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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2020年・第201通常国会

改定著作権法  吉良氏「周知と丁寧な議論を」

要約

 違法ダウンロードの取り締まり対象を広げる改定著作権法が、5日の参院本会議で全会一致で可決・成立しました。4日の文教科学委員会で日本共産党の吉良よし子議員は、国民への分かりやすい周知、権利者・利用者らによる丁寧な議論が必要だと訴えました。

 吉良氏は、改定により違法に配信された著作物をスクリーンショット(画面保存)することも違法・刑事罰の対象になるかを質問しました。文化庁の今里譲次長は、対象にはなるが軽微なものは該当せず、「国民が日常的に行うスクリーンショットが違法となるケースは基本的に想定されない」と答えました。

 吉良氏は、海賊版かどうか判別困難なものもあり、正規版の無償配信と誤認して違法配信先からダウンロードした場合は刑事罰の対象になるかを質問。今里次長は「勘違いしてダウンロードした場合は対象とならない」と答えました。

 吉良氏は、海賊版の配信元の取り締まりや正規版の流通促進が必要だと指摘。萩生田光一文科相は「ご指摘の通り」と述べ、広告出稿の抑制や検索サイト対策、適格マークの普及などを進めていくとしました。

しんぶん赤旗2020年6月8日号より抜粋

議事録

前編(学生支援の改善/文化芸術への補償)よりつづく 

吉良よし子

 では、時間迫ってまいりましたが、法案について伺いたいと思います。
 本法案では、海賊版対策としてリーチサイト規制とともに違法配信からのダウンロードについても規制するということになっておりますので、この点について今日伺いたいと思います。
 このダウンロードという行為はもはや広く一般的に行われている行為なわけですが、ダウンロードに限らず、ネット上の情報を保存するためにはスクリーンショットという方法もあるわけです。これは今回の法改正で規制の対象となり得るのかどうか、また、その場合、どの程度だとなり得る、なり得ない、その点について答弁願います。

文化庁次長(今里讓君)

 スクリーンショットにつきましては、今回の法案で、スクリーンショットを行う際の写り込みについて、写り込みに係る権利制限規定の拡充によりまして違法とならないように措置しているところでございます。具体的には、スクリーンショットした画面の中で侵害コンテンツである画像等が軽微な構成部分となるなどの要件に該当する場合には写り込みに係る権利制限規定が適用されるということでございます。
 ですので、例えば画面の全部に鮮明な侵害コンテンツとしての絵画の画像をそのまま保存するような場合、こういった場合を除けば、国民が日常的に行うスクリーンショットが違法となるケースは基本的には想定されないと、このように考えているところでございます。

吉良よし子

 ほとんどの場合は当てはまらないということですけれども、法案本文を読みますとダウンロードというふうに書いていないんですね。デジタル方式の複製とあるわけですから、ダウンロードじゃなくてスクリーンショットの場合でも、そうした鮮明に全部写るような場合は規制の対象になり得るのはなり得るわけですし、とはいえ軽微であれば対象外になるということで、この点についても丁寧な周知を求めるものです。
 また、今回、違法にアップロードされた著作物からのダウンロードというものが基本的には違法であり刑事罰等の対象にもなり得るということですけれども、じゃ、先ほどもお話ありましたとおり、どれが正規のサイトなのか、どれが違法のアップロードされたものなのかという判別が困難な事例というのも様々あると思うんです。
 今回、刑事罰化の対象というのは、正規版で有償で提供されているものが対象という規定があるわけですけど、この間、公式の配信でもプロモーションとして一定の期間、一定の部分を無料で提供するなどということはあるわけです。例えば、この間でいうと、在宅中の子供たちの支援の一つとして期間限定で有名な作品の大部分、例えば「ワンピース」の一巻から六十一巻までが正規のサイトで無料で公開ということもあったわけですね。
 そうしてくると、無償提供されているものが違法のものなのか正規のものなのか、かなり判別が困難だと思うんですけど、正規版の無料キャンペーンのものだと誤認して違法配信先からダウンロードしてしまった、これは刑事罰の対象になり得るのでしょうか。

政府参考人(今里讓君)

 まず、刑事罰についてということでございますけれども、刑事罰に関しては、委員御指摘のように、正規版が有償で提供されているものであると知っていることが要件になっているところでございます。
 このため、正規版が有償で提供されているか否かが分からずにダウンロードした場合や正規版が無償で提供されているものと勘違いしてダウンロードした場合は刑事罰の対象とはなりません。

吉良よし子

 誤認した場合などは対象にはならないということでした。
 今回、こうした様々な条項が設けられることによって、悪意を持っていないネットユーザーがむやみやたらに刑事罰の対象になるようなことは避ける配慮された規定にはなっていると思うんですけれども、やはりダウンロードというのは一般的に行われる行為ですから、この点についてはよく周知していただきたいですし、やはり海賊版対策どんどん進めるべきだと思いますけど、ネットユーザーに一方的に責任を負わせるんじゃなくて、この間言っているように、アップロードの取締りとか広告出稿の規制とか、そして先日の参考人質疑でありましたとおり、やはりユーザーが利用しやすい正規版を作って早く安く提供していく、正規版の流通を促進するということが基本になってくるかと思うんですが、大臣、その点いかがでしょうか。

国務大臣(文部科学大臣 萩生田光一君)

 先生の御指摘のとおりだと思います。
 今、昨年十月に作成された総合的な対策メニュー及び工程表に基づいて、関係府省庁が連携して様々な取組を行っています。
 文科省においては、本法案のほかにも、著作権教育や啓発普及、着実に進めるとともに、情報検索サービスにおいて海賊版サイトが表示されないようにする検索サイトの対策について著作権者等と検索事業者の協議を支援するなどの取組も実施しているところでございます。
 また、先ほど他の委員の先生からも、適格マークを増やしていく、普及させていくというのも一つ考えております。また、海賊版サイトの収入源を絶つための広告出稿の抑制について経産省を中心に必要な取組が進められており、広告関連団体においても自主的なガイドラインを策定、公表するとともに、広告出稿をすべきでない海賊版サイトのリストの共有が定期的に行われております。
 このほかにも、関係府省庁が連携して、国際連携、国際執行の強化や民間組織との協働など重要な取組が行われており、法案の附則においては違法アップロード対策をより一層充実していくことについて規定しています。
 今後とも、政府として実効的な対策をしっかりやってまいりたいと思います。

吉良よし子

 是非やはり包括的な対策を進めていただきたいですし、今回の法案というのは、一旦示された当初案に対して様々な意見が出されたことを踏まえて改めて検討し直して、権利保護と利用促進のバランスについてより慎重に検討されて出されたものと承知しているわけです。やはり、この著作権法というのは様々な利害関係者が絡む法案ですから、法律になりますから、今後とも、こうした権利者、利用者、研究者らが参加して、様々な懸念事項を時間を掛けて協議をして、懸念事項を解消できるように努めていただきたいということを申し上げまして、質疑を終わります。