専門職の雇用確保を スクールカウンセラー雇い止め
要約
日本共産党の吉良よし子議員は10日の参院決算委員会で、東京都で多くのスクールカウンセラーが雇い止めされた問題を取り上げ、地方自治体での専門職の雇用の確保を求めました。
東京都では3月に250人ものスクールカウンセラーが雇い止めされましたが、学校長からの評定が「A」でも雇い止めされるなど基準が明らかでなく、雇い止めが前提の圧迫面接の事例があるとの訴えがユニオンから寄せられています。
吉良氏は、圧迫面接など許されないのではと質問。松本剛明総務相は「適切に進められることが大切だ」と述べるにとどめました。吉良氏は、スクールカウンセラーがいなくなると聞いて荒れて学校にこなくなった子どもなどの心が痛む事例を示し、不当な雇い止めを批判しました。
吉良氏は、いまや有償ボランティアとしてスクールカウンセラーを募集する自治体もあるなど専門職としての雇用が崩壊していると指摘し、地方自治体がスクールカウンセラーなど専門職を確保できるようにすべきだと要求。松本総務相は「適切に財政措置を講じている」と開き直りました。
吉良氏は、長年の経験も蓄積し、専門性もある専門職の雇用の安定のためには会計年度任用職員制度そのものを抜本的に見直し改善すべきだと主張しました。
議事録
吉良よし子
続いて、東京都のスクールカウンセラー雇い止め問題について総務省に伺っていきたいと、総務大臣に伺っていきたいと思います。
今年三月、東京都の公立学校で働くスクールカウンセラーが二百五十名も雇い止めされました。この東京都のスクールカウンセラーは会計年度任用職員として働いていて、この制度開始前は十年、二十年と契約が更新されてきたわけですが、制度開始後、東京都は公募によらない再任用の条件を四回と定め、それ以降は公募だということになったわけです。
その公募で、じゃ、一体どんな基準で選考しているのかが分からないということが問題なんですね。雇い止めになった、勤務校の校長先生に伝えたら、勤務評定をAにしていた、なのになぜ雇い止めになったのか、都教委に抗議すると言ってくれたなど、心理職ユニオンの調査でも、雇い止めに遭ったスクールカウンセラーの六五・八%が、勤務校の教員や管理職も困惑しているような、要するに基準が明確でない状況だというふうに回答していて、採用基準に対する疑義の声が上がっているわけです。
さらには、雇い止めになった方からは、圧迫面接があったとの訴えも多くて、再任用限度を超えたベテランのスクールカウンセラーから、二百五十人を雇い止めすることがあらかじめ決まっていて、そのために圧迫面接でふるい落としに掛かったんじゃないのか、そういう声まで上がっているわけです。
大臣、伺います。
一般論ですが、こうした落とすことを前提とした面接、圧迫面接、絶対に許されないことだと思いますが、いかがでしょう。あわせて、そうした圧迫面接をさせないためにも、採用基準というのをあらかじめ明確にすべきと思いますが、いかがですか。
国務大臣(総務大臣 松本剛明君)
まず、採用基準について申し上げたいと思いますが、会計年度任用職員を含む職員の採用につきましては、地方公務員法において、その職に求められる能力及び適性を有するかどうかを判定するものとされております。
地方自治体に示しているQアンドAにおきまして、法に基づき、会計年度任用職員の公募、選考は、当該会計年度任用の職にふさわしい人物を採用することを目的に行うものであり、均等な機会の付与の考え方を踏まえつつ、客観的な能力の実証を行うことが必要だとお示しをいたしているところでございます。
面接の在り方についてでございますが、各自治体の個別の採用についてのコメントは控えさせていただきますが、一般論でということで御質問がございました。
一般論で申し上げれば、会計年度任用職員を含む職員の採用につきましては、地方公務員法において、その職に求められる能力及び適性を有するかどうかを判定するものと先ほど申し上げたとおり定められているところでありまして、それに必要な範囲で選考プロセスが進められていると、このように理解をいたしているところでございます。
吉良よし子
いや、大臣、はっきりおっしゃっていただきたいんです。圧迫面接というのは公務員を公募する段階であってはならないと思うんですが、いかがですか。
国務大臣(松本剛明君)
圧迫面接という委員のお話を今伺ったところでありますが、私、御答弁申し上げるに当たって、用語の定義についてもまたあらかじめ確認をしなければいけないかと思いますが、また、個別の採用の在り方について御答弁申し上げることは控えたいと思いますが、先ほども申しましたように、選考プロセスは法に定められたものに従って進められていると思いますが、適切に進められることが大切であることは申し上げるまでもないことかというふうに思います。
吉良よし子
適切に進められていないから疑義の声が上がっているわけですよね。圧迫面接、あらかじめ落とすことを前提としたような面接許されないということも言えないというのは、私問題だと思うんです。
今回の東京都でのスクールカウンセラーの会計年度任用職員の再任用に当たっての採用、本当に公正な、公平な手続だったか、やっぱり相当にこの疑義の声が、二百五十人上がっているわけですよね。
やっぱりちゃんと調査をするべきと思いますが、総務大臣、いかがですか。
国務大臣(松本剛明君)
総務省として実態を調査すべきという御質問かというふうに理解をいたしますが、会計年度任用職員として任用する場合には、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用する必要がありまして、その任用に当たっては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えられます。
自治体に対しては、公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどについてはこれまでも通知いたしているところでございます。
会計年度任用職員につきましては、令和五年度に公募によらない再度の任用回数の運用状況などを詳細に調査をいたしました。御指摘の自治体における具体的な任用につきましては、総務省において調査をすることは考えていないところでございます。
吉良よし子
調査もされないと。
いや、大臣、先ほど来客観的な能力を評価するものだっておっしゃっていますけど、それができていないんだと、勤務校の校長が評価がAだって言った方が雇い止めに遭っている、そういう事態なんだということを申し上げているわけです。
実は私、昨日も吉良事務所にメールが届きました。雇い止めされたスクールカウンセラーの方からです。
私は強烈な圧迫面接でうつになりました、そういう状況でも生活が懸かっているから、今、はうように就活をしている状況だと、何より心が痛むのは、担当していた子供や保護者のことなんだと、私が担当していた子は、スクールカウンセラーがいなくなると聞いた日から荒れて学校に来なくなったということです、この無念さは言葉にもなりません、書かれていたわけです。
圧迫面接、そして子供たちの心のケアの中断、大問題だという認識を、大臣、持っていただきたいと思うわけです。
しかも、この話には続きがありまして、雇い止めに遭ったスクールカウンセラーというのは今、都から雇い止めに遭ったわけですから、市区町村での応募に殺到している状況があるということなんですが、自治体によっては雇用ではなく有償ボランティアという形で募集している自治体もあると報道がありました。
スクールカウンセラーというのは、今文科省も配置を促進している状況なわけですね。自治体の業務、教育行政、学校現場に不可欠なスクールカウンセラーなどの専門職を、自治体が正式に雇用もできない、ボランティアとして募集する事態はゆゆしき事態だと私は思うんですよ。
これは、やっぱり総務省が進めてきた行革、人員、人件費削減の結果じゃないかと思うわけですけど、大臣、地方自治体がこうしたスクールカウンセラーのような専門職をちゃんと、ボランティアではなく雇用できるように手当てすべきと思いますが、いかがですか。
国務大臣(松本剛明君)
地方公共団体が行政サービスを実施していく上で、専門性の高い職員が適切に確保されることは大切なことであると考えております。
今、議題というかお取り上げいただいているスクールカウンセラーの配置に要する経費については、文部科学省において国庫補助金による支援を行っておりまして、総務省としては、その地方負担分について普通交付税措置を講じております。
スクールカウンセラーを含め、専門人材の確保につきましては、各行政分野を所管する各省と連携して、地方公共団体においてしっかりと確保されるように適切に財政措置を講じていくことで、その財政措置を踏まえて、地方団体においてはそれぞれの御判断で適切に人材を確保いただけるものというふうに考えております。
吉良よし子
措置しているとおっしゃいますけど、それでは足りないから、もうボランティアで募集を掛けるみたいな、そういう事態になっているんじゃないんですかと。これ、やっぱり行革で人員削減進めてきた国の責任だと私は思いますよ。このままだとスクールカウンセラーの雇用の値崩れが進むんじゃないか、そういう懸念の声まであるわけです。
スクールカウンセラーに限らず、この間、図書館司書、婦人相談員など、高い専門性が必要で住民福祉の増進等に欠かせない職が、多くは会計年度任用職員として不安定な身分、給料もなかなか上がらない、そういう状況に置かれているわけです。やっぱり、こういう事態はやっぱり放置してはならないんだと、長年の経験も蓄積される、専門性もある、そうした皆さんの雇用の安定へ会計年度任用職員制度そのものを抜本的に見直して改善すべきであると、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。