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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第212臨時国会

大学の自由奪う国大法改悪「徹底審議・廃案を」/オスプレイ配備中止を要求

要約

 学術への政治介入につながる国立大学法人法改悪案が1日の参院本会議で審議入りしました。日本共産党の吉良よし子議員は「大学の自由と民主主義を奪う本法案は徹底審議の上、廃案を」と求めました。
 同案は、規模が特に大きな国立大学法人に「運営方針会議」(合議体)の設置を義務付けます。
 吉良氏は、委員の大半が学外者となる合議体の設置義務付けが「外部からの干渉を受けず、学内構成員での意思決定、管理、運営を基本とする『大学の自治』に反する」と指摘。委員を文部科学相が承認する仕組みが導入されれば「人選への政府の口出しを容認し、大学の人事に国家権力が介入する根拠を与える」と指摘しました。
 吉良氏は、国立大学協会の永田恭介会長(筑波大学長)の「閣議決定で法案が出されるまで知らなかった」との発言を示し「関係者の意見を聞いたのか」と追及。盛山正仁文科相は「国大協の会議に改正の方向性を示しながら検討を進めた」などと強弁しました。
 吉良氏は、政府が大学への基盤的経費を減らしながら、軍事研究に誘導していると指摘し「合議体を通じ政財界の意向を押し付ける仕組みができれば、軍事研究もいとわない『稼げる大学』へと国立大学が大きく変質させられる危険がある」と批判しました。
 その上で、「稼げる大学」づくりによる授業料の値上げもあり得るとして「国立大で授業料値上げ自由化をするな」と要求。盛山文科相は自由化を「検討することが必要」と述べました。

しんぶん赤旗12月2日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表し、国立大学法人法の一部改正案について質問をいたします。
 初めに、おととい、東京横田基地所属の米軍オスプレイが屋久島沖で墜落するという重大事故が発生しました。まずは、乗組員の捜索救助に全力を挙げることを求めます。
 あわせて、米軍も自衛隊もオスプレイ全機を直ちに運用停止し、事故原因を究明すべきではありませんか。オスプレイは、開発段階から最近に至るまで墜落事故や緊急着陸を繰り返してきた欠陥機です。米軍のオスプレイを撤去し、陸上自衛隊へのオスプレイ導入も中止、撤去すべきです。
 以上、防衛大臣に答弁を求めます。
 それでは、以下、文部科学大臣に法案について伺います。
 本法案は、大学教職員、学生始め広範な人々が相次いで反対を表明しています。
 先日は、国立大学協会も、本法案についての危惧と懸念を表明する会長声明を発しました。国大協が審議中の法案に対してこのような意思表示を行うこと自体、極めて異例です。
 ここまで本法案に反対する声が広がっているのはなぜか。本法案が、学問の自由、大学の自治を根底から脅かすものだからにほかなりません。
 そもそも、日本国憲法第二十三条に学問の自由が明記されたのは、戦前の国家権力が学問の自由を侵害してきたことへの反省があったからです。学問の自由を保障するためには、大学内の構成員が自由に、そして自主的に大学運営に参加できる民主的な仕組みである大学の自治が不可欠です。
 にもかかわらず、本法案は、政府が指定する大規模な国立大学法人に委員の大半が学外者となる運営方針会議という新たな合議体の設置を義務付けています。このこと自体が、外部からの干渉を受けず、学内構成員での意思決定、管理運営を基本とする大学の自治に反するものになるのではありませんか。
 その上、運営方針会議の委員は、文部科学大臣の承認を得た上で学長が任命すると定めています。この仕組みが、人選への政府の口出しを容認し、大学の人事に国家権力が介入する根拠を与えるものになるのではありませんか。
 運営方針会議は、国立大学法人の基本的な方針である中期目標・計画、予算、決算などの大学運営の主要方針を決定、学長の選考基準にも意見を述べ、学長が会議の決定どおりに運営していない場合には改善措置を要求する権限まで与えるとしています。つまり、運営方針会議は学長よりも上に置かれ、大学運営の意思決定から大学の構成員である教職員を徹底的に排除することになりませんか。
 運営方針会議の委員はどういう人を想定しているのか。文科省は衆議院で、法人運営や財務経営などの多様な専門性を有する方によって構成される必要があると答えました。つまり、もうけや効率を最優先にするような数人の学外の委員によって、稼げる大学づくりを強力に進めることになるのではありませんか。お答えください。
本法案による運営方針会議の設置は、元々、大学ファンドの支援を受ける国際卓越研究大学の認定を受ける条件として持ち出されたものです。
 しかし、本法案は、国際卓越研究大学の認定の有無にかかわらず、政令で指定する大規模な大学を特定国立大学法人とし、運営方針会議の設置を義務付け、政令指定されない大学でも希望すれば準特定国立大学法人となり運営方針会議を設置できると、対象が大きく広げられました。
 しかも、こうした対象拡大について、国立大学の学長始めほとんどの大学関係者は、十月の法案提出時までその内容を知らされずに来ました。国大協の永田恭介会長は、十一月十七日の記者会見で、法案の内容は閣議決定で法案が出されるまで知らなかったと述べました。こんな乱暴なやり方が許されていいはずがありません。
 なぜ国際卓越研究大学以外の大学にも運営方針会議の設置が必要なのか、一体いつから、どのような検討がされたのか、関係者の意見を聞いたのか、お答えください。
 特定国立大学法人は政令で指定するといいますが、その政令、基準は、国会で審議することなく改定することが可能です。しかも、政令で指定しない大学までも運営方針会議の設置が可能となれば、運営方針会議の設置が際限なく広がり、全ての大学の自治が壊されるのではありませんか。お答えください。
 国大協の会長声明では、国立大学法人法において、特定国立大学法人、準特定国立大学法人及びそれ以外の国立大学法人と、国立大学法人が区分され、差異のある取扱いがなされる可能性があることに強い危惧を持つと表明しています。本法案により、国立大学の序列化や運営費交付金の配分の差が拡大し、これまで以上に選択と集中が進められるのではありませんか。
 この間、日本の高等教育への公的財政支出は、OECD加盟国平均の半分以下、最下位クラスをずっと続けています。研究力の低下が進むのは当然のことです。今こそ、法人化以降減らされた国立大学への運営費交付金を抜本的に拡充すべきではありませんか。お答えください。
 政府が大学への基盤的経費を減らしながら軍事研究への誘導を進めていることは問題です。安保三文書、国家安全保障戦略に基づき、先端科学技術の軍事利用に向けて、文部科学省も含む関係閣僚会議が設置されました。これは、大学を軍事研究に駆り立てるものではありませんか。
 このまま運営方針会議を通じて政財界の意向を押し付ける仕組みができれば、非効率とされる学問分野は再編、淘汰され、稼ぐためとして、軍事研究もいとわない政財界が求める稼げる大学へと国立大学が大きく変質させられる危険があります。
 そうでなくとも、国際卓越研究大学には事業収入の増加が求められています。事業収入を増やすために、授業料、学費が値上げされることもあり得ます。事実、国際卓越研究大学制度の検討会では、国立大学法人への規制緩和として、授業料設定の柔軟化、値上げの自由化が検討課題とされています。既に、国が定める上限、授業料標準額の一二〇%まで学費を値上げしている国立大学も複数出てきています。
 大臣、事業収入の増加を目的にする国際卓越研究大学や、今回、運営方針会議が設置される国立大学において、現行の授業料の値上げをさせないと断言できますか。さらに、今後も国立大学授業料の値上げ自由化はしないと断言できますか、お答えください。
 そもそも、五十年間もの長きにわたって学費値上げを繰り返し、世界で異常な高学費と十兆円にも上る若い世代の借金となる奨学金を押し付け、学生の学ぶ権利を奪ってきたのは政治の責任です。
 直ちに国の助成で、国公私立、専門学校、全ての学費を半分に値下げするとともに、入学金を廃止する、奨学金を借金から給付中心に大転換する、奨学金返済を半額にするなど、緊急の対策を取るべきではありませんか。
 学問研究の発展は、時の権力者の意向に左右されることなく、学問研究に携わる全ての人が自由に自主的に運営に参加できる民主主義なくしては成り立ち得ません。大学から自由と民主主義を奪う本法案については、徹底審議の上、廃案を求めて、質問を終わります。(拍手)

国務大臣(盛山正仁君)

 吉良議員にお答えいたします。
 まず、運営方針会議の設置と大学の自治の関係についてお尋ねがありました。
 運営方針委員には、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいきたいと考える方を学内外問わず人選いただくことが重要です。その上で、運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認については、大学の自主性、自律性に鑑み、国立大学法人からの申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き拒否することはできないと整理しています。
 また、中期目標に関する意見や中期計画の作成等については、経営協議会や教育研究評議会の審議などを経て学長が原案を作成し、その原案について運営方針会議が議論して決定することとなります。これらの提案を踏まえれば、運営方針会議の設置が大学の自治に反するという御指摘は当たらないと考えております。
 次に、運営方針委員の任命についてお尋ねがありました。
 運営方針委員は、学長と学長選考・監察会議の協議を経て、文部科学大臣の承認を得た上で学長が任命することとしておりますが、この承認は法人の申出に基づいて行うものとすると規定しております。当該規定は現行の国立大学法人法における学長の任命に関する規定に倣って設けているものであり、この承認に当たっては、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き拒否することはできないと整理しており、過去の国会においてもその旨答弁されているところです。
 文部科学省としては、多様な専門性を有する方々にも運営に参画いただきつつ、様々なステークホルダーとともに、真に活動を充実させていくためには、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいきたいと考える方を人選いただくことが重要と考えており、大学の人事に対する国家権力の介入にはならないと認識しております。
 次に、運営方針会議と学長の関係についてお尋ねがありました。
 学長と運営方針会議の関係についても、学長も運営方針会議の構成員であるとともに、それぞれ権限と責任が異なっており、上下の関係とはなっておりません。
 また、中期目標及び中期計画に関する事項を含む教育研究に関する重要事項については、学内者で構成する教育研究評議会において審議するなどの仕組みは引き続き存置されるため、運営方針会議の設置により大学運営の意思決定から教職員が排除されるとは考えておりません。
 次に、学外の運営方針委員による稼げる大学づくりへの懸念についてお尋ねがありました。
 社会課題も複雑多様化している中、その解決に向け国立大学法人への期待も高まっており、多様な財源を確保して財政基盤を強化し、教育研究基盤を強固にすることが重要と考えております。
 運営方針委員については、大学自らが運営の当事者として共にその発展に取り組んでいきたいと考える方を学内外から人選していただき、運営方針会議として大学のミッション全体を念頭に議論を深め取組を進めていただくことが重要と考えております。
 次に、報告書の提言から変更になった理由についてお尋ねがありました。
 総合科学技術・イノベーション会議が取りまとめた報告書では、国際卓越研究大学の条件として、多様なステークホルダーの期待に応えられるような長期の成長戦略を策定するためには、合議体が経営方針を定めて学長の業務運営を監督することなど、自律と責任あるガバナンス体制が必要とされました。
 その後、具体の法律案を検討する過程で、国際卓越研究大学であるか否かにかかわらず、大学の活動の充実に必要な運営機能を強化するという観点から、ステークホルダーと共に産学共同研究やスタートアップ創出に先進的に取り組んでいる事業規模が特に大きい国立大学法人については運営方針会議の設置を義務付けることとしました。また、その他の国立大学法人については、大学からの申請を踏まえ、文部科学大臣の承認を受けて運営方針会議を設置することができることとしております。
 この点については、本年九月以降、文部科学省から、科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会や総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員懇談会、国立大学協会の会議に改正の方向性をお示ししながら検討を進めてきたところです。
 次に、運営方針会議の設置拡大と大学の自治との関係についてお尋ねがありました。
 政令で指定する法人以外の法人については、法人自身が運営方針会議の必要性を踏まえて自ら希望される場合にその設置を可能としているものであり、際限なく広がるものではないと認識しております。また、先ほどお答えしたとおり、運営方針会議の設置が大学の自治に反するとは考えておりません。
 次に、運営方針会議の設置による国立大学の序列化についてお尋ねがありました。
 特定国立大学法人はその事業規模によって政令で特定され運営方針会議の設置が義務付けられるものであるのに対し、準特定国立大学法人は運営方針会議の設置の必要性を踏まえ自らの意思によって文部科学大臣に申請し、文部科学大臣から承認を受けたものです。
 このように、特定国立大学法人と準特定国立大学法人は、運営方針会議の設置までの過程は異なりますが、運営方針会議を設置している点においては何ら異なることはありません。また、特定国立大学法人以外の法人は、自らのミッションや発展の方向性に応じて運営方針会議の設置の要否を御判断いただくことが適切と考えていることから、運営方針会議の設置の有無によって一律に運営費交付金の取扱いに差を設けることは考えておりません。
 次に、国立大学への運営費交付金の拡充についてお尋ねがありました。
 国立大学法人運営費交付金は、我が国の高等教育及び学術研究の水準向上や均衡ある発展を担う国立大学が、人材の確保や教育研究環境の整備を行うために不可欠な基盤的経費であり、平成二十七年度以降は前年度と同額程度の予算額を確保しているところです。
 文部科学省としては、各大学が継続的、安定的に教育研究活動を実施できるよう、引き続き必要な額の確保に全力で努めてまいります。
 次に、国家安全保障戦略を踏まえた関係閣僚会議についてお尋ねがありました。
 御指摘の関係閣僚会議につきましては、国家安全保障戦略を踏まえ、総合的な防衛体制の強化にも資する研究開発を推進するため、政府横断的な仕組みとして創設されたものと承知しております。大学を含め、各機関が実施する研究については、自主的、自律的に進められていくものであり、御指摘は当たりません。
 次に、国立大学の授業料についてお尋ねがありました。
 国立大学の授業料は、国が標準額を示しつつ、その一二〇%を上限として、各法人が個別に授業料を設定する仕組みとなっています。
 国際卓越研究大学は、世界に伍する研究大学となることを目指し、研究活動の発展を支える多様な財源による強固な財務基盤を構築する観点から、年間三%以上の事業成長を求めることとしていますが、単に事業規模を拡大させるための授業料等の値上げにより学生の経済的な負担を増加させることは想定しておりません。
 現行制度の中で、標準額を超える授業料を設定する際には、教育研究内容を充実させることや、授業料の値上げにより学ぶ機会を逸することがないよう、真に支援が必要な学生に対して支援することなどの観点を踏まえた上で適切な対応を行うことが重要と考えております。
 また、国立大学の授業料の自由化、柔軟化については、総合科学技術・イノベーション会議が取りまとめた世界と伍する研究大学の在り方についてにおいて示されているとおり、授業料水準について国の一定の関与が必要とされる現行の制度趣旨を踏まえてなお、授業料の上限を弾力化する理由があるか、経済条件により教育機会に制限が掛かる懸念があることをどう考えるかといった留意事項も踏まえながら検討することが必要と考えております。
 次に、高等教育費の負担軽減についてお尋ねがありました。
 様々な御提案をいただきましたが、文部科学省としては、これまで、低所得世帯を対象に、授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて実施してきたところであり、さらに、令和六年度から、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大することとしています。
 これに加えて、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について、執行状況や財源等を踏まえつつ、対象年収の拡大も含め、更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めてまいります。
 また、貸与型奨学金の返還については、返還の猶予や毎月の返還額を減額する制度などにより支援を行ってきたところであり、令和六年度から、この減額返還制度の年収要件を緩和し、更なる負担軽減を図ってまいります。(拍手)

国務大臣(木原稔君) 

 吉良よし子議員にお答えをいたします。
 米軍オスプレイ事故についてお尋ねがありました。
 まず、今回の事故を受け、防衛省・自衛隊としては、人命の救出に全力を尽くしているところです。
 米側に対しては、国内に配備されたオスプレイについて、捜索救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請するとともに、陸自オスプレイについては、事故の状況が明らかとなるまでの当面の間は、その飛行を見合わせることとしています。
 我が国におけるオスプレイの配備は、災害救援や離島防衛を含む我が国の安全保障にとって重要な意義を有し、抑止力、対処力の向上に資するものであり、米軍オスプレイの配備撤回を求める考えはありません。
 また、自衛隊オスプレイについても、引き続き、地元自治体に丁寧に説明しながら、計画どおりに配備に向けて取り組んでいく考えです。
 以上です。(拍手)