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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第200臨時国会

【給特法改定案質疑】時間外勤務是正せよ 教員変形労働制 導入前提なし

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は、26日の参院文教科学委員会で、安倍政権が公立学校教員に対する「1年単位の変形労働時間制」を導入しようとしていることについて、「恒常的な時間外労働がない」ことを前提としたものでありながら、時間外勤務をそのままにしていることを強く批判しました。

 文科省は導入の前提として月45時間、年間360時間以内の時間外労働を可能とした「上限ガイドライン」の順守を挙げています。文科省の丸山洋司初等中等教育局長は、週55時間以上の勤務をしている教員が小学校で57・8%、中学校で74・2%(2016年の勤務実態調査)と答えました。吉良氏は教員の多くが上限ガイドラインにも達していないとし、「導入できる前提が整ってないということだ」と批判しました。

 さらに吉良氏が、制度導入後、上限ガイドラインが順守できない場合はやめるのかと質問したのに対し、萩生田光一文科相は「導入後、順守されない場合は制度の指定を取りやめる」と明言。吉良氏は省令に示すべきだと強調しました。

 また吉良氏は、勤務時間管理において「虚偽の記録」がまん延している実態を告発。「把握していない」と述べた丸山氏に対し、吉良氏は「学校現場が勤務時間を守れるように環境を整えるのは文科省の責任だ」とし、「適切な時間把握すらできていないもとで変形労働時間制導入はとんでもない」と批判しました。

しんぶん赤旗2019年11月27日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 午前中以来、様々法案について議論がされていますが、私は、本法案の最大の問題点は変形労働時間制、総労働時間の縮減ができないばかりか、長時間労働を更に加速させかねないこの変形労働時間制を学校現場に導入するということだと思っております。
 本会議でも申し上げましたが、変形労働時間制、厚労省の通知によると、恒常的な時間外労働がないことを前提とした制度とされております。しかし、大臣は、この前提については制度の趣旨だと答弁された上で、時間外労働があるものと承知しているという答弁をされました。ただ、私が伺ったのは前提なんです。制度導入後に結果として時間外労働があるかどうかということを聞いているわけではないわけです。
 そこで、もう一度大臣に伺いたいと思うんですけれども、現在、もう超長時間労働がはびこっている、多忙化している学校現場、深刻なこの長時間労働がはびこっている学校現場で、その労働時間が一切縮減できていなくても変形労働時間制導入可能ということでしょうか、お答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 労働時間の縮減を前提として導入することを規定をしております。

吉良よし子

 労働時間の縮減が前提だというお話でした。じゃ、恒常的な時間外労働がないということが前提だということでよろしいんですね。

国務大臣(萩生田光一君)

 御指摘のとおり、平成六年に一年単位の変形労働時間制が導入された際の労働省の通知においては、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度であることとされています。これは、一年単位の変形労働時間制は、あらかじめ見込んだ業務の繁閑に合わせて労働時間を配分するものであり、あらかじめ予想される繁忙による対応等は本制度による労働時間の配分で対応することを前提とする制度の趣旨を述べたものと承知しています。その上で、この一年単位の変形労働時間制を導入する場合でも、労働基準法の規定により、時間外労働があるものとしております。
 公立学校においては、まず業務の削減を徹底した上で、学校行事等に伴いあらかじめ予想される時間外勤務について、一年単位の変形労働時間制の活用により勤務時間を延長し、それを一時間単位で積み上げて長期休業期間中に休日のまとめ取りを行うこととしており、あらかじめ予想される恒常的な時間外労働はないことを前提とする制度の趣旨に合致しています。
 他方、休日のまとめ取りを導入しても時間外勤務が生じることはあり得るものですが、今回新たに策定する指針における在校等時間の上限を踏まえ、業務の削減を徹底的に進めてまいりたいと思います。

吉良よし子

 やっぱり言っていることが分からないんですよね。
 恒常的な時間外労働がないということが前提だというならば、やっぱり今の学校現場で、在校等時間、勤務時間が、やっぱり時間外労働、残業と呼ばれるような勤務時間があってはならないということだと思うんです。一日七時間四十五分以上働いている教員が学校現場からいなくならない限り、変形労働時間制導入できないと言わなきゃいけないことだと思うんです。
 先ほど上限ガイドラインなどの話もありました。月四十五時間、年間三百六十時間というこの上限ガイドラインですが、これだって時間外労働が月四十五時間まで、年間三百六十時間まで可能だと言っている。もうその時点でやっぱり恒常的な時間外労働がないという前提から反している事態だと言わざるを得ないと思うんです。
 改めてもう一点伺いたいんですけど、じゃ、この大前提だとおっしゃっている上限ガイドラインだって遵守できるのかという疑問もあるわけなんです。改めて聞きますけど、この上限ガイドラインを遵守しているという状況というのは、この上限ガイドラインを超えて学校で働いている教員が一人もいない状況だということでよろしいでしょうか。

文部科学省初等中等教育局長(丸山洋司君)

 お答え申し上げます。
 改正法が成立した場合に新たに制定することとなる指針におきまして、休日のまとめ取りのために一年単位の変形労働時間制を活用するに当たっては、指針の上限時間を遵守することなどを規定をすることといたしております。
 一年単位の変形労働時間制の活用に当たっては、対象となる職員の範囲を定めることとなっており、活用する学校においてもその全ての教育職員に画一的に活用することを想定しているものではありません。このため、指針の上限時間の遵守については、一年単位の変形労働時間制を活用して休日のまとめ取りを行う教育職員それぞれについて、その在校等時間が指針の上限時間を遵守していることを想定をいたしております。

吉良よし子

 これも分かりにくい答弁なんですけど、つまりは、変形労働時間制導入する、適用される教員は上限ガイドラインが遵守されていることが必要だと、そういうことでよろしいですか。

政府参考人(丸山洋司君)

 そのとおりであります。

吉良よし子

 つまり、やっぱり上限ガイドラインが遵守されなければ変形労働時間制は導入できないと、全員が遵守できていなければその学校に変形労働時間制を導入することはできないということだということなんですよ。
 ここで確認します。現在、じゃ、月四十五時間を超えて超過勤務、時間外労働をしている教員は全体の何割になっているのか。二〇一六年の勤務実態調査で、上限ガイドライン以上で働いている教員、ざっくりですけれども、週五十五時間以上働いている教員の割合というのは足し上げるとどの程度になるのか、小学校、中学校、それぞれ答えてください。

政府参考人(丸山洋司君)

 お答え申し上げます。
 平成二十八年度に実施をした教員勤務実態調査の結果によりますと、週五十五時間以上勤務している教諭の割合は、小学校で五七・八%、中学校で七四・二%となっております。

吉良よし子

 小学校で約六割、中学校で七割以上が週五十五時間以上。
 ちなみに、月四十五時間の時間外というと、計算すると週五十一時間以上働いている場合が大体それに該当するんです。だから、五十五時間以上でも少ないぐらいで、実際はもっと多く、六割、七割以上の教員が今現時点で月四十五時間以上の残業を行っている。つまりは、もう今現時点で変形労働時間制導入できる前提は整っていないということでよろしいでしょうか、大臣。

国務大臣(萩生田光一君)

 休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制の活用に当たっては、指針における在校等時間の上限を遵守することとしており、まずは業務の削減に総力戦で取り組むことが必要であると考えています。
 他方で、実際に本年一月の公立学校の教師の勤務時間に関する上限ガイドラインを踏まえ業務を大幅に縮減した学校も出てきているところであり、このような状況を踏まえれば、一年単位の変形労働時間制を活用して、一時間単位で勤務時間を積み上げ、休日のまとめ取りを行い得る選択肢を増やすことは意味あることだと考えております。
 こうした状況を踏まえ、文部科学省としては、業務縮減に向けた取組として、予算、制度、学校現場での改善の総力戦を徹底して行い、その組合せで成果を出していくとともに、政令や指針によって適切な運営を担保した上で、夏休みのまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制の活用に同時並行で取り組んでいきたいと考えています。

吉良よし子

 いや、そうじゃなくて、導入の前提の話をしているんです。
 ガイドラインの遵守は変形労働時間制導入の大前提だと大臣御自身がおっしゃっているわけです。現時点で、その月四十五時間以上働いている教員が、小学校で六割、中学校で七割、少なくともいるわけです。ということは、変形労働時間制を導入できるような状況にはない、現状はそういう状況ですねと確認をしているんです。現状について伺っています。

国務大臣(萩生田光一君)

 先ほど局長が答弁した数字は調査結果で、いろんな実態があると思います。逆にこういうきっかけがないとやっぱり勤務時間の縮減はできないというふうに思っておりますので、ここは我々は法律を作り、そして現場で条例を作りますので、その間に在り方については是非しっかりと確立をしてまいりたいと思います。

吉良よし子

 それじゃ前提と言えないわけですよ。やっぱりガイドラインが確実に遵守されたと確認されなければ制度導入できないんだと、それが大前提だという話だと思うんです。
 もう一点確認をしたいと思うんですけど、じゃ、変形労働時間制を一旦導入したと、導入したけれども、やっぱり長時間労働が続いて上限ガイドラインが遵守できていない状況が続いたと、その場合は直ちにこの変形労働時間制の適用はやめると、そういうことでよろしいですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 改正法が成立した場合に新たに制定することとなる指針において、一年単位の変形労働時間制を活用することに当たっては、指針の上限時間を遵守することを規定することとしております。
 このため、年度途中等にこうした要件が明らかに遵守できない状況が生じた場合には、まずは各教育委員会等において遵守に向けて是正されるべきであると考えておりますが、それでもなお要件が遵守できないこととなれば、服務監督権者である教育委員会において、休日のまとめ取りのための一年単位の変形労働時間制の活用の指定を取りやめることとなると考えております。
 ただし、例えば、一学期に所定の勤務時間を延長していた場合であって一学期中に要件の遵守が困難であることが明らかになったときは、既に所定の勤務時間を延長した分については夏休み等の長期休業期間中に確実に休日のまとめ取りを実施した上で、一年単位の変形労働時間制の活用の指定を取りやめるようにしてまいりたいと考えております。
 いずれにせよ、一年単位の変形労働時間制の活用に当たっては、要件がしっかりと遵守された上で適切に運用がなされるよう、人事委員会においても必要に応じ適切な対応を行うよう、総務省とも連携しながら、文部科学省としても要請しているところです。

吉良よし子

 大事な答弁だったと思うんです。
 要するに、変形労働時間制を導入した後であっても上限ガイドラインが遵守できていなかったとなれば、この制度の適用を取りやめるということなんですよね。これが大前提だというのであれば、やっぱりそれをきちんと書くべきだと思うんです。
 ガイドラインが遵守できなかった時点で適用をやめると、少なくとも省令でこの指針が遵守できなかった場合は制度を適用できないと、こう明記するべきと考えますが、いかがでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)

 年度途中に一年単位の変形労働時間制の活用の指定を取りやめる場合は、その後具体的にどのように運用するかについて条例等を定める際にも工夫を要すると考えられるため、関係省庁とも相談の上、各地方公共団体に対して指導をしてまいりたいと思います。

吉良よし子

 そうじゃなくて、大前提だというなら、それが分かるように省令に書くべきじゃないかと言っているんですね。
 指針が遵守できない、上限ガイドラインが遵守できない場合は制度の適用はできませんとはっきりと省令等に明示するべきじゃないですか。

政府参考人(丸山洋司君)

 その件については、施行の通知の方でしっかりと書いて指導していきたいというふうに考えております。

吉良よし子

 施行通知とか、それで守られるのかというのが現場の声なんですよ。いや、ちゃんと省令に書くぐらい、本当は法文に書いてもいいぐらいのことだと思うんですけど、省令に書くぐらいやっていただきたいと思うんです。
 時間がないのでちょっと次に移りますけれども、このガイドラインを遵守するといったときに、やはり勤務時間の正確な把握、これも絶対に欠かせない条件だと思うんです。これも、この勤務時間の正確な把握というのも変形労働時間制の導入の前提となると思うのですが、それでよろしいでしょうか。大臣、いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 そのとおりでございます。

吉良よし子

 勤務時間の正確な把握というのは変形労働時間制導入の前提だということでした。
 この勤務時間の記録については、先ほど来議論もされていますが、中教審等でも強調されていて、二〇一七年以来、勤務時間の把握を形式的に行うことが目的化し、真に必要な教育活動をおろそかにしたり、虚偽の記録を残す、残させたりすることがあってはならないというふうなことが言われてまいりました。
 そこで、確認しますが、じゃ、現時点で、公立学校でこうした虚偽の記録は基本的には行われていないという認識なのでしょうか、いかがですか。

政府参考人(丸山洋司君)

 現時点において、そういう状況については承知いたしておりません。

吉良よし子

 承知していないと。それで済むのでしょうかという話なんです。
 私、この間、都内の幾つかの区や市などで、その勤務時間の把握、どうなっているか伺ってきました、タイムカードは導入されたけれどもということで。ある区では、超過勤務月八十時間、週二十時間の人をゼロにするという目標達成ができなくなるので五時半には打刻してくれと管理職に言われているという実態がありました。ある市では、校長先生が勤務時間過ぎたらとにかく退勤と押してくれと指導していると聞きました。また、別の市の小学校では、副校長が早めに押すようにと指導していたり、また、別の市の中学校では、どんなに朝早く学校に来てもタイムカードは勤務時間になってからと言われているなどあるわけです。
 これ、正確な記録どころか虚偽の記録が蔓延しているということだと思うんですけれども、これ、ちゃんと調べるべきじゃないですか。

政府参考人(丸山洋司君)

 勤務時間管理につきましては、先ほども答弁をさせていただきましたが、労働法制上、これまで学校等の責務とされていたわけですが、昨年の働き方改革推進法によりまして、労働安全衛生法等の改正によって、タイムカード等による客観的な方法による勤務時間の状況の把握というものが公立学校を含む事業者の義務として法令上明確化をされたということでございます。
 文科省としても、従来よりこの勤務時間管理の徹底ということについては呼びかけをしてきたところでございますが、本年一月のガイドラインにおいても、在校時間についてはICTの活用等客観的に測定をし、校外の時間も本人の報告等を踏まえてできる限り客観的な方法により計測することといたしております。今回新たに策定をします指針においても同様の内容を示すこととしていくわけでございます。
 業務改善を進めていく上でこれは基礎となるものでございますから、客観的な勤務時間管理というものは不可欠であるというふうに考えておりますので、委員の御指摘のとおり、実際より短い虚偽の時間を記録に残すといったようなことは絶対にあってはならないということだというふうに考えております。

吉良よし子

 あってはならないのは当然で、そういう実態が蔓延しているということを私聞いているわけですから、そういった事態がもう全国にあるんです。東京だけじゃないですよ、全国でも、朝七時前に出勤しても打刻は八時半にしか付けられないなんという声が東京以外の現場から上がっているわけで、その状況を調べるというのは大前提だと思うんですけれども、改めてもう一つ聞きます。
 先ほど、虚偽の記録があった場合には懲戒の対象になるとありました。じゃ、この虚偽の記録によって懲戒をされた、そういう事例というのは今全国で何件ぐらいあるのか承知されていますか。

政府参考人(丸山洋司君)

 委員の御指摘のとおり、万が一そういった虚偽の記録を残すようなことがあれば、これは状況によっては信用失墜行為ということで懲戒処分の対象となり得るものだと思いますが、現時点ではその状況について把握はしておりません。

吉良よし子

 要するに、実態の調査も行っていないし、懲戒すら行われたのかどうかも分かっていなくて、現場では適正な時間管理把握が行われていない状況なんですよ。
 これはもう本当に変形労働時間制なんて導入するような状況じゃないと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 まさしく、そういう実態が私もないとは言えないと思います。実際には、タイムカードを押した後に引き続き職場に残って働いている方がいらっしゃる実態も承知をしております。
 だからこそ、こんなことを続けていたらやっぱり教員の皆さんがもう本当にもたなくなってしまうと思います。今回の法改正を機に、言うならば、労働管理というのを学校現場できちんとやって、そしてそれを客観的に教育委員会も把握をして、それを守れない者は公表してでもきちんと正していく、それが今回の決意でありまして、是非ここは皆さんのお力を借りて教育現場を変えていきたいと思っております。

吉良よし子

 私が聞いているのは、もちろん正確な労働時間を把握するよう徹底するのは是非やっていただきたいことですけど、結局、現時点では虚偽の時間把握が蔓延しているわけですよ。もうブラック企業と言ってもいいような状況だと思うんですけれども、それが全く実態も把握されていないようですけど、文科省の中では。これが問題だと、少なくとも、そういう一斉打刻なんかが行われている学校現場においては、虚偽の時間把握が行われている現場においては、変形労働時間制、これ導入なんてできる状況ではない、変形労働時間制の導入はできないと、それでよろしいかどうか、大臣、お答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 勤務時間管理は、従来より、労働法制上、教育委員会や学校の責務とされていましたが、働き方改革推進法による労働安全衛生法等の改正により、タイムカードなどの客観的な方法等による勤務時間の状況の把握が公立学校を含む事業者の義務として法令上明確化されました。このため、一年単位の変形労働時間制の導入いかんにかかわらず、客観的な方法等によって勤務時間管理は不可欠であると考えております。とりわけ、一年単位の変形労働時間制の実施に当たっては、勤務時間管理が徹底されていなければ導入することはできないものと考えております。
 文部科学省としては、今後、客観的な方法により在校等時間の把握をしていない教育委員会名を公表するなど、取組状況を都道府県、市町村別に公表することとしているところですが、一年単位の変形労働時間制の導入に当たっては、必ず客観的な方法等による勤務時間管理が実施されるように徹底を促してまいりたいと思います。

吉良よし子

 時間把握、正確に行っていないと導入できないという御答弁でした。じゃ、これ、はっきりと省令等に書くべきだと思うんですね。虚偽の時間把握、虚偽の記録では変形労働時間制導入できない。正確に勤務時間実態を把握していなければ変形労働時間制は導入できないということを省令等に明示するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(丸山洋司君)

 先ほども申し上げましたけれども、一年単位の変形労働時間制の導入のいかんにかかわらず、まず、タイムカードなどの客観的な方法による勤務時間の状況の把握については、法令上明確に公立学校を含む事業者の一般的なこれ義務となっているわけでございます。
 このため、一年単位の変形労働時間制の導入の要件として、改めて指針において現在記載をするかどうかということを検討しておりますけれども、本年一月に策定をしました公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインにおいても、在校時間をICTの活用やタイムカード等により客観的に測定し、校外の時間も本人の報告等を踏まえてできる限り客観的な方法により計測をすることとしており、指針においては、一年単位の変形労働時間制の導入にかかわらず同様の内容を実施をするように示すということとしております。

吉良よし子

 いや、制度導入にかかわらずというのはそうだと思いますけれども、ただ、やはり変形労働時間制、先ほど来言われているとおり、上限ガイドライン、遵守することが大前提で、しかも、それをするためには、その遵守を確認するためには時間管理をきちんと正確にしないことにはあり得ない話なわけで、変形労働時間制を導入する上での前提であると、時間把握は、それはもうセットなんだよということを分かるようにするのは文科省の責任だと思うんですけれども、もう一度、省令に書くべきじゃないですか、大臣、いかがですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 それ、大事なポイントだと思います。
 省令では今考えていませんけど、今局長答弁したように、指針の中できっちり伝えていきたいと思いますし、これも、ただ単に紙ベースじゃなくて、この法律が成立をさせていただいた後に、先ほどから申し上げているような様々な説明会の中でも徹底をしてまいりたいと思います。

吉良よし子

 しっかり明示して、書いていただきたいと思うんです。そうじゃなくても、指針に書いても書いてもそれが実行されていないのが学校現場なんです。それは学校現場が悪いんじゃなくて、文科省の責任なんですよ。文科省の責任でちゃんとそれが守れるような条件を整えていかなきゃ。この間だって、新学習指導要領で英語が教科化された。じゃ、増やすと言ってた英語教員は増えたのか。実際には専科教員じゃない教員が配置されるだけで、結局、多くの学校では担任の先生が英語も持たざるを得なくなった。業務が増えていると、そういう現実があるにもかかわらず、負担増がないなんて言っているのが今の文科省なんです。
 それだと、幾ら変形労働時間制で労働時間を縮減するなんて言われても信用できない、これが現場の教員の皆さんの本音だと思うんです。だから、それじゃ駄目なんですよ。人増やさない、業務は増やして、適切な時間把握すらできていない。そういう下でもう変形労働時間制導入なんて絶対にあり得ないんだということを強く申し上げまして、今日のところは質疑を終わります。