直結しているとして、一部の者にのみ利益や利権が生じるような地域住民無視の取り組みにならないよう訴えました。
 吉良氏は、市町村の作成する特定居住促進計画の内容が、必ずしも地元議会で審議されるようになっていない点を指摘。「住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」との条文にのっとり、地域住民の意見や意思をしっかり尊重するよう求めました。
 また、計画を作成する際に協議を行う特定居住促進協議会について、構成員に地域の一部の有力者のみが選ばれ、利益優先の町づくりが進められる可能性について質問。斉藤鉄夫国交相は「協議会の構成員が特定の者のみに偏ることがないよう、地域の多様な関係者から幅広く選定することが望ましい旨を基本方針に記載する予定」と答弁しました。

しんぶん赤旗2024年5月22日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 本法案は、住居、仕事、コミュニティー形成に対して地方自治体への支援を行い、二地域居住や移住のハードルを下げることによって、主に若者の地方への流れを創出、拡大するものであり、東京一極集中の是正又は地方活性化に一定資するであろうという点で、我が党も本法案には賛成をいたします。その上で、幾つか法案に関わる懸念点について質問していきたいと思うわけです。
 まず、本法案では、先ほど来ありますとおり、市町村が特定居住促進計画を作成しているとしているわけですが、この計画というのは、やはり地域の町づくりに直結する、その地域の住民にとって生活環境が大きく変わる可能性もある重要なものだと考えるわけですが、条文を見ますと、この計画について、各地方議会で審議するということにはなっていないと。予算が付けば当然その点については議会にかかっていくと、しかし、そうでない限りは議会で諮られるとは限らないわけで、つまり、住民の代表である議員や議会が一切関わらないまま計画が作成される、また、その内容をチェックされる機会が極めて少ないのではないかと、そういう可能性あるのではないかという懸念があるわけです。
 一方、本法案では、先ほども御指摘ありましたけど、第二十二条第六項で、市町村は、特定居住促進計画を作成するときは、あらかじめ、当該特定居住促進区域の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとするとあるわけで、これは議会での審議が必須となっていない中で私は重要だと思うわけです。
 じゃ、その措置というのは何かというのは、先ほど質疑の中でパブコメとか説明会だというような御答弁があったわけですが、このパブコメ若しくは説明会だけだとすると、例えば、行政側が一方的に意見を募集して聞くだけで終わりになるとか、又は一方的に説明会で説明をして終わりという、一方通行になってしまわないかという懸念があるわけです。
 そこで、大臣、やはり本法案による取組についてちゃんとその地域の住民の理解を深めるためには、その住民の意見に応答することも必要だと思うわけです。しっかり意見を反映する責任が地方自治体にあるし、一方通行に終わらせないようにすべきと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(国土交通大臣 斉藤鉄夫君)

 受け入れる側の住民の意見を適切に反映させることは非常に重要でございます。このため、国土交通省としても、住民の意見を反映させるための手続について、本法案に基づく国の基本方針に定めることを検討しているところでございます。
 市町村による特定居住促進計画の作成に当たって、住民の意見が適切に反映されるよう、今後の運用に向けてもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

吉良よし子

 基本方針にも定めてちゃんと反映されるようにと、一方通行にならないようにということでやっていただけるということで、是非それはお願いしたいということです。
 次に、特定居住促進計画の作成の際に協議を行う協議会についてもお聞きをしておきたいと思うんです。
 この特定居住促進協議会のメンバーについては、都道府県や市町村を入れると、それとともに特定居住支援法人や地域住民、宅地建物取引業者その他の当該市町村が必要と認める者とすると挙げられているわけですが、そのメンバーの選定というのはつまり各自治体に委ねられているわけです。
 地域によってはその地域独特のコミュニティーやつながりというのが形成されていることも少なくないわけで、例えば、極端な話、その協議会のメンバー結局全員親族関係者となってしまうようなこともあるのではないかとか、又は、その地域の有力者ばかりが集まってしまって、その有力者の利益優先の町づくりを決めてしまうなど、一部の人々の利権、利益が生じる温床となる可能性があるのではないかという懸念があるわけです。
 大臣、やっぱり、この協議会にはそういう一部の利益の、特定の人たちだけを集めるというのじゃなくて、様々な立場の人を選定して、一部に利益を集中する、そのようなことは避けるようにすべきと思いますが、いかがですか。

国務大臣(斉藤鉄夫君)

 協議会の構成員が特定の者のみに偏ることがないよう、本法案の成立後に国が定める基本方針におきまして、市町村が協議会の構成員を選定するに当たっては、地域の多様な関係者から幅広く選定することが望ましい旨をこの基本方針に記載する予定にしております。

吉良よし子

 こちらも基本方針で定めていただけると、多様な声を聞くんだということを言っていただけたと思っております。
 地域住民を無視した、ごく一部の人間のみによる地域づくりになってはいけませんし、本法案の説明でも言われているとおり、受入れ側の地域住民の理解、もうこれは必要不可欠なわけですから、その受入れ側の住民と二拠点居住者の溝を生じさせないためにも、そこで暮らす多様な住民の意思、意見をしっかり尊重していただくよう、重ねて申し上げるものです。
 あわせて、今回、この二地域居住を推進する意義の一つとして東京一極集中の是正というのが挙げられているわけです。
 この東京一極集中というのは、一九八七年の第四次全国総合開発計画の頃から言及されているわけで、特に近年は地域間格差や東京一極集中の是正というのが中心的な課題として掲げられてきているわけです。
 総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、東京圏では、この四全総が策定された一九八七年の頃までは転入超過数が減少傾向だったと。が、以降は転入超過のままほぼ横ばいとなってしまっていると。つまり、この東京一極集中の構造というのは言及されて以降是正されていない、そしてコロナ禍を経て今は地方から東京圏への転入というのが加速してきているというのが現状だと思うわけです。
 国交省としてこれまでこの東京一極集中の是正のために様々な取組をしてきたと思うわけですが、この東京一極集中の是正がされていない状況の中で、それらの取組、成功しているという評価なのですか。大臣、いかがですか。

国務大臣(斉藤鉄夫君)

 昨年の国土形成計画の議論の過程におきまして、東京一極集中の要因について集中的な議論が行われました。その中では、東京一極集中が今なお進んでいることの原因として、若者世代、特に女性にとって魅力的な仕事が東京に集中していることや、修学、就職などにより地方から人口が流出していることが指摘されております。
 これを踏まえまして、国土交通省としては、デジタルの活用と官民の力を最大限発揮させることにより、暮らしに必要なサービスが持続的に提供される地域生活圏を形成し、地域課題の解決と地域の魅力向上を図るとともに、地方への人の流れの創出、拡大に向けて、テレワークの活用などによる転職なき移住の促進や二地域居住の促進に取り組んでいるところでございます。
 これまでの取組が成功しているかどうかという問いでございますが、今、その不断の努力、見直しをしながら不断の努力を行っているところでございまして、今の時点において成功又は失敗との評価は行っておりません。

吉良よし子

 不断の努力の最中だということですけれども、現に東京圏への転入というのは加速してきているわけで、やはり不十分だと言わざるを得ないと思うんですね。
 なおかつ、国交省は、昨年七月の第三次国土形成計画の中で、先ほど来あるとおり、東京への過度な集中を是正することは喫緊の課題であるとする一方で、世界有数の国際都市として東京の強みを生かしつつ、我が国の成長を牽引する国際競争力の強化を図る必要があるとしているわけです。
 衆議院でも、大臣は、この東京の機能も高めながら地方に豊かな人も広がっていく、これは矛盾することではないということを答弁しているわけですけれども、これ私、やっぱり矛盾しているんじゃないかと思うんです。こうやって国際競争力の強化、東京の機能強化といいながら、それを続ける限り、やっぱり東京に雇用等が生じて、結局東京に人が集まってしまうんじゃないんですかと。
 これ、矛盾するものではない、東京一極集中の是正と東京の国際競争力の強化が、いや、矛盾するものではないと答弁されているわけですが、なぜそう言えるのか、その根拠を示していただきたいんですが、いかがでしょう。

国務大臣(斉藤鉄夫君)

 矛盾するものではなく両立させなければならないものと、このように私は認識しております。
 東京の都市間競争、世界の中における都市間競争で打ち勝つことは、日本全体の活力、これは地方の活力にもつながっていきます。その東京の競争力を付けること、そして同時に地方の活性化を図ること、この両方をやっていかなければ日本は生き残れないと思います。

吉良よし子

 いや、私は、その矛盾するものではないの根拠を伺ったわけで、なぜそう言えるのかということを伺ったんですけれども、いや、両立させなければならないと、その方向性をお答えになっただけで、つまりは回答になっていないと言わざるを得ないと思うんですね。だから、幾ら本法案のように地方への流れをつくるんだといっても、やっぱり東京の機能強化といいながら東京圏に経済活動が集中し続ける限り、その流れというのは簡単には変わらない、東京に集中する人の流れは止められないと私は指摘しておきたいと思うんです。

〈後段「能登半島地震 水が出るまでが復旧」へ続く〉