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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2016年・第192臨時国会

TPPで危険な添加物拡大 「食の安全優先せよ」

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は1日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、TPPの日米並行交渉の合意文書(サイドレター)で危険なアルミニウム食品添加物の使用拡大を日本が約束していることを示し「なによりも食の安全を優先すべき」だと主張しました。

 アルミ添加物は菓子パンなどに広く使われる一方、強い毒性が指摘されています。厚生労働省も子どもの摂取量を低減するための自主的取り組みを業界に求めています。

 吉良氏は、国際機関も摂取基準を3分の1以下に改めるなか、日本にはいまだに使用上限を定める基準すらないことを批判。さらにサイドレターで、新たなアルミ添加物4品目の解禁が約束されていることを示した上で、米国の求めのままに日本が規制を緩めてきた歴史を告発。そして、米国通商代表部が「16年外国貿易障壁報告書」で大幅な添加物の規制緩和を日本に求めていることを指摘し、政権が米国の要求をのむ方向に進んでいることも批判しました。

 吉良氏が、米国要求のアルミ添加物4品目のうち「ケイ酸アルミニウムカルシウム」の使用が国際機関で禁止されたことを示して政府の姿勢をただしたのに対し、塩崎恭久厚労相は「科学的根拠に基づいて判断する」と述べるにとどまり、アルミ添加物の新たな指定をやめるとは言いませんでした。

 吉良氏は「米国の要求に子どもの健康や食の安全を差し出してはいけない。それを進めるTPPは廃案に」と訴えました。

しんぶん赤旗2016年12月2日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 まず、総理に伺います。
 総理は先日、十一月二十八日の決算の本会議質問の際、日本はTPP並みのレベルの高いルールをいつでも締結する用意がある、国会承認はその国家としての意思を示すものであり、他の交渉を加速させる力となりますと答弁されました。しかし、トランプ次期大統領がTPP離脱を明言した今、アメリカは今後、日米FTA、またTPP再交渉、さらにアメリカに有利な二国間協議を今後求めてくるのは間違いない状況なのではないでしょうか。
 そんなときに総理がああいう発言をされて、先にこの協定案を国会で承認するとすれば、それは、日本はここまで譲歩する覚悟を固めていますとアメリカに意思表示することになってしまい、この協定が二国間協議のスタートライン、最低ラインとなってしまいます。つまり、必要があればもっとアメリカの要求をのむからTPPに残ってほしいとアメリカに懇願するのと同じことになってしまうのではないでしょうか。いかがでしょう。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 それはむしろ逆でありまして、再三申し上げておりますように、再交渉はしないということをはっきりと申し上げているわけでございます。再交渉しないということにおいては、まさにこの委員会において批准をしていただく、そしてこの法案を本会議において批准していただくことによって、政府の意思としても国会の意思としても再交渉はしない、まさにこれがベストであるということをしっかりと示していくことにつながっていくんだろうと、このように思っております。

吉良よし子

 再交渉しないとおっしゃいますけど、再交渉しないとアメリカはTPPに入らないということになるわけでして、いろいろ言われますけれども、何にせよ、この間の歴史的な経過を見ても、アメリカがTPPに入るとか、若しくは二国間協議だという場合には、最大のターゲットは日本になるわけです。しかも、今度は日本からアメリカに、TPPつなぎ止めるためには、もう更にアメリカの要求受け入れますと、そう言って国益、経済主権差し出すことになりかねないわけであり、やはりこういう場面において日本の国会として取るべき態度というのはこのTPP協定案を廃案にすること以外にはない、このことを初めにはっきり申し上げたいと思います。
 その上で、TPPにとどまらず、今後出てくるであろうアメリカからの要求や動向を見据えながら、今日、私は、食の安全、特に子供たちの健康に関わる食品添加物の問題を取り上げたいと思っております。
 まず、前提となる認識を共有したいと思います。総理は、アルミニウムフリーという言葉、御存じでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 御指摘のアルミニウムフリーについては、政府として定義を定めているものではありませんが、アルミニウムを含む食品を好まない消費者のニーズに対して、アルミニウムフリーやアルミ不使用など、アルミニウムを含まない旨を表示した食品があるというふうに承知をしております。

吉良よし子

 おっしゃるとおり、アルミニウムフリーというのは、体に良くない影響を及ぼすアルミニウムを含む食品添加物が入っていない食品のことを指します。今、食の安全に関心のある方々や幼い子供を持つママやパパの間で広く使われつつある言葉です。
 遺伝子組換えや農薬などと同じく、毒性が問題視されているアルミニウム添加物です。メロンパンやホットケーキなど、小さな子供が好きな菓子パンに今含まれています。小さな子供といえば、自分が気に入ったものばかりたくさん食べる傾向にあるわけで、だから菓子パンが好きな小さな子がアルミニウムをより多く摂取してしまう、そういう危険性が今指摘されています。だから、若い女性やママ同士のちょっとしたお礼の品にこのアルミニウムフリーのパンケーキミックスなどを差し上げるととても喜ばれると、そういうような話もあるわけです。逆に言えば、それだけアルミニウムが含まれている食品を嫌がる消費者が増えているということです。私も、一歳になったばかりの子供の親として見過ごせない問題なわけです。
 では、そうしたアルミニウム系の食品添加物のうち、厚労省が国内で使用を認めているものはどのようなものがあるのか、その種類と、それらが使われている食品名、主なものを、厚労省、お答えください。

厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長(北島智子君)

 お答えいたします。
 現在、我が国におきましては、アルミニウムを含む食品添加物として、硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウムなど九品目の食品添加物の使用が認められております。また、硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウムにつきましては、膨張剤としてメロンパンやスポンジケーキ等に、色止め剤として漬物に使用されているものと承知しております。

吉良よし子

 今、九品目とおっしゃいましたけど、種類としては五種類ということでよろしいですか。

政府参考人(北島智子君)

 大きく分けますと、五つのカテゴリーに分けられると思います。

吉良よし子

 では五種類ということですね。(資料提示)
 ということで、今、このパネルを用意いたしました。今現在、日本で使用されているアルミニウム系添加物というのは五種類あるわけで、それがこれら様々な、スポンジケーキ、蒸しパン、まんじゅう、ドーナツなど、身近な食材に使われているということです。
 このアルミニウム系の食品添加物というのは、冒頭申し上げましたとおり、人間の体に影響を及ぼす毒性のある添加物です。アルミニウムは、肝臓、結腸、骨、脳などの部位に蓄積しやすいと言われておりまして、ラットを用いた動物実験の中では、アルミニウムを多量に投与したときに、腎臓や膀胱への影響、また握力の低下などが認められているそうです。
 では、このアルミニウム系の食品添加物について、国際基準では許容量をどう定めていますか。厚労省、いかがでしょう。

政府参考人(北島智子君)

 国際的なリスク評価機関JECFAや欧州のリスク評価機関EFSAにおける科学的根拠に基づく評価におきましては、食品中に含まれるアルミニウムと人への健康影響の因果関係を直接的に証明する情報は認められていないとされていると承知しておりますが、JECFAにおきましては、アルミニウムを多量に投与した動物実験において、御指摘のとおり、神経症状等の影響が認められたことを踏まえ、一生涯にわたって摂取し続けても現在の科学的知見から見て健康への悪影響がないと推定される一週間当たりの摂取許容量を設定しており、平成二十三年に再評価が行われた結果、現在の体重一キログラム当たり二ミリグラムという基準が設定されているものと承知しております。

吉良よし子

 健康には影響があるというのは、厚労省のホームページにもそのラットの実験の結果については書かれているわけです。
 そして、その国際基準なわけですけれども、体重一キログラム当たり二ミリグラムという答弁でした。大事なのは、その添加物の基準を決めている国際機関において、その基準が二〇〇六年、二〇一一年と見直しが行われたと。前までは体重一キログラム当たり七ミリだったと、それが現在二ミリとなっている、大幅に引き下げられている。つまり、上限を定めたこの基準を三倍以上厳しく引き下げられたと、そういうことなわけです。
 こうした国際基準の厳格化に対して、じゃ、日本政府はどのような対応をしてきたのか、厚労大臣、お答えください。

厚生労働大臣(塩崎恭久君)

 アルミニウムを含む食品添加物でございますけれども、従来から、例えばミョウバン、これにつきましては、みそへの使用を禁止をするといった使用基準を設けております。
 平成二十三年に、国際的なリスク評価機関JECFAにおきまして、一週間当たりの摂取許容量、先ほどお話がございました体重一キログラム当たり二ミリグラム、これが設定されたことを踏まえて、厚生労働省におきまして、平成二十三年度から二十四年度にかけましてアルミニウムの摂取量について調査を実施をいたしました。その結果、全ての世代におきましてアルミニウムの平均摂取量の推計値は、このJECFAの定める摂取許容量、これを下回っておりましたけれども、先ほど御指摘がございました小児、子供さんにつきまして見ると、アルミニウム摂取量の上位五%の者の推計値のみこの摂取許容量を上回るということが分かりました。
 つまり、子供たちの中で上位五%の人たちは先ほどのようなことで推計値でも高いということが分かったわけで、このため、平成二十五年の六月に、薬事・食品衛生審議会添加物部会、ここにおきまして審議を行った結果、より高い水準での安全性を確保する観点から、使用実態を調査をし、使用基準の見直しを検討するとともに、基準見直しまでの間の対応として関係業界に低減化を要請をするということをお示しをいただきました。
 これを受けまして、厚生労働省として、平成二十五年七月一日付けで、日本パン工業会など関係する五つの業界団体に対してアルミニウムの使用量の低減を依頼をするということで通知を出しました。それで、使用実態の調査を行って、現在、その調査結果を取りまとめ中という段階でございます。この結果を踏まえて、上限値の設定を含む使用基準の見直しに向けて、本年度中に食品安全委員会に諮問をすべく速やかに作業を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉良よし子

 というわけで、厚労省もやっぱりアルミニウム添加物の摂取は極力控えるべきという立場にいるということで、調査も行って、とりわけ一歳から六歳の子供については、摂取量、国際基準を上回る危険性があるということで、その低減を、菓子パンなどの業界団体に下げるようにと依頼を出したということですね。
 先ほど大臣は基準について作るようなことをおっしゃっていましたけれども、現時点では、先ほどお話があったように、食品ごとの使用量の上限とする使用基準というのはまだ定められていないというのが現状なわけです。みそなどの使用制限はあるわけですけど、数値の基準がないわけですね。でも、こうした毒性の指摘されているアルミニウム、できる限り子供たちの口に入れないように、摂取させないようにするためには、依頼出すだけでは不十分であり、ちゃんとした上限規制、一刻も早くするべきなのではないでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 今、数値目標がない、基準がないというふうに御指摘をいただきましたが、このアルミニウムを含む食品添加物のうちで食品中の不純物などを取り除くために使用されるろ過助剤というのがございますが、これについては食品中の残存量として〇・五%以下でなければならないという上限値が定められております。その他のアルミニウムを含む食品添加物については、御指摘のように、残存量は数値的には定められていないということでございます。
 現在、アルミニウムを含む食品添加物につきましては、その使用実態に関する先ほど申し上げた調査の結果を取りまとめ中であって、その結果を踏まえて上限値の設定を含む使用基準の見直しを行うということで、本年度中に食品安全委員会に諮問するということを、先ほど申し上げたとおりでございますので、速やかに作業を進めてこの基準の見直しを行いたいというふうに考えております。

吉良よし子

 先ほどろ過助剤というのがありましたけど、このパネルでいうと五番に当たる部分だと思うんですが、これは要するに直接食品に使われている添加物というわけではない部分だというふうに説明受けています。
 問題となっているのは一番や二番、硫酸アルミニウムカリウムとか硫酸アルミニウムアンモニウム、これが先ほど申し上げた菓子パンなどのベーキングパウダー、膨らし粉の中に使われているわけです。これが結局そういう菓子パンなどに含まれているから子供たちがたくさん食べると問題だということですが、そこに対しての基準がないから私は問題だと申し上げているわけで、これは食の安全、子供たちの健康の問題ですから、一刻も早く食品ごとの使用上限、数値基準を作るべきだということを申し上げたいと思います。
 その上で、問題なのは、それにとどまらないと。現在、厚労省が認定している五品目も危険性が指摘されているのに、その上限、使用基準が定められていないと。そういう状態の中で、今度、TPPに先立つ二国間協議の中で、政府がアメリカの要求を受けて新たに四品目のアルミニウム添加物の使用を認めようとしているということを問題にしたいと思うわけです。
 このパネル、御覧いただきたいと思いますが、二〇一三年四月の十二日に日米両政府はこの二国間協議妥結して、今年の二月の四日に、保険等の非関税措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡、サイドレターというのを交わして、その中身をTPPが効力を生ずる日までに実施することを確認したわけです。その中に、ここ、掲げたとおり、食品添加物について、日本国政府は、四十六品目の国際汎用添加物から成る二〇〇二年のリストのうち、まだ指定されていない四品目全てについて、原則としておおむね一年以内に食品添加物として認めることを完了することというのが確認されたとしているわけです。ここでいうまだ指定されていない四品目というのが先ほどのパネルのこの未指定の赤色で塗ってある部分で、アルミノケイ酸ナトリウムなど全てアルミニウム系の添加物なわけです。
 アメリカは、企業の生産性というのが優先されていまして、食の安全に対する規制が大変弱い国なわけです。このアルミニウム系の添加物についてもほとんど何の規制もないという状態です。そういう国の要求をなぜ日本がのまなければならないのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 テレビで御覧になっている国民の皆様方にも正確なところをお伝えをしたいと思いますが、国際的なリスク評価機関であります、先ほど来申し上げているJECFAというところが、安全性の評価、そこで安全性評価が終了し、一定の範囲で安全性が確認をされ、そして米国及びEU諸国で使用が広く認められておりまして国際的に必要性が高いと考えられた添加物四十五品目について国際汎用添加物として位置付け、そして国際的な整合性を図るために指定に向けて検討を行っているということでございまして、厚生労働省としては平成十四年から、国際汎用添加物、これを順次指定を進めてきたわけでございますけれども、平成二十四年時点で、これは民主党政権時代でありますが、十五品目の指定がなされていなかったわけでございます。このため、平成二十四年に、国際汎用添加物の食品安全委員会の科学的リスク評価を経て早期指定を進めるとする閣議決定が民主党政権時代に行われております。
 今般、日米並行交渉の結果、作成をいたしました今のサイドレター、いわゆる書簡、ここでは、平成二十四年の閣議決定を誠実に実施をすることを確認をしたと、こういうものでございまして、新たな何か取組をTPPによってした、約束をしたということではないということでございます。国民の皆様方にもそのことはまず御理解をいただきたいと思います。
 国際汎用添加物につきましては、現在、四十五品目中、今お話しのように四品目が未指定ということで、この四品目については食品安全委員会にリスク評価を依頼中であるわけでございます。この国際汎用添加物を含めて食品添加物については、従来より、国際基準や食品安全委員会における科学的なリスク評価の結果を踏まえた上で、食品添加物としての指定や規格、基準の設定など扱いを決めてきているところでありまして、今後とも科学的な根拠に基づいて適切に対応をしていくというふうに考えております。

吉良よし子

 今リスク評価というお話がありましたけれども、要するに、今基準がないアルミニウム添加物がもう五品目、五種類、日本の中にあるわけです。更にアメリカは四品目指定しろということで追加されて、全部で九種類となるわけですけど、要するに、そうやって種類が増えて総量も増えてしまう、口にする機会も増えてしまうというところが問題だと私は言っているわけです。
 その上で、先ほど様々経過を述べられました。しかし、そうやって国際汎用添加物など指定を求めてきたのは誰なのかといえば、やっぱり私はアメリカだと言わざるを得ないと思うんです。例えば、一九八二年、第三回日米通商実務者協議において、アメリカはWHOが認めているのに日本で使用できない百二十八品目について使用を認めるべきと主張して、翌年、一九八三年の八月には食品添加物十一品目が日本で指定されて、うち八品目がアメリカからの規制緩和要求だったと、そういう事実があるわけです。
 さらに、最近でいえば、問題となっている二〇〇二年、国際汎用添加物ということが出てきた背景にあるのがフェロシアン化物という添加物をめぐる事件です。これは塩が固まるのを防ぐ添加物であって、日本で使用は認められていなかったわけなんですね。それが使用されている、違法使用されているという事例が数多く明らかになり、そのときにアメリカなどを始めとした各国の大使館が厚労省にやってきて、その問題となったフェロシアン化物の認可を相次いで求めたと、厚労省に対して。その圧力を受けて厚労省は、日本では認められていないけど国際的に広く使用されている添加物というくくりで、国際汎用添加物、そういう枠をつくって次々に、四十五品目、大臣の職権でその使用を認めてきたと。
 今回問題にしているアルミニウムの四品目というのは、その四十五品目のうちの最後に残った四品目というわけで、こうした歴史的な流れを見ても、サイドレターで確認された四つの添加物というのを使用を認めようとする閣議決定そのものがアメリカからの要望だと言わざるを得ないのではないですか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 これは、先ほど申し上げたとおり、いわゆる国際汎用添加物について閣議決定を実行するようにということが確認的に書かれているわけであって、このこと自体の決定は、先ほど申し上げた、平成二十四年、民主党政権時代に既に行われていて、この四品目についての扱いは、未指定のものをきちっと食品安全委員会にリスク評価をして、その後どうするかはその結果を見て科学的に判断をするということでありますので、これは誰に何を言われようと、日本は科学に基づいて安全かどうかの判断をした上でそれについての扱いを決める、基準を決めるということが行われるのでありますので、何もこれを何か無条件で認めるかのようなことはあり得ないということでございます。

吉良よし子

 本当に無条件に認めることはないと言い切れるのかと、その点が私、本当に信頼できないと言わざるを得ないんですね。
 そもそも、閣議決定、閣議決定と何度もおっしゃられますけど、それはやっぱりアメリカからの要求でしたし、また、TPPの二国間協議の基になっているのはアメリカの通商代表部からの日本への要求なわけです。それがこのパネルなわけですけれども、外国貿易障壁報告書、二〇一六年のものですけれども、そこには添加物について何と書いてあるかと。その四品目を完了しろということを書いてあるわけですけど、そこですね、強調した部分、見ていただきたいんですけど、迅速化された認可プロセスに従わなければならないであろう四十六品目の食品添加物をリストを作成して、その審査完了するように求めていると書いてある。
 こういう書き方をされているわけですけど、まず大臣に伺いますけど、こういう認可プロセスに従わなければならないであろうなんというふうに余りにも屈辱的な表現されていると思うんですが、いかがですか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 米国からこのような形で、これ通商代表部でありますけれども、外国貿易障壁報告書といったものでいろいろなことを意見を述べるということはこれまで数々あったわけであって、それに対して我が国は我が国の独自の判断をあらゆる問題についてやってきているわけであって、どういうふうに書かれようとも、私どもは私どもの政府としての判断をしてきたということだというふうに思っておりますし、特にこの食品添加物につきましては、食の安全で極めて大事であることは私たちは当然のこととして考えているわけでありますので、国際基準あるいは我が国の食品安全委員会、ここにおける科学的なリスク評価というものをしっかりと踏まえた上でその扱いについて決めるということを申し上げているわけで、あくまでもきちっと科学的な根拠で安全を守っていくというのが私どもの基本でございます。

吉良よし子

 科学的な根拠に基づいてとおっしゃいますけど、でもこうやってこの経過を見ていると、もう言いなりに認めてきたとしか見えないと思うんですよ。
 この四十六品目の食品添加物のリストを作成したのみにとどまらず、結局、ここですよね、その次の強調部分ですけど、米国は四品目については日本が現在審査中であると理解している、その審査を完了するよう日本に強く求めていると書いてあって、それがその閣議決定なわけですよね。それがサイドレターに書かれていると。
 それだけじゃないんですよ。このパネルの冒頭部分読んでいただきたいんですけど、アメリカは、じゃ、何を求めているのかと。日本の食品添加物の規制は、幾つもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限していると。米国及び他の市場で広く使用されている数多くの添加物が日本では認可されていないと。そのことを大変問題にしていて、だから食品添加物の更なる指定を認めることを急げと日本に圧力を掛けているわけですよ。
 さらに、この貿易障壁報告書の中では、食品添加物にとどまらず、例えば収穫前、収穫後に使用される防カビ剤、いわゆるポストハーベストについて日本で食品添加物に分類されてしまっていると。それを問題視して、その審査手続の簡素化とか食品添加物指定をやめさせて表示をさせないことなど、そういうことを迫る要求まで出しているわけです。
 やはり今後更に二国間協議など進められていく過程の中で、アルミニウムにとどまらず、様々な食品添加物の規制の緩和要求、強まってくるのではないですか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 これは主権国同士の、言ってみれば意見として交わされているわけでありますから、それはお互い何をどう言うかはそれぞれの主権国が決めることであって、同時に、それを受けてどうするかというのを主権国として自らの独自の判断をしていくというのが主権国家としての当然やるべきことであって、私どもにとって大事な食の安全を守るために私どもの独自の基準を守っていくことは何ら変わらないことであって、先ほど来申し上げているとおりのプロセスが日本では用意をされているわけであります。それにのっとって私どもは安全を守るために必要なことはやっていくということに変わりは全くないということであります。

吉良よし子

 安全を守ることには全く変わりはないと。ただ、もう経過を見れば、アメリカの要求をどんどんのんでいるというのが安倍政権だと言わざるを得ないと私は思うんです。
 もし安全を守るというのならば、今問題にしている四つのアルミニウム添加物というのはもう別のものに代替可能だと、そういう科学者の指摘もあるわけなんです。
 例えば、この赤いところにある三番目ですね、カルミン、着色料なわけですけど、これどういうところに使われているかというと、アメリカの企業のカニかまであるとかフルーツ缶詰のチェリーの色づけとか、若しくはお酒のカンパリの色づけなどに使われているそうなんですが、例えばカニかまでいえば、国内では紅こうじで着色されているわけですし、チェリーやカンパリについては、日本に輸入される時点でカルミンを使っていない、そういう製品を輸入している、そういったもののみをその企業は輸出していると、そういう対応がもう既になされているというわけなんですね。
 つまり、新たにこのアルミの添加物の使用を認めなくても今で十分対応できているわけですから、国民の安全第一に考えるとおっしゃるのであれば、代替可能なのにあえて危険な食品添加物の使用を新たに認める必要、どこにもないんじゃないでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 先ほど申し上げたとおり、私どもには食の安全を守るための食品安全委員会というのがあり、そして私ども厚生労働省で残存基準などを定めているわけであって、そもそもそれを認めるかどうかということについても、この食品安全委員会が出したリスク評価を受けて厚生労働省として審議会で決めていくと、こういうプロセスがあります。
 したがって、四品目どうするかというのは、プロセスとしては今申し上げたような科学的な判断をしていく、それによって食にとって安全かどうかの判断を科学でするということに尽きるわけでありますので、今おっしゃったように、あたかもこれらを無条件で認めるかのようなことをおっしゃっておりますが、これは全く、安全委員会に今お願いをしてリスク評価をしていただいているところでありますから、また、今、向こうから更なる材料の提供も求められているわけでございますので、これをしっかりとやって最終的な判断を科学的にしていくということでございます。

吉良よし子

 科学的に、科学的に判断するとおっしゃられていますけれども、じゃ、国際的な科学的な判断はどうなってきているのかといいますと、今年、食品の国際規格を定めるコーデックス委員会というところの総会で、今、日本が使用を迫られている先ほどの四品目のうちの一つでありますケイ酸アルミニウムカルシウム、二つ目なんですけれども、その規格が廃止されるということが承認されました。つまり、国際的にはこの使用を認めないということが決められたわけなんです。
 そうやって、国際的にももう危険なアルミニウム添加物使用をやめさせると、そういう動きが出ている中で、日本は使用に向けたプロセスを踏んでいる。まさに逆行ではないでしょうか。もう指定やめるべきなのではないでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 先ほど申し上げたように、食品安全委員会にかけるということがイコール無条件で認めるということでは全くないということをまず、プロセスとして我が国には食の安全を守る仕組みがあるということをまず国民の皆様方には御理解をいただかなければいけないので、食品安全委員会にかければ全部何かそのまま通るかのように言われておりますけれども、それは全く違うと。
 今、コーデックス委員会も、このケイ酸アルミニウムカルシウムについても科学的な判断をして、本年六月に開催された委員会の総会で、安全を確保するための基準の見直しに必要なデータを得られなかったということから食品添加物としての基準を廃止をすることを決定をいたしました。そのことは私どももよく踏まえた上で今臨んでいるわけでありまして、ケイ酸アルミニウムカルシウムについては、現在、食品安全委員会に、先ほど申し上げたとおり、安全性の評価を依頼をしている最中でありまして、厚生労働省としては、このような、今お話しのようなコーデックス委員会での動きについてもよく踏まえて、食品添加物の指定については慎重に検討をしていくというのが私どものスタンスでございます。

吉良よし子

 結局、やめるとは一切言えないと。国際的にはもう排除しよう、食品としては認めないと言っているのに、日本では今すぐやめますとはっきり言えないというところがやっぱり問題なわけで、結局、二国間協議ありきで話を進めているということなんじゃないかと。やっぱり国民の安全と言うんだったら、まずは国内にもう指定されてしまっている、認められているアルミの基準を作る、これ、何よりも優先するべきであって、その前に指定をすること、新たに食品添加物増やすということをやるというのが、順番が逆だと言わざるを得ないわけです。
 最後に、私、総理に伺いたいと思うわけです。
 私、冒頭申し上げましたとおり、このTPP協定、今、国会で承認してアメリカにTPPに戻るように懇願し続ける、これは、更にアメリカの要求をのまされる、国益と経済主権を自ら差し出す、子供の健康や安全、それも差し出すことになってしまうんじゃないかと申し上げました。何より今問われているのは、自由貿易か保護主義かなどという単純な話なんかじゃないはずです。この間、各国でTPPやTTIPなどに反対する市民運動、国民世論が高まっているのは、多国籍企業の横暴に対して国民の命と安全、雇用や暮らしを守るという怒りの表れなわけです。こうした世論、世界の世論を見ても、今世界に求められているのは多国籍企業のための貿易ルール作りではないということは明らかです。
 私たち日本共産党は、決して貿易の発展、グローバル化一般を否定しているわけじゃないんです。グローバル化が進む今、今日お話ししてきたような、子供の健康を始めとする各国民の命や健康、人々の雇用や暮らし、それらを多国籍企業の横暴から守るためのルール、それこそきちんと定めるべきではないかと申し上げているわけです。これが今世界の貿易関係発展させるために必要なことなのではないですか。いかがでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 それは全く見解の相違があるわけでありますが、まさにこのTPPについてはしっかりとしたルールを作っていく、ここに大きなポイントがあるわけでございまして、一部の多国籍企業だけを豊かにするというのは全くの間違いであって、中小企業あるいは中小企業で働く人々も豊かにしていく、中小企業も安心して海外に進出をできるというルールをちゃんと作っていくということでございますから、公正でフェアなルール、この二十一世紀型の進化した形、これをしっかりと示していきたいと、こう考えております。

吉良よし子

 ルール、ルールとおっしゃいますけど、だったら国民の命と安全を守ることを最優先にすべきですよ。それをないがしろにするようなTPP、二国間協議、絶対にやめるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。