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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2014年・第186通常国会

ブラック企業 長時間労働の手口追及 厚労相「調べる」

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は11日の参院予算委員会で、ブラック企業が長時間労働を強いる手口としている「固定残業代制」の問題を取り上げ、全国的な調査を求めるとともに、残業時間に上限規制がない労働基準法の改正を主張しました。

 問題になっている固定残業代制は、まともな月給に見せかけ、月80時間など長時間残業をこなさなければ最低賃金なみの基本給しか支払わない悪質な仕組み(図)。東京都内では昨年、固定残業代制に関わる割増賃金の支払い違反で250の事業所が東京労働局から是正勧告されました。

 吉良氏は「低賃金でがまんをするか、無理をして過労死やメンタルの失調などに追い込まれている」と実態を告発し、全国調査を要求。田村憲久厚労相は「全国的に調べたい」と約束しました。

 さらに吉良氏は、労働者を募集する際に▽基本給と残業代を分ける▽固定残業代制をとっていることを明示する義務付けなどを提案。民間の求人業界にも行うよう求めたのに対し、田村厚労相は「紛らわしい書き方があれば監督指導したい」と答えました。

 固定残業代制をとる大手居酒屋「大庄日本海庄や」の過労死事件では、月80時間の固定残業に加え、月100時間の残業を6カ月させるという労使協定がありました。同事件での2010年の京都地裁判決(昨年9月に最高裁で確定)は「(過労死基準からして)一見して不合理」と明確な判断を下しました。

 「過労死基準(月80時間)を超える時間外労働の協定を是認するのか」と追及した吉良氏に対し、田村厚労相は労働基準法違反でない限り問題視しない考えを表明。吉良氏は、労基法を見直し、残業時間の上限を法制化することが必要だとして、過労死基準の月80時間以上の残業禁止、年間の総残業時間の上限を360時間にする具体策を提示しました。

しんぶん赤旗2014年3月12日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党、吉良よし子です。
 東日本大震災と原発事故からちょうど三年、私は、犠牲になられた方々へのお悔やみを申し上げるとともに、全ての被災者、避難者の皆さんの生活となりわいの再建に全力を挙げる決意を初めに申し上げます。
 さて、現在、若者を始め働く人を過酷な労働に追い立て、物のように使い捨て、使い潰す、いわゆるブラック企業問題は日本社会にとって重大な問題です。
 厚労省に伺います。
 昨年九月、若者の使い捨てが疑われる企業等への重点監督を実施していますが、重点監督された事業場の数及び違反の状況を述べてください。

厚生労働省労働基準局長(中野雅之君)

 お答え申し上げます。
 昨年九月に実施いたしました過重労働重点監督月間におきましては、五千百十一事業場に対しまして重点的な監督指導を実施いたしました。その結果、約八二%に当たります四千百八十九事業場で何らかの労働基準関係法令違反が認められました。
 主な違反内容といたしましては、違法な時間外労働があった事業場が全体の四三・八%の二千二百四十一事業場、賃金不払残業があった事業場が全体の二三・九%に当たります千二百二十一事業場となっております。

吉良よし子

 紹介された内訳でも分かるように、異常な長時間労働の強制と賃金の不払、とりわけ残業代の不払がブラック企業に共通する手口です。
 そして、労働者にこうしたひどい労働を押し付けるからくりの一つに、固定残業代制というものがあります。私のところにも、固定残業代制により安い賃金で働かされている、こんなやり方はやめさせてほしいという声がたくさん寄せられていますが、この固定残業代制に関わった違反事例はどの程度あったのか、平成二十四年度の件数をお示しください。

政府参考人(中野雅之君)

 お答え申し上げます。
 固定残業代制度は、それ自体が労働基準法に違反しているわけでありませんことから、これまで固定残業代制度を主眼として調査を行ったことはございません。したがいまして、当該制度を導入しています事業所数について承知はしておりませんが、平成二十四年に東京労働局におきまして、固定残業代制度に関し労働基準法第三十七条第一項違反として是正勧告を行った件数は二百五十件でございます。

吉良よし子

 東京都だけでも、この固定残業代制に関わって是正勧告された事例が二百五十件にも上っているのは大きな問題だと思っています。
 この固定残業代制とは、労働者を募集する際、いかにもまともな賃金水準のように見せかけながら、実際には基本給を極めて低く設定しており、超長時間の残業をしなければ募集時に公表していた額には達しないというものです。例えば、募集広告では月給二十万円支払われるように見せかけて、実際には基本給は最低賃金すれすれの十二万円程度、残りの八万円はあらかじめ組み込まれた八十時間とか百時間という超長時間の残業をして初めて支払われる。一月の残業時間がこのあらかじめ組み込まれた残業時間に足りなければどんどん給料が減らされるという仕組みです。労働者は、低賃金で我慢を強いられるか、何とか生活できる給料をもらうために、どんな無理をしてもその規定された残業をやって過労死やメンタルの失調などに追い込まれるという仕掛けになっています。
 このように、見せかけの給与額は高く見せて労働者をだましながら、支払う賃金はできるだけ低く抑えて、できるだけ長時間働かせたいというブラック企業に都合よく使われているのがこの固定残業代制。基本給をより低く設定すれば割増し賃金額も低くなり、企業側はどれだけ長く働かせても全然腹は痛みません。中には、規定の残業時間を超えた場合でも追加の残業代を支払わないという更に悪質な企業まで出ていると聞いています。
 厚労大臣、厚労省ではこの固定残業代制の問題についてどのように認識されていますか。

厚生労働大臣(田村憲久君)

 今委員からお話ございました固定残業代制度でありますけれども、今局長から話がありましたとおり、これ自体が労働基準法に違反するものではないわけでありまして、一定の時間外労働、これに対してその分だけ固定制でこれを支払うと。でありますから、この中で時間外労働が収まっておればこれは問題ないわけでありますが、当然のごとく、これを超えた分に関しましてはその差額を割増し賃金として払わなければならないわけであります。
 そのような意味で、確かに二百五十件、これ東京管内でありますけれども、これだけの違反があったと。これ全体で見ますと、固定残業代に関しての違反ではなくて全体の違反の中の一一・二%ということでございます。
 そういう意味からいたしますと、我々としては、それぞれの案件に関していろんな情報がある中において、そういうものが見られればこれは適切に対応させていただいて監督指導をさせていただいておるわけでございまして、そういうような御指摘もございますので、これからも我々といたしましてはこのような案件がございますれば厳しく対応してまいりたい、このように考えております。

吉良よし子

 全体の一一・二%というお話でしたけれども、それだけ一定程度違反の事例があるということが問題だと思うんです。なおかつ、厚労省の労働基準局監督課の担当者が東京新聞にコメントしておりまして、サービス残業が発生しやすいシステムだと認識しているというコメントも寄せられていると。そういうふうな問題のある制度であることは間違いないわけであり、そうした場合、東京にとどまらず全国的な実態調査というものを行って全体像をつかむということが必要なのではないでしょうか。大臣、お願いします。

国務大臣(田村憲久君)

 賃金の不払等々の案件というのは本当にかなり多いわけでありまして、これ全体として、我々としては何としてもこれを是正していかなきゃならぬと、こう思っております。その中においての一つのパターンといいますか、そういう中において今固定残業代制度というものがあるわけでございまして、これにフォーカスをするというよりかは、全体として賃金の未払、残業代の未払、こういうものを含めて我々としてはしっかりと監督指導してまいりたい、このように考えております。

吉良よし子

 もちろん監督指導を是非やっていただきたいんですけれども、これだけ違反の事例があるわけですから、東京では集計はできているわけですよね。実際これだけの、固定残業代制に関わって違反の事例がこれだけあったと、二百五十件あったとカウントできるわけですから、全国で何件あったのか、これぐらいはカウントできないのでしょうか。

政府参考人(中野雅之君)

 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、東京労働局の場合でございますが、労働基準法三十七条第一項、これは割増し賃金の未払違反でございますが、これについて是正勧告を行いました二千二百十四件のうち固定残業代に係る指導を行ったものが二百五十件、一一・二%でございます。
 このように、賃金不払残業を生じる要因は固定残業代制度によるもののみではないということでございますから、賃金不払残業などが生じていることが疑われる事業所に対しましては広く様々な観点から監督指導を行っていく必要があると考えております。このため、各労働局、労働基準監督署が労働者の方々から相談を受けて多くの監督指導を行っている中で、集計するのに相当の手数掛かるわけでございますが、そういう調査を行うことまでは考えていないということでございます。

吉良よし子

 集計調査ぐらいはすぐにでもできることだと思うので是非やっていただきたいんですけれども、先ほど来、固定残業代制自体は問題ないとおっしゃっていますが、この固定残業代制の大きな問題として募集広告の問題があります。月給総額だけが記載された募集要項を見るだけでは固定残業代制になっていることが求職者にすぐに分からないということが、今被害を拡大しています。
 大臣、労働者の募集や求人の際には少なくとも基本給と残業代を分けて明示する、固定残業代の場合、規定の残業時間が幾らか、その手当が幾らなのか明示することを、ハローワークでも、そして民間による大手求人サイトや求職情報誌等でも義務付けるべきではないでしょうか。

国務大臣(田村憲久君)

 前段の話でございますが、先ほど東京局の中で残業代の未払に関して一一・二%が固定残業代制度の違反、そういう形態の違反であったという話をさせていただきました。全国的に、この残業代の未払の中において固定残業代制度、これがどれぐらいあるかというのは調べれば割合は分かるというふうに思いますので、そちらの方はまた調べて御報告させていただきたいと思います。
 その上で、今、労働者の募集時の中においてお話がございました。職業安定法に、臨時に支払われる賃金、賞与等を除いた賃金の額を明示しなければならないと、このように規定があるわけでありまして、指針において、例えば虚偽でありますとか、それから誇大な内容にしてはならないということ、それから求職者に具体的に理解されるようなものとなるように、労働条件の水準でありますとか範囲、これは限定的に示すというふうになっておること、更に申し上げれば、基本給それから手当ですね、これは定額的に支払われる手当、こういうものに関しましては表示をしなければならないことというふうに指針でなっておりますので、そのような形で対応をさせていただいております。
 なお、やっぱり求職者に誤解を与えるようなそういう表現というのはよろしくないので、これはしっかり指導をしてまいりたいというふうに思っておりますし、ハローワークの方の求人票におきましてはこの部分は基本給と手当というふうになっておりまして、その中でも、ちゃんと今言われました固定残業に関する手当という項目を作っておりますので、そういうところで周知徹底を図らさせていただいておるわけであります。

吉良よし子

 先ほどの調査はすぐ件数調べるということでしたので、是非よろしくお願いします。
 そして、募集要項の件ですが、ハローワークではきちんと固定残業代制と分かるように、誤解がないようにできるようにしてあるというお話ですけれども、問題は、ハローワークだけじゃなくて、もう民間の求人誌だとか大手の情報サイト、求人サイトの中でそういう誤解の受けるような書きぶりがされているということで、だまされたという訴えがたくさん来ているということが問題なんです。是非とも政府から、民間のそういう求人サイト、求人誌の方にもそういう表示をきちんとやっていただくように声を掛けていただくわけにはいかないのでしょうか。

国務大臣(田村憲久君)

 求人業界の方には、これ指針の方で示しておる内容でございますので、指針の内容をしっかりとお伝えをさせていただくということをさせていただきたいと思います。

吉良よし子

 お知らせしているということですけれども、実際には、そういう求人誌見て行ってみたら固定残業代制で安い賃金で働かされて、もう生きていけないんだという声があるんですね。是非ともそこ徹底していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(田村憲久君)

 今 申し上げましたが、求人業界の方には、このような指針があるということで、我々の方から更に申し上げさせていただきたいと思っております。それによって、更にそのような紛らわしい書き方をされておられれば、当然のごとく、そのような問題があれば、それは個々の案件に関しまして我々としては監督指導をしてまいりたいと、このように考えております。

吉良よし子

 是非しっかり徹底していただきたいと思います。
 さらに、この固定残業代制の問題についてですけれども、もう既に司法の場では明確な判断が示されています。
 大庄日本海庄やで従業員が過労死して、会社の責任が問われ、昨年九月、最高裁が上告棄却、上告不受理で確定した裁判があります。
 最高裁に聞きます。この京都地裁の平成二十年第四〇九〇号損害賠償請求事件に関して、ホームページに掲載の判決文、二十二ページに記載されている労使協定の中身及び給与体系の部分を述べてください。

最高裁判所長官代理者(最高裁判所事務総局民事局長兼行政局長)永野厚郎君 

 あらかじめ議員の方から御指摘のいただいていた、最高裁のホームページに掲載された判決書の二十二ページ四行目から十行目までの部分、それから同ページの十四行目から二十三ページ二行目までの部分を読み上げさせてもらいます。
 証拠の記載は省略させていただきますが、委員の御指摘の判決書の最初の該当部分につきましては、被告会社のa店では、時間外労働、休日労働に関する協定(以下「三六協定」という。)を締結していた。その内容は、所定労働時間八時間のところ、一日三時間、一か月四十五時間、一年三百六十時間の延長労働をすることができることを原則としつつ、特別の事情がある場合には、従業員代表と協議の上、一か月百時間、回数六回、一年については七百五十時間を限度として延長することができるというものであった。そして、特別の事情としては、イベント商戦に伴う業務の繁忙の対応、予算・決算業務とされていたとの記載が、そして、二番目に御指摘の部分については、被告会社の給与体系一覧表では、新卒者の場合、最低支給額十九万四千五百円であり、内訳は、基本給十二万三千二百円、役割給七万一千三百円とされていたが、最低支給額については、時間外労働が役割給に設定された八十時間に満たない場合、不足分を控除するため、本来の最低支給額は十二万三千二百円である旨が記載されていた。
 また、社員雇用契約書兼通知書では、役割給とは予め給与に組み込まれた固定時間外手当と固定深夜勤務手当であり、設定された時間に達しなかった場合はその時間分を控除し、その時間を超えて勤務した場合は超えた実質分を残業代として支払う旨記載されていた。
 つまり、時間外労働として八十時間勤務しないと、時間給単価で不足分が控除されることとなっており、役割給は、実質、時間外手当といえるものであった。
 一方、被告会社のホームページでは、営業職十九万六千四百円と記載され、Tでは、営業職月給十九万六千四百円(残業代別途支給)と記載されていたとの記載がなされております。

吉良よし子

 先ほど紹介された中には、設定された時間に達しなかった場合はその時間分を控除と書いてあります。それはまさに典型的な固定残業代制の事例です。しかも、過労死基準をはるかに超える一か月百時間の残業を六か月間もやらせるという三六協定まで締結されていたというのです。
 厚労大臣、厚労省の定める過労死基準を超える時間外労働であっても三六協定を結べば是認されるというのが厚労省の立場なのでしょうか。過労死基準超えの時間外労働をあらかじめ給与体系に組み込んで、ほぼ強制的に長時間労働を強いる、こんなことは決して認めてはならないのではないでしょうか。

国務大臣(田村憲久君)

 一般論でありますけれども、当然のごとく、長時間労働、また賃金未払残業、このようなものに関しまして、労働基準法にのっとって、これに違反するものがあればしっかりと我々は監督指導をしなければならないわけでありまして、どのような案件であろうとも、労働基準法に違反しておればしっかりと我々は対応してまいります。

吉良よし子

 違反していれば対応するではなくて、これは三六協定に基づいて八十時間、過労死基準超える残業が容認されていることが問題だと申し上げているんですが、これは、司法はこれをどう判断したか。
 最高裁に聞きます。一審ではこの会社のやり方についてどう述べているか。同事件の判決文、三十四ページと三十六ページの該当部分を御紹介ください。

最高裁判所長官代理者(永野厚郎君)

 お答えいたします。
 委員からは、あらかじめ、御指摘の判決書きの三十四ページ六行目から十二行目までの記載、それから三十六ページ四行目から九行目までの記載についてお尋ねがございます。
 最初に委員御指摘の該当部分につきましては、給与体系において、本来なら基本給ともいうべき最低支給額に、八十時間の時間外労働を前提として組み込んでいた。また、三六協定においては一か月百時間、六か月を限度とする時間外労働を許容しており、実際、特段の繁忙期でもない四月から七月までの時期においても、百時間を超え、あるいはそれに近い時間外労働がなされており、労働者の労働時間について配慮していたものとは全く認められないとの記載が、また、二番目の御指摘の部分については、このような三六協定や給与体系の下では、当然に、Gのように、恒常的に長時間労働する者が多数出現することを前提としていたものといわざるを得ない。そうすると、被告取締役らにおいて、労働時間が過重にならないよう適切な体制をとらなかっただけでなく、前記一(六)の基準からして、一見して不合理であることが明らかな体制をとっていたとの記載がなされております。

吉良よし子

 厚労大臣、この判決にあるように、このような三六協定や給与体系の下では、当然に、恒常的に長時間労働する者が多数出現することを前提としていたものと言わざるを得ないと、過労死基準からして一見して不合理であることが明らかな体制を取っていたと指摘されている。
 もうこれは、法律違反かどうかという問題以前の、公序良俗に反する問題であるという指摘なのではないでしょうか。三六協定が結ばれている以上、口出しできないとか、違反だったら是正するけれどもという態度では、労働条件その他の労働者の働く環境の整備を任務として掲げている厚生労働省として余りに恥ずかしいのではないでしょうか。

国務大臣(田村憲久君)

 この案件は個別の案件ではありますけれども、三六協定特別条項を六か月以上、本来六か月であるにもかかわらず、それ以上特別条項の内容をそのまま履行しておったということで、結果的には送検につながった件であります。
 いずれにいたしましても、やはり企業にいたしましても労働者の方々の健康をしっかりと守っていただかなければならないわけでございまして、一般論ではありますけれども、そのような観点からこれからも我々は指導してまいりたいと考えております。

吉良よし子

 六か月以上だったから問題になったとおっしゃっていますけれども、六か月間も百時間の残業を押し付けている時点でもう問題だと、過労死基準は八十時間なんですから、それを優に超えているのが問題だと申し上げているわけです。
 結局、健康を守るのが大事とおっしゃっていますけれども、現行の労働基準法ではこの残業時間の上限が規制されていないということが一番の問題です。現行労働基準法では、三六協定さえ結べば過労死基準も超える残業をあらかじめ固定残業代制として給与体系に組み込めてしまうと。司法から、一見して不合理、恒常的に長時間労働する者が多数出現すると指摘されていることが、労働基準法の下では、不合理でない、六か月超えていないと駄目だとして容認されるなら、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」ことを目的とする労働基準法が、その目的を達し得ない事態になっていると言わざるを得ないのではありませんか。
 であるならば、労働基準法そのものを見直すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。大臣。

国務大臣(田村憲久君)

 引き続き、労働者の方々の健康というものを留意していただきながら、企業としてはしっかりと労働者の安全衛生守っていただきたい、このように思うわけでありますが、今、固定残業代制度との絡みの中でのお話でございました。
 固定残業代制度自体、先ほどから申し上げておりますとおり、労働基準法の違反ではありませんが、それを超えた部分、賃金が払われていなければ、当然これは賃金未払になる、不払になるわけでありまして、そういう意味では、その部分を払っていなければこれは違反になるわけであります。
 いずれにいたしましても、このような労働基準 法を遵守していただく、そのようなポイント、こういうものをお示しをさせていただいておるわけでありまして、二十六年度は更にこのポイントを周知をさせていただきたいと、このように考えております。

吉良よし子

 基準法遵守徹底は是非やっていただきたいんですけれども、ブラック企業に苦しめられている労働者をその被害から一日も早く救済するためにも、その実態を目の当たりにしている現場の監督官に是正措置のための手段や法的根拠を早急に与えることが必要です。そのためには、労働者の求人や募集についての先ほどの固定残業代制の規制とともに何よりも残業時間の上限を法定すること。例えば、過労死基準の八十時間以上は禁止とか、年間の総残業時間の上限を大臣告示にもある三百六十時間にして、それ以上は禁止するための法改正を一日も早く行うべきではありませんか。

国務大臣(田村憲久君)

 何度も繰り返しになりますけれども、労働者の方々のやはり健康というものをしっかりと守っていただかなければならないわけでございまして、そのような観点からも、これからも各企業にはしっかりと指導してまいりたいというふうに考えております。

吉良よし子

 現行法はもちろんですけど、それでは対処できない問題があるから是非とも法改正をしていただきたいと、検討していただきたいことを申し上げて、私の質問を終わります。