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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2018年・第197臨時国会

学校給食無償 今こそ 「国もかつて目標に」

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は6日の参院文教科学委員会で、国も小・中学校の給食費無償化を目指していたことを明らかにし、今こそ学校給食無償化の実現に踏み出すよう求めました。

 吉良氏は、戦後文部省(当時)が“学校給食費も無償化することが理想”(1951年3月19日、参院文部委員会)と述べていたことを紹介。また、学校給食法で保護者負担とされている食材費について、自治体等が全額補助することも否定されないことを1954年の事務次官通達を引き確認しました。その上で、文科省の2017年度調査では82自治体が無償化に乗り出すなど、無償化は国民の共通した願いになっていると指摘し、国が無償化に踏み出すよう求めました。

 柴山昌彦文科相は「年4451億円が必要になってしまう」と財政上困難との姿勢を見せました。

 吉良氏は、教育予算増で財源を確保するべきだと主張。同時に、食材費高騰で給食が貧困な中身になっている実態を突き付け、「せめて高騰分について補助していく考え方もできるはずだ」などと強調しました。

しんぶん赤旗2018年12月12日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今回は、義務教育の無償化、とりわけ学校給食について伺いたいと思います。
 この間、安倍政権は、高等教育や、先ほども議論になっていた幼児教育の無償化などを掲げていらっしゃるわけですけれども、じゃ、義務教育の方は全て無償化できているのかと言えば、例えば学用品とか給食など、有償のものもまだあるわけです。
 では、文科省はその義務教育の無償化についてどのような理想を持っていたのか、持っているのかというところでいくと、昭和二十六年、教科書の無償化に関わる参議院での質疑の中で、文科省がその理想について語っている部分があります。当時の議事録、昭和二十六年三月十九日の岩間議員に対する政府の答弁、該当部分、事前にお示しした部分を、局長、お読みください。

文部科学省初等中等教育局長 (永山賀久君)

 御指摘の昭和二十六年三月十九日、参議院文部委員会ですけれども、辻田政府委員から以下のような発言がございます。
 冒頭部分省略しますけれども、以下、発言内容ですが、「要するに義務教育を教育として実施する場合に必要な経費はこれは公共のほうから出しまして、義務教育を受ける立場からはこれは無償とすることといたしたいというふうな理想を持つておるわけでございます。即ちその内容といたしましては、現在は授業料でございますが、そのほかに教科書とそれから学用品、学校給食費というふうな、なおできれば交通費というふうなことも考えておりますが、」、以下ございますけれども、省略させていただきます。
 以上でございます。

吉良よし子

 ということで、つまり、義務教育の無償化といったときに、教科書、学用品、そして学校給食費、さらにはできれば交通費も含めて無償化するのが理想であると、こういう答弁をなさっていたということなわけです。
 これ、あくまでも理想だということですが、この理想、今も変わっていないということで、大臣、よろしいでしょうか。

国務大臣(柴山昌彦君)

 理想というか一般論として、教育費トータルの負担軽減については重要な課題であるというふうに認識をしております。
 ただ、その後も、今の答弁の中で、だけれども、財政的には一度には到底できませんというような答弁もありますし、また、日本国憲法第二十六条二項における義務教育はこれを無償とするという規定は、既にこれは授業料の不徴収の意味というふうに解するのが相当という昭和三十九年の最高裁判所の判決により定まっております。
 ということで、例えば今、吉良議員からお話のあった義務教育の教科書の無償措置、これは義務教育無償の精神、理想をより広く実現するものとして無償措置法に基づき行っているということでございます。

吉良よし子

 いや、何かいろいろおっしゃったんですけれども、先ほどの答弁の冒頭の部分でも憲法についてこう言われているわけです、憲法に定めておりまする義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に、広範囲に実現いたしたいということは政府としての根本的な考え方だと。
 この答弁を修正する立場にはないということでよろしいですね、大臣。もう一度お願いします。

国務大臣(柴山昌彦君)

 繰り返しになりますけれども、義務教育に係る費用の負担の軽減については、これは重要なことであるということは理解をしておりますし、今時点でそのことについては意識を変えているわけではありませんけれども、今言ったような解釈、あるいは現実に即して優先順位を付けて諸施策を図っていくということも、これもやむを得ないことかなということは是非御理解をいただきたいと思います。

吉良よし子

 優先順位等があるのは私も承知していますが、まずは理想の部分を確認をしているわけですね。
 そういう意味では、この広範囲に無償化を実現、負担軽減を実現していくのは重要なことであるし、先ほどの答弁からも意識は変えているわけではないという御答弁があったと。つまりは、現在も文科省は、無償化については、できるならば給食費や学用品についても無償化を目指していきたいと、負担軽減していきたいという理想を持っているというのは変わらないということだと理解をいたしました。
 それを踏まえて、学校給食費についても確認をしていきたいと思うわけですけど、そもそも学校給食というのは、先ほど、午前中にも触れられましたけれども、食育が大事だとか、若しくは地産地消などの役割もありますし、何よりも子供たちの健康な生活を支える土台ということで、その意義や役割というのは多くの国民が認めるものだと思うわけです。
 ただ、その中で、学校給食法では、原則としてとしながら、施設や設備に関わるお金は自治体が負担、そして食材費などは学校給食費として保護者が負担すると負担区分を定めているということになっているわけですが、この規定について文科省は昭和二十九年に文部事務次官通達でその解釈を示しているわけです。
 この通達の七番、経費の負担等の、また事前に指定した部分を御紹介ください。

政府参考人(永山賀久君)

 御指摘いただきました通知の該当箇所でございますけれども、申し上げます。
 「これらの規定は経費の負担区分を明らかにしたもので、たとえば保護者の経済的負担の現状からみて、地方公共団体、学校法人その他の者が、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではない。要するに、これらの規定は小学校等の設置者と保護者の両者の密接な協力により、学校給食がいよいよ円滑に実施され健全な発達をみることが期待されるという立法の根本趣旨に基いて、解釈されるべきである。」。
 以上でございます。

吉良よし子

 ありがとうございます。
 ということで、読んでいただいたところには、給食費の一部を補助する場合を禁止する意図はないというふうにあるわけですけど、一部とはありますけれども、これは自治体等がその判断によって全額補助すること、これ自体も否定するものではないということでよろしいでしょうか、大臣、お願いします。

国務大臣(柴山昌彦君)

 そのように理解されるところだと思います。

吉良よし子

 そこは本当に大事なところなんですね。一部だけではなくて全額補助することも否定はされていないと、自治体の判断で無償化を行うということは決して法違反になるわけではない、解釈の問題であるということなわけです。
 実際に、各自治体の中でもうこの給食の無償化を実施している自治体もあるわけです。この間、文科省でも、今回初めて学校給食費の無償化等の実施状況というのを調査されていると。今年の七月二十七日に結果を取りまとめたということですが、ここにある給食費の無償化、小中学校で実施している自治体というのは全国でどの程度あるのか、自治体の数をお答えください。

政府参考人(永山賀久君)

 平成二十九年度に文科省が実施した調査によりますと、調査を実施しましたのは千七百四十自治体ですけれども、そのうち、学校給食費を無償化している自治体数でございますが、小学校、中学校共に無償化を実施している自治体が七十六自治体、それから小学校のみ無償化を実施している自治体が四自治体、中学校のみ無償化を実施している自治体が二自治体となっております。

吉良よし子

 つまり、合計すると既に八十二の自治体が実際に無償化へ乗り出しているというのが現実だということです。つまり、先ほども通達のところで確認したとおり、設置者と保護者が話し合って必要だと判断すれば全額補助もでき、無償化できるということは間違いないと。
 この間、実は東京都の三鷹市議会では、昨年十二月議会の中で、市民の声に押されて、国に対してこの給食費の財源負担を求めて、給食費無償化のために国に財源負担を求める意見書というのが政党の枠を超えて可決されているわけです。そういう意見書等が出ている自治体、条例案が出ている自治体というのはかなり多いところで出ていると思うんですけれども、こうした多くの人々が給食無償化を求める現状を踏まえれば、今こそ国が給食費の無償化に向けて一歩踏み出すと、公的な補助を給食に対して出していく、そのときに来ていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(柴山昌彦君)

 保護者が負担する学校給食費については、家庭の経済事情が厳しい児童生徒に対しては生活保護による教育扶助や就学援助によって支援が実施をされております。
 学校給食費の無償化につきましては、先ほど局長が答弁をしたとおり、学校の設置者と保護者との協力によって学校給食が円滑に実施されることが期待されるという学校給食法の立法趣旨に基づいて各自治体等において検討していただくことがふさわしいと考えておりまして、文部科学省といたしましては、まずは小中学校における学校給食の実施率、これを向上させるなど、学校給食の普及、充実に努めていってほしいというように思います。

吉良よし子

 いや、実施率と言いますけど、もうほとんどの自治体が学校給食やっているわけです、公立学校では。そういう中で無償化を求める声が出てきているわけなんです。
 先ほどの三鷹市議会の意見書でも言っているのは、学校給食というのは、栄養バランスの取れた温かくておいしい給食を、家庭の経済状況にかかわらず子供に提供することが子供の健やかな成長のために非常に重要だと、だからこそ給食費の無償化をしたいけれども、自治体財政を圧迫するなどの困難もあってなかなか自治体だけでは実施に踏み切れないと、だから、国が財源を負担して給食費の無償化早く実現してくれと、そういう意見書なわけですよ。
 この給食は重要であると、だから、それをあまねく国民に提供するためにもですね、負担なく、無償化をしてほしいというこの願いにやっぱり応えるべきだと思いませんか、大臣。

国務大臣(柴山昌彦君)

 一つの極めて重要な考えであろうかというように思います。
 仮に完全給食を実施している公立小中学校の年間の学校給食費の平均額に在籍児童生徒数を単純に乗じて試算をすると、無償化には年間約四千四百五十一億円の経費が必要とされることになってしまいます。こういうことも踏まえて、やはりその費用負担をどのようにするかということを自治体の財政状況等も踏まえてしっかりと検討していきたいと、このように考えております。

吉良よし子

 四千四百五十一億円掛かると言いましたけど、逆に言えば四千四百五十一億円掛ければ無償化実施はできるということなんですね。という意味では、やはり予算要望もしっかりして教育予算を増やしていくということも必要だと思いますし、実はこれ、無償化だけの問題じゃないんです。
 この間の報道で見ると、学校現場の栄養補給に重要な給食が成り立たないような事態が起きていると。実はこの間、食材費が高騰している。そういう中で、もう給食が本当に貧困な中身になっているという実態があるのを御承知でしょうか。
 例えば横浜市でいえば、デザートのメロン、今までは六分の一カットで一人に提供されていたと。それがこの間、高騰によって十二分の一カットになってしまった、一人当たり一口程度の大きさになっちゃったというんです。若しくは主菜、アジの開きで提供していたものが、ちくわのいそべ揚げに変わってしまったとか。都内で小学校で働く栄養士さんからも私お話聞きましたけど、いや、食材費が限られている上に食材費が高騰したことによって、もう果物はブドウ一粒二粒とか、イチゴ一粒しか提供できない日があるともう嘆いていらっしゃると。
 こうした野菜も高騰している折ですから、せめてその高騰している分について公費を上乗せして補助をしていくと、こういう考え方だってできると思いますが、大臣、いかがですか。

政府参考人(永山賀久君)

 先ほどは全額無償にしている市町村の例、数を申し上げましたけれども、そのほか一部補助しているところもございます。そういった中には、おっしゃったような高騰分について補助するとか、あるいは地場産の食物を使った場合に補助するとか様々な形態もございますし、そういった中で学校給食の普及あるいは充実に努めていっていただけるものと考えてございます。

吉良よし子

 自治体がやっているとおっしゃいましたけれども、だから自治体任せでは到底できないという意見書が出てきているわけなんです。やっぱりこれは国の責任だと思うんですよ。先ほどもありましたよね、食育が大事だ、地産地消も大事だ。そして、子供たちの健康、成長のために欠かせない学校給食をちゃんと充実したものにしていくためには、やはり国がちゃんと公費負担、補助していくということは欠かせない。四千四百五十一億円捻出すればできない話ではないと思うんですよね。
 是非前向きにこの学校給食無償化について、教育無償化をうたうのであれば検討していただきたいと、このことを強く申し上げまして、質問を終わります。