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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2015年・第189通常国会

「ブラック研修」是正を 厚労相「把握につとめる」

要約

 合宿させて「お百度参(ひゃくどまい)り」「滝行(たきぎょう)」の強要―。日本共産党の吉良よし子議員は23日の参院予算委員会で、ブラック企業が「研修」に名を借りて行っている重大な人権侵害の実態を告発し、是正を求めました。塩崎恭久厚労相は「悪質な研修の把握につとめていきたい」と答えました。

 会社にたてつかない労働者をつくるため、業務と関連のない“精神修養”や“苦行”を押し付ける「ブラック研修」がまん延しています。吉良氏は、「ブラック研修」には(1)眠らせない(2)外部との連絡を遮断する(3)競争・序列化(4)アイデンティティー(人格)の破壊―の四つ特徴があると指摘。医療関連企業が宗教法人に依頼して行った「ブラック研修」のスケジュール(図)を具体的に示して、実態を告発しました。

 それによると2泊3日、朝から晩まで“寺修行”ともいうべき「研修」でぎっしり埋まっています。

 「(1日目の)夜の写経時間分の残業代が支払われていない」「『お百度参り』『川行』『滝行』など、業務とは何の関係もない」

 吉良氏はこう指摘したうえで、不採用・解雇など不利益な扱いを受けるため労働者はなかなか不当性を告発できないと述べ、「こうした事態を行政は見過ごしていいのか」と迫りました。

 塩崎厚労相は「法令に触れるならば、指導しなければならない」と答弁。上川陽子法相は「業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えているならば、人権擁護上の問題がある」と述べました。

吉良氏は、宗教行為の強制は憲法(信教の自由)、労働基準法(国籍、信条による差別の禁止)にも抵触すると指摘。「ブラック研修」の実態把握とともに、ガイドラインの作成などによって違法・無法な「研修」を是正するよう重ねて求めました。

しんぶん赤旗2015年3月24日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 先日の決算委員会で、私は、若者が職業生活を始めるアルバイトのときから、既にブラックバイトとも呼ばれる違法な働かせ方に直面するという問題を取り上げました。
 今日は、就職した後に、新入社員や若い労働者が遭遇する問題について取り上げます。
 私は、就職した後の新入社員など若い労働者に職業能力の開発などを行える機会を保障することは、働き続けるために重要なことだと思っております。今度、政府が提出した勤労青少年福祉法の改正案では、事業主及び国に職業能力の開発及び向上に関する措置を定めていますが、この中身について、厚労大臣、御紹介ください。

厚生労働大臣(塩崎恭久君)

 先生から今御指摘のありましたように、若い人たち、次世代を担う若者が、安定した雇用の中で経験を積みながら職業能力を向上させて、言ってみれば生きがいとか働きがいとか、そういうものを持って仕事に取り組んでいくことができるようにすることが国としても大変大事な責任でもあり、また経済社会の発展のために不可欠であるというふうに思っておりまして、これを実現するために、昨年六月に閣議決定をされました改訂日本再興戦略などを踏まえて、今御指摘がございましたけれども、若者の職業能力の開発、向上を一つの柱とする勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案、これを今国会に提出をいたしたところでございます。
 具体的には、ジョブ・カードの普及促進やキャリアコンサルタントの登録制の創設とかを行うこととしたほか、産業界やそれから地域のニーズを踏まえた職業訓練の実施など、職業能力開発の措置を総合的に行うことによって若者の職業能力開発を国としても全面的にバックアップしていこうと、こういうこととしているわけでございます。

吉良よし子

 国として、若者が、次世代が能力を発揮して、向上させて働けるようにする、そのためにバックアップしていくということで、やはり能力開発の機会の保障は、キャリアアップ、働き続けるためには大事なことだと私も思うわけであります。
 ところが、今、いわゆるブラック研修とも言われる、研修の名を借りた人格改造ともいうべき重大な人権侵害を伴う研修が大きな問題になっています。
 例えば、どこかの施設に泊まり込みをさせて、携帯電話の持込みを禁止するとか、若しくはその施設の目の前にあるコンビニなどへ行くことも禁止するなどする隔離をして、人格の否定をする、大声でどなる、体力の限界まで穴掘り、ランニングなどをさせて自分がいかに駄目な人間かを悟らせる。その後、会社のイメージ、社訓や社長の発言録などをしっかりと覚え込ませて刷り込みをして、千件の電話のアポだとか千件の名刺交換などのノルマを与えて、それを実行させる。そうやって無理やり成功体験を与えることによって、最後には抱き合って、涙を流して、よくやった、おまえならできるじゃないかと、そうやって定着を図っていくというような中身になっています。
 こうした研修は、会社に盾突かない物言わぬ労働者をつくり、いわゆる違法を繰り返すようなブラック企業を成り立たせる道具の一つともなっています。これらの研修は、それが試用期間中であれば参加しないと本採用にはなれない、正社員であれば業務命令で強制的に参加させられるなど、いずれにしても、研修の参加を拒否すると不利益を被るために労働者側が拒否するのは不可能に近い形になっている、このことも問題です。
 厚労大臣、企業で行われている研修全てがこういうものだとは思いませんが、いわゆるこうしたブラック研修、蔓延しているという実態は厚労省の方でつかんでいられるでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 今、蔓延という言葉がございましたが、一部の企業で悪質な研修が行われているということは承知をしているところでございまして、労働基準監督署において、例えば、企業が行う採用後の新人研修に対して賃金が支払われないような場合には、これはもう法律違反でございますから、書類送検を行うなど、労働基準関係法令の違反には厳正に対処をしているところでございます。

吉良よし子

 違反には厳正に対処していくというお話でした。
 ここで、法務大臣にも伺います。
 人格権、市民的自由というのは何よりも尊重されなければならない、日本社会において企業による人格権の侵害というのは決して許されてはならないと思うんです。雇用問題の総合雑誌ポッセにおいては、昨年の秋、このブラック研修の特集が組まれていまして様々な角度からの記事が掲載されていますが、相談事例に共通する特徴として、一つは眠らせない、二つは外部との連絡を遮断する、そして競争、序列化をして、四番目にアイデンティティーを破壊すると、こうした四つを挙げて、研究者の皆さんはこうした方法を奴隷化プロセス若しくは洗脳研修と特徴付けて厳しく批判しています。
 法務省としても、やはり現場からの個々の訴えを待つのではなくて、このような雑誌やメディアで報じられているような情報にも目を光らせて、洗脳や奴隷化などと呼ばれるような人権侵害、国民の基本的権利の侵害が起きないよう、問題意識を持って取り組む必要あるのではないでしょうか。

法務大臣(上川陽子君)

 今御指摘のいわゆるブラック研修と言われるものにつきましては、様々なものがあるというふうに思っております。
 企業が従業員に対しまして職務上の地位に乗じて研修の名目で過酷な業務を命じるなど、業務の適正な範囲を超えて精神的、身体的な苦痛を与えるようなことが行われているとするならば、人権擁護上問題があるものというふうに認識をしております。

吉良よし子

 人権擁護上問題があるということですので、是非取組も行っていただきたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

国務大臣(上川陽子君)

 今、法務省の人権擁護機関でございますが、全国の法務局、地方法務局におきまして、様々な人権問題について相談に応じる、あるいは不適切なものにつきまして、また疑いのあるものにつきまして、それが認知された場合ということでございますが、人権侵犯事件という形で調査を行いまして、関係機関とも連携協力しながら、事案に応じた形で適切な措置を講じているというところでございます。
 御指摘のいわゆるブラック研修というところでございますけれども、こうした問題につきましても、人権擁護の観点から十分に注視しながら、また人権相談等を通じて適切に、またしっかりと対応してまいりたいと思います。

吉良よし子

 相談に応じてということでしたけれども、是非とも積極的に、かなり問題になっているわけですから、雑誌などでも取り上げられるように、取り上げていただきたいと思っております。
 私は、この人権侵害が職場の中での労使関係の中で生じていると、こういうブラック研修というのは絶対に許してはならないと思っています。
 以下、具体的な事例を使いながら伺いたいと思います。
 私のところに、ブラックと言われる研修に参加させられた青年労働者からの訴えがありました。ある医療関連企業がある宗教法人に依頼して行った研修で、この研修は企業により参加が義務付けられていて、断ることはできないものでした。彼が参加したのは二泊三日の日程でした。そのスケジュールがこのお配りした資料になるわけです。
 これを見ますと、三日間、まず一日目、行衣への着替えというところから始まって、ぎっしりと寺修行ともいうべき研修内容で埋まっているわけでございます。ここには私、幾つも問題点があると思います。
 一つ目は、残業代の問題です。このスケジュールを見ますと、一日目の夜、この般若心経の写経というのをやることになっていますが、この時間帯は夜間になっています、六時半から九時まで。
 ここで、厚労大臣に伺いたいと思います。研修であっても、それが業務命令で行われ、夜間、早朝など時間外にまでわたるのであれば、当然、時間外手当を払わなければならないと思いますが、研修時の時間外労働についての考え方を述べてください。

国務大臣(塩崎恭久君)

 労働基準法の上での労働時間に該当をするか否かは、その実態に即して個別に判断をすべきものでありますけれども、一般的に言いまして、就業時間外の教育訓練の時間は、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる強制が行われ、働く方に参加の自由がない場合には労働時間に該当すると考えられるところでございます。
 今の御指摘はそういうことで、お問合せはそういうことだと思います。

吉良よし子

 そうですね。ですから、業務命令で強制的に参加させられる、その研修においてそれが時間外であれば残業代も支払わなければならないということだと思うわけですが、この研修、お配りした研修の場合、この夜の時間帯の写経時間分の残業代は実際には支払われていないわけです。
 このほかにも、平日、仕事が終わった後に研修の名前で空手道場に通うように命じているような職場もあるとの話なども聞いていまして、私は多くの職場でこの研修で残業代の未払という事態が生じているのではないかと思うわけですが、厚労省はこうした強制的な時間外研修についての残業代不払の実態、調査して支払わせるよう指導すべきではないでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 御指摘のような場合が、つまり自由がないままに強制をされるというときの労働時間をどう考えるかということでありまして、それはもう労働時間に該当するということを申し上げたとおりでありますが、御指摘のような場合が労働時間に該当するかどうかというのは、今申し上げたように、個別の判断というのがやっぱりそれぞれの実態に即して行われなければならないわけで、仮に今お話があったような労働基準法上の労働時間に該当する教育訓練において賃金が支払われないなどの不適正な取扱いが認められる場合には厳しく対処していくわけでございますので、今お話しのように、それがどこまでかということについては、個別にやはりそういう問題があったときに適切に判断をしていかなければならないというふうに考えております。

吉良よし子

 個別にとおっしゃいますが、やはりこういうことが普遍的に行われていることがあちらこちらから聞こえてくることが問題だと思うわけなんです。だから、やはり研修の名であっても時間外であればちゃんと残業代は支払うべきと、そういうことを指導すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 労働関係法令に触れていれば、当然それは指導しなければいけないというふうに思います。

吉良よし子

 是非ともしっかり調査して指導をしていただきたいと思っております。
 そして、もう一つ、まだこの研修については問題があるわけです。その問題というのは、この研修内容が医療関連という業務とはほとんど何の関連もない、いわゆる精神修養となっているということです。お百度参りをやらせたり、この研修をやられた時期というのは秋もかなり深まった寒い時期だったということですが、二日目、三日目の中には川行、滝行などもやらせると。これはもちろん強制です。やらせることになっております。
 そうした業務とは何の関連もない苦行を強いるような研修というのはやはり不法行為であり、違法だと私は思うわけですが、裁判所は、教育研修と業務の関連性についてどのような判断を示しているか、最高裁に伺います。
 平成八年二月二十三日に最高裁で確定したJR東日本本荘保線区事件について、仙台高裁秋田支部平成二年第一四二号の判決原本三枚目の裏七行目から四枚目表の九行目「ある」のところまで御紹介ください。

最高裁判所長官代理者(最高裁判所事務総局民事局長兼行政局長)菅野雅之君

 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘の部分には、職場内教育訓練を含めて控訴人会社が社員に命じ得る教育訓練の時期及び内容、方法は、その性質上原則として控訴人会社(ないし内規等により実際にこれを実施することを委任された社員)の裁量的判断に委ねられているものというべきであるが、その裁量は無制約なものではなく、その命じ得る教育訓練の時期、内容、方法において労働契約の内容及び教育訓練の目的等に照らして不合理なものであってはならないし、また、その実施に当たっても社員の人格権を不当に侵害する態様のものであってはならないことは言うまでもない。かかる不合理ないし不当な教育訓練は、控訴人会社(ないしこれを実施する社員)の裁量の範囲を逸脱又は濫用し、社員の人格権を侵害するものとして、不法行為における違法の評価を受けるものというべきであるとの記載がなされております。

吉良よし子

 というわけで、教育研修の内容が職務ないし労働力の質の向上とおよそ無関係なものは社員の人格権を侵害するものとして違法だということです。ほかにも、昭和四十八年の動労静岡鉄道管理局の事件でも、教育・研修の態様、方法が過度の精神的、肉体的苦痛を伴うものは違法との判断が示されております。しかし、現場では、先ほど示したとおり、不法、違法な研修を受けなければ採用されないとか解雇されるなど不利益な扱いを受けるため、労働者はその不当性を告発することがなかなかできないという実態にもなっています。
 厚労大臣、こうした事態を、業務に関連性のない苦行とも言えるような研修を強いるようなやり方、厚生労働行政、見過ごしていてよいのでしょうか、いかがでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 今の判決にもありましたとおり、個別の案件については私どもとしてもコメントはできませんが、一般論としては、やはり業務上の研修であっても、その職務上の地位などの優位性を背景にして、業務の適正な範囲を超えて働く方々に精神的、身体的苦痛を与え、その尊厳とか人格を傷つけるというような行為は許されるものではございません。
 そういうものはやはりなくしていかなければならないというふうに思っておりますから、当然厚生労働行政としても、そのようなものについてはしっかりと法にのっとって対応をしなければいけないというふうに思います。

吉良よし子

 法にのっとって対応とおっしゃいましたが、監督指導ということでやっていただけるのでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 例えば労働基準法、あるいは例えば最低賃金法とか、あるいはまた労働安全衛生法、こういった法律に違反をするような場合には、当然対応をして指導していかなければならないというふうに思います。

吉良よし子

 是非しっかり指導していただきたいと思うんです。
 問題は、まだほかにもあるわけですよ。この研修では、この資料で赤字で示しましたとおり、真言や御宝号を唱えさせるとか、三礼百セットを三百回連続だとか、般若心経の写経、写仏などなど、まさに寺修行、宗教行為そのものをやらせているということです。
 もちろん、宗教行為といっても、それらを本人が望んでやるのであれば何の問題もないわけですが、しかし、やはり同じ寺といっても、天台宗もあれば日蓮宗も、様々な宗派があるわけですし、社員の中にはキリスト教の信者、イスラム教の信者などもいるかもしれないわけです。そうした他の宗教を信仰しているような社員に対しても自らの信条と異なる宗教行為を強制するということは、憲法の信教の自由、労働基準法三条、国籍、信条による差別の禁止にも抵触し許されないと思いますけれども、これについても裁判所はどのような判断をしているか。
 いわゆる三重宇部生コンクリート工業事件の名古屋地裁の判決、労働関係民事裁判例集第十四巻の六百七十三ページの三行目、「信教の自由」というところから、七行目の最初の句点、「ではない」までを御紹介いただければと思います。

最高裁判所長官代理者(菅野雅之君)

 委員御指摘の箇所は、名古屋地裁、昭和三十八年(ヨ)第七六号事件の判決であると思われるところ、当該部分には次のような記載がされております。
 信教の自由は何人に対しても保障されていることは憲法の明定するところであり、その信教の自由はかかる宗教的行事をなすこと及びなさざることの自由をも包含するものであるというべきである。したがって、たとい講習の課目として行われるものであっても、申請人が自己の信仰する宗教と異なる宗教の行事に参加することを拒むことは権利として保障されているものであって、申請人が右の行事に加わらなかったことは何ら非難さるべきものではない。
 以上でございます。

吉良よし子

 この裁判は、宗教的な信条が違うために研修を拒否したら、それを理由にして解雇されたと、そういう是非が問われた、争われたものなんですけれども、結局、宗教的信条の違うものを押し付けてはならないし、それは断ることができるということです。
 もちろん、就職する際もそうですけれども、だからといって、研修に参加する前に、事前にその人の宗教的立場を問うこと、それ自体もやはりやってはならない行為だと思うわけです。
 だから、宗教的価値観の違いで研修若しくは就職に差別が設けられるなんということは論外なわけですから、そうした意味からも、こうした特定の宗教的な行為を押し付けるような内容の研修というのは、私、そもそも禁止するべきではないかと思うのですが、厚労大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 これは先ほど私から申し上げたように、優越的な地位を利用しながら、言ってみれば働く方々の精神的な、身体的な苦痛も与え、そして尊厳や人格を傷つける、そういうことを強制をするというのはやはり許されるわけではないものでありまして、宗教の問題については、今いろいろございましたけれども、これ、やはり個別にいろいろ判断してみないと、どういう状況でどういうことをということはよく分からないわけでございますので、今申し上げたような枠組みの中で考えてやっぱり労働関係法令に反していれば、当然それは言ってみれば指導の対象になるということになるというふうに思いますので、一般化はなかなか難しいと思いますが、大事なことは、労働関係法令に触れるようなことをやっているかどうかということと、憲法上の信教の自由を侵しているのかどうかということが大事ではないかなというふうに思います。

吉良よし子

 憲法に反していないかどうかというお話でしたけど、そういう意味では、やはりこういう研修という名で宗教的な行為を押し付けるというやり方というのは、やはり信教の自由に抵触する、反する行為にもつながると思うわけです。だから、そういうことを研修でさせるというのはいかがなものかというわけで、やっぱり禁止するべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(塩崎恭久君)

 やはりそれは個別に判断をすべきであって、どのようなことを、宗教に言ってみれば絡めていろいろなお話をする人は世の中にたくさんいるわけでありますから、職場においてもどういうふうにやるのかはやっぱり個々に判断をしていくべきではないかなと。基本は憲法であり、労働関係法令だということだというふうに思います。

吉良よし子

 じゃ、法務大臣はいかがでしょうか、その点。

国務大臣(上川陽子君)

 個別の事案に関わるということでございますので、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として、人権擁護という観点から申し上げるということでございますけれども、職務上の地位に乗じまして業務の適正な範囲を超えた命令が行われ、その結果として従業員の方に精神的あるいは身体的な苦痛を与えるようであるならば問題があるものというふうに考えます。

吉良よし子

 宗教行為について伺いたかったんですが、私は、この問題でやっぱり厚労省がやらなければならないのは、こういうブラック研修と呼ばれている違法、無法な研修の実態把握だと思うわけです。と同時に、やっぱり正しい意味で、先ほど法律も制定されるという話でしたが、能力開発・向上の措置講じるためにも、やっぱり違法、無法な研修を野放しにしていてはならないと。
 そういう意味でも、研修時も時間外であれば残業代を払うべきであることであるとか、業務の関連性のない精神修養を押し付けるようなことだとか、肉体的、精神的な苦行を押し付けるようなことだとか、若しくは宗教的行為の押し付けなどの研修は違法になる、そういう旨をガイドライン作るなどして周知徹底させると、こういうことが重要だと思いますが、そのことについての答弁を求めます、最後に。

国務大臣(塩崎恭久君)

 広く実態を調査すべしという今お言葉でございました。
 労働基準関係法令違反が疑われる事案というのは、全国の労働基準監督署において監督指導を実施して、法令違反が認められた場合には、当然厳しく是正を指導していかなければならないというふうに考えております。
 また、全国の都道府県の労働局などで総合労働相談コーナーというのがございますが、ここで労働に関する様々な相談を受け付けているところでございまして、ここに寄せられる悪質な、今先生御指摘のようなものに近いような悪質な研修についての相談の状況についても、今後しっかりと把握に努めていきたいというふうに思います。

吉良よし子

 時間ですのであれですが、相談待つだけじゃなくて、やっぱりこういう研修は望ましくない、そういうことを厚労省が率先して示していただきたい、周知徹底していただきたい、このことを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。