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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

「包括的性教育」求める 性暴力から子どもを守れ 

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は10日の参院決算委員会で、4月から全国の学校で始まった「生命(いのち)の安全教育」について、性暴力・性犯罪から子どもたちを守る教育を進めるのであれば、性交や妊娠の経過を取り扱わないとする学習指導要領の「はどめ規定」をなくし、年齢・発達段階に応じた「包括的性教育」を位置付けるよう求めました。

 吉良氏は、「安全教育」は、「万一、性暴力に遭ったとき『どう自分の身体を守るか』が決定的に欠落している」と厳しく批判。性交後72時間以内に服用すると効果があるとされる緊急避妊薬の情報について「高校卒業後、大学生、一般人向けの啓発資料に載っているだけだ。なぜ授業で使う教材そのものに、身体の安全を守るための重要な情報がないのか」とただしました。

 文部科学省の里見朋香審議官は、「生徒の実情を踏まえて必要に応じて指導している」と述べるにとどまりました。吉良氏は、「啓発資料の活用は現場の判断だ。必ず全員に行き渡る保障はない」と批判しました。

 吉良氏は、日本財団「18歳意識調査」によれば、17~19歳男女の23・6%で性交経験があり、そのうち、初めての性交経験は17歳が27・6%の最多で、次いで18歳が24・6%、16歳が20・7%との調査結果を紹介。学校の性教育で「避妊方法を具体的に知りたかった」という声は約6割にのぼっていることも示し、「メイン教材で、せめて高校生以上には緊急避妊薬を記載すべきだ」とただしました。

 小倉将信男女共同参画担当相は、「学校教育は文科省の所管だ」とまともに答えませんでした。吉良氏は、「子どもたちを守るというのであれば、『はどめ規定』をなくし、『安全教育』にとどまらない包括的性教育を推進し、子どもたちを性暴力の被害者にも、加害者にも、傍観者にもさせない取り組みを広げるべきだ」と求めました。

しんぶん赤旗4月11日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 まず、今日は初めに、性暴力被害の防止、特に性教育について伺いたいと思います。
 この四月一日から三十日まで、内閣府男女共同参画局を中心として若年層の性暴力被害予防月間の取組を行っているということですが、これはどのような内容でしょうか、御説明ください。

内閣府男女共同参画局長 (岡田恵子君)

 お答え申し上げます。
 性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為でございます。特に、十代から二十代の若年層を狙った性犯罪、性暴力は、その未熟さに付け込んだ許し難い人権侵害であり、決して許されるものではございません。
 このため、令和二年十二月に決定いたしました第五次男女共同参画基本計画では、入学、進学の時期であります毎年四月を若年層の性暴力被害防止月間といたしまして、SNS等の若年層に届きやすい広報媒体も活用し、啓発活動を効果的に展開することとしてございます。
 現在実施中の本年の月間におきましても、関係省庁や地方公共団体とも連携して、若年層の様々な性暴力被害の予防啓発や相談先の周知、周りからの声掛けの必要性の啓発等に取り組んでいるところでございます。

吉良よし子

 おっしゃるとおり、十代から二十代を狙った性犯罪、性暴力、絶対に許してはならないですし、特に痴漢やデートDV、SN上の性犯罪など、子供たち、若い世代にとっても身近になってしまっている性暴力、ここから守る対策というのは本当に重要な取組だと考えております。
 私たち日本共産党も、都議団などと一緒に、痴漢を含む性暴力から若い人たち守るために取組を進めるよう、この間、政府はもちろんのこと、JRとか東京メトロ、鉄道各社への申入れなども行ってきたところでありますし、今回の内閣府の取組も大いに広げていただきたいと思うわけです。
 お配りしました資料、この内閣府で作成されたポスターというのも私、拝見をいたしました。ここを見ますと、やはり性的同意の重要性について分かる内容になっているかと思います。「あなたがYESでも、わたしがNOなら性暴力。」だということは本当に大事なわけですが、しかし、これ難を言いますと、この結論が被害者に対して相談を促すだけにとどまっているということなんです。
 小倉大臣、この被害者に自衛を求めたり相談を促したりするだけでなくて、やはり加害行為そのものを止める、やめさせるための発信や対策、加害者にならないための教育なども進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小倉將信君)

 先ほど岡田局長から答弁がありました若年層の性暴力被害予防月間、この月間の今年の実施に当たりまして、私自身、先週ちょうど性暴力の防止等に取り組む大学生の皆さんにお会いをし、特に若い人たちに身近な性犯罪であります痴漢への対策などについて意見交換を行わせていただきました。その中におきましても、被害に遭った場合の対処方法の周知などと同時に加害者を生まないための情報発信を求める声を伺い、委員御指摘のように、その必要性を改めて認識をしたところであります。
 加害者を生まないためにも、相手の同意のない性的な行為は性暴力であるとの認識を広げていくことが重要でありまして、そのため、今年の月間におきましては、委員に参考資料でお示しをいただきました「あなたがYESでも、わたしがNOなら性暴力。」というコピーを用いることとし、駅や大学等へのこのポスターの掲示だけではなくて、SNSを用いた啓発動画の発信などにより、社会全体への意識啓発に取り組んでいるところであります。
 このポスターにおきましても、青の部分が被害者目線で赤の部分が加害者目線となっておりますし、動画の方も加害者目線と被害者目線、それぞれバージョンを分けて動画を作らせていただいております。
 まさに、意識せず加害者になっているケースもあるわけでございますので、そういったケースも含めて加害者にならないための啓発活動、引き続き、若年層の性暴力被害予防月間の期間中に限らず様々な機会を通じて行ってまいりたいというふうに考えております。

吉良よし子

 もう加害をさせない、加害を止めることが本当に必要であり、大臣いろいろおっしゃっていますけど、まだこれでは加害を止めるという意味ではメッセージ性まだ少ないと言わざるを得ないと思いますので、是非この取組広げていただきたいと思うんです。
 そして、やっぱりそのためにも教育が大切なわけです。この間、内閣府と文科省で令和二年度に作成された命の安全教育の教材、今、今年度から全国展開が始まったと承知しています。これは、子供たち、若年層が性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならないための教育だということで、こうした教育を進めていることは本当に重要だと思うんですが、しかし、これにも決定的に欠落していることがあるわけです。それが避妊についての情報なんです。
 絶対にあってはならないんですが、万が一性暴力被害に遭ったときにどう自分の体を守るのか。七十二時間以内に服用すると効果があるとされる緊急避妊薬のこの情報が命の安全教育のメインの教材にはないんです。私も全部読んでみましたけれども、この緊急避妊薬については唯一、啓発資料、これは高校卒業直前から大学生、一般人向けとされた資料で、そこには載っているんですが、授業でメインに使うとされる教材そのものには避妊についても緊急避妊薬についても載っていない。
 体の安全を守るための重要な情報、これ載っていないのはなぜでしょうか。文科省、お願いします。

文部科学省大臣官房審議官(里見朋香君

 お答え申し上げます。
 命の安全教育は、子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にしないということを目的とする安全教育でございます。この命の安全教育の資料といたしましては、幼児期から高校までの各段階に応じた五段階の教材と、卒業直前の高校生、大学生、一般向けの啓発資料「お互いの心と体を大切にするために」を作成をしているところでございます。
 この啓発資料におきましては、妊娠が心配な場合は被害から七十二時間以内であれば緊急避妊薬により妊娠を防げます、すぐ産婦人科に相談しましょうとの記載がございます。また、教師向けの指導の手引きにおきましては、この啓発資料を高校卒業直前に配布し、生徒の実情等を踏まえて必要に応じて指導するものとしているところでございます。
 これらの資料を用いまして、引き続き効果的な命の安全教育が行われるよう取り組んでまいります。

吉良よし子

 啓発資料に載っているということは承知しているんですね。しかし、それは授業で使うものではないんです。先ほど文科省もおっしゃったとおり、高校卒業前に渡すと言いますけれども、必ずしも渡すということが載っているものではないわけで、全員に行き渡る保証もないですし、授業で活用するメインの教材ではないわけです。これでは意味がないんじゃないかと思うわけです。
 ここで私、文科省に確認したいと思うんですけれども、この命の安全教育というのは、先ほど来、安全教育とおっしゃっているんですけど、性教育とは違うのか。つまり、文科省の言うところの性に関する指導の中に位置付けているということでよろしいんですか、どうですか。

政府参考人(里見朋香君)

 お答え申し上げます。
 命の安全教育は、先ほど御説明いたしましたように、子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者としないということを目的とする安全教育でございますので、性に関する指導とは目的を異にしているものでございます。
 具体的には、命の尊さを学び命を大切にする教育、自分や相手一人一人を尊重する教育を更に推進することに加えまして、性暴力や性被害の予防や対処に関する教育を行うものでございます。この中には性に関する指導の内容と重なる部分も含まれてはおりますが、防犯教育あるいは情報モラル教育など、性に関する指導にとどまらない事柄も広く含んでいるものでございます。

吉良よし子

 要するに、性教育とこの命の安全教育は違うものだという御答弁だったと思うんです。なぜ切り離すのかが私は理解ができないんですね。
 性というのは、まあ性教育というのは決してそれそのものだけではないわけで、つまり、性暴力があってはならないのはもちろんですが、性行為というのは人間の営みの中に普通にあるものです。ただし、相手の同意のないものというのは暴力になり犯罪になるものだと、だから、自分の体も相手の体も大切にしなくてはならないし、性行為のあるなしにかかわらず相手を思いやり大切にし合う、尊重し合う関係を築くことが、愛することであるとか、そうした体を守る権利があることとか、性の知識とともにそういう人権についても包括的に学ぶ包括的性教育の中にそうした避妊方法も含めた、性暴力から体を守る、防犯としての安全教育というのも位置付けられてしかるべきじゃないかと思うんです。
 なのに、なぜこの性教育と安全教育を切り離してしまうのか、なぜ避妊についてちゃんとメインの授業で使う教材に入れていないのか、もう一度文科省お願いします。

政府参考人(里見朋香君)

 お答え申し上げます。
 学校におきまして、児童生徒に対して、性に関して正しく理解をし適切な行動が取れるようにすることは非常に重要であると考えております。このため、学校における性に関する指導につきましては、学習指導要領に基づき、保護者の理解を得ながら、児童生徒の発達段階に応じて、保健教育科や特別活動を始め学校教育活動全体を通じて行われております。
 具体的には、例えば体育科、保健教育科において、小学校では、思春期になると体つきが変わったり初経、精通などが起こったりすること、中学校では、思春期には内分泌の働きによって生殖に係る機能が成熟することや、こうした身体の機能の成熟とともに異性の尊重、情報への適切な対処や行動の選択が必要となること、高等学校では、思春期や結婚生活と健康課題について、受精、妊娠、出産と、それに伴う健康課題、家族計画の意義や人工妊娠中絶の心身への影響などについての学習が行われております。
 引き続き、学習指導要領に基づく着実な指導に努めてまいります。

吉良よし子

 性に関する指導が重要だと、しかし安全教育とは別なんだと。私、訳が分からないし、答えになっていないと思うんですけど。
 先ほど学習指導要領に基づいて性に関する指導を行っているとおっしゃいました。しかし、この学習指導要領には、小五の理科では人の受精に至る過程は取り扱わないものとすると、中一の保健体育には妊娠の経過は取り扱わないものとすると、いわゆる性教育をさせないための歯止め規定まで存在するわけです。だから、避妊について載せていないのではないでしょうか。
 一方、日本財団、お配りしました資料ですけれども、十八歳の意識調査によりますと、十七歳から十九歳の男女の二三・六%がもう既に性行為の経験があると回答しているわけです。そのうち、初めての経験の年齢というのは十七歳が最多、次いで十八歳、十六歳という結果。若い場合は十二歳という回答もあったわけですけれども、同じ調査の中で学校の性教育についてもアンケートを取っており、その中では、避妊方法を具体的に知りたかった、そういう声も五八・一%に上っているわけです。
 こうした実態調査、意識調査を見ても、少なくとも高校生以上には緊急避妊薬を含んだ避妊方法についてなど適切に教育していくことも必要だし、やっぱり歯止め規定はなくして、各年齢、発達段階に応じた包括的性教育進めるべきだと私、思うんです。
 改めて、小倉大臣、若年層の性暴力被害なくし子供たちの安全を守るためにも、この命の安全教育のメインの教材、授業で使う方の教材に、せめて高校生以上に対しては緊急避妊薬について記載するなど、改善、発展させること、政府として子供たちの年齢段階に応じた包括的性教育を位置付けること、やっていくべきと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小倉將信君)

 御指摘いただいております命の安全教育については、性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないことを目的として、現在、全国展開に向けた取組が推進されていると承知をしております。
 学校におけます教育は文部科学省の所管であり、私の立場からお答えすることは差し控えたいと思いますが、命の安全教育の目的については、先ほど文科省の政府参考人から答弁がありましたとおりであり、また、学校におけます性に関する指導につきましても、児童生徒が性に関して正しく理解し適切に行動を取るようにすることを目的に実施されていると承知しておりまして、その目的に照らして必要な教育が行われることが重要だと考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも、男女共同参画を担当する内閣府、そして、就学前の子供に関する施策を担当するこども家庭庁としても、文部科学省等の関係省庁と連携をいたしまして、子供や若年層が性犯罪、性暴力の被害に遭わないための対策を推進してまいりたいと思っております。

吉良よし子

 やはり、子供の安全を守るというのであれば、避妊についての情報は少なくともこういう教材にしっかり載せるべきですし、そのためにも学習指導要領の歯止め規定はなくすこと、そして、包括的な性教育を推進して子供たちを性暴力の被害者にも加害者にもさせない取組、是非とも強めていただくよう求めたいと思います。

以下、後編(食品添加物 安全検証を)へつづく