loading...

吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第212臨時国会

外苑再開発 樹木大量伐採やめよ

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は16日の参院文教科学委員会で樹齢100年を超える貴重なイチョウ並木を含む豊かな樹木を伐採する東京都が認可した神宮外苑再開発事業計画の中止を求めました。

 同計画の柱となる秩父宮ラグビー場の移転新築は文部科学省所管の独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が実施します。吉良氏は、移転新築が「自然も景観も壊す再開発の深刻な影響を広げている認識はあるのか」「大量の樹木を伐採しても仕方がないというのか」とただしました。

 JSCの大西啓介理事は緑地面積を増加させる計画で、「どんぐりを拾って育成する」と強弁。委員会室に失笑が漏れました。

 吉良氏は、100年かけて造られた建国記念文庫の森の樹木を大量に伐採し、隣接する国立競技場よりも巨大なラグビー場ができれば、残された樹木が保存されるかも疑問だと指摘しました。

 吉良氏は、文化庁の検討会でイチョウ並木が名勝地の候補として検討され、神宮内苑と一体的に評価して保護する視点が重要だと指摘されていると強調。文化遺産に関わる非政府組織「ICOMOS」=イコモス(国際記念物遺跡会議)が9月に計画見直しを求めるヘリテージ・アラート(文化遺産危機警告)を出したことも踏まえ、移転新築をこのまま認可すべきでないと強く求めました。

 盛山正仁文科相は「仮定の話についての答えは差し控える」として、態度を明らかにしませんでした。

しんぶん赤旗11月21日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、さきの国会でも取り上げましたが、まず明治神宮外苑の再開発の問題について伺いたいと思っております。
 資料もお配りいたしました。緑豊かな都心のオアシスともいうべき神宮外苑、これは歴史ある近代日本の文化的遺産だと言っていいと思っております。この神宮外苑の再開発事業が今進められており、これ資料のとおりですね、神宮球場と秩父宮ラグビー場、これを場所を入れ替えて、その結果、高さ百九十メートル級の超高層ビルが三棟ぐらい建てられてと。その中で、大量に木が、樹木が伐採され、外苑の象徴ともいうべきイチョウ並木の存亡の危機にさらされるという、そういう計画になっているわけです。これを、三井不動産、伊藤忠商事、明治神宮、そして独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCの四事業者とともに東京都が進めているというわけです。
 このやはり自然、景観壊す計画に対して反対する声というのはもう日に日に増え続けておりまして、亡くなった坂本龍一氏に続いて村上春樹氏も懸念を表明、サザンオールスターズはこの再開発に疑問を投げかけるような歌を発表していますし、再開発反対の署名の数というのは二十二万八千筆以上に上るわけです。
 この九月には、ユネスコの諮問機関であるICOMOSからも文化保全を求めるためのヘリテージアラートまで出されている状況で、都議会では、計画段階で東京都から森喜朗元総理に説明がなされていたなど、この事業への政治家の関与の問題なども取り沙汰されていると聞いているわけです。
 今日は、JSCから大西理事に来ていただきました。本来、理事長に来ていただきたかったんですけれども、海外出張とのことで理事に来ていただいたわけですが、この再開発の柱を成す事業となっているのが、先ほども言ったように、このJSCの管理している秩父宮ラグビー場を移転、新築するというこの事業です。秩父宮ラグビー場は、民間企業ではなくて、文科省所管の独立行政法人であるJSCが管理していて、それを移転する計画を、事業を進めて、JSCが進めているわけですけれども、この移転によって多数の木々が伐採されて超高層ビルの建設も可能になるし、そして新しい神宮球場が建設されることになると。それによってイチョウ並木の存亡が危機にさらされているし、そして、押し出されたテニスクラブによって市民の、市民のスポーツの場であった軟式野球場もなくなってしまうと。
 つまり、この秩父宮ラグビー場の移転新築計画そのものが、この外苑の自然も景観も壊してしまう、再開発の深刻な影響を広げる計画となっていると、そういう認識、JSC、ありますか。

独立行政法人日本スポーツ振興センター理事(大西啓介君)

 お答え申し上げます。
 神宮外苑地区の町づくりにつきましては、東京都が平成三十年に策定した東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針におきまして、競技の継続性に配慮したスポーツ施設の連鎖的な建て替えなどが方針として示されたことを踏まえて、再開発事業を計画しております。
 その中で、今御指摘のございました四列のイチョウ並木については現状のまま保全することとしまして、かつ、新しい明治神宮野球場の整備に当たっては、イチョウの根系調査の結果等を踏まえて、イチョウの生育環境に影響を与えないよう、具体的な施設計画の検討を行うものと承知しております。
 なお、明治神宮におかれましては、再開発事業とは別に、軟式野球場等があるエリアを誰もが利用できる絵画館前広場に復元するなどの整備を行われるものと承知してございます。
 JSCとしましては、事業者四者が協力して周辺環境に配慮しながらスポーツ施設の更新や広場の整備などを行いまして、より多くの市民の方々が安全に神宮外苑に集い、運動、スポーツに親しめる場を創出してまいりたいと考えてございます。

吉良よし子

 全く認識が違うと思うんですね。いろいろ御説明はされましたけれども、そもそも何で秩父宮ラグビー場の移転が必要なのかという御説明一切ないわけですよ。なぜ移転が必要で、なぜ全天候型の屋根付きで、ラグビー以外のイベントも可能なものにしなきゃいけないのかと。
 元ラグビー日本代表の平尾剛さんは、今の場所から移転して建設される新競技場計画は、選手にも観客にもメリットの少ない改悪でしかないと言って、そしてさらに、神宮外苑百年の森の破壊にもつながるんだと署名活動を始めて、先ほど紹介した署名とは別に約二万人が賛同しているわけなんです。
 何より、この再開発によって、この地球沸騰化と言われる時代に全体で約三千本もの樹木が破壊されてしまう、もうこれが最大の問題だと思うわけですが、秩父宮ラグビー場を移転する、新築する、それだけでも、建国記念文庫の森という、百年前の計画どおりにできた、美しい森になったと評価をされているその森を中心に、大量の樹木を伐採することになってしまうわけです。この大量伐採も仕方がない、やむを得ないというのですか。

参考人(大西啓介君)

 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、スポーツを実施していく上で自然環境との調和を図っていくことは重要なことと認識してございます。
 神宮外苑地区の町づくりでは、既存の樹木について極力保存あるいは移植とするために、これまでの検討においても、伐採樹木を移植樹木に変更するなど環境に配慮した検討を行い、エリア全体の樹木数は千九百四本から千九百九十八本に増加をさせると。また、緑地面積の割合につきましても、約二五%から約三〇%に増加する計画となってございます。かつ、今後とも、更に保存あるいは移植可能な樹木がないか、樹木医の診断等を行い、引き続き検討をしてまいります。
 また、事業者四者が共同した取組としましては、市民の方々が参加して、神宮外苑内に生育している樹木のドングリを拾って育成する取組を開始してございます。
 次の百年に向けて、緑をつくっていく所存でございます。

吉良よし子

 いや、伐採する本数を減らして移植をするし、また新しく植えると、ドングリ拾って植えるから問題ないんだと言うけど、それじゃ違うんですね。先ほど言ったように、百年前に百年後を想定してつくられた森なんですよ。百年掛けて育っていた木々が切られたり場所を移し替えたりするという、そういうものなわけで、本数の問題でもないし、この長い歴史の中で形成されてきた森が壊される、このことには変わりがないわけですよ。
 しかも、新しく建てられるラグビー場というのは、新国立競技場よりも八メートルも高い五十五メートルの巨大な構造物で、日照時間大幅に減ることも予想されると。たとえ残されたとしても、その樹木が今のまま保存されるのかも疑問なわけですよ。
 だから、日本イコモスからも、本数のみが問題なんじゃないと、生態的構造、歴史的、文化的意味を踏まえた森についての考察と保全、再生の考え方が必要だと、その点が欠如している計画であることが問題だと批判されているわけです。
 何より、都市の森というのは文化なわけです。これについて、私、文化庁に是非伺いたいんですけれども、文化庁、国内の公園などの人文的な名勝地について専門家が議論している検討会というのがありまして、平成二十四年の六月に近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書を出していると。その中で、明治神宮外苑のイチョウ並木等についても評価をしているわけですが、この報告書の二十三ページ(7)の明治神宮についての部分、ここだけを紹介いただけますか。

文化庁次長(合田哲雄君) 

 先ほど御指摘のありました当該研究書におきましては、近代の庭園、公園を七つのカテゴリーに分けて分類しておりますが、並木道として明治神宮外苑イチョウ並木を、他方、その他として、人工林として明治神宮内苑をリストアップしてございます。
 御指摘のありました報告書の中身でございますけれども、明治神宮については、先述のように明治神宮外苑イチョウ並木も重要な事例であり、内苑に含まれる明治時代前期の庭園の部分、御苑にも十分着目しつつ、両者を一体的に評価して保護する視点が重要であるとしてございます。
 若干分かりにくいので手短に補足させていただきますと、明治神宮の内苑、外苑は、両者を一体的に評価する視点で調査してはどうかという指摘でございます。

吉良よし子

 いや、読んでいただくだけで結構だったんですけれども。
 要するに、この明治神宮外苑イチョウ並木、これは名勝地に指定できるだけの、その候補になる場所だというのがこの検討会の結論なわけですね。なおかつ、この報告書では、「はじめに」のところで、全国には、保護の必要性が十分に検討されないまま、都市化及び再開発によって消滅又は改変の危機に瀕している近代の庭園、公園等も数多く存在すると指摘した上で、何らかの保護措置を検討するべきについて一覧にまとめたんだと。その中にこの外苑のイチョウ並木があって、そして内苑と一体的に評価して保護する視点が重要だという指摘があるということなんですね。
 文科大臣、やはりこの国民共有の財産である秩父宮ラグビー場移転する中でこういう森が壊されようとしているわけですが、このラグビー場の移転するためには大臣による財産処分の認可の手続が必要だということなわけですが、これもうこのまま認可すべきではないと思いますが、大臣、いかがですか。

文部科学大臣(盛山正仁君)

 神宮外苑地区の再開発事業は、東京都が平成三十年に策定した神宮外苑地区のまちづくり指針等に基づき、具体的な町づくりを担う東京都及び新宿区、港区が地権者を始めとする関係事業者と協議しながら検討を進めてきたもので、都市再開発法に基づき、令和五年二月に東京都が認可したものです。
 その上で、事業者の一人となるJSCは、その保有する資産について、都市再開発法に基づく権利返還を行うため、独立行政法人通則法第四十八条の規定に基づく財産処分の認可が必要となります。その認可に当たりましては、処分等の内容や方法が適正であるか、また、申請のあった財産を処分等をすることによってJSCの業務運営が阻害されないことを確認することになります。
 これ、一般論でこういうふうになっているということでございますけど、現時点におきましては、JSCから我々に対しましての認可申請はされておりません。仮定の話についてのお答えは差し控えさせていただきます。

吉良よし子

 この計画進めるためには、この権利返還、財産処分の認可というのは必ず必要になってくるわけです。その際にそのまま認可していいのかということを聞いているわけです。
 何より、冒頭申し上げたとおり、今年九月に、ユネスコ諮問機関である国際記念物遺跡会議、ICOMOSが、この計画に対して見直しを求めるヘリテージアラート出しているわけです。これは、このICOMOSからの最高レベルの懸念ですよ。文化財保全に対して最高レベルの懸念を表明するもので、それは政府、文科大臣宛てにも出されているものなんです。その中で、これ東京だけの問題とせず、積極的な解決策の方法を考え、共に取り組んでいくことということが書かれているわけですよ。
 ということでいえば、東京都の事業だからと投げるのではなくて、やはり文化を守りスポーツ振興を進めていく文科省としてちゃんと判断をすべきだと。このヘリテージアラートを踏まえて、認可をしない判断など文化を守るための対応をしていくべきと思いますが、大臣、もう一度いかがですか。

国務大臣(盛山正仁君)

 神宮外苑地区の再開発事業については、ヘリテージアラートも含めて様々な御意見があることは事実であり、承知しております。そういった御意見を踏まえて、事業者においてこれまで説明、情報発信を行ってきたものと承知しております。
 本再開発事業につきましては、事業に関連する許認可権限を持つ東京都、新宿区、港区において、地権者を始めとする関係事業者と協議しながら適切に対応していくべきものです。関係者間の協議の結果、良い結論が出されることを期待をしているところです。

吉良よし子

 いや、ヘリテージアラートをその他様々の意見と同等に扱うというのもどうかと思いますよ。これは、日本の文化遺産ちゃんと守れるかどうかという、そういう最高レベルの懸念なわけですからね。しかも、東京都ですら、このアラートを受けて、やっぱり樹木の保全についてちゃんとするようにと事業者にも求めたと聞いているわけで、文化庁、文科省がそれを黙って見ているということではならないんだと。やはり、百年の歴史を持つこの文化の森、神宮外苑をちゃんと守り抜くよう、大臣に強く求めるものです。

<後編 ジャニーズ性加害問題に続く>