コロナ後遺症4人に1人 「周知」「医療」「支援」3つの対策を要求(動画16分10秒ごろ~)
要約
日本共産党の吉良よし子議員は3日の参院決算委員会で、吉良事務所が行った新型コロナウイルス後遺症についてのアンケートへの深刻な回答結果を示し、「周知」「医療」「支援」の三つの後遺症対策を政府に強く求めました。
国立国際医療研究センターの調査では、コロナ自体が軽症や無症状でも、感染1年半後の4人に1人が後遺症に苦しんでいると判明。吉良事務所が2月に行ったアンケート(1172人が回答)では、後遺症患者の8割以上が20~50代で、約86%が日常、社会生活に「影響がある」と回答しています。
吉良氏は深刻な後遺症が長く続くことが「風邪やインフルエンザと決定的に違う点だ」と強調。元気にバスケをやっていた中学生が2年以上寝たきりになっているなどの深刻な実態を紹介し▼回復期の2カ月は無理をしない▼長期間全く動けなくなる可能性がある―などの臨床現場の知見を職場や学校に「周知」するよう求めると、岸田文雄首相は「実態把握の上で政府としても周知に努めたい」と述べました。
吉良氏は、「医療」では日本で唯一診察の手がかりとされている厚生労働省の「り患後症状マネジメント」に有効な治療法が載っていないと指摘。国が治療法や症例を集め「最新の知見をアップデートして医療現場と国民に周知すべきだ」と主張しました。
さらに、アンケートで「支援なかった」と答えた人が63・4%に上るとして、支援制度の拡充を要求。岸田首相は、労災保険や傷病手当金など「必要な支援が行き渡るよう対応している」と答弁。吉良氏は、労災は職場のコロナ感染でないと使えず、傷病手当は個人事業主や学生は対象外だとして、「コロナ後遺症になっても人生をあきらめなくていいと思える対策を」と強く訴えました。
議事録
以下、前編(子ども医療費・学校給食・高等教育 「三つの無償化」実現を)よりつづく
吉良よし子
その上で、次にコロナ後遺症について伺いたいと思います。
コロナの感染が拡大し始めてから三年、コロナは風邪、インフルエンザと変わらないなどという声も聞くようになりましたが、風邪やインフルエンザとコロナが決定的に違うのがこの後遺症の存在です。
国立国際医療研究センターの調査によると、たとえコロナ自体が軽症や無症状であったとしても、感染から一年半後も四人に一人が後遺症の症状に苦しんでいることが分かっています。現時点でそれを踏まえれば、数百人、数百万人が後遺症で苦しんでいる可能性もあるということだと思うわけです。
そこで、私、吉良よし子事務所でこのコロナ後遺症ウェブアンケートを実施いたしました。十日間だけのアンケートでしたが、千百七十二人もの後遺症患者又は御家族の方から回答が寄せられたんです。どれも深刻な実態で、例えば倦怠感といったときに、もう重力が十倍のようだとか、ボウリング球を体に埋め込まれて、象が二十四時間体に乗っているように感じるような耐え難い倦怠感、苦痛がある、思考力低下とか記憶障害もあるという。元気でバスケをやっていた中学生が二年以上寝たきりになっていますとか、体が重くて家事も育児もできないとか、仕事を休んだら退職させられてしまいましたとか、もう大人も子供も人生が変わった、助けてください、悲鳴のような声が届いているわけです。
そして、御注目していただきたいのがこのグラフなんですけれども、後遺症になった患者のこの八割以上が二十代から五十代、いわゆる現役世代、子育て、働き盛りの世代であるということです。そして、全体の八六・七%の皆さんがこのコロナ後遺症によって生活への影響があったと回答をしているわけですが、総理、一月の決算本会議では、この後遺症の患者の総数すら把握していないということでしたが、やはり政府を挙げてしっかりこの実態を調査、把握し、後遺症の対策進めるべきと思いますが、いかがでしょう。
厚生労働大臣(加藤勝信君)
まず、実態把握のお話がありました。
新型コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症については、その実態、病態を明らかにするため、令和二年度から厚生労働科学研究において罹患後症状の実態把握、中長期的な予後に関連する要因、社会生活の影響への、などについて検討する調査研究を進めているところでございます。
また、罹患後症状に悩む方を適切な医療につなげる取組として、本年四月末までに、罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関を公表する予定であるほか、かかりつけ医等の医療従事者向けの診療の手引きの普及等を行っております。この診療の手引きでは、罹患後症状により倦怠感などがあることや、職場復帰に当たっての就労上の配慮の具体例などもお示しをさせていただいているところでございます。
さらに、企業に対しては、勤務時間の短縮、テレワークの活用など、症状が持続している労働者の負担軽減に配慮した無理のない働き方となるよう、経済団体を通じて企業に周知するほか、職場で事業者から必要な支援が行われるよう、就業上の措置、治療に対する配慮等についてまとめた企業向けガイドラインも作成をいたしました。そして、その周知などに、取組に、周知などの取組を進めているところでございます。
引き続き、政府として、罹患後症状の実態が明らかにし、また職場などにおいても適切な配慮がなされるよう周知を図っていくとともに、最新の知見の下、適切な医療が推進できるように取り組みたいと考えております。
吉良よし子
私、総理の認識を聞いたんですけれどもね。このアンケート、後で総理にもお届けいたしますので、是非一つ一つの声読んでいただいて、総理御自身が実態把握していただいて対策に取り組んでいただきたいと思うんです。
アンケートを通じて見えてきた後遺症の患者の皆さんの要求は大きく三つです。周知と医療と支援。先ほど厚労大臣いろいろおっしゃいましたけど、これ全部行き渡っていません。
まず、周知について広げていただきたいこと、二つです。まずは、コロナが軽症であったとしても長期間にわたってこの深刻な症状が続く場合があるということ。また、そのコロナ後遺症にならない若しくは重症化させないためには、コロナ感染後の回復期に当たる二か月間は、特に倦怠感がある場合、無理をしないことが大事だという臨床現場の知見を職場や学校に広げてほしいということです。
これ、全然行き渡っていないからこういう声が届いているわけですが、総理、この二つ、総理の口で周知徹底して、職場や学校へ丁寧な対応、促すべきと思いますが、いかがですか。
内閣総理大臣(岸田文雄君)
周知、医療、支援ということですが、周知を行うためにこそ、先ほど厚労大臣から説明させていただきました実態把握が重要であると考え、実態把握の上で周知、政府としても努めていきたいと思っています。
そして、医療、支援ということでありますが……(発言する者あり)そうですか。
以上です。
吉良よし子
周知のところだけ聞いたので、そこだけお答えいただきたいんですけれども。次々順番に聞いてまいりますから。
周知についてやっているということでしたが、足りませんので、特に長期にわたり休まざるを得ない状況になるとか、若しくは回復期の配慮が必要なこと、全く伝わっておりませんので、各現場に、職場、学校にちゃんと、後遺症があると、その理解を広げて周知していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
そして次に、医療について伺いたいと思います。
先日、予算委員会でも紹介いたしましたが、このアンケートで、受診できて治療につながったという方は二一・七%にとどまっております。後遺症になっても受診できない、病院に行ってもコロナ後遺症なんてないんだと鼻で笑われて追い返されるとか、まともな治療につながらないという声はたくさん届いているわけで、これ本当に深刻な事態だと思うわけです。
現在、日本で唯一の診療の手掛かりとなっているのが、先ほど厚労大臣がおっしゃった後遺症についての手引き、罹患後症状マネジメント、診療の手引きなんですが、これは昨年四月二十八日に改訂されて、第二版が出されて以降、この一年全く改訂されていませんし、有効な治療法も載っておりません。
一方、臨床現場では日々新たな知見が蓄積されていると聞いています。例えば、埼玉県では、この新型コロナ後遺症の診療に活用できるよう、埼玉県医師会と協力して、後遺症外来に指定した十六医療機関、診療所から症例、治療法や患者への対応の事例を集めた症例集、これを作成したところ、新たに県内百六十以上の医療機関が後遺症外来として手を挙げて、それらの医療機関の九割がこの症例集が後遺症の診療に役立っていると評価をしているわけです。
やはり、急ぎこの手引きを改訂して、臨床現場での最新の知見、一定効果だと思われる治療法、症例を国としても集めて、症例として紹介することも必要だと思いますが、いかがですか。これは厚労大臣、どうぞ。
厚生労働大臣(加藤勝信君)
御指名いただきまして、ありがとうございます。
新型コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症について、令和二年度より罹患後症状の実態や病態を明らかにするための調査研究を実施し、今委員御指摘の診療の手引きに盛り込んでまいりました。四月二十八日以降、あと二回改訂しておりまして、直近では令和四年十月に第二版も出させていただいたところでございます。さらに、昨年度実施したコロナ罹患後症状に関する調査研究の結果が報告され次第、そこで得られた最新の知見を手引きに反映する予定にもなっております。
また、手引きの編集委員には臨床現場で罹患後症状を診療されている方にも入っていただき、症状別の標準的な診療とケアの手順についても紹介をし、具体的な事例の紹介も行っているところでございます。
引き続き調査研究を続け、かかりつけ医等や地域の医療機関が最新の知見の下、適切な医療が提供できるよう、国内外の科学的知見や具体的な事例等を診療の手引きに盛り込み、改訂をし、そして幅広く医療機関に情報提供し、また今委員おっしゃっていただいた、より多くの医療機関がこうした後遺症も含めて診療に当たっていただきたいというふうに思います。
吉良よし子
この罹患後症状マネジメントについては、産業医学アプローチの箇所での具体的な症例、事例というのはあるわけですけど、治療についての症例はまだないわけで、アンケートでは十か所以上の医療機関受診したけど有効な治療につながらないという声も届いていますし、また、医療従事者からはこの診療の手引きでは治療法がないから使いづらいという声もあるわけで、もう最新の知見どんどんアップデートして、現場に、国民に周知していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
そしてもう一点、支援についても伺いたいと思うんです。
パネルを見ていただきたいと思うんですけれども、アンケートではコロナ後遺症に関して何の支援もなかったというのが六三・四%に上りました。後遺症で、先ほど申し上げたとおり、休業したり失業したりして収入が減っているにもかかわらず、治療費はどんどんかさんでいって、月に数万円、多い人だと半年で百万円などの治療費が掛かっているという声もありました。なのに、支援がない、もう貯金を崩しているという声も多数届いております。
厚労省のQアンドAでは労災や傷病手当が使えるというようなことでしたが、御覧いただいたとおり傷病手当も労災ももうほとんど使えていないという実態なわけですが、総理、この後遺症で長期休業する際は、まずは労災、傷病手当が使えること、これ徹底して周知していただいて、その上で支援をちゃんと行き届くようにしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
内閣総理大臣(岸田文雄君)
新型コロナの罹患後症状、後遺症でお困りの方に対しては、それぞれの方の状況に応じて、労災保険給付、健康保険の傷病手当金の支給、そして障害年金、また生活困窮者自立支援制度など、各種の制度を通じて支援を行うことにより、必要な支援が必要な方に行き渡るよう対応をしていると承知をしています。
そして、労災保険の給付、周知するようにという御指摘でありますが、引き続き後遺症に悩まれる方に対して必要な支援が提供されるよう、各種制度の相談窓口を含め、更なる周知に取り組んでいきたいと考えております。
吉良よし子
是非使える制度があるということは周知していただきたいんです。けれども、現行の制度では不十分なことも明らかです。
労災保険というのは、職場でのコロナ罹患が明らかでないと使えません。傷病手当というのは、フリーランスなどの個人事業主、また学生などは対象外です、最初から。そして、支給額も少ないので、もらえても赤字、一年半で支給が切れるので、その後は生活保護か、保険を解約するか、貯金を使い潰すしかないという状況で、やはりこうした制度の対象を拡大していくこと、コロナ後遺症に特化した救済制度、支援制度も検討すべきだと思うんです。
コロナ後遺症になっても人生諦めなくていいんだよと、そう国が言える制度をつくるべきではありませんか。総理、いかがでしょう。
国務大臣(加藤勝信君)
まずは、今総理からもお話をさせていただいたように、労災保険、傷病手当等の利用の周知を図る、また、一定の障害をお持ちの方には障害年金の支給、生活にお困りの方については生活困窮者自立支援制度の利用も可能でございますので、引き続き後遺症に悩まれる方に対しては必要な支援が提供されるよう、各種制度の相談窓口を含めて更に周知を図っていきたいと考えてい
内閣総理大臣(岸田文雄君)
今厚労大臣から答弁させていただきましたように、現状、様々な支援の枠組みがあります。これを周知すること、そして行き渡らせること、これが重要であります。更なる周知に取り組み、様々な支援をそれぞれのお困りの状況に応じて活用していただけるよう、政府として取組を進めてまいります。
吉良よし子
今の制度では不十分ですし、コロナの症状では思考力低下とか倦怠感とかが重いと書類を書くのも困難という状況にもなるわけです。だから、今の制度ではまだまだ不十分だから、特化した支援策は必要ですし、やはり人生をこのコロナ後遺症になったからといって諦めなくていいんだと、そのメッセージは総理に発していただきたいと思うわけです。
何よりこのコロナ後遺症をこれ以上増やさない、そのためにはやはり感染対策を強化することが必要ですよ。医療体制の強化することなど含め、もうコロナ感染者も後遺症患者も増やさない、万一後遺症になっても人生諦めなくていい、そういう対策を是非前に進めていただきたい、このこと強く申し上げまして、私の質問を終わります。