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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

食品添加物 安全検証を 二酸化チタンなどEU禁止(動画15分25秒ごろ~)

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は10日の参院決算委員会で、欧州連合(EU)では使用が禁止された二酸化チタンなどの食品添加物が腸内環境に与える影響をただし、「国として安全性の検証をすべきだ」と主張しました。

 二酸化チタンは1983年に認可され、白色の着色料としてホワイトチョコ、ガム、アイスなど菓子類や包装材料に使われています。EUでは2021年に「遺伝毒性の懸念を排除できない」として使用が禁止されました。

 吉良氏は、EUは安全上の疑いがあれば使用を禁止する「予防原則」の立場だが、日本は有害性が科学的に確定しない限り使用を認めているとして「予防原則を導入すべきだ」と指摘。河野太郎消費者担当相は「健康への悪影響が未然に防止されることが重要だ」と述べる一方で「予防原則について国際的に合意された定義はない」と導入を拒否しました。

 吉良氏は、18年に大阪府立大学大学院の徳本勇人氏(現大阪公立大学准教授)が、二酸化チタンなど金属の微細な粒子である食品添加物ナノ粒子は、腸内細菌叢(そう=集まり)を悪化させると報告していることを紹介。最新の研究結果を踏まえた安全検証が必要だと訴えました。

 さらに、二酸化チタンが認可されて約40年、リスク評価の見直しがないまま「放置されてきたこと自体が問題だ」と指摘。一度認可されれば終わりではなく、「リスクを再評価する仕組みをつくるべきだ」と強調しました。

しんぶん赤旗4月11日付けより抜粋

議事録

前編(性暴力から子どもを守れ)よりつづく

吉良よし子

 続いて、今日は、食の安全、食品添加物の安全性についても伺いたいと思います。
 一九八三年に使用が認められた食品添加物二酸化チタンというのがあります。これは、白色の着色料として、ホワイトチョコとかガムとかアイスなど子供たちも大好きな菓子類、包装材料に使われているわけですけれども、二〇二一年の五月、EU、欧州食品安全機関はこの二酸化チタンについて、遺伝毒性の懸念を排除できないとして安全とみなすことはできないと結論を公表し、EUで使用が禁止されました。
 これについて我が国ではどのような対応を取っているか、厚労省、食品安全委員会、それぞれお答えください。

厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官 (佐々木昌弘君)

 まず、厚生労働省からお答えいたします。
 二酸化チタンにつきましては、委員今御指摘をいただいたとおり、令和三年の五月に、欧州食品安全機関、EFSAが、遺伝毒性の懸念が排除できないとして、もはや安全とみなすことはできないとの見解を示し、その上で、EUにおいて令和四年一月に食品への使用禁止を決定したものと承知しております。
 我が国、厚生労働省では、EFSAの動向等を踏まえ、令和三年の十二月、つまり令和三年中には、薬事・食品衛生審議会の添加物部会において専門家に御議論いただきました。その結果、現時点、その時点の現時点においては、EFSAと同様の判断を行うだけの科学的知見はなく、ナノサイズの二酸化チタンを考慮して安全性を評価するには更なるデータの収集と検討が必要という御議論をいただきました。
 これを受けて、このデータや安全性情報の収集等を今行っております。具体的には、令和三年度から国立医薬品食品衛生研究所において行っております。現在、その結果の取りまとめを行っているところでございます。この取りまとめを踏まえ、今後添加物部会に結果を報告し、改めて専門家に御議論いただくことを考えております。
 なお、先ほどEFSA、欧州の話をいたしましたけど、英国、まあイギリス、カナダ、オーストラリアなどはEFSAの結論を支持をせず、人の健康に懸念を及ぼす決定的な科学的根拠はないとの見解を公表しているところであり、諸外国においても見解に相違があるものと承知しております。
 以上が厚生労働省からです。

内閣府食品安全委員会事務局長 (鋤柄卓夫君)

 お答え申し上げます。
 食品安全委員会では、EUを含む海外及び国内の状況につきまして、リスク管理機関である厚生労働省と意見交換を進めております。この中で、食品安全委員会の添加物専門調査会では、先ほどお話のございました厚生労働省の見解につきまして御議論いただき、厚生労働省に対して更なるデータ収集を求めているところです。
 今後は、厚生労働省が収集したデータを提出いただき、さらに専門家に御意見を伺うこととしております。

吉良よし子

 EUと同じ評価はまだ得られていないと、情報収集中ということでしたけれども、EUについては、この食品について、安全上の疑いがあれば使用を禁止する予防的な立場、予防原則の立場に立っているわけで、つまり、深刻な又は取り返しの付かない被害のおそれがある場合は事前的に予防措置をとるという立場なわけです。
 一方の日本はどうかといえば、環境対策においてはこの予防原則が基本とされています。しかし、食品添加物についてはそういう立場ではなく、先ほどお話があったように、有害性が確定しない限り使用を認め続けるということになっているわけですが、河野大臣、大臣は長年、遺伝子組換え食品の表示など食の安全について熱心に取り組んでこられたと承知していますが、やはり消費者の健康、安全を守る立場から、食の安全にもこの予防原則、この考えを導入するべきではありませんか。

国務大臣(河野太郎君)

 予防原則というものについて国際的に合意された定義はございません。
 我が国では、食品安全基本法第五条に規定されているとおり、食品の安全性の確保には国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることが重要だと認識しております。食品安全委員会では、食品安全基本法第三条に基づいて、国民の健康の保護が最も重要であるという基本認識の下、最新の科学的知見について不確実性のある知見も含め各分野の専門家により客観的かつ中立公正に評価を行っているところでございます。
 引き続き、国内外の最新の科学的知見に注視しつつ、リスク管理機関と連携して食品の安全確保に努めてまいりたいと思います。

吉良よし子

 日本でも未然防止に努めているという御答弁でした。
 しかし、それだとすれば、やはり先手先手に手を打っていくべきだと思うわけです。というのも、二酸化チタンでいえば、先ほど申し上げたとおり、一九八三年に使用認可されましたが、それ以降、約四十年、一切リスク評価の見直しもないまま放置されてきているわけです。これ自体が私、問題だったのではないかと。
 一度認可されればそれで終わりではなくて、せめて食品添加物のリスクについては最新の知見踏まえて定期的に評価し直す仕組み、こういうのを設けて先手先手でリスクを未然に防止する、そういう体制整えていくべきと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(河野太郎君)

 食品添加物につきましては、食品安全委員会において令和三年九月に策定をした添加物に関する食品健康影響評価指針に基づいて、最新の科学的知見などを勘案して、評価を見直す必要が生じた場合は適宜評価を行うこととしております。
 また、リスク管理機関であります厚生労働省において情報収集や分析を行っており、定期的に評価を見直す仕組みの必要性につきましては、その結果も踏まえて検討されるべきだと考えております。

吉良よし子

 私は、やはり定期的に見直していく、そういう仕組みが必要だと思うんです。最新の知見踏まえて評価を見直すこともあるんだと、そういうふうにおっしゃっているわけですけれども、例えばその最新の知見ということでいえば、二酸化チタンを始め金属のごく微細な粒子、ナノ粒子と呼ばれる食品添加物の使用というのが近年増えているんです。これらは超微粒子のため生体組織を通過しやすいという特徴があって、そのナノ粒子の食品添加物というのが実は腸内の善玉菌を減らして悪玉菌を増やしてしまう、細菌叢を悪化させるということが、この間、大阪府立大学大学院の徳本勇人准教授から報告をされております。
 また、厚生労働科学研究、腸内フローラ解析を基盤とした食品ナノマテリアルの安全性評価報告書においても、今後、腸内細菌変動と生体影響の因果関係を追求することが必要だとして、それにもかかわらず、食品ナノマテリアルの安全点検は全く手付かずであるため、行政的な安全点検や規制が必要だという指摘があるわけです。事実、先ほど大臣おっしゃった添加物に関する食品健康影響評価指針、これにもその腸内フローラに対する毒性試験というのはまだ明記されていないわけです。
 やはり、最新の知見踏まえて、こうした毒性試験、明記していくべきではありませんか。大臣、いかがでしょう。

国務大臣(河野太郎君)

 食品添加物につきましては、これまでも動物試験などの結果から各種毒性影響について評価を行ってきております。人の主に大腸に生息している約千種類、百兆個にも及ぶ腸内フローラ、腸内細菌叢と呼ばれる腸内細菌に関する影響につきましても、物質の特性などを踏まえて評価を行ってきております。
 殺菌、防カビに使われるピリメタニルという農薬、食品物の評価書がございますが、こういうものについて評価を行って、例えばこのピリメタニルについては腸内細菌叢に影響を及ぼさないと考えられるというような評価をいただいているところでございます。
 こういう対応に加えまして、さらにこの腸内フローラに関する毒性試験について、今御指摘をいただいた点にどう対応するか、これは評価方法がまだ確定していないということなどを含め、専門家に科学的に御議論いただくことが必要だと思います。

吉良よし子

 様々動物試験を行っているということでしたが、腸内フローラに特化した毒性試験というのはまだ行われていないということだと思うんです。やはりそれは是非検討していただきたいと。
 私、先日、この場でコロナの後遺症について取り上げました。これ、後遺症が悪化した場合に慢性疲労症候群、ME、CFSとなることがあると知られてきたわけですが、このME、CFSにその腸内のマイクロバイオームが大きく関わっているということを示唆する研究なども出てきているわけで、やはり腸内環境が健康に及ぼす影響、またその腸内環境へのナノ添加物の影響など、日本でも国として安全性の検証しっかりしていくべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。