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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2019年・第200臨時国会

大学共通テスト 記述式導入断念せよ(動画は10分45秒頃〜)

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は7日の参院文教科学委員会で、大学入学共通テストへの英語民間試験導入の延期による今後の制度の見直しについて、高校生、英語教育に関わる専門家から幅広く意見を聞くことを求めるとともに、実施が予定される大学共通テストの記述式の導入断念を迫りました。

 吉良氏は、民間試験ありきではない白紙からの議論をするのかと追及。萩生田光一文科相は「あらかじめ延期した試験について、使うか使わないかを前提に議論を進めるつもりはない」と答弁。吉良氏は「当事者は先送りでなく『中止』を求めている。白紙からの検討を」と強く要求しました。

 さらに文科省が「思考力、判断力、表現力」をはかることを目的として導入を目指している記述式問題に関して、過去2回のプレテストにおいて、自己採点と採点結果が一致しなかった割合が約3割だったことを指摘。自己採点結果を踏まえて志望校を決める受験生にとって、志望校が定められない、不本意な出願などの影響が出ることから、「進路選択、人生を左右する死活問題だ」と批判しました。

 また吉良氏は、採点のブレの解決策として萩生田氏が設問の簡素化に言及していることにふれ、文科省が望む「思考力、判断力、表現力」を問うには不十分だと指摘。「受験生はやり直せないのに、一度試してみるという姿勢は許されない。それを共通テストに入れることが大問題だ」と批判し、延期・中止を求めました。

しんぶん赤旗2019年11月17日号より抜粋

議事録

 前編よりつづく

吉良よし子

 次に、大学の入学共通テストについても伺いたいと思います。
 一日の記者会見で、英語の民間検定試験を入試に導入すること、これについては延期すると発表されました。これは、高校生始めとした多くの国民の声に応えた当然の決定だと私は思います。
 この延期した理由について、午前中の議論等でも様々述べられているわけですけど、そもそもに立ち返れば、高校段階の学習の達成の程度を図るべき入試にそれぞれ異なる目的で開発された民間の英語試験を導入する、この制度設計そのものに構造的な欠陥が、問題があったわけです。そういう構造的な問題に目をつぶって民間導入ありき、そういう無理な制度設計が行われ、その中で経済的、地理的不公平などの課題が山のように出てきたんだと思います。
 さらに、そうした問題はもう当初から指摘されていたと。そういう指摘をしていた学校現場や英語教育に関わる研究者の皆さんの声、若しくは当事者である受験生や高校生の声にも一切向き合ってこなかったことも大問題でして、もっと早くにそうした声に向き合って見直し決断していたら、制度開始五か月前のぎりぎりの時点での延期という事態にはならなかったと思うんです。
 ここで確認したいんですけれども、大臣は、今後、この英語試験の在り方について、検討会議をつくって、一年をめどとして、目途として議論をするとおっしゃっているわけですけれども、これというのは、確認ですが、民間試験ありきではないと、白紙から議論するということでよろしいのか。あわせて、その検討会議では、この間声を上げているような高校生始め当事者の声、そして英語教育や入試制度に関わる専門家から幅広く意見を聴取していただけるのか、この二点、お答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 今後設置をする予定の検討会議の具体的な論点については早急に検討してまいりますけれども、大学入学の共通テストや各大学の個別試験の中での英語四技能の評価をどのようにするのか、経済的な状況や居住地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどを柱として、もちろん高校関係者の皆さん、大学関係者の皆さんの意見も聞きながら、今後一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと思います。
 その際、システム導入が延期になった要因や導入に当たって指摘された課題についても検証し、英語四技能を適正に評価するシステムを国が責任を持って実施できる体制について、しっかりと検討してまいりたいと思います。

吉良よし子

 もう一度確認しますが、民間試験導入ありきではない、白紙からの議論だということでよろしいですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 あらゆる機会に申し上げていますけれども、今まで取組をしていただいた民間企業や団体の皆さんからもヒアリングをさせていただきたいと思いますが、あらかじめ、延期をした試験は、もう既にこの試験を使わないんだとか、使うんだということを前提に議論を進めていくつもりはございません。

吉良よし子

 前提なく議論を進めるということで、是非白紙から検討していただきたいし、幅広く意見を聞いていただきたいと。とりわけ高校生たちは、もう先送りのみならず中止なんだ、そういう声を上げていらっしゃいますので、そういう現場の、当事者の声をしっかり聞いていただきたいということを併せて申し上げます。
 その上で、大学入学共通テストの記述式の問題についても伺いたいと思います。
 まず、なぜこの記述式を共通テストに入れるのか、その目的について端的にお答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 大学入学者選抜においては、高等学校学習指導要領に基づき育成された資質、能力をより的確に評価する必要があるため、解答を選択肢の中から選ぶだけでなく、自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述をするなどの思考力、判断力、表現力を評価することが必要です。
 一方、国立大学の二次試験においては、国語の小論文、総合問題のいずれも課さない学部の募集人員は全体の六一・六%という状況です。このため、令和二年度から大学入学共通テストにおいて、高等学校段階において育成された資質、能力を的確に評価するため記述式問題を導入することで、高等学校に対して、主体的、対話的で深い学びに向けた授業改善を促していく大きなメッセージになるというふうに考えております。

吉良よし子

 記述式によって思考力、判断力、表現力を測るのが目的だという話でした。果たして五十万人が一斉に受験する共通テストで本当にそんなことができるのか、それが問われているんだと思うんです。
 先ほど来ありますように、まず採点です。思考力、判断力、表現力を公正に採点できない懸念がこの間出されているわけですよね。過去二回行われたプレテストにおいて、国語の自己採点と実際の採点結果が一致しなかった割合というのは三割程度だと。これ本当に大問題で、先ほど蓮舫議員の指摘がありましたけれども、自分の本意にならない、不本意な出願になりかねない、つながりかねない問題なわけです。
 ここで、ある高校の国語教員の声を紹介したいと思うんですけど、この記述式採点に関わる会社の教員向け説明会に参加したと。その際、生徒が自己採点を間違っても五段階評価のうちの一段階までしかずれないよと、そういう趣旨のことを言われたんだと。さらに、ただ、その上で、記述式問題を加点する大学、あるA大学の場合は、A段階というのは五十点、B段階は四十点のように、十点刻みになるという説明もあったというんですね。
 一段階十点だとすると、合否を左右するのに十分な差じゃないかと。合否のボーダーライン上では、十点どころか一点を争う状況なんです、現在、センター試験では。共通テストの結果を見ながら最終的な志望校を決める受験生にとっては、こうした自己採点にぶれが出る、十点単位でぶれが出るというのは、まさに進路選択、人生を左右する死活問題だと思うんですけれども。
 大臣、先ほど来、改善すべき課題がたくさんあってのそのうちの一つだみたいなことをおっしゃっていますけど、この自己採点のぶれというのは、もう受験生の人生を左右する重大な問題であって、あってはならないと、そういう認識にあるかどうか、お答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 自己採点の結果については、受験生の志望校選択の判断材料の一つになると私も認識しております。がゆえに、採点結果と自己採点の一致率については、正答の条件が受験生にとって捉えやすくなるように、正答の条件の意味や内容を分かりやすく整理して高等学校へ周知するなど、高等学校における指導の充実を促すことを通じてしっかりと改善を図ってまいりたいと思います。

吉良よし子

 採点基準を高校生たちに周知するというお話だったんですね。
 午前中の質疑では、複数の組織的採点をして、一つの答案を複数の採点人が採点をして、それで一致しなかったらまた上に相談して、それでも一致しなかったら一致するまで相談し続けて、でも、それを二十日間の間に採点を終わらすんだと、そういう話だったんですけれども、本当にそれができるのかという問題なんです。人間がやることですからミスは出るわけです。五十万人の受験者の解答だって様々出るでしょうし、一万人の採点者が関わるわけで、その一つ一つのぶれ、ミスをゼロにするというのは困難なのは想像に難くないわけです。
 さらに、採点基準を周知するという話に戻るんですが、そもそも、自己採点をするためには、受験生、受験する側が自分のその解答を正確に書き写しておいておく必要があるわけですよ。その時間が確保できるのか。正確に時間内に自分の解答を書き写すことができなかったら、そもそも自己採点すらできない状態になるわけです。
 共通テストがその自己採点結果を踏まえて最終的な志望校を決める性格を持つテストである以上、自己採点を正確にできない、そういう限界のある、構造的な限界のある記述式を共通テストに導入するというのは不可能だと思いませんか、大臣。

国務大臣(萩生田光一君)

 三十年の十一月に実施した試行調査においては、センターと採点事業者の間で採点基準の在り方について議論を重ねた結果、その確定が遅れ、採点者の理解を図る十分な時間を確保することができず、センターによるチェックの際に採点結果を補正する例が見られたということは、昨日の委員会等々を通じても説明をしてきました。
 早期からセンターと採点事業者の間における採点基準のすり合わせをきちんとして、適正な試験等による質の高い採点の確保、必要な研修プログラムの実施、複数の視点による組織的、多層的な採点の実施、高等学校の協力を得て採点過程を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業の実施などに取り組むことにより、採点の質と維持向上に努めてまいります。
 そして、試験が終わった後に学生の皆さんが自分の記述がどういう評価になるということが極めて客観的に測りやすいような、そういった例示を示すことができるように準備をさせていただきたいと思っています。

吉良よし子

 いや、私が言っている記述式で自分の答案を、解答を書き写して、それをちゃんと書き写し終えられなかった場合に自己採点できないじゃないかという問いにはお答えにはなれていないわけですよね。幾ら採点基準を周知したとしても、そういう問題が記述式で自己採点をやるという場合には出てきてしまうんです。
 なおかつ、先ほど来大臣は、午前中の質疑などでも採点の誤差を小さくするために設問の在り方を考えるという御答弁もされているわけです。そうなんですよ。できる限り採点上の誤差を小さくしようと思ったらどうするか。それは、採点基準自体を細かく設定するのみならず、もうできるだけ誤差の出ない設問にするしかない、問いを変えるしかないんです。
 実際、過去二回のプレテストの問題を見てみたんです。資料をお配りしていますけど、これは平成三十年度、二回目のテストなんですけれども、この問題見ていただきたいんですけど、マーカーしていますけど。例えば(3)のところ、読んで様々この理由を書いてという話なんですけど、これについてのこれこれの前提は書かなくてよいと書いてあったり、二文目は、それが理解できるものはで書き始めて、からであるという文末で結ぶこと、細かく書き方について限定をしているわけです。数学に至っては、記述式であるにもかかわらず、その答えというのは問いを求めるための式を一つ書かせるだけなんです。証明など記述をするんじゃなくて式を一つ書かせるだけ。
 これで、先ほどおっしゃった自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力、判断力、表現力、測れる問題だと思いますか。

国務大臣(萩生田光一君)

 共通テストにおいて新たに国語と数学で記述式問題を導入することにしておりますが、課題との御指摘の採点の質の担保、また自己採点の問題、それから、そのことが今先生がしっかりとした効果を知らしめることになるのかという御指摘だったんですけれど、確かに新しい試みですからいろいろ不安があることも私も理解できます。
 ただ、今までのマークシートだけではやっぱり一つ超えていけないものがあるんだというふうに、今までの積み上げの中で議論した結果が今回のこういう試験でありますので、是非、要は現場で混乱するようなことのないように、出題の中身、こういったものをきちんと精査をし、また、先ほどから申し上げている団体への周知、また、採点をされる方の事前の研修などを徹底して、是非安心した制度にしていけるように努力をしてまいりたいと思います。

吉良よし子

 おっしゃいますけど、高校生からも声出ているんですよ、マークシートで選んでいたものが升目に変わっただけだと。そういう話、それで本当に表現力などが問われるかという問題なんです。
 様々課題があって不安があって云々、まあとにかく初めてだからやってみるみたいなこともおっしゃいますけど、高校生も言っているんです。一度試してみてから問題が見付かった、来年のために改善しようじゃ許されないんだと、あなた方はやり直せても私たちはやり直せないんだ。これが高校生の声なんですよ。
 一度きりの人生なんです。それを左右する入試なんです。それに不確実な記述式を五十万人が受ける共通テストに入れるというのは、もうそもそもが間違っているんだ。しかも、採点民間丸投げという問題もありますし、もうそういった問題だらけのこの記述式は、英語試験同様、まずは延期、そして抜本的な見直し、中止を求めて、質問を終わります。