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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2024年・第213通常国会

「大学の学業中断 防げ」  修学支援新制度 要件見直しで追及

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は、22日の文教科学委員会で大学の修学支援新制度の打ち切りにより学業の継続ができなくなる事態をなくすよう求めました。

 修学支援新制度では相対評価による下位4分の1などの基準が成績要件として定められています。吉良氏の質問に文部科学省は毎年1万8千人の学生が支援を打ち切られていると答弁しました。

 今後、修学支援新制度の理工農系学部や多子世帯への支援拡充に伴い、要件の見直しが検討されています。吉良氏は、財務省などが厳格化を求めていることを指摘し、「より厳格化するのか」をただしました。文科省の池田貴城高等教育局長は「有識者会議で検討する」と述べるにとどまり、否定できませんでした。

 吉良氏は、要件の見直しは相対評価による成績要件の撤廃こそ必要だと質問。盛山正仁文科相は「支援が公費で賄われていることを踏まえ要件は必要」と強弁。吉良氏は、他の人を蹴落としても上に行けと言うような要件では学生支援にならないと強調しました。

しんぶん赤旗2024年3月29日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。

 前回の所信の質疑に続いて、本日も教育の無償化について、特に大学の修学支援新制度の成績要件と高校の授業料無償化について聞きたいと思います。

 まず、大学の修学支援制度についてです。
 これは授業料の減免と給付奨学金を受けられるという制度ですが、これを利用するには学生の家庭の収入要件だけではなく学生個人の成績要件などの条件も課されているわけです。この成績要件については、支援を受けられるかどうかの条件というだけでなく支援を継続できるかどうかの条件にもなっていて、つまり、基準に達しなければ警告を受けると、それが二年連続続けば廃止、つまり給付奨学金も授業料減免も打ち止めされるという仕組みになっているわけです。

 ここで確認をいたします、高等教育局長。直近二年の間にこの成績要件によって警告若しくは廃止となった学生はそれぞれ何人いるのか、お答えください。

政府参考人(文部科学省高等教育局長 池田貴城君)

 お答え申し上げます。
 令和三年度の支援対象学生三十二万六千人のうち、学業成績の適格認定結果で警告と判定されましたのは約二万七千人でございます。廃止と判定されましたのは約一万八千人になります。また、令和四年度の支援対象学生三十四万七千人のうち、学業成績の適格認定結果で同じく警告と判定されましたのは約三万人、廃止と判定されましたのは約一万八千人でございます。

吉良よし子

 警告は毎年三万人前後、そして廃止、本当に給付も減免もなくなったという学生が、この二年間、毎年一・八万人ずつ出ていると。要するに、これで給付が打ち切られ、人によっては通学も続けられない状況になっているということで、これ深刻な事態だと私は思うんです。

 以前もこの委員会でも取り上げましたが、この成績が下がるという背景に、例えば家族の病気や介護などの事情がある学生もいるわけです。若しくは、こうした支援だけではやっぱりどうしても足りない生活費のためのアルバイトで学習時間が削られている学生もいるわけです。こうした学生も切り捨てるのかということは問われていると思うんです。

 しかも、問題は、この成績要件としてGPA下位四分の一という相対評価が基準になっているということなんです。つまり、相対評価ですから、これでは、自分なりに幾ら頑張ったと思っても、ほかの人より成績が低くなってしまえば、ほかの人がもっと頑張っていれば相対的に下位になるということはあり得るし、その下位四分の一から抜けられないということも大いにあるわけです。
 だからこれ本当に問題だと思うんですけど、この成績要件について、こども未来戦略では、対象学生に係る学業の要件について必要な見直しを図るとあるわけです。じゃ、この見直しとは何なのかと。お配りした資料、これ財政審の資料ですが、制度の拡充に際しては、対象となる学生の要件を見直し、学習意欲の低い学生の単なる救済とならないようにすべきとあるわけです。つまり、今度制度で対象を拡大していくんだと、それに伴って今後成績要件を厳格化する見直し進めると、そういうことになるのではないですか。高等教育局長、どうですか。

政府参考人(池田貴城君)

 お答え申し上げます。
 昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきましては、多子世帯の学生等の授業料等無償化に当たっては、対象学生に係る学業の要件について必要な見直しを図ることを含め、早急に具体化することとされております。

 高等教育の修学支援新制度は、大学等における学習を生かして社会で自立し活躍することができる人材の育成を目的として、学業要件についてもこの考えに基づいて設けられているものでございますが、この制度の施行から四年が経過し、この趣旨や目的に照らして見直すべき点はないか確認する必要があると考えております。また、令和六年度からの中間層への拡大、令和七年度からの多子世帯支援により支給対象の学生も大きく増加しますことから、学業要件について変更すべき点はないか精査する必要があると考えております。

 このため、文部科学省におきましては、現在、有識者会議において検討いただいているところでございまして、この会議における議論を踏まえ、令和七年度からの開始に向けて着実に準備を進めてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 厳格化するかどうかはっきり答えられないと、ただ拡大に伴う変更なんだと、これをこれから議論するということなんですけど、それこそ、対象拡大と先ほど来おっしゃっていますけれども、これ前回の質疑でも取り上げましたけど、第三子以上とか理工農とか、かなり対象を限った拡大なわけで、拡大とも言えない、負担軽減とは言えないという指摘をしたところなわけですけれども、その上、更にこの成績要件をこの拡大に伴ってより適切にということで厳格化をしていって、単なる救済とならないようというふうに対象を絞っていくというのは、やっぱり私は認められないと思うんです。

 大臣、改めて、成績要件の見直しというならば、やっぱり相対評価をなくす、若しくはもうこの成績要件そのものをやめる見直し、こういう見直しをするべきではありませんか。いかがですか。

国務大臣(文部科学大臣 盛山正仁君)

 高等学校の修学支援新制度における学業成績の要件につきましては、学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的と、支援が公費で賄われるものであるということを踏まえて設定しているものでございます。今後ともこういった要件については必要であると考えております。

 文部科学省におきましては、これ、今申し上げたことを前提としつつ、支給対象の学生数が増加することも踏まえまして、現行の学業要件についてどのような見直しを図るべきであるか、現在、有識者会議において検討をしているところでございます。今後、有識者会議における議論を踏まえた上で必要な対応を行っていきたいと考えています。

吉良よし子

 成績要件はあくまでも必要だと、増加を踏まえて検討だと。いや、大臣、せめて厳格化はしないんだとはっきり言うべきではありませんか。いかがですか。

国務大臣(盛山正仁君)

 失礼しました。先ほど、高等教育と申し上げるべきところを高校教育と言ったようで、そこは訂正させていただきます。

 今の吉良先生からの御質問でございますけれども、ちょっと繰り返しになりますけど、学業成績の要件については、学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的と、支援が公費で賄われるものであることを踏まえ設定しているものであり、この趣旨を踏まえ、学業要件の一つとして相対評価を用いているものでございます。

 繰り返しになりますけど、現在、この要件につきまして、引き続き継続すべきか、あるいは何らかの見直しを図るべきかについて、有識者会議において検討していただきたいと考えておりまして、この検討結果を踏まえて対応を行っていきたいと考えています。

吉良よし子

 社会で自立するから、支援が公費だから、それを継続するかどうかを確認するために相対評価は必要だ。でも、相対評価ですからね、絶対評価じゃないんですよ。学生みんな頑張っているわけです。なのに、自分自身が頑張るだけじゃなくて、人を蹴落とさなくては上に行けない相対評価でその成績を測る。その学生の頑張りそのものを正当に評価できるとは到底私は思えないわけです。何より、単なる救済とならないようにと言いながら学生を切り捨てるやり方では支援とは言えないんだと。もう成績要件というのはもうすぐにでもなくすべきですし、相対評価はやめるべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。

「高校無償 国の責任で」へ続く