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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2024年・第213通常国会

【参考人質疑】脱炭素へ 原発より再エネ普及

要約

 参院資源エネルギー・持続可能社会調査会は2月21日に「脱炭素社会の実現に向けた論点」をテーマに参考人質疑を行い、日本共産党の吉良よし子議員が質問しました。

 吉良氏は、気候変動、二酸化炭素(CO2)削減は政治課題だとの認識を示したうえで、「脱原発を実現したドイツでは、原発はクリーンではないと結論づけた。原発はクリーンエネルギーといえるか」と質問しました。

 参考人の一般社団法人Climate Integrateの平田仁子代表理事は「環境への負荷やリスク、コストの高さをみても、原発は脱炭素の選択肢にはならない。再生エネルギーを最大限にすすめるべきだ」と明言しました。

 さらに吉良氏は、雇用の創出にもつながる地域共生の再エネ普及の政策課題についても質問。公益財団法人地球環境産業技術研究機構の秋元圭吾氏、つばめBHB株式会社の渡邊昌宏氏はそれぞれ、地域共生の再エネ普及拡大には技術やコスト面で課題があるとの見解を示しました。平田氏は「地域への再エネ導入には協議と納得、利益還元、産業育成の観点での後押しが重要だ」と指摘しました。

 吉良氏は、若い世代など脱炭素社会へと行動する市民と共同し、脱炭素の要となる再エネの普及へ力を合わせたいと述べました。

しんぶん赤旗2024年3月4日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 本日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見をありがとうございます。
 それでは、まず平田参考人に伺いたいと思うんですけれども、気候変動は政治の課題だよという問題提起、本当に改めて真剣に受け止めました。
 また、日本のCO2の削減目標については、この間、政府は一貫して、欧米と比較して野心的なものだということを国会で答弁しているわけですけれども、平田参考人の御指摘で、やはりこの一・五度目標ということと考えると更なる削減を目指す必要があるという御指摘は重要だと思いましたし、また、日本が石炭火力を削減、廃止できていない国として先進国の中から取り残されているよという御指摘を聞いて、やっぱりこういうことがあるからCOP25以来28まで四回連続化石賞を受賞するような不名誉な事態になっているんだなということを改めて実感した次第です。
 そこで、今伺いたいのは、この脱炭素ということと原発の関係についてなんです。
 昨年九月、私、参議院の重要事項調査第三班の一員として、脱原発を実現したドイツを伺いました。ドイツの経済・気候省では、原発はクリーンじゃないというのが我々ドイツの結論だと。だから、原発由来の水素エネルギーなどもクリーンとは言えないという立場なんだということをはっきりおっしゃっていて、大変印象深く聞いたわけです。
 平田参考人も、この間、二〇二一年の経済プレミアのインタビューなどで、原発ではCO2は減らせないよというお話もされていたかと思うわけですけれども、この原発はクリーンと言えるのかどうかという点、詳しく聞かせていただければと思います。お願いします。

一般社団法人Climate Integrate代表理事平田仁子君

 今日触れることができなかった原子力発電について、御質問ありがとうございます。
 二〇一一年の福島の原子力発電所の事故が起こった後に、「原発も温暖化もない未来を創る」という本を仲間で作らせていただいたことがございます。あの福島の事故以来のエネルギーに対しての大きな私たちへの、社会への影響、それから、エネルギーだけでなくて、福島の人々、そして日本の人たちに対する大きなこの原子力のリスクに対する認識を深めたということは、時間がたっても薄れるものではないというふうに思っております。
 これから脱炭素を進める上では、環境団体、気候変動に取り組む環境団体は明確に、このCO2だけの問題ではない、環境負荷、リスクのある原子力は選ばないという立場を共通して取ってきているところであります。もちろん、運転しているさなかでCO2を出しませんので、これはCO2排出にいいというような議論はずっとあり、日本もそれを旗印に原子力を推進してきたところもありますが、今日のバークレーのシナリオでまず見ていただきたいのは、二〇三五年までのシナリオで費用対効果を見たときに、まず、アンモニアや水素の混焼も高くて入ってこないというだけでなくて、新しい原発はまず入ってこないということであります。
 また、感度分析をしていただいて原子力が少ないシナリオも作っていただいていますが、コストについてはさほど上がらない。なぜならば、二〇五〇年も今暫定で試算していただいていますが、原子力ケースと原子力のないケースではほとんどコストが変わらないということであります。
 ですから、これ問題を推進すべきかすべきじゃないかという価値判断の問題はもちろん非常に重要な倫理的な問題をはらみますが、加えて、コストそして技術の安定性ということを考えたときに脱炭素の選択肢になるのかと問われれば、私はならないというふうに思っております。
 新しい原子力発電所は二〇三〇年代に一基。これが脱炭素に寄与する分もないに等しいぐらい小さいことでございます。時間的にも大変掛かります。そして、再稼働していくということで、一旦の削減量を見たとしても、結局は古くなって廃炉にしていくという流れの中で、またそれをカバーしていく電源が結果的に必要になってきますが、新しい原発は間に合いません。となったときに入っていくのは、やはり再生可能エネルギーです。
 そうなると、高いコストを掛けてリスクを掛けて原子力を回り道して進めるよりも、今から再生可能エネルギーを最大限に進めていくということにかじを切ることが最も環境的にも経済的にも、また社会的にもいいシナリオだというふうに私は判断しておりますので、原子力がない、今ほとんど動いてないところからいかに化石燃料を減らしていく道筋を描くのかということが日本にとって妥当な道筋ではないかと考えています。

吉良よし子

 あらゆる面からこの原発というのは脱炭素の選択肢にはならないよという御指摘、本当に重要だなと伺いました。ありがとうございます。
 それでは、続いて参考人の皆様全員に伺いたいと思うんですけれども、先ほど来あるとおり、脱炭素社会の実現のためにはもう再生可能エネルギーの普及が欠かせないというのは三人の皆様の共通した御認識だと思うんです。ほかのエネルギーはさておきということなんですけれども。
 あわせて、その再エネの普及というところでいくと、渡邊参考人からはこのグリーンアンモニアについては小規模分散型の普及が大事だよというお話がありましたし、また、平田参考人の提言にも地域共生と、再エネの地域共生が大事だという御提案もあったかと思うわけです。
 そういう意味では、やはり再エネの普及を考えたときに、大規模プラントありきというわけではなくて、小規模も含めた、地域と住民の力に依拠したような再エネの普及というのも本当に大事ですし、やはりこれを進めていくことが地域の雇用、仕事等の創出にもつながっていくのではないかと考えるわけですが、この地域と共生できる再エネの普及の必要性についていかがお考えかと、それらを進めるために必要な政策や課題をどう捉えていらっしゃるか、それぞれお考えをお聞かせいただければと思います。お願いします。

会長(宮沢洋一君)

 残り時間を考えますと、三人の方から御答弁いただきますとかなり時間が限られておりまして、できるだけ簡潔にお願いできますでしょうか。
 まず、秋元参考人。

公益財団法人地球環境産業技術研究機構システム研究グループグループリーダー・主席研究員秋元圭吾君

 ありがとうございます。
 地域共生は大変重要で、そういう面では、例えばペロブスカイト太陽光発電みたいなものが今開発されつつありますので、そういったものを屋根設置、これまでなかなか難しかったところに設置していくというような扱い方はあるだろうと思います。
 ただ、量的なやっぱり規模を考える必要がございまして、その拡大自体は必要なわけでございますが、全体の日本のエネルギーを賄えるような状況かと言われるとそうではないので、そういった全体のシステムの中で、その重要性と課題というか限界というものを認識していろんな技術を使っていくということが大事だと思います。

会長(宮沢洋一君)

 じゃ、次に、渡邊参考人。

つばめBHB株式会社名誉会長渡邊昌宏君

○参考人(渡邊昌宏君) 御質問ありがとうございます。
 私どもの提唱しております小型のアンモニアで地域分散型と。これは、実はサプライチェーンを全部カットしますので、サプライチェーンからできるCO2、出てくるCO2、これもカットできます。ただ、再生可能エネルギー全体で本当にできるのといったところは、ここにやはり電池が必要になってきたり、非常にフラクチュエートする電力、これをどういうふうにコントロールするかということ、とても重要になってきます。
 こういった課題をいかに解決するかということで、どうしてもその初期投資が掛かってくる部分がございます。これを平準化できるように、大体三年ぐらい掛けてできるような形にできればというふうに思っています。

参考人(平田仁子君)

 ありがとうございます。
 環境破壊型の再生可能エネルギーを進めていくと本末転倒になります。地域には、期待もあれば不安もあるというところでございます。
 ですので、まず一点目は、地域としっかりとあらかじめ再生可能エネルギーを導入するときに協議をする、情報公開をする、そして地域が納得するというプロセスが一つです。
 そして二つ目に、大企業が東京からやってきて利益だけ持っていくということへの批判も疑念もありますので、地域にしっかりと利益を還元する、地域が主体的に参加できる仕組みにするということ。
 そして三点目は、地域に、そこで産業を興していくということ、人材をしっかり育成して、地域のこれから過疎化していったり産業がこれから廃れていくことへの不安に対して人材育成と雇用も生んでいくという、その三点で地域に共生した再生可能エネルギーを進めていく後押しが必要だと思います。

吉良よし子

 それぞれ御意見、貴重な御意見ありがとうございます。本当に、この地域共生での再エネ普及というのは本当に重要な課題だと思っています。
 また、この脱炭素社会ということでいうと、今多くの市民が、若い世代含めて、この脱炭素が必要なんだと声上げていることが重要で、やはりそういった市民の皆さんとエンパワーメントしていくような政策を進めていく必要性があるなということを改めて感じておりますので、共同して頑張りたいと思います。
 今日はありがとうございました。