修学支援打ち切るな 成績要件見直し迫る(動画11分45秒頃~)
要約
日本共産党の吉良よし子議員は12日の参院文教科学委員会で、制度開始後3年目となる高等教育の修学支援新制度が学生個人に厳しい成績要件を課し、成績を理由に支援が打ち切られている問題についてただしました。
吉良氏は、自身が相談を受けたある女子学生は、親や兄弟が病気を抱え生活保護を受けており、家族を支えながら懸命に大学に通い続けたものの、2年連続で成績不良とされ支援が打ち切られたと指摘。文部科学省は成績だけでなく個別事情も斟酌(しんしゃく)すると説明しているものの、この女子学生への打ち切り判断は個別事情を斟酌したものとは思えないと批判し、成績要件の見直しを求めました。
末松信介文科相は「学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的で支援が公費で賄われている」として、ただちに見直す考えはないとの姿勢を示しました。
吉良氏は、この女子学生は支援打ち切りで生活も困難になったとして、成績要件の見直しを重ねて求めました。
議事録
以下、前編(コロナ禍の文化芸術支援事業)よりつづく
吉良よし子
もう一点、今日伺いたいのが、給付奨学金、修学支援新制度についてです。
制度が始まって三年目、現在の利用者は三十二万人と、前年度から五万人増えたということも聞いていますが、一方で、この間、この制度の仕組み自体で学生に対して厳しい成績要件があって、進学後の成績が悪くなれば支援が打ち切られるという仕組みがあるわけです。実は、その点について私のところに訴えがありました。
今回、このJASSOの給付型支援奨学金の方が成績不良により廃止となるという通知が来ましたと。この方の場合ですね、紹介しますけど、私の家は母子家庭であり、私を含めて三人家族です。母は、難病指定の病気、その他の病気を四つ持ち、うつ病でもあります。車椅子の利用や家でのつえの使用など、歩行も大変なほど非常に重い症状を伴っている状況です。弟は最重要度知的障害児です。私は、こういった家庭の状況からも、大学の近くで独り暮らしをしながら飲食と家庭教師のアルバイトをし、お給料をもらいながら勉強をしています。
ですが、最近母の病気が悪化し、病気の一つの影響で子宮摘出の手術をしました。本来はその後も入院が必要なものでしたが、こういった状況下で弟がいながらの入院は不可能ということで、家の中に点滴をつるしながら何とか生活するという状態が昨年十二月にありました。この頃、ちょうど学年末の定期試験期間でありましたが、家事をするのが難しい母と弟の御飯やお風呂といった面倒を見なくてはならない状況を考えて、この時期は、毎日授業後に実家に通い、次の日また大学に行くといった生活をしながら、アルバイトも固定で続けていましたと言うんです。
この方は、一年次も同じような、お母さんと弟の面倒を見てと、大学に通ってとやる中で成績不良で、二年次もこういう状況で成績不良でと、二年連続なので制度打切りになったと言うんですけど、これ、成績要件ね、個別の事情はしんしゃくすると、そういう話になっていたかと思うんですけれども、こういう困難な家庭でも頑張る学生打ち切ったというのは、これ個別の事情をしんしゃくしている状態と言えるでしょうか。大臣、いかがですか。
文部科学省高等教育局長(増子宏君)
お答え申し上げます。
高等教育の修学支援新制度につきましては、家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もが自らの意欲と努力によって社会で自立し、活躍できるようにすることが目的となっております。
この制度の支援対象者につきましては、高校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、本人の学修意欲や進学目的を確認して対象とする一方、大学等への進学後は学業成績に一定の要件を課し、これに満たない場合には支援を打ち切ると、そういうふうな形になってございます。このような学業成績の要件につきましては、学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的と支援そのものが公費で賄われているということを踏まえ設定しているものでございます。
文部科学省といたしましては、困窮した学生が修学を断念することがないよう、制度の適切な運用に引き続き努めてまいりたいと考えております。
吉良よし子
いや、制度の適切な運用じゃないですよね。個別の事情をしんしゃくすべきって、そういう配慮することがもうあるって書いてあるのに配慮できてないわけですよ。やっぱり、こういう成績要件はやっぱりもうなくすべきじゃないかと。最後、大臣、いかがですか。
国務大臣(末松信介君)
繰り返しの答弁になりますんですけれども、学業の成績の要件であるとか、学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的で支援が公費で賄われているということ、ここは先生、御理解を是非いただきたいと思うんですけれども、適切な運用は重ねて続けてまいりたいと思いますけれども、先生の御指摘の点について、それはかなり丁寧に聞いておると思うんですけれどもね、私は。これはちょっと、一応要件には、ここに。取りあえず御意見として受け止めたいと思います。
吉良よし子
いや、本人は無遅刻無欠席で頑張っていたんですよ。それでもこういう状況で成績が下がった、それで打ち切られた、生活も困難だという状況なわけです。やっぱりこういう学生を生まないためにも成績要件はなくすべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。