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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第198通常国会

学費値下げに踏み込め 重い奨学金、学業の足かせ 救済策・制度改善求める

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は6日の参院予算委員会で、奨学金の返済が若い世代の重い負担となっている現状を示し、奨学金制度の改善と、高すぎる学費の値下げを求めました。

 吉良氏は、厳しい取り立てや個人信用情報機関へのブラックリスト登録があるもとで返済苦に陥る多数の若者がいるとして「奨学金の返済が重い負担になっているとの認識か」とただしました。

 安倍晋三首相は、返還期限の猶予など「救済措置を講じてきた」と弁明。吉良氏は、返還期限猶予は10年で、それ以降は無職でも返済義務があるなど政府の「救済措置」の問題点を指摘し、「返還困難者は減っていない」と強調しました。

 吉良氏は、奨学金の返済に苦しむ若者への救済策として、返還期限猶予の利用年限の延長、相談窓口の設置、有利子奨学金の利子分の免除などの救済策を講じるべきだと主張しました。

 吉良氏は、奨学金の受給率が7年連続で減少し、アルバイトに従事する学生が増加していると指摘。毎月の仕送りも減っている事実を示し「やむにやまれぬ生活苦の結果、無理してアルバイトを増やしてきた。アベノミクスで『雇用が増えた』などと誇れることではない」と批判し認識をただしました。

 安倍首相と柴山昌彦文部科学相は、学生のアルバイト就労が増えた実態について「就職活動期間の短縮や就職状況の改善などの要因もある」などと弁明し学生の生活実態を顧みない姿勢を示しました。

 吉良氏は、安倍政権の「無償化」政策について、対象が1割程度にすぎず、財源も消費税であると批判し「『無償化』というなら学費そのものを値下げすべきだ」と強調。日本共産党はすべての学生の学費を半額にする改革を提案しています。

しんぶん赤旗2019年3月7日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子でございます。
 私は、大学生や若い世代に今重くのしかかっている奨学金、特に返済に関わる問題、そして安倍政権による教育無償化政策について今日伺いたいと思います。
 現在、日本では、高い学費の下で、二人に一人がローン型の奨学金を借りないと大学に通えない実態があります。そして、若い世代の多くは、卒業と同時に背負った奨学金という名の借金返済に追われております。今の奨学金返済の取立てというのは大変厳しく、少しでも滞納すれば自宅や職場に来訪したり電話での取立てがある、三か月過ぎるとすぐに個人信用情報機関のブラックリストにも登録される、九か月目には裁判所から督促があると。これだけ厳しい取立てやペナルティーもある下で、もう奨学金の利用者というのは必死になって返済を続けている実態があるわけです。
 学生時代、月十万円の奨学金を借りていたある女性は、大学卒業後、IT企業に就職したと。長時間労働の会社で、残業時間は年々増え続けていたんですけれども、奨学金の返済が残っているから頑張らないとと親御さんに言い続けて、毎月二万円きちんと返済しながら働き続けた結果、過労でうつ病を発症して、入社四年目で自ら命を絶ったといいます。
 総理、国の制度であるこの奨学金の返済が若い世代の重い負担となっていると、こういう認識はありますか。これ、深刻な問題だと思いませんか。いかがでしょう。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 どんなに貧しい家庭に育っても安心して学ぶことができる環境を整えていくことが重要であると考えております。
 このため、安倍政権では、大学等奨学金事業の充実を図り、返還を必要としない給付型奨学金制度を創設するとともに、貸与型の奨学金についても、かつては、これは奨学金というよりも学生ローンではないかという、そういう批判もあったわけでありますが、この無利子奨学金の拡充などを進めてきたところであります。
 この貸与型の奨学金については、大学等を卒業後、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、無理のない返還が可能となるようきめ細やかな救済措置を併せて講じてきたところであります。
 政府としては、こうした取組を通じて、経済的理由により進学を断念することがないよう、引き続き高等教育への進学支援の充実に取り組んでまいりたいと思います。

吉良よし子

 無利子拡充されたと言いますけれども、圧倒的多数は有利子の奨学金を借りなきゃいけないと、借りているのが現状なんです。
 そして、救済策様々やっているとおっしゃいましたけれども、パネル御覧いただきたいと思います。(資料提示)
 その改正された救済策でもまだまだ問題点が多数あるわけです。例えば返還期限の猶予、返還を先送りできる制度ですけど、これ猶予期間は十年までです。十一年目からはたとえ無収入であっても返済を迫られると。所得に応じて返済額を減らせるという連動型というのはありますけど、これは有利子奨学金の返還者はそもそもが対象外になっていると。収入ゼロでも返還しなければならないですし、返済額が減るだけなので返済期間というのは長期化してしまうという、そういう問題もあるわけです。だから、こういう救済策あってもなお返済の困難とされる方々の数というのは減っていない。
 数を確認したいと思います。先ほど申し上げましたブラックリストへの登録件数、個人信用情報機関への登録件数は、二〇一三年度、そして二〇一七年度、それぞれ何件か、文科大臣、お答えください。

文部科学大臣(柴山昌彦君)

 お答えをいたします。
 日本学生支援機構の所有する債権のうち、個人信用情報機関へ各年度中に新たに登録した件数でございますが、二〇一三年度においては一万三千四十七件、二〇一七年度においては二万五千二百八十八件です。

吉良よし子

 大きく増えているわけですよ。先ほどの改正、二〇一四年にあったわけですけれども、全く改善されていないと。
 また、先日、私、本会議場で自己破産の件数増えているという話ししました。この件数についても確認をしたいと思います。二〇一三年度、二〇一七年度、それぞれの自己破産件数、大臣、お答えください。

文部科学大臣(柴山昌彦君)

 まず、前提となった、先ほど紹介をさせていただいた数字ですけれども、奨学金トータルを裕福であっても利用できるようにする方もいらっしゃるということは付言をさせていただきたいと思います。
 また、今の御質問ですけれども、自己破産の件数、これも日本学生支援機構の調査でございますが、二〇一三年度においては、返還者本人の自己破産件数は千四百五十三件、連帯保証人が千百六十五件。(発言する者あり)本人だけで結構ですか。じゃ、千四百五十三件。二〇一七年度においては、返済者本人の自己破産件数は二千四百四十七件です。

吉良よし子

 急増なんです。二〇一六年度は二千九件だったのが、二〇一七年度で二千四百四十七件。本当に急増しているのが今の現状なんですね。だから、今、先ほどおっしゃられた救済策というのがまだまだ不十分であるのは明らかなわけです。
 私たち日本共産党は、こうした奨学金借金苦の解決策として、こうした提案をさせていただいています。
 まず、返還猶予の利用年限については、今年、十年の年数切れになる対象者が多く出る可能性があるため、緊急策として、更にその期限を延長することと、それに対する相談体制を整えること。また、そのほかの必要な救済策ということで、有利子奨学金についての利子分の返還を免除するとか、有利子奨学金を所得連動型の対象にするとか、二十年間返還し続けたらもう超過分は免除にするとか、一定のこうした救済策必要だと思いますが、総理、いかがでしょうか。

国務大臣(柴山昌彦君)

 いろいろと御提案を頂戴いたしました。
 まず、返還猶予について、十年の年限を更に延長するということでございますけれども、そもそも二〇一四年度に年数制限を従前の五年から十年に延長したところであります。返還金が次の世代の原資となるということを考えると、事業の健全性を考えるためには猶予期限の更なる延長は難しく、少しでも返していただいて減額返還措置を御利用いただけたらというように思います。
 また、有利子奨学金の利子分の免除というところでございますけれども、これは、そもそも無利子奨学金については予算の制約上必要な規模の事業費が確保できないということから財政投融資資金を財源とする有利子奨学金を導入したという経緯がありますので、実質的に無利子奨学金とするための財源の確保はこれもなかなか難しいということでございます。
 また、所得連動型の対象を有利子奨学金にも広げてほしいという御提案ですけれども、これも、返還者の所得が低く、返還月額が低額となる場合に利息の支払が増大し、より返還者の負担を増大させるということになる懸念があります。
 また、二十年間返還したら超過分を免除するということにつきましても、返還金を大幅に減少させ、これもまた次世代のための原資を減少させるという懸念がありますので、いずれにしても健全性確保の観点から十分に慎重な検討が必要であると考えます。

吉良よし子

 何かゼロ回答なんですけど。総理、せめて検討することぐらいしてはいかがですか。総理、いかがですか。

内閣府特命担当大臣(経済財政政策)(茂木敏充君)

 人づくり革命の担当ですから私からお答えいたしますが。
 先ほど総理の方からも御答弁申し上げたように、来年の四月からということでありますが、高等教育の無償化、進めることにしております。住民税非課税……(発言する者あり)まあ、待ってください。住民税非課税家庭については給付型の奨学金によって十分生活費もカバーできる、さらに、それに準ずる家庭についてもそれに準じた形の支援をしていくということによってこれまでの状況は大きく変わると、今御指摘のような状況は大きく変わると思っております。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 様々な困難を抱えている学生の皆さんがおられることは承知をしております。そういう皆さんへの支援を限られた財源の中で、あるいは先ほど大臣から答弁をさせていただいたように、奨学金をその次の方にこれ回していくということも必要でございます。そういう中におきまして、文科大臣が答弁をさせていただいたようなことでございますが、十分に慎重な検討が必要と考えております。

吉良よし子

 慎重な検討じゃなくて、積極的に検討すべき状況だということを言っているわけなんです。
 どんな収入状況でもとにかく返せと言っているわけですよ。先ほど、二十年したらもう超過分免除にということを私言いましたけれども、なぜかというと、結局これ、とにかく返せ返せと言えば、年金生活者になっても奨学金の返済し続けなければならないと、そういうことになってしまうんですよ。それを本当に強いるんですか。そんなに血も涙もないようなことを奨学金制度でやっていいんですかということを私伺っているんです。こうした事態はもう既に多くのマスコミ等で報道されていて、もう機構自身も、奨学金申請者に対して奨学金は借金ですという説明をしている。今や学生の中の多くは、奨学金は借りたら怖い、こういう認識になっているわけですよ。
 じゃ、そういう下で何が起きているか。借り控えです。借り控えなんですね。これについて言いますと、先ほどもちらりとありましたけど、奨学金の受給率というのは二〇一一年をピークに七年連続で減少していると。これというのは貸与型敬遠の傾向だと大学生協連の学生生活実態調査では分析をしているんですが、その一方で増えているのがアルバイトなんです。
 アルバイトに従事している学生の割合というのは幾らになっているか。二〇一四年度と二〇一六年度の数を、文科大臣、数だけで結構ですのでお答えください。

国務大臣(柴山昌彦君)

 これも日本学生支援機構の学生生活調査でございますが、大学学部生のアルバイト従事者の割合は、二〇一四年度は七三・二%であり、二〇一六年度は八三・六%でございます。

吉良よし子

 一〇ポイントも急増しているわけなんですね。
 この学生のアルバイトの急増については、どう文科省では分析されているのかと。やはり借金となっている奨学金の借り控えが背景にあるという、そういう認識があるのかどうか、大臣、お答えください。

国務大臣(柴山昌彦君)

 一部に借り控えを原因とする分析もあるんですけれども、ただ、今年二月に公表された大学生協が実施した学生生活実態調査においては、近年、アルバイトをしている学生が、特に四年生でその割合が増加していることから、就活期間の短縮ですとか好調な就職状況も背景にあるという分析もなされております。

吉良よし子

 好調な就職状況とおっしゃいましたけれども、一部の分析じゃないんですよ。
 先ほどの機構の学生生活調査、そこに付いている識者の分析の中に、このアルバイトの急増というのは雇用状況の好転とは考えられないと書いていて、貸与奨学金離れによってアルバイトで収入を確保しようとする学生の増加が主要因だと書いているんです。機構の調査の、その識者分析にそういうふうに書かれているわけです。
 そこで、このパネル御覧いただきたいんですけど、実際、景気が良くなったからなんかではないのがよく分かるのが、家庭からの仕送りががくんと減っているというこのグラフです。
 もう今や、家庭からの仕送りというのは一人当たり八万五千七百円、まあ以前は九万円とかもっと多かった時期もあったわけですけど、それからこれだけ落ち込んでいる。一方で、じゃ、奨学金を借りられるかというと、借りると大変なことになるから借りることもできないからということで借り控えも起きている、あとは頼るのはアルバイトだけなんだということなんです。
 ちなみに、この八万六千百円という仕送りだけで生活するというのはどういうことか。家賃を除けば、まあ六万円ぐらいだと仮定すれば二万四千五百円、月当たりですけれども、一日に直すと、これ八百十七円で生活するということになるわけです。これが東京で私学で学ぶ学生の実態になる。
 総理は、この間、就業者数が増えたのがアベノミクスの効果だと盛んに自慢されているわけです。しかし、その増えた就業者数三百八十四万人のうち七十四万人がまさにこの学生アルバイト就労なわけです。この学生たちは、先ほどの高い学費負担、親の仕送りの減額、奨学金も借りたくないというやむにやまれぬ生活苦の結果、無理してアルバイトを増やしてきていると。
 これは決して、雇用が増えたなどといってアベノミクスの成果として誇るような話などではないと思うのですが、総理、いかがでしょう。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 先ほど文科大臣からも答弁させていただきましたが、学生アルバイトの増加に関しては、家庭からの給付のみで修学が可能と回答しているアルバイト従事者の割合が増加をしているという事実や、就活期間の短縮や好調な就職状況が増加の背景にあるとの分析もあるのは事実であります。アルバイト従事者の割合の増加の理由には様々な要因が考えられるため、このことだけをもって生活が苦しい学生が増加しているとは言えないと考えているところでございます。
 いずれにせよ、政府としては、返還を必要としない給付型奨学金制度の創設や奨学金の返還負担の軽減を始め、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところでございます。
 そしてまた、政府としては、奨学金の返済が、大学等を卒業した若者が無理のない返還が可能となるよう、引き続き、きめ細やかな救済措置に取り組むことを通じて学生、生徒が安心して学ぶことができる環境を整備してまいりたいと考えております。

吉良よし子

 現場の現場の声を本当に聞いていただきたいと思うんです。
 私、信州大学の学生さんの話、直接聞きました。一年生で奨学金を借りていたけど、もう二年生からは借りたくないんだと、だからバイトを週六に増やしたんだと、そうしたら希望しているゼミの授業が取れなくなっていて本当に悩んでいるんだ、そういう深刻な声が上がっているんですよ。
 家庭からの仕送りだけで、家庭からだけで生活している人がアルバイトを増やしていると言いますけど、それは、決してそれだけで十分だという話ではないと思うんですね。奨学金を借りられていない、借りていないことをもってして、家庭からだけで大学に通っている、そういう学生もあると思うんです。
 このアルバイトがどれだけ学生の負担になっているのかというのもあります。これは現役の学生の皆さんが中心になって活動している高等教育無償化プロジェクト、FREEという団体の皆さんによる実態調査です。千人の学生のアンケート集めたと。それによると、アルバイトしていると答えた学生は九一%、その負担になっているものとして挙げられたのがこれです。睡眠時間、学習時間、この学習時間が削られているというのは五五・九%にも上るんですよ。自由記述欄の中でも、講義を休んでまでバイトに入らなければならないことがしばしばあった、アルバイト入れ過ぎて授業に出席できなくなった。
 これは本当に誇れる話ではない、学生がアルバイトに従事している状況というのは。むしろ、こうした学業に支障を来している現状、問題だと思わないのかということで、総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 このアルバイトの学生が増加をしているということについての分析の、一つの分析についての結果については先ほど私が申し上げたとおりでございまして、この増加の理由には様々な要因が考えられるため、このことだけをもって生活が苦しい学生が増加しているとは言えないと考えられますが、しかし、それは今委員がおっしゃったような方もおられるのは事実なんだろうと、こう思っております。
 だからこそ、私どもは、先ほど茂木大臣から答弁をさせていただきましたように、来年の四月からは真に必要な子供たちに対する高等教育の無償化を進めてまいります。授業料をこれを無償化し、そしてかつ、同時に生活費に充当する奨学金についてもこれも拡充していきたいと、こう考えているところでございますし、給付型の奨学金を安倍政権において創設をし、また無利子型の奨学金も増やしているという努力をスタートしているわけでございますから、逆の方向に決して行っているわけではないわけでございまして、吉良委員が御心配をしている状況をなるべく少なくしようと我々も限られた財源の中で努力をしていることはどうか御理解をいただきたいと、このように思います。

吉良よし子

 やはり私、生活苦しい、学生が生活苦しくなっているわけじゃないなんということは全く実態を認識していないということは強く言いたいと思うんです。
 その上で、総理が先ほど来おっしゃっている給付奨学金の拡充、教育無償化、これ消費税を、消費税増税分を財源とした政策なんですけど、これが本当に、この現在の二人に一人が奨学金という借金漬けになっている事態とか、バイト漬けになっている学生を救う制度になるのかということを問いたいと思うわけです。
 確認するんですけれども、この制度というのは非課税世帯、準非課税世帯の学生が対象となっていて、学費と生活費を賄うだけの給付奨学金を支給するんだとおっしゃっていますけれども、じゃ、現在、現在ですね、高等教育の無償化の対象になり得る非課税世帯、準非課税世帯の進学率、現状の進学率が何%であり、それが人数とすると何人程度になるのか、大臣、お示しください。

国務大臣(柴山昌彦君)

 お尋ねの高等教育機関への進学率についてですけれども、全世帯では御案内のとおり約八割でございますけれども、住民税非課税世帯ではこれが約四割程度、そしてそれに準ずる世帯の進学率は六割に満たない程度と推計しております。そして、人数、学生数ですけれども、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生数、現状約四十二万人と推計されております。

吉良よし子

 現状四十二万人ということです。
 パネル御覧いただきたいと思うんですけれども、四十二万人ってどの程度なのかと。現在、大学、短大、高専、専門学校に通う全ての学生の数は約三百五十万人です。うち四十二万人というと、この一二%程度になるわけですけれども、つまりは全体の一割にすぎないということなんですね。
 新しい制度で、アルバイトしないで学業に専念できるようにすると総理はおっしゃっているわけですけれども、新制度を導入した下でもこの九割近くの学生がその対象外になっているわけです。対象外となっているその多くの学生はどうなるかといえば、やはり高い学費はそのままですから、それを補うためには、奨学金を借りるか、若しくは借りるのが怖ければアルバイトを増やすか、それしかないと。しかもその上、消費税増税という負担までのしかかってくると。
 これで高等教育無償化と言えるのでしょうか。総理、いかがですか。

国務大臣(茂木敏充君)

 今、柴山大臣の方からも答弁させていただいたことをよく聞いていただきたいんですけれど、一般の世帯でいいますと大学の進学率が八割なのに対して、住民税非課税世帯、非常に貧しい家庭においては四割しか行っていない。そして、それに準ずる世帯においては六割であると。
 これからは、どんな家庭環境に育っても、自分が進学したい、そういう意思があれば専門学校でも、大学に行ける、そういった環境をつくるためにこの大学、高等教育の無償化を進め、そして、授業料だけではなくて生活コストも賄えるような給付型の奨学金をつくっていく。これによりまして、四割しか行けていない、六割しか行けていない、こういった人たちが、こういった制度があるんだったら自分も大学に進学してみようということによってこの割合がきちんと増えていくと、そういったことを進めていきたいと思っています。

吉良よし子

 もちろん、非課税世帯、準非課税世帯の皆さんの進学率が上がる、これは大事なことだと思いますし、また、そうした世帯に対してちゃんとこうした支援策をやるということを私たち否定しているわけでは全くありません。全くありません。けれども、多くの学生が取り残されたままになっている現状についてを私は伺っているわけです。
 しかも、この対象者を今後もし拡大するとしたらどういうことになるか。今の新制度というのは、消費税が財源だと法案に書かれているわけですよ。もしこれを前提とするならば、対象をもし拡大しようとするならば増税がセットになってしまう。それだと駄目なんですよ。消費税増税というのがどれだけ学生の生活にのしかかるか。一日の生活費が八百十七円ですよ。そこに消費税増税が来たら、本当に大変な生活実態になるじゃないですか。
 今、学費については消費税は掛からないということになっているわけです。しかし一方で、基盤的経費、大学の、基盤的経費の不足が叫ばれる下で消費税増税されてしまえば、それはもう大学の運営、経営にも大打撃になることは確実であり、この増税を契機に学費の更なる値上げも進むかもしれない懸念もあるわけです。
 実際、現状、私立大学の初年度納付金というのは約百四十五万円です。国立大学は約八十一万円です。今でさえ十分に高いわけですけれども、私立大学だけで見れば、五年連続値上がりしているんです。国立大学の授業料についても、ついに値上げをする大学が出てきました。
 もし、総理、教育無償化だと言うんだったらば、少なくともこういった大学授業料の値上げは許さない、そうはっきりと宣言するべきではないですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 先ほど茂木大臣から答弁させていただいたように、私どもは、今の段階、例えば家庭の経済事情で大学を進学、大学進学を諦めている子供たちに対して、来年、高等教育の無償化を行うことによって、そういう新たなチャンスが生まれてくる、自分も大学に行こうということで先ほどの割合が更に増えてくるということを期待をしているところでございますし、我々が進めているこの政策の成果によって、例えば母子家庭の大学進学率も二四%が四二%へと、これ増えているわけでございますし、生活保護世帯の高校進学率もずっと八割台だったものが九割台に上がってきているという成果も上げているわけでございまして、今後も更にそうした形で、子供たちが家庭の経済事情に左右されずに、学びたい子供たちが学べるような、意欲ある子供たちが学べるような環境をつくりたいと思っております。
 そこで、大学の学費は、大学における充実した教育研究環境を整える観点から、教職員や施設整備といった学校運営等に要する経費に充てられるものであります。この学費の設定について、近年、国立大学は国において授業料の標準額を据え置いているものの、基本的には各国公私立大学が適切に定めるべきものと認識をしております。
 いずれにいたしましても、政府としては、真に支援が必要な学生に対し、確実に授業料等が減免されるよう大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給する高等教育の無償化を行うこととしているところでございます。

吉良よし子

 真に必要なところへの支援が必要なのは大事ですけど、そこに限っていては今の大学生の生活苦は解消されないと言っているんです。教育無償化と言うんだったら、やっぱり学費そのものを下げていかなきゃいけない。運営費交付金だってこの間ずっと下げられてきて、ようやく微増ですけど、微増にとどまっていますし、私学助成だって全く増えていない。二分の一まで補助できる、国の補助できるはずなのに、そこに今全く至っていない。そういう状況で教育無償化なんて言っていただきたくないと思うんです。教育無償化と言うんだったらば、やっぱり学費そのものを値下げするべきです。
 私たち日本共産党は、全ての学生の学費、直ちに半額に値下げする改革案、財源とともに示しておりますので、是非ともそれこそを実現していただきたいということを強く申し上げまして、質問を終わります。