【給特法改定案質疑】変形労働制 学校管理職も負担増 文科省認める
要約
日本共産党の吉良よし子議員は3日の参院文教科学委員会で、政府が教員給与特別措置法(給特法)の改悪で公立学校に導入しようとしている1年単位の変形労働時間制が、教員とともに管理職の負担を増大させることを告発しました。文部科学省の丸山洋司初等中等教育局長は「(変形制で)新たな業務が生じる」と認めました。
学校に変形制を導入するには、校長など管理職が一人ひとりの教員から事情を聞き取って変形制の対象教員を決め、年間スケジュールに合わせて労働日や労働時間を決めるなどしなければなりません。
吉良氏は、すでに変形制が導入されている国立大学付属校で、労働日数と総労働時間が異なるスケジュールが月単位で4パターン、年間では9パターンもあることを示し、スケジュール作成の事務負担が管理職に重くのしかかると指摘。文科省調査でも副校長・教頭の勤務時間が際立って長いことをあげ、「長時間労働縮減のため業務削減を進めると言いながら、変形制で業務を増やすなど言語道断。変形制導入はあり得ない」と批判しました。
吉良氏は、萩生田光一文科相が夏休み期間中は行わないとした行政研修について「研修をやめるのか」と追及。やめると明言しない萩生田氏に、「学期中に移せばかえって負担が増す。行政研修は最低限に削減すべきだ」と迫りました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
では、もう早速ですけれども、今日は、勤務の割り振りのところから伺いたいと思います。
先ほど水岡議員からもお話があったわけですけれども、現在、職員会議又は突発的な事故対応などで勤務時間が延びた場合には、別の日の勤務時間を時間単位で縮減するという勤務の割り振りというのが行われている例があるということは私も聞いておりますし、午前中の答弁の中でも、局長もそういう自治体もあるという御答弁でした。
じゃ、今回、この一年単位の変形労働時間制が導入されるわけです。それが導入された現場において、このいわゆる勤務の割り振りというのは今と同じようにできるのか、年単位の変形労働時間制導入時にあらかじめ決めた労働時間を月の途中で変更することができるのかどうか、お答えください。大臣、お願いします。
文部科学省初等中等教育局長 (丸山洋司君)
お答えを申し上げます。
地方公共団体の条例に基づき、いわゆる勤務時間の割り振りが運用されているものと承知をいたしておりますが、今般の法改正により、勤務時間の割り振りができなくなるものではありません。
既に行われている勤務時間の割り振りに加えて、休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制を活用することも可能ですが、その場合は、一年単位の変形労働時間制の要件である、例えば少なくとも三十日前までに勤務日や勤務日ごとの勤務時間を決定することなどを遵守することが必要であります。
このため、勤務時間の割り振りと一年単位の変形労働時間制の活用を併用するに当たっては、勤務時間の割り振りを実施する必要がある期間については、一年単位の変形労働時間制の対象期間から除いていただくといった工夫が必要となります。
具体的には、例えば六月の修学旅行の実施のために勤務時間の割り振りを行う必要がある場合、休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制の活用は、この期間を除き、七月から年度末までとすることなどが考えられるところであります。
また、一年単位の変形労働時間制の活用に当たっては、一度決定した勤務時間等を校長等により恣意的に変更することはあってはなりませんが、この前提の下で、本制度を活用している期間であっても、例えば児童生徒の安全に関わる緊急の職員会議等を行う必要が生じた場合など、勤務日等を決定した時点で想定されなかった事情により、やむを得ず勤務時間の割り振りを行うこともあり得るものと考えております。
いずれにしても、一年単位の変形労働時間制は全ての学校、教師に一律に活用するものではありませんので、各学校、教師の実情に応じて、各教育委員会、学校において活用するか否かを御判断いただければというふうに考えております。
吉良よし子
もう一度確認させていただきたいんですけれども、いろいろ長々と説明があったので。一年単位の変形労働時間制と勤務の割り振り、併用できるという御答弁だったようには聞こえるんですけれども、ただ、あらかじめ年単位、また三十日前ごとに勤務時間を割り振っているわけですよね。その割り振りを途中で変更することは基本的にはできないということですよね。
政府参考人(丸山洋司君)
お答え申し上げます。
繰り返しになるかもしれませんが、学校において、一年単位の変形労働時間制を活用している時期であっても……(発言する者あり)可能でございます。
吉良よし子
できると。最初に聞いていた話と私違うんですけれども、年単位の変形労働時間制で決めているんですよ、割り振りが。決められているものを、途中で勤務の割り振りとして年単位の変形労働時間制を外さずに併用することはできるということですね。
政府参考人(丸山洋司君)
繰り返しになりますけれども、休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制については、少なくとも、先ほど申し上げました三十日前までに勤務日や勤務日ごとの勤務時間を決定することが必要であります。
また、一度決めた労働時間を使用者が業務の都合によって任意に変更することがないことを前提とした制度であり、対象期間中に随時変形労働時間制を変更することはできないものとされております。
このように、勤務日や勤務時間の特定時には予期しない事情が生じ、やむを得ず勤務日や勤務時間の変更を行わなければならなくなることも考えられますが、一年単位の変形労働時間制はそのような変更までも認めない趣旨でないものというふうに承知をしております。文科省として、適切な運用についてしっかりと周知徹底を図っていきたいと考えております。
吉良よし子
随時変更はできないのが基本だけど、突発的なことには対応し得るよというお話だったと。本当にそれができるのかどうかというのが疑問なところではありますが、できるということですので、では、そういうふうに運用していただきたいと思うんです。
ところで、今回の法案は休日のまとめ取りが目的だと、この間大臣はしきりにおっしゃっているわけですけど、ただ、変形労働時間制でなければ休日のまとめ取りができないのかどうかという疑問が湧いてくるわけです。
中教審答申でも、現在でも休日確保のために週休日の振替や年次有給休暇によって長期間の学校閉庁日を実施している地方公共団体もあるとしているわけですけれども、つまり、年単位の変形労働時間制活用しなくても、代休や年休など他の手段によって夏休みに休日まとめ取りを行うことも奨励されると、そういうことでよろしいですか、大臣、いかがでしょう。
国務大臣(萩生田光一君)
教師の自己研さんやリフレッシュの時間を確保することで子供たちに対して効果的な教育が行うことができることに資するとともに、教職の魅力向上につながることにより、意欲と能力のある人材が教師を目指すことを後押しすることになるものと考えており、一定期間のまとまった休日の確保の取組は重要です。
現在でも、実際に休日の確保のために週休日の振替や年次有給休暇の取得によって長時間の学校閉庁日を実施している自治体の例もあり、これらも重要な方法であると考えております。
しかし、現行制度上、週休日の振替は一般的には一日単位又は半日単位で行われ、一時間単位での割り振りはできません。また、年次有給休暇は特に初任者や臨時的任用の教師では日数も限られており、取得に当たって教師の側から意思表示をしなくてはなりません。このため、一時間単位で勤務時間を積み上げ休日のまとめ取りを行い得る選択肢を増やすために、地方公務員のうち教師については条例等に基づき一年単位の変形労働時間制を活用できるよう、法制度上措置すべきと考えております。
今回の法改正は、一定期間のまとまった休日の確保を更に後押しするためのものでありますが、一年単位の変形労働時間制の活用による休日のまとめ取りについては、あくまでも選択肢を広げることが目的であり、これ以外の方法も含めて各自治体の判断と選択により、休日のまとめ取りを推進していただきたいと考えております。
吉良よし子
つまり、変形労働時間制取らなくても休日まとめ取りをする手段はあるということなんですよ。休日のまとめ取りを目的とするなら、無理やり変形労働時間制を導入する必要がないということだと思うんです。問題は、休日をまとめ取りしようにもそれができないほどの業務があるということなんですよ。
この間、さいたま市では、今年七月にこの変形労働時間制のモデル校試行実施というのが行われているわけですが、そこの意見でも、夏休みは振替が多くて変形労働時間制で更に一日休みを取るのがきついんだと、そういう声があったわけです。とりわけ夏休みに大きな負担となっているのが、先ほど来話も出ています研修なわけですね。初任者研修とか中堅研修などの法定研修だけでなく、免許更新研修に都道府県単位、市区町村単位の、また学校単位の研修など各種の研修でもう夏休み期間中の予定がほぼ埋まっていると聞いているわけです。
大臣は先日の質疑で、教職員研修については、夏休みの真ん中にどんとあれば長期の休暇が取りづらくなりますので、その間は一切研修をしないということで来年の準備をしておりますと答弁されました。
夏休みの真ん中では一切研修しないということですが、じゃ、この間、夏休みに行われていた研修というのはどうなるのか。今後、もうそういう研修は一切やらなくてよくなるよと、そういうことでよろしいんですか、大臣。
国務大臣(萩生田光一君)
教育は人なりと言われるように、学校教育の成否は教師の資質、能力に懸かっており、教師が教職生涯を通じて研さんすることができる環境づくりは重要であると考えております。
一方、研修が教師の多忙化に拍車を掛けるようなことがないよう、また、長期休業期間に教師が確実に休日を確保できるようにするため、本年六月の通知において、都道府県と市町村の教育委員会間等で重複した内容の研修の整理、夏季休業中の業務としての研修の精選、研修報告書等について過度な負担とならないよう簡素化すること、実施時期の調整やICTを活用したオンライン研修を実施することなど、工夫を各自治体に促しているところです。
先日申し上げたのは、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業中の研修日程の見直しを図り、来年度は八月八日から十六日の九日間は研修を実施しない予定でございます。
吉良よし子
いや、ですから、その八月八日から十六日間実施しなくなった研修というのは一体どこでやるんですかと聞いているんですけれども、やらなくてよくなるんですか。
国務大臣(萩生田光一君)
教師は絶えず研究と修養に努めなければならないという教育公務員特例法第二十一条の規定にもあるとおり、教師の専門性を高める研修は非常に重要なものです。研修の実施権者は各自治体であり、具体的な研修の日程の設定は各自治体において行われるものではありますが、文部科学省としては、各自治体において効果的で質の高い研修を学校現場の状況を踏まえた適切な時期に実施いただけるように、引き続き指導、助言に努めてまいります。
吉良よし子
つまり、やらなくていいわけじゃないわけですよね。どこかでやらなきゃいけないわけですよ。そのどこかというのはどこなのかと。例えば学期中の平日に行うこともあり得るということでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君)
それは、日々の業務の中で更に時間外で研修を加えていくというのは、各自治体に裁量権がありますけれども、余り望ましいと思っておりません。
それで、先ほど申し上げたように、研修の中身も見直しましょう、また、報告書を簡素化しましょう、あるいはICTを活用したオンラインの研修の実施もやりましょうということで、その研修の中身は圧縮をしていきたいと思っております。
吉良よし子
圧縮するのは当然なんですけれども、それは別にこの変形労働時間制を入れようと入れまいが、こういう研修というのが重い負担になっているわけですから、圧縮するというのはもう再三言ってきていることで、やるとおっしゃっていることなので当然なんですけれども、結局、じゃ、夏休みにどんとやっていたものをやらなくなった分はどこへ行くのか。平日にやることもあり得るということですか。望ましくないとおっしゃいましたけど、禁止するわけではないですね。あり得るということですか。
国務大臣(萩生田光一君)
それは各自治体に裁量権がありますから、国が平日の研修はまかりならぬというような、そういう指導はなかなかしづらいと思います。
ただ、夏休みのせっかく真ん中に休日つくりましたので、その前後で上手に時間を使ってもらいたいと思っています。
吉良よし子
結局、夏休みのど真ん中で研修はしないよと言うけれども、なくすわけじゃなくて、それを寄せるということなわけですよ。多少圧縮は掛けるとしてもやめるとは言わない、それじゃ業務削減にはならない。むしろ、平日の勤務が延びる可能性、平日の業務が増える可能性もある。意味ないじゃないかと。
研修というのは絶えずやらなければならないと先ほど来大臣おっしゃっていますけれども、これは二十一条第一項によって、「その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」、つまり、本来は自らの問題意識に基づいて自主的に行うのが教員の研修の本来の在り方なんです。だから、むしろそういう自主的な研修を進めるためにも、法定研修なんというのは極力少なくするべきじゃないかということはこの間も議論しているわけで、長時間労働をなくすために業務削減をやるというのであれば、もうこうした行政主導の研修はどんどんやめていく、最低限にしていくと、そういう決断することこそが必要だということを申し上げておきたいと思います。
問題は、教員一人一人の長時間労働や業務が、負担がもう増え続けているだけではなくて、今度の制度導入で管理職の負担も増えるんじゃないかということなんです。
実際の変形労働時間制を運用することになったらどうなるか。先ほど来、個々の事情を勘案して云々というお話がありますから、ということは、校長若しくは副校長らが一人一人の教員から個々の事情を聞き取って、対象となる教員を決めて、年間スケジュールに合わせて月ごとの労働日、労働時間を定めて、毎月三十日前までに次の一か月分の勤務スケジュールを一日ずつ決めていくと、そういう作業が発生していくわけですよね。対象になる教員と対象にならない教員がまずいますと。さらには、学年ごとに年間スケジュール変わってきますから、修学旅行とか林間学校とか様々日程違いますから、つまりは学年ごとの年間スケジュールが変わってくると。そういうことでいえば、少なくとも小学校でいえば六から七パターンとか、中学校でいえば三パターン、四パターン、時間配分作っていかなきゃいけなくなってくると思うわけですけど、資料を見ていただきたいと思うんです。
これ、既に年単位の変形労働時間制が実施されている国立大学附属の学校で作成されたスケジュール表なわけです。労働日と総労働時間が各教員によってそれぞれ違っていて、数えたところ、年間で見れば九パターンに分かれています。これを毎月作成したのが二枚目、三枚目の資料になるわけで、この四月の場合は四パターンにしかなっていないわけですけれども、年間でいえば九パターン分これ作る。
こうやって一人一人の教員の時間配分していく、これだけでも学校管理職の負担、かなりのものになると考えられるわけです。実際、参考人質疑の中でも、今まで全くやっていなかったものをするわけですから、それは業務が増えるに決まっているとの声もありましたし、先ほどのさいたま市の結果でも、服務管理担当する教頭、事務担当の負担が増えるのが心配と声が上がっていると聞いておりますが、つまり、この変形労働時間制導入すると、確実に校長、副校長、教頭、管理職の事務負担、増えるということでよろしいでしょうか。
政府参考人(丸山洋司君)
お答えを申し上げます。
休日のまとめ取りのためにその一年単位の変形労働時間制を活用するということに当たっては、具体には、その年度が来る前年度末に、委員がおっしゃいましたように、学校の年間計画を踏まえて一年間を見通して各職員の日々の勤務時間を考え、改正後の給特法や文部科学省令、指針に適合するように勤務時間を割り振る業務が一時的に生じると。また、年度を通して各職員ごとに異なる勤務時間を日々管理する業務が生じるということが考えられます。
ただ、このような業務については、先ほど来御説明をさせていただいていますが、例えば、統合型校務支援システム等を活用して勤務時間を割り振る業務と日々の勤務時間管理を一体的に行うことが効率化につながるものというふうに考えており、管理職や例えば事務職員の負担等も軽減する、そういった観点から、今後、教師はもとより、児童生徒もICTを十分活用することのできるハードウエア、ネットワーク等の環境整備を達成するため、統合型校務支援システムの導入や一人一台を視野に入れた整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
こういった取組に加えて、業務の明確化、適正化の徹底を図った上で、文部科学省や教育委員会から発出をされる調査等の精選、学校徴収金の公会計化、スクールサポートスタッフの配置などを一体的に図り、学校全体の事務作業の効率化に向けた取組を推進し、本制度の導入に向けて管理職等の負担が増大をしないよう、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
吉良よし子
いや、業務は増えるんですよね。最初にお答えになりましたよね。様々な業務負担が増えるわけです。長時間労働縮減のために業務削減すると言いながら、変形労働時間制によって管理職、若しくは事務職の業務負担増やしていると。言語道断だと思うんです。
とりわけ教員の勤務実態調査において、特に副校長や教頭の勤務時間というのは長いんですよ。ほかの教員に比べても、週単位でいえば十時間、週で六十三時間になっている、副校長、教頭は十時間多いんです。一日も十二時間超えているんです。その管理職の業務を更に増やすというのは話にならない。働き方改革なんて言っていただきたくないと思うんです。
事務職員等々、負担分担するとか言いますけど、事務職だって非正規化が進んで学校現場に事務職いないような学校もいるわけで、そういう中で、共同学校事務で複数校の事務を担当する、余計にもう業務負担増え続けている中で、事務職が過労で倒れたという実態も聞いているわけです。ICT化と言いますけれども、結局、最終的には個々の教員の実態を聞き取るのは面談じゃないとできないんです。ICTでできることなんて限りがあるんですよ。そういう意味では、こういう業務負担を増やす変形労働時間制の導入というのは、やっぱり私はあり得ないと言いたいと思います。
もうこういうことを一つ一つ挙げていくと、やっぱりこの法案通ったとしても、うちの学校では変形労働時間制はふさわしくないんだと、導入したくないんだと、そういう学校現場の声が上がってくるのは想像に難くないわけです。
ここで制度導入プロセスに関わって確認したいんですけど、たとえ条例で年単位の変形労働時間制導入決まったとしても、その後でも、各学校で検討の結果、この変形労働時間制をうちの学校では導入しないと決めたと、反対だとした場合には、その学校には制度導入を強要しないということでよろしいですか。イエスかノーかで端的にお答えください。
国務大臣(萩生田光一君)
本制度の活用に当たっての手続や段取りとしては、公立小中学校の場合、まず各学校で検討の上、市町村教育委員会と相談し、市町村教育委員会の意向を踏まえた都道府県教育委員会が改正後の給特法や文部科学省令、指針などを踏まえて条例案を作成し、都道府県議会で成立の上、この条例に従って、学校の意向を踏まえ、市町村教育委員会が導入する学校や具体的な導入の仕方を決定することとなると考えております。
したがって、今のようなことは当然生じることもあり得ると思います。
吉良よし子
つまり、学校単位で制度を導入しないという判断はできるし、強要はされないということだったと思います。
あわせて、もう一点聞きます。
一回、変形労働時間制、条例が成立して、この学校でも導入するということを決めたんだと、一回、一年やってみた、けれども来年度は取りやめるという判断もでき得ると、毎年度ごとに各学校において導入するかどうかを決めると、そういうことでよろしいですか。大臣お願いします。一言でお願いします。
政府参考人(丸山洋司君)
委員御指摘のとおりであります。
吉良よし子
つまり、全ての学校に一律にこの変形労働制を条例で決めたからといって導入するということはあってはならないということだと思うんです。
例えば、条例で全ての学校に一律に導入するなんてことは書いてはならないということだと思うんですけれども、それ、はっきりと省令や指針で示すべきと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
国務大臣(萩生田光一君)
改めて省令や指針にそれを書く予定はないんですけれど、繰り返し答弁していますように、各学校の事情によって採用する、採用しないの選択肢が広がるというふうに思っておりますので、そこは裁量権は学校現場に委ねたいと思います。
吉良よし子
これ基本的なことなんで、多分きっと運用で何とかなるはずとかではなくて、やっぱりきちんと明記していただくというのは大事だと思うんですよ。一律にやってはならない、強制してはならないって、そういうことを担保していかなければ法律が法律たり得ないと思うんです。法律じゃなく省令に書けということを私言っていますけどね。
もう一つ確認をしたいことがあります。職員団体との交渉です。
この間の答弁で、この変形労働時間制についても勤務条件だと、だから、各地方公共団体において各職員団体との交渉事項に当たるんだという答弁もあります。先ほどのプロセスが、公立小中学校での検討があって、市町村教育委員会と相談して、また都道府県委員会でもその意向調査をして、そして条例案を作成して、また各現場に下ろしていくという、そういうプロセスがあるわけですけど、つまり、この各学校の意向を最初に聞く段階、検討を始める段階、それから市町村教委、都道府県教委などの意見集約の段階、条例制定の前後、そして具体的に学校で運用の具体化、どうしていくかという段階、様々プロセスありますが、それぞれ全ての段階で職員団体との交渉が行われると、そういうことでよろしいですか。イエスかノーかでお答えください。
国務大臣(萩生田光一君)
地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則で、団体意思として条例によって決めることは先生も御披露いただいたとおりでございます。
地方公務員法第五十五条の交渉は、登録を受けた職員団体から申し入れるものとされており、現状では学校単位の団体で職員団体として登録しているものは余りないと思われますが、登録を受けた団体との間であれば、地方公務員法上の交渉が行われることもあり得ると考えております。
このように、各学校において地方公務員法上の交渉が行われることもあり得ますが、地方公務員法上の交渉とはならない場合であっても、具体的に今回の制度を活用する対象者を決めるに当たっては、校長がそれぞれの教師と対話し、その事情などをよく酌み取ることが求められており、それを文書などの形で記録を残すことが望ましいと考えております。
吉良よし子
校長等と交渉、話合いを行うことができるという御答弁だったと思うんですけど、私が今聞いているのは、各段階で、全ての段階で交渉、つまり交渉は一回限りで終わりじゃないですよねと。
各学校現場で導入するかどうか検討を始めた段階、市町村教委で意向を聞いている段階、都道府県教委が意向を聞いている段階、条例を作る段階、またそれを条例を作った後に各学校現場に下ろしていく段階と、様々な段階がこの制度導入のプロセスに当たってあるわけですけど、検討している段階、条例を決めている段階、そして条例が決まった後に導入する段階、全ての段階で交渉が可能だということでよろしいですか。
国務大臣(萩生田光一君)
五十五条の交渉は、その登録を受けた職員団体からの申入れをするものでありまして、例えば都道府県で交渉団体との話合い、市町村での話合い、こういったものは担保されると思います。
吉良よし子
担保されるとおっしゃっていますけれども、結局、本来だったら、労基法上は、これは労使協定で労使交渉は必須なんですよ。ただし、今回、条例で読み替えられている以上、この交渉というのが必須事項じゃなくなっているからそれが問題で、もうこれ、だから何度も確認しているんですけれども、本当にこの不利益な条件になってしまう、契約になってしまう変形労働時間制を団体との交渉を必須としないまま導入してしまうということはやっぱり問題だということを強く申し上げて、私の質問を終わります。
<反対討論>
吉良よし子
私は、日本共産党を代表して、給特法の改正案について反対の討論を行います。
本法案は、公立学校教員に一年単位の変形労働時間制を導入しようとするものです。厚労省の通知によると、この制度は恒常的な時間外労働はないことが前提だとあります。二〇一六年の勤務実態調査でも、小学校では月五十九時間、中学校で月八十一時間もの時間外勤務が蔓延していることが明らかな公立学校教員に制度を導入できる前提など全くありません。
大臣は、月四十五時間の時間外労働を上限とするガイドラインの遵守が大前提として制度を導入するとしていますが、勤務時間の把握もこれからです。始業前にタイムカードの打刻ができない、打刻時間を指定されるといった虚偽の時間把握も蔓延しています。そもそも、制度導入の是非を議論できる段階にはないのです。
また、政府は、この制度は休日まとめ取りのための制度と説明していますが、年休や代休の活用など、変形労働時間制以外の手段で休日をまとめ取りすることは可能です。むしろ、休日が取れないほどの業務負担が増大していることこそが問題です。
また、平日の定時延長により長時間労働が助長される懸念もあります。民間の職場では、変形労働時間制で働く労働者の方が月十五時間も労働時間が長くなっているという調査があります。
また、変形労働時間制の導入によって管理職の事務負担が大きく増えることが質疑で明らかになりました。
一年単位の変形労働時間制は、一年間という長期にわたり八時間労働の原則を崩す重大な労働条件の不利益変更です。だからこそ、労働基準法は、一年単位の変形労働時間制の適用条件として、過半数労働者の同意を必須とする労使協定の締結など厳しい条件を課しているのです。本法案で地方公務員である教員に労使協定さえ結ばずに条例で変形労働時間制の導入を可能とするのは、労使対等原則の改悪にほかなりません。
教員の長時間労働是正のためにすぐやるべきは、教員の持ちこま数の上限をつくり、それに応じ教員を抜本的に増やすこと、全国学力テストや多過ぎる研修など、多忙化の原因となっている業務を文科省が削減すること、そして、給特法の残業代の不支給と労働基準法第三十七条の適用除外の規定を削除し、教員に働いた分の残業代を支払うよう抜本改正することです。
日本共産党は、教職員の異常な長時間労働をなくし、子供たちの豊かな学びを保障するために全力を尽くす決意を申し上げ、討論といたします。