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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第200臨時国会

トリエンナーレ補助金 不交付の撤回要求

要約

 日本共産党の吉良よし子参院議員は7日の参院文教科学委員会で、文化庁が国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金を不交付とした問題を取り上げました。

 吉良氏は、芸術活動への助成を行う際、その内容に口を出さないことが原則であることを確認。萩生田氏は「その通り」と否定はしませんでした。

 吉良氏は、一方で「あいちトリエンナーレ」では補助金の不交付を決定していると批判。展示の内容や起こり得る事態を事前に申告すべきだという文化庁の説明では展示内容について報告を義務づけていることになると指摘し、不交付の撤回を要求しました。

 吉良氏は、展覧会などの管理責任者たちから「作品について何か言われるのか」などの不安の声が上がっていると述べ、文化事業が妨害されれば「補助金の取り消しが誘引される悪しき前例となってしまう。妨害・暴力を容認・追認するという文化芸術の振興をする文化庁としてあるまじき判断だ」と批判。「文化庁は文化を壊すな」の声に向き合うべきだと主張しました。

しんぶん赤旗20219年11月15日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、まず、あいちトリエンナーレへの補助金不交付に関わって質問をいたします。
 あいちトリエンナーレ、表現の不自由展・その後をめぐって様々な意見が噴出しているわけですけれども、SNSなどでは、そもそも芸術に公金を出すこと自体がおかしいなどと、国や地方公共団体が文化芸術を支援、助成すること自体に対する批判の声まであります。
 一方、大臣は、先日の所信的挨拶の中で、文化芸術基本法に触れて文化芸術立国の実現に言及されておりますように、文化芸術基本法に基づくならば、誰がどこにいても文化芸術を創造し、触れることができるようにしていくために文化芸術へ公的支援、助成をしていく、これは大事なことであり、ひいては、ありとあらゆる多様な表現の場を公ができる限り保障していくということが文化庁の役割だと思いますが、この文化芸術に対する公的支援の意義、目的をどう考えておられるか、大臣、お願いいたします。

国務大臣(萩生田光一君)

 文化芸術基本法では、我が国の文化芸術の振興を図るために、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨とし等と規定されており、人々の心豊かな生活を実現するための社会的財産として文化芸術を振興することが重要であると考えています。
 お尋ねの公的助成の在り方につきましては、文部科学省として、文化芸術活動や国際文化交流の推進に当たり、このような文化芸術基本法の理念を踏まえ、文化芸術活動を行う者の自主性と表現の自由を十分に尊重しつつ施策を推進をしてまいりたいと思っています。

吉良よし子

 文化振興のために必要なものだという答弁でありました。
 そもそも、演劇や美術、映画、音楽など、文化芸術というのはお金が掛かるものなわけです。けれど、文化芸術基本法では、全ての国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず、ひとしく文化芸術を鑑賞し、参加し、創造することができるような環境の整備、図られなければならないと書かれているわけでして、まさにこの環境整備が国の仕事だということだと思うわけです。
 実際、様々お話伺いますけど、大きな芸術祭であっても、文化庁からの補助金を含めてももうぎりぎりの運営でやっていると、もう公的支援なしには運営できないのが現状だという話も聞いておりますし、また一方、公的支援、助成があることで、個人だけでは挑戦しにくい、商業性を得にくいテーマであっても積極的に扱うこともできるようになるという話をアーティストの皆さんから伺っています。つまり、公的助成というのは様々な、多様な文化芸術に挑戦して発展させるために必要な、契機となる重要なものだと。
 その上で、そうした様々な文化芸術を発展させるためには、先ほど大臣がおっしゃったような表現者の自主性を尊重することはもう欠かせないと。文化芸術基本法には、芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、自主性を尊重することとあるわけですけれども、つまりは、文化芸術に公的補助を出す場合、文化庁、国は個別具体の作品の内容には直接口は出さない、これは大原則だと思うのですが、いかがでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)

 そのとおりでございます。

吉良よし子

 そのとおりということでした。
 実際、その文化芸術基本法に表現の自由、書き込むようにということは、我が党もその法案作成過程で主張してきたものですし、この文教科学委員会でも、歴代大臣の答弁でもその重要性というのは確認されてきたものだと思います。つまり、公的支援や助成において国が芸術の内容に口出しすることは絶対に許されないことなんです。
 一方、あいちトリエンナーレでは何が起きたかというと、補助金の不交付が起きたと。その理由について文化庁は、愛知県は展覧会の開催に当たって、来場者含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、それらの事実を申告することなく採択の決定を受領したなどなど、そうした事実を申告しなかったことが問題だとしているわけですけど、つまりこれは、こういう展示をするのでこういう事態が起きる可能性がありますということを事前に申告しろということになるわけです。
 となれば、場合によっては文化庁の側が、いや、そういう事態が起きるような展示、やめた方がいいとか、そういう事態が起きる展示作品がある場合は助成が出せないということにもなりかねないわけで、それこそ、展示の個別具体の内容まで含めて文化庁、行政が審査する、内容に口出しする検閲そのものになってしまうんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 今回の補助金の不交付決定は、補助事業の申請手続において、補助金申請者である愛知県が、会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず文化庁に申告しなかったことを踏まえて判断したものであり、文化庁としては、関係法令等に従って適切に対応したものであります。

吉良よし子

 法令に従って適切にと言いますけれども、この間、様々な芸術祭などなどの企画をしているキュレーターの皆さんからお話伺ったんですよ。
 いや、一回採択された補助金がこの過程でその後に出されない、不交付の決定されるなんていうのはまずあり得ない異常な事態だと聞いています。なおかつ、申請する際に展示によって起き得る事態を想定して申請書を書いたなんてことはこれまでなかったと聞いているんですよ。ましてや、展示の内容若しくはテーマのタイトル、そういったものすら記載しないで補助金申請するのが通常だと。
 こういった目的で企画をしますのでそれに伴って補助金をというのが大体普通で、様々な新しい作品を作る場合にはそのタイトルだって直前にならないと決まらないことだって多いわけですから、そうしたことを事前に申請するなんていうことはほとんどない。それをしろと言っているのが今回の文化庁なんですよ。今後、これから、じゃ、どう申請すればいいんですかとか、いや、そういう物議を醸すような挑戦的な企画は支援を受けられないんじゃないかとか、もう助成金申請するときにはこういう作品あったら何か言われるんじゃないか、そんな不安の声がキュレーターの皆さんの中で上がっていると聞いているんです。
 まさに、これというのは実質検閲とか萎縮とか言われるような表現の自由が脅かされている事態だと思うわけですけど、表現の自由を守る、そのためにはこうした異常事態というのを正していく、もう不交付を撤回するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)

 繰り返しになりますけど、今回の補助金の不交付決定は、文化庁の方で法令にのっとって決定をしたということでございます。
 ただ、先生が今御指摘になった主催団体ですとか展示会の皆さんが萎縮するようなことを望んでいるわけじゃありませんので、展示内容について、今後も文化庁が事前にその内容について踏み込んで是非を申し上げるような仕組みをつくっていくつもりは全くありません。表現の自由はしっかり守ってまいりたいと思います。

吉良よし子

 展示内容について是非を言うことはないと言っていますけど、今回起きたというのはそういうことなんです。あいちトリエンナーレのように、文化事業が妨害されれば補助金の取消しが誘引されるというあしき前例をつくってしまっているわけですよ。国、文化庁がこうした妨害、暴力を容認するとか追認するというのはあるまじき判断だと。
 ちなみに、今回の補助金不交付の対象となった事業というのは、二〇二〇年東京オリパラを契機とした日本博だと。この日本博のブランドが傷ついたという声も出ているんです。日本博ブランドにはやっぱり表現の自由に関わる問題があるから、もう今後作品出せないよというアーティストも一部いると。逆に、自分たちの展示、本当に日本博ブランド付けてしまっていいんだろうか、補助金出してもらえるんだろうかという不安の声が上がっている。もうそういう事態になっているんだということを認識していただきたいと思うんです。
 改めて、やっぱりこの不交付決定、撤回すべきと思いますが、いかがですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 文化芸術活動において表現の自由は極めて重要であり、我が国の憲法第二十一条で保障されています。また、さきに述べたとおり、平成二十九年に改正された文化芸術基本法においても表現の自由の重要性について明文化されております。
 今回の補助金の不交付決定は、補助事業の申請手続において、補助金申請者である愛知県が会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず文化庁に申告しなかったことを踏まえて判断したものであり、展示物の表現内容自体の適否について評価したものではありません。文化庁としては既に一定の手続を経て法律にのっとって決定をしておりますので、それを尊重したいと思います。

吉良よし子

 撤回しないということで、非常に残念なんです。もう今回の決定に対して多くの皆さんが、表現の自由守れ、検閲許すな、文化庁は文化を壊すなって声を上げているわけです。署名も集められているわけです。この声にこそ向き合うべきだと思うんです。
 実際、今、オーストリア日本大使館が展示内容を理由にウィーン芸術祭の後援を取りやめるような事態まで起きているわけで、もう既に文化庁のこの間の決定が、不交付決定が様々な形で波及しているという、この問題を本当深く認識していただいて、表現の自由を守る文化庁としての本来の役割を強く果たしていただくよう求めまして、次に、大学の入学共通テストについても伺いたいと思います。

 後編(大学の入学共通テスト)へつづく