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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

子ども医療費・学校給食・高等教育 「三つの無償化」実現を

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は3日の参院決算委員会で、岸田政権が発表した少子化対策の「たたき台」は「あまりに部分的だ」と批判し、「『異次元』と言うなら、全ての子育て世帯、若者や子どもが希望の持てる政策こそ打ち出すべきだ」として、必要な予算額(表)も示して実現を迫りました。

 吉良氏は、憲法26条は「義務教育は無償」とあるが、「いまだに小中学校の給食費負担をはじめ完全無償ではない」と指摘。2022年度までに学校給食費の恒久的な無償化に踏み切った地方自治体は全国254自治体にのぼっており、「国の責任で実現すべきだ」と迫りました。岸田文雄首相は「たたき台」に「課題の整理を行う」と書いてあり、「6月の骨太方針までに議論を深める」と述べるにとどまりました。

 さらに吉良氏は、「たたき台」には最もお金のかかる高等教育の無償化が入っていないと批判。日本は、国際人権規約の高等教育無償化条項の留保を撤回し、大学の学費無償化を進めると表明しており、「今後の具体的な計画を示すべきだ」と迫りました。

 岸田首相は「卒業後の『授業料後払い』制度を創設する」などと答弁。吉良氏は「負担軽減にならない。この間の学費は下がるどころか、上がっている」と批判しました。

 また吉良氏は、3月20日の参院予算委員会で、子どもの医療費窓口無料、無償化を「国の制度として実施すること」を求めた自身の質問に対し、加藤勝信厚生労働相が「必ずしもプラスになるとは考えていない」とした答弁をあげ、岸田首相の認識を質問。岸田首相は「同じ考え方だ」と答弁しました。

 吉良氏は「医療費の窓口負担が受診抑制を増やし、子どもの健康を害する事態になっている」と指摘。全国の市町村の95%(21年時点)で中学卒業まで通院助成を行っていることを示し、「自治体に広がっているのは子どものプラスになるからだ」と強調しました。

しんぶん赤旗4月4日付けより抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 先週末、政府は、新たな少子化対策、子ども・子育て政策のたたき台、試案を公表いたしました。様々な政策が示されておりますが、どれも余りに部分的であり、今、将来に希望を持てない若者や子供たち全体に、全てに行き届く政策とは言えません。
 一方、先日の日経新聞、千人の子育て世代に聞いた実現してほしい子供政策ランキングの一位は、国公立の小学校から大学までの無償化、教育無償化です。憲法二十六条には、義務教育は無償、教育機会の均等とあり、つまり、小学校から大学まで親の収入にかかわらず平等に無償で教育を受けられるようにすることは憲法に要請された国の責任です。しかし、いまだに、義務教育であるはずの小中学校でも給食費の負担を始め完全な無償にはなっていません。
 政府のたたき台には学校給食費の無償化に向けて課題の整理を行うとありますが、それは無償にするということなのでしょうか、総理。憲法二十六条の立場に立って、今すぐ学校給食費の無償化、国の責任で進めるべきと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 子ども・子育て政策については様々な期待や希望がある、これは承知しております。しかし、大きな理想に向けて努力するためにも、優先順位を付けて具体的な政策を整理していかなければならない。そういったことから、小倉大臣の下でたたき台を示させていただいた、こうしたことであります。
 学校給食費の無償化に向けて課題の整理を行うということにしたわけでありますが、これをベースにしながら、四月以降、新たな会議体を設置し、更に内容、予算、財源について議論を深めていく、そして、六月の骨太の方針において予算倍増に向けた大枠を示していきたいと考えております。こうした中で議論を更に進めてまいります。

吉良よし子

 いろいろおっしゃいましたけど、結局すぐに国がやるとはおっしゃらないわけですね。
 しかし、この学校給食無償化を求めるニーズというのは明らかなんです。五年前の文科省の調査では七十六自治体だったのが、しんぶん赤旗の調査によりますと、二〇二二年の間に恒久的な無償化に踏み切った地方自治体というのは全国で二百五十四自治体と大幅に増えております。また、今年度の四月から新たに無償化に踏み出す自治体も次々と出てきているわけです。
 私たち日本共産党は、住民の皆さんと力を合わせて、国会でも地方議会でも給食の無償化求め続けてまいりました。とりわけ、二〇一八年、私が国会で質問して、当時の文科大臣が地方自治体の判断で全額給食費を補助できると認めて以降、一気に全国に取組が広がったわけです。
 そして、今、自民党や政府もようやくここへ来て学校給食無償化の政策提言するに至ったことは重要なわけですが、一方、これまで多くの自治体や議会の中では、この学校給食無償を求める請願や条例提案に対して自民党が反対してきたという事実があります。
 総理、国の制度としてこれ進めることと同時に、やはり各自治体で自民党が学校給食無償化にブレーキを掛けること、自民党の総裁としてやめさせるべきではありませんか。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 様々な御指摘がありました。様々な議論があるということは承知しております。だからこそ、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行うとさせていただいたところであります。
 是非、この整理を行う、たたき台をベースとして議論を深める、六月に向けて議論を進めていきたいと考えています。

吉良よし子

 いや、各自治体で自民党に、もうブレーキ掛けるなと、無償化推進しろとむしろ言うべきだと私思うんですよ。各自治体でこうして反対の態度を取ってきた自民党・政府が、それでも学校給食無償化に向けてと政府のたたき台に載せるまでに至ったのは、やはり長年声を上げてきた、学校給食無償化が必要だと言ってきた皆さんの勝ち取った成果だと思うわけです。
 また、この学校給食無償化駄目だと言ってきた自治体の中には、自治体でできないから国の制度でやってほしいという声もあるわけで、改めて、義務教育の完全無償化を実現するために、学校給食無償化は国の制度として実現すべきだということを強く申し上げたいと思います。
 そして、最もお金が掛かるのが高等教育、大学の学費です。にもかかわらず、政府のたたき台には、この負担の重い学費の無償、値下げというのは入っておりません。既に我が国は、国際人権規約にある高等教育無償化条項の留保撤回、高等教育の漸進的無償、つまり大学の学費の無償を前に進めていくということを世界に表明しているわけです。
 この国際的な公約を実現するため、政府の責任でどう大学の学費の無償化進めるのか。具体的な計画、プログラム、示すべきではありませんか。総理、いかがでしょう。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 高等教育の無償化、今日までも着実に進めてきたところではありますが、高等教育費の負担、奨学金の返還等が少子化の大きな要因の一つとされており、小倉大臣が取りまとめた今後の子ども・子育て政策のたたき台において、さらに給付型奨学金の拡充等について盛り込んでいます。
 具体的には、令和六年度から、給付型奨学金等について、年収六百万円程度までの世帯を対象に多子世帯や理工農系の学生等への支援を拡大するとともに、まずは修士段階において授業料を卒業後の所得に応じた後払いとする授業料後払い制度、日本版HECSと言われる制度を創設した上で、更なる支援拡充の在り方について検討を進めることとしています。また、貸与型奨学金の減額返還制度についても利用可能な年収上限を引き上げる、このようにしております。
 そして、教育費、御提案いただいた学費そのものの軽減、教育費負担の軽減、こういったことに、こういったものも含めた子ども・子育て政策については今後も議論を深めていきたいと思っています。まずはこのたたき台をベースに国民的議論を深めていくため、新たな会議体を設置して議論を進めてまいります。

吉良よし子

 学費の値下げについては議論を深めるとおっしゃるだけで、下げるとはおっしゃらないんですね。授業料の後払いとおっしゃいましたけど、結局それ、支払うこと前提なわけで、負担軽減ではないわけです。何よりもこの間、国立でも私立でも学費は下がるどころか上がっているわけで、高等教育の漸進的無償、大学学費の無償化という国際公約に反している状態になっているということを私指摘しておきたいと思うんです。
 やはり、無償化を目指すというのであれば、大学、短大、専門学校の学費、速やかに半額に引き下げる、その上で入学金制度もなくす、給付奨学金は七十五万人が利用できる制度にして、貸与奨学金はもう全て無利子にすると、これだけのことをパッケージで進めてこそ、学費の無償化、高等教育の無償化、進められると思うわけで、これ是非進めていただきたいと思うわけです。
 あわせて、子供の医療費の無償化というのも切実な課題なわけです。三月二十日の予算委員会で、私、子供の医療費の窓口無料、無償化を国の制度として実施することを求めたところ、厚労大臣が、これは必ずしも子供にプラスになるとは言えないと答弁されました。
 信じられない思いなんですけれども、総理もこの子供の医療費無償化、子供にとってプラスにならないとお考えなのでしょうか。

国務大臣(加藤勝信君)

 私が申し上げたのは、子供医療費について窓口での負担を求めず無償化することは、不適切な抗生物質の利用などの増加が懸念される、比較的健康な子供の外来受診を増やす、そういった課題がこれ実証研究の中で示されているということでございますから、その点も踏まえて検討していく必要があるということを申し上げたわけであります。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 今、加藤大臣から直接答弁がありましたが、窓口で負担を求めず無償化をするということについては、委員おっしゃるように求める声がある、これは事実でありますが、一方で、専門家の中には、例えば不適切な抗生物質の利用が大幅に増加する、これ様々な副作用がある、こういった指摘があるからして先日の厚生労働大臣の答弁につながったと私も認識をしており、同じ考え方かという御質問でありますが、まさに同じ考え方であります。

吉良よし子

 信じられないです。子供の医療費無償化が子供のためにならないというのが同じ考えだと。
 先ほどいろいろおっしゃいましたけれども、研究という意味であれば、償還払いがある、窓口で医療費の負担がある自治体では、窓口に医療費の負担がない自治体と比べて子供の受診率が二倍以上低くなってしまっている、そういう研究だってあるわけです。むしろ医療費負担があることが子供の健康を害する事態になっているということをちゃんと分かっていただきたいと思いますし、二〇二一年時点で全国の市区町村の九五%で中学校卒業までの通院助成を行っている時点で、やはりこれは子供にプラスになるから進んでいるとしか言えないじゃないですか。やはりそういうことを認識されないというのは私はあり得ないと思います。
 しかも、国は、この窓口無料にする自治体を応援するどころか、この間ペナルティーを科してきたわけです。子供の医療費を無料にした自治体に対して、医療費の国の負担分を減らす減額調整というのをしていると。全国知事会も廃止することをずっと求め続けていて、先日の予算委員会でも私も求めたところですが、これもここへ来てようやく政府のたたき台に減額調整措置を廃止するということが盛り込まれました。つまり、これ、減額調整、ペナルティーは直ちに廃止するということでよろしいですか。総理、いかがでしょう。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 おおむね全ての地方自治体において実施されている子供医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置を廃止する、これは先日のたたき台の中に盛り込んだところであります。こうした医療費、子供の医療費に関する様々な取組、必要な措置を講じていくことをたたき台の中でも示しておりますし、今後とも新たな会議体において議論を深めてまいります。

吉良よし子

 いや、つまり減額調整措置、ペナルティーは直ちに廃止するということでよろしいですか。イエスかノーかでお答えください。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 たたき台に、中に記載をいたしました。これを踏まえて六月に向けて議論を深めてまいりますと申し上げております。六月には内容のみならず予算、財源も含めて、予算倍増に向けての大枠を示したいと考えています。

吉良よし子

 全国知事会は直ちに廃止と言っているわけで、もう一刻も早く、六月なんて言わずに一刻も早く廃止すべきだと言いたいと思うわけです。
 しかも、やはりこのペナルティーの廃止だけではなく、どの子もお金の心配なく医療にかかれるようにするには、国の制度として子供の医療費無償化をやはり決断しなくてはならないと思うんです。
 パネルを御覧ください。(資料提示)
 子供の医療費無償化というのは、年間約五千億円あれば高校生までできるんです。さらに、学校給食無償化については、年間四千六百億円あればできると。先ほど申し上げた高等教育の無償化、学費を値下げするためのパッケージ、全体で年間一・八兆円あればできると。これ、全部合わせても三兆円なんですが、それとは別に、返済中の奨学金を半分免除する、そのためには総額三・八兆円あれば実現できるというわけで、異次元の少子化対策と言うのであれば、こうした思い切った全ての子供と若者の負担を軽減する、そういう政策こそ打ち出すべきではありませんか。総理、いかがでしょう。

内閣総理大臣(岸田文雄君)

 子供医療費、また学校給食、高等教育について御指摘をいただきましたが、先日の記者会見においても基本理念としてお示ししたとおり、全ての子育て世帯を切れ目なく支援する総合的な制度体系を構築すること、これが重要な観点であると考えております。
 こういった観点に基づいて、今回のこのたたき台においても、今後三年間で加速化して取り組む子ども・子育て政策として、子供医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置を廃止すること、学校給食費の無償化に向けて課題の整理を行うこと、高等教育費の負担軽減策、これらを盛り込んだところであります。是非これを、このたたき台を踏まえて議論を深め、そして内容、予算、財源について政府の考え方明らかにしていきたいと思っています。

吉良よし子

 いや、ですから、たたき台のところには子供の医療費無償化も入っていません、高等教育無償化パッケージも入っていません。学校給食無償化についても課題を調整するとしか書かれていないし、返済中の奨学金半額免除も書かれていないわけです。岸田政権は、大軍拡のために五年間で四十三兆円も軍事費を確保すると言う、それなのにこういう負担軽減はすぐにやると言わない。これで異次元などと言っていただきたくありません。異次元と言うなら、全ての子供、若者に行き渡る、将来に希望の持てる政策こそ示すべきであると強く申し上げます。

後編(コロナ後遺症)へつづく