ジャニーズ性加害問題 政府を挙げて性暴力なくす体制に(動画14分20秒ごろ~)
要約
日本共産党の吉良よし子議員は16日の参院文教科学委員会で、「ジャニーズ性加害問題」に関連し、政府を挙げて、子どもたちが性暴力の犠牲にならない体制をつくるよう強く求めました。
吉良氏は「ジャニーズ性加害問題」を巡って、被害の告発後、SNS上で誹謗(ひぼう)中傷を受けていた男性が大阪府の山中で死亡していたことについて「二次加害を許してはならない。当事者の命を守るべき」と迫りました。盛山正仁文科相は、「亡くなった方へのご冥福を祈る」と答弁。子どもに対する性犯罪、性暴力対策の強化方針を説明しました。
吉良氏はこの問題について、社会全体が沈黙していたことが問題だと指摘。とくに旧ジャニーズ事務所(現SMILE―UP.)がジャニーズJr.と契約をかわしていなかったことが被害申告する機会をうばっていたとし、「子どもたちが未契約で働くことはあってはならない」と追及。盛山氏は「おっしゃるとおり」と契約の重要性を認めました。
吉良氏は、政府を挙げて相談事実の認定、調査を行っている韓国の取り組みを紹介。「事実関係を調査し、認定し、救済までつなげていく実効性のある第三者機関を」と強調しました。
議事録
<前編 外苑再開発問題より続く>
吉良よし子
次に、ジャニーズの性加害問題についても伺いたいと思います。
先月、十月半ばに、このいわゆるジャニーズ性加害問題について被害を告発していた四十代の当事者が大阪の山中で亡くなっていたとの報道がおとといありました。亡くなられた方の御冥福を祈るとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
報道によりますと、この亡くなった当事者の方というのは、SNSなどで多数の耐え難い誹謗中傷にさらされ続けてきたということなんです。
文科大臣、勇気持ってこの性被害を告発した当事者を誹謗中傷し、おとしめ、更に傷つけるような二次加害、これはあってはならないし、許してはならないし、こうした二次加害を防ぎ、当事者の命を守るための取組、これは政府を挙げて取り組むべき問題だと思いますが、いかがですか。
文部科学大臣(盛山正仁君)
今回のその、そういう命を落とされることになったということに対しては、私からも、私も心から御冥福を祈りたい、そんなふうにまずは思います。
その上で、性犯罪、性暴力につきまして、そしてそれ以外のネットということも先ほど来出ましたけど、あろうかと思いますが、これまでも政府全体で取り組んでおります。今年三月には性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針、また七月にはこども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ、これを関係省庁で、関係府省でまとめたところでございますので、こういった動きがこれからも進んでいくこと、そしてそれに対して我々文部科学省としても協力をしていきたいと考えています。
吉良よし子
報道によりますと、御遺族の方からは、被害者はもう傷ついているのになぜ更に傷つけるのでしょうと、こういう言葉が発されたと聞いています。この二次加害、絶対に許してはならないし、やはり全ての被害者救済することを心から求めるものです。
ジャニーズ性加害問題そのものの話もしたいと思うんですが、これは皆さん御存じのとおり、旧ジャニーズ事務所の代表であった故ジャニー喜多川氏による数百名もの十代前後の子供たちに対する性加害問題であり、長年にわたって多くの子供たちが被害に遭ったという世界に類を見ない世紀の性犯罪事件であり、深刻な人権侵害問題だと思っております。断じて許すわけにはまいりません。
同時に、これは様々な、ある性加害問題の一つということだけにとどまらない深刻な社会問題だと私は思うんです。
というのは、これ数十年前から当事者が告発をしていたと。しかも、二〇〇〇年代には裁判でも事実が認定をされたんだと。にもかかわらず、事ここに至るまでメディアも芸能界もスポンサー企業もずっと沈黙をしてきたんだと。もっと言うならば、国会でもほとんど取り上げられず、政府も対策を講じてこなかったと。社会全体が沈黙をしてきたと。この社会の沈黙が当事者の口を塞ぎ、被害を更に広げるのに加担したとも言える、こういう社会問題だと思うんです。それこそ、私たち日本共産党も、当時国会で取り上げなかったこと、深く反省しますし、だからこそ被害の救済、全容解明、そして再発防止に全力を挙げる決意で、先週にはその提案も発表をしたところであります。
とりわけ、この政府に対しては、国連のビジネスと人権作業部会が八月にステートメントを発表していますが、そこで策を講じてこなかった政府の責任について言及していることは重要で、やはりこの問題について社会問題として政府として取り組む、関与をすることは欠かせないと思うんです。
改めて、大臣、このジャニーズ性加害問題について、ちゃんと特化して被害の全容解明、そして救済や再発防止に取り組む、責任持って取り組むべきと思いますが、いかがですか。
国務大臣(盛山正仁君)
子供や若者、若年者が性被害を受けることは断じてあってはなりません。それは芸能分野だけではなく、あらゆる分野、場面において同様であると思います。
政府全体として取組を徹底していくために、本年七月にこども政策担当大臣を議長とする関係府省連絡会議において、こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージを取りまとめたところでございますので、当省というよりは政府全体としてしっかり取り組んでいかなければならない課題だと私も認識しております。
吉良よし子
もちろん、芸能分野のみならず、あらゆる分野でこうした問題あってはならないことではありますけれども、と同時に、やはりこうした芸能分野で特に、とりわけ多くの子供たちが働いている芸能分野独特の問題とも言えるわけです。
何より、先ほどから申し上げているように、単なる個別の問題というだけではなくて、やはり社会全体が見逃してきたという問題で、政府ちゃんと責任持って取り組んでいただきたいし、やはり、特になぜ沈黙が続いたのかと、この全容解明が私は必要だと思うんです。それをやってこそ再発防止につながるわけで、この全容解明するヒントというのは、様々な検証番組等もやられる中で明らかになっているんですが、例えばジャニーズが設置した外部専門家による再発防止特別チームによる第三者報告書が発表されています。
これを読みますと、ジャニーズ事務所では、ジャニーズジュニアを採用する際に所属関係の契約書を締結していなかったと。なので、その未成年で働く子供たちの権利を保護するその法的な手当てがなされていなかったし、ジャニーズ事務所として接する大人が、そのジュニアたちと、もうごく僅かで、だから性加害の被害申告する機会が子供たちにはなかったんだということを記している。これ重要な指摘だと思うんですね。
大臣、この間、文化庁は文化芸術分野の適正な契約関係についてガイドラインを出しているわけですが、芸能分野で働く未成年、練習生も含む子供たち、子供のタレントについてもその権利がちゃんと保護されるよう契約書を交わしていく、これ必要だと思うし、それを、その重要性をしっかり打ち出していくべきではありませんか。
国務大臣(盛山正仁君)
芸能分野を含めた文化芸術分野におきましては、当事者が未成年であるか否かにかかわらず、契約が書面化されていなかったり、書面化されていても事業者等に一方的な内容であったりする場合、芸術家等に予期せぬ不利益が生じることがあると認識しております。
このような状況を改善する方向性として、文化庁では、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインを公表し、契約内容明確化のための契約の書面化と、協議、交渉に基づく取引の適正化を促進する必要があるとしているところです。
文部科学省としては、ガイドラインの普及啓発のほか、研修会の実施や弁護士による相談窓口の開設を行っているところであり、適切な契約が結ばれるよう様々な機会を通じて周知を図ってまいります。また、その際、当事者が未成年の場合は、民法の規定に基づき法定代理人たる親権者等が契約手続を行うことになっており、ガイドラインの内容についても、未成年者本人のほか親権者等にも御理解いただけるよう、丁寧な情報発信に努めてまいるつもりです。
吉良よし子
一般的におっしゃったわけですけど、その年齢にかかわらず契約締結するのが大事なのはもちろんですけど、とりわけ未成年、子供たちが未契約で働くなんてことはあってはならないわけで、やはりちゃんと契約をすべきということはFAQなどで周知徹底すべきと思いますが、再度いかがですか。
国務大臣(盛山正仁君)
それはおっしゃるとおりでございます。
法、法的には民法の規定に基づいて、文化芸術分野で活躍に限らないわけですが、活動される未成年者の契約の場合には、法定代理人たる親権者等が契約手続を行うということで、親権者等が責任を負うわけでございます。
ですから、このガイドライン等の周知に当たりましては、未成年者本人のほか親権者等も対象になるという認識の下、必要な情報を分かりやすく伝えられるよう、情報提供、発信を我々としても強化してまいります。
吉良よし子
是非しっかり周知していただきたいと思います。
そして、もう一つ今日伺いたいのが相談窓口なんですね。
先ほど大臣も、第三者相談窓口等で相談も受けているとおっしゃっていました。ただ、必要なのは、単に相談を受けるだけじゃなくて、事実関係をちゃんと調査して認定して、そして救済までつなげていく実効性ある第三者相談機関、これが本当に各団体、当事者から要求されているものなんです。こういう相談、調査、救済まで一貫して行えるような第三者相談機関を政府として新たにつくる、若しくは今の相談機関を強化充実させていくべきと思いますが、大臣、いかがですか。
国務大臣(盛山正仁君)
若干繰り返しになりますが、政府としては、子供、若者の性被害防止のために、緊急対策パッケージを本年七月にまとめております。そして、その実効性を確保するために、関係法令を所管する府省庁において、被害者が相談しやすい環境整備のためのSNSを活用した取組や、性暴力被害者ホットラインの開設等に取り組んでいるところです。
我々文化庁では、契約関係の適正化のための取組の一環として、契約に関係する疑問、あるいはハラスメントを含むトラブル等について弁護士が相談に対応する文化芸術活動に関する法律相談窓口を昨年度の一月、昨年度というのは今年ですね、の一月から三月に開設したほか、今年の九月以降、相談窓口を設置しているところです。この相談窓口は二十四時間オンラインで相談を受け付けることが可能であり、把握した相談の内容によって状況を整理した上で、関係法令に基づく適切な対応がなされるよう対応しております。ということで、はい。
吉良よし子
様々対応されているのは分かっていますけど、もっとやれることがあるんじゃないかということを申し上げています。
お隣韓国では、相談窓口で受けた相談の事実認定、調査を政府が自ら、役人が行っているということも聞いていますし、そのタレントを守るための法制度、体制、ハラスメント研修のための講師養成なども政府を挙げて取り組んでいると聞いているわけで、やはり、こうした夢を持って芸能界にデビューしようと頑張っている子供たちが犠牲になるような、そんなことはしない、性暴力を受けてしまって黙らされてしまう、なかったことにさせられる、そんなことはさせないんだという体制を是非政府を挙げてつくっていただきたいと、このことを強く申し上げまして、質問を終わります。