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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2024年・第213通常国会

【2022年度決算討論】物価高騰 異常円安による人災

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は12日の参院本会議で、2022年度決算などについて反対討論に立ち、物価高騰が国民生活を直撃するもと、家計への支援をことごとく拒否する政府を批判しました。

 吉良氏は、現在も続く物価高騰はアベノミクスの「異次元の金融緩和」による異常円安がもたらした人災だと指摘。「自民党の責任は極めて重い」として、消費税減税やインボイス制度の中止、最低賃金の全国一律1500円への引き上げ、中小零細事業主に対する社会保険料の減免などを拒否する岸田政権を批判しました。

 吉良氏は、22年に年間出生数が初めて80万人を下回ったことを指摘。結婚や出産は個人の自由であり、政治が介入すべきでないとした上で、最大の問題は結婚や出産を選びたくても選べない社会にしてきた自民党政治にあると追及し、「若い世代を追い詰めてきた政治への反省もなく、『少子化』をことさら強調し、若者や女性にプレッシャーをかけ続けている」と岸田政権を批判しました。

 吉良氏はまた、22年度の一般会計で5兆5626億円に上る巨額の軍事費を批判。ガザでの虐殺への加担につながりかねない武器輸出の解禁などではなく、戦争を止めるための徹底した外交努力こそ行うべきだと主張。国民の声を無視した原発依存など、露骨な大企業優遇政策も批判し、「この国に生きる全ての人が、自由に、希望をもって生き続けられる政治こそ目指すべきだ」と強調しました。

しんぶん赤旗2024年6月13日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表して、二〇二二年度決算、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認、内閣に対する警告決議案に賛成の討論を行います。
 二〇二二年度決算に反対する第一の理由は、ロシアのウクライナ侵略等の影響により、物価高騰が国民を直撃して生活が困難を増す中、岸田政権が家計を直接温める措置をことごとく拒否しているからです。
 そもそも物価高騰は自然現象ではありません。アベノミクスの異次元の金融緩和による異常円安がもたらした人災であり、自民党の責任は極めて重いと言わなければなりません。
 それなのに、岸田政権は、国民多数の切実な願いである消費税減税にもインボイス中止にも背を向けて、最低賃金全国一律千五百円への引上げもせず、中小零細事業主に対する社会保険料減免も拒否しています。ケア労働者が生活できる大幅賃上げ、待遇改善も、物価に応じた年金の引上げなども行わず、高過ぎる国民健康保険料の負担軽減も、高過ぎる学費の値下げや学校給食費無償化、子供医療費無償化などの子育て支援も、全て拒否し続けています。物価高騰につながる間違った政治と一体に、暮らしにむち打つ血も涙もない仕打ちを続けていることは容認できません。
 二〇二二年、一人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す合計特殊出生率は一・二六となり、年間出生数は七十七万七百五十九人、初めて八十万人を下回りました。二〇二三年、最新の数値でも、出生率が一・二〇、出生数は七十二万七千二百七十七人と更に減少し続けています。
 大前提として、結婚するかしないか、子供を産むかどうかは、一人一人の自由です。政治が介入すべきではありません。
 しかし、最大の問題は、若い世代が結婚も出産も選びたくても選べない社会にしてきた自民党政治です。
 自民党が進めてきた非正規労働者の拡大により、日本は賃金が上がらない国になり、若者は将来設計が描けなくなっています。教育予算を政府が出し渋り続ける中、大学の学費は私立も国立も値上げが進み、ついに東京大学まで十万円もの学費の値上げを検討しています。今や経済界も求めている選択的夫婦別姓にも背を向け、ジェンダー平等に逆行する自民党政治が女性たち、若者たちの息苦しさを助長しているのは明らかです。
 若い世代を追い詰めてきたこれまでの政治への反省もなく、岸田政権は少子化を殊更強調し、若い世代、女性たちにプレッシャーを掛け続けています。多くの子育て世代が望んでいる教育費の負担軽減も、三人以上産まないと支援しない、とにかく産めという政策です。さらに、子育て財源のために社会保障を削減する、世代間の分断をあおるような政治では、未来に希望が持てるわけがありません。
 反対する第二の理由は、巨額の軍事費です。
 二〇二二年度の防衛省所管一般会計は五兆五千六百二十六億円に上り、その中にはFMS調達執行額三千七百九十二億円、辺野古基地建設八百十五億円も含まれます。補正後、後年度負担は五兆八千六百四十二億円に上ります。
 当初予算だけでなく、補正予算での軍事費計上により巨額の軍事費を賄うことが常態化していることも問題です。ペトリオットの維持、〇三式中距離地対空誘導弾、馬毛島と辺野古の基地建設への歳出化経費計上等は、緊要性は全くなく、まして物価高騰対策でもない不要な事業であり、断じて容認できません。
 この間、安倍、菅、岸田政権は、集団的自衛権の行使容認、専守防衛の放棄、敵基地攻撃能力の保有など、戦後の歴代政権が憲法に基づく平和国家の理念としてきたものを次々と投げ捨ててきましたが、ついにそれは次期戦闘機など殺傷兵器の輸出解禁にまで及びました。
 世界を見れば、ガザでは毎日のように子供たち、市民が殺され続けています。避難所となっていた学校も攻撃され、子供を含む避難民が焼かれ、虐殺されている今、日本がやるべきは、そうした虐殺に使われるかもしれない兵器の輸出を可能にすることではないはずです。虐殺を今すぐ止める、戦争を止めるための徹底した外交努力こそ、憲法九条を持つ日本政府が率先して行うべき役割なのではないでしょうか。
 反対する第三の理由は、露骨な大企業優遇を進めていることです。
 例えば、原発について、岸田政権は二〇二二年に原発を最大限活用すると明言し、原発事業者の言いなりに原発を推進し続け、巨額の資金を投入しています。二〇二三年には新増設や老朽原発の六十年超えの運転を可能にすることを盛り込んだGX推進戦略を閣議決定。今年、改定作業が始まったエネルギー基本計画にも原発推進の方針を反映させようとしています。
 しかし、今年元日に起きた能登半島の地震でも、志賀原発はトラブル続きだった上、周辺の道路が寸断され、避難計画も役に立たないことが判明しました。世界有数の地震国、津波国である日本で原発を稼働する危険性を国民は痛感しています。
 福島第一原発事故を起こした東京電力が柏崎刈羽原発の再稼働を進めていることについて、新潟県民や県議会議員の多数から反対の声も出ています。こうした声を無視して、原発企業の言いなりに原発を推進し続ける政府の姿勢は許されません。
 さらに、岸田政権肝煎りのDX、デジタルトランスフォーメーションや特定の半導体大企業に対する支援、東京外かく環状道路などの高速道路建設事業や整備新幹線などにも巨額の資金を投入して推進するなど、困窮した国民を置き去りにした露骨な大企業優遇を認めるわけにはいきません。
 露骨な大企業優遇政策は、国民の声よりも金の力、財界の声を優先する自民党の裏金政治そのものです。
 今国会、決算委員会でも、自民党の裏金問題の真相究明、金権腐敗政治の一掃について何度も議論がされました。しかし、いまだに、一体いつから、誰がどうやって裏金システムをつくってきたのか、そしてその裏金が一体何に使われたのか、真相は明らかになっていません。
 真相解明に背を向けた自民党による政治資金規正法改定案は、肝腎の企業・団体献金の全面禁止がすっぽり抜け落ちています。それどころか、政策活動費を新たに法定化し、収支公開に逆行する規定まで盛り込んだ改悪案となっています。これでは金権腐敗政治はなくなりません。
 現在、参議院の審議では、私たち日本共産党が提出した企業・団体献金を全面禁止することなどを盛り込んだ改正案と、政党助成法廃止法案も同時に審議されています。日本共産党の法案の成立で、金権腐敗政治を政界から一掃しようではありませんか。
 政治は、金の力で動かしていいものではありません。一人一人の声が真っすぐ届き、一人一人が幸せになれる政治。この国に生きる全ての人が自由に、希望を持って生き続けられる政治こそ目指すべきであることを申し上げ、討論といたします。(拍手)