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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2020年・第201通常国会

分娩に個人防護具を 国の責任で全施設に届けよ

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は25日、参院行政監視委員会の小委員会で、新型コロナウイルス感染を防ぐ個人防護具を助産院など助産や産後ケアを支える全施設に迅速に届けるため国が責任を果たすよう強く求めました。

 吉良氏は、マスクやガウンなどの個人防護具が助産院などの分娩施設に行き届いていない実態があると述べ「全ての分娩施設に届いているか把握しているか」と質問。「都道府県の判断で助産所にも配布している」と答えた橋本岳厚生労働副大臣に、吉良氏は助産師から「東京や京都の助産院に全く届いていない」との声があがっていると強調。分娩は感染リスクが高い環境で長時間かかり、「防護具は必要不可欠だ」と述べ「抜け漏れがないよう、国の責任で届けるべきだ」と迫りました。

 橋本副大臣は、防護具の緊急配布システムに助産院が入っておらず、ニーズ把握が十分でないと認め、「都道府県と協力してお届けできるよう努力する」と述べました。

 吉良氏は、ニーズ調査に助産院も入れるよう強く求めるとともに、コロナ禍で強い不安を抱える妊婦への産前・産後ケアを支える市町村への支援も要求。「お産は止められない。財政力で格差を生じさせず、国の責任で安心安全に出産できるよう力を尽くしてほしい」と求めました。長谷川岳総務副大臣は、市町村との意思疎通、省庁との協力を図り早急な対応をしていくと述べました。

しんぶん赤旗2020年5月27日号より抜粋

議事録

吉良よし子 

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日にも緊急事態宣言解除と言われているわけですけれども、解除をたとえされたとしても、引き続き感染拡大防止の対策というのは必要なわけです。この間、例えば医療機関向けのマスクや個人防護具の配布については国と自治体が協力して行っているということですが、じゃ、本当に必要な機関に十分に配布されていると言えるのかという懸念があるわけです。今日は、その中でも、助産院を始めとした分娩施設や自治体が行っている母子健康施策の現場の状況について伺いたいと思います。
 五月の七日、ユニセフは、新型コロナウイルス感染症拡大の下で世界数百万人の妊婦とその赤ちゃんが大きなリスクにさらされる可能性があるとして、各国政府などに対して、医療従事者へ個人防護具を保持させることや、妊婦健診、出産前後のケアに加え、コロナ感染症に係るケアを妊婦にも受けられるようにするなどの緊急の呼びかけを行ったものです。
 とりわけ、このマスクやガウンなどの個人用防護具というのは助産院含む全ての分娩施設に必要と思うわけですが、行き届いているのかどうか、厚労副大臣、厚労省、把握をされているでしょうか。

厚生労働副大臣(橋本岳君)

 今お尋ねの個人防護具、サージカルマスクですとかガウンですとか、そうしたものにつきまして、医療従事者の感染防護に必要な各種物資につきましては、助産院や産婦人科なども含めまして必要な医療機関等に対して行き渡るよう、都道府県を通じてある程度まとまった量を一、二週間に一度定期的に配布することにしておりまして、その状況につきましてはホームページ等でも都度公表しているところでございます。
 具体的なその配布先につきましては、やはり新型コロナウイルス感染患者への対応を行っている医療機関や救急医療機関を優先をするということはございますけれども、それに加えまして、それ以外の医療機関等であっても、在庫の不足の程度などの個別のニーズを考慮して配布するよう都道府県に依頼をしておりまして、都道府県の判断により助産所や産婦人科等にも配布をされている、このように承知をしております。周産期医療を行う施設への配布実績につきましては、周産期医療を提供する医療機関等にも配布するとともに、例えば助産所や産婦人科等についてはサージカルマスクを約三十八万枚配布をしている、そのような実績もございます。
 このように、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関や救急機関への配布を優先しつつ、都道府県の判断で備蓄状況等も勘案して配布をするということにしておりまして、委員御指摘の周産期医療を行う分娩施設等も含めて医療機関等のニーズにきめ細やかに対応してまいりたいと、このように考えております。

吉良よし子

 きめ細やかに対応で、都道府県の判断によって届いているはずだという御答弁だったんですけれども、私、実際に助産院の皆さんにお話伺いました。例えば、京都の分娩取扱助産院、全く届いていない、東京都内の助産院も全く届いていない、そういう声を聞いているわけですね。
 本当に十分に行き渡っていると言えるのでしょうか。もう一度把握状況をお願いしたいと思います。

副大臣(橋本岳君)

 私どもの方で、まずは、そうですね、都道府県を通じて、都道府県にお送りをして、それを配布をしていただいているというのは先ほど答弁のとおりでございます。
 また、これはGMISというシステムを使いまして、そこで入力をしていただいて、緊急にその備蓄がない、足りないというものについてお送りをするという仕組みはございます。ただ、こちらの仕組みの方は今のところ病院が対象でございまして、助産院等がそのシステムを入力することになっていないという課題は残っております。
 また、都道府県等で、必ずしもそうした、もしニーズが把握できていない、あるいはそれが現場に届いていないということも、それは、今委員御指摘があったのはきっとそうしたお声があったということでありましょうから、改めましてしっかりと都道府県の方でそうしたニーズなどを把握をしていただいて、またしっかりお届けをするように、私どもとしても改めて注意をしてまいりたいと考えます。

吉良よし子君

 結局、都道府県通じてということなので、本当に必要なところに届いていないんじゃないかと、やはりここは国が責任を持って必要なところに届けるべきじゃないかと思うわけです。
 お産というのは本当に密な状況で行われるものなんです。とりわけ、妊婦というのは陣痛が始まってお産が始まると呼気も荒くなります。そうした苦しい状態なので、助産師そして医師も本当に密接に関わりながらお産をすると。場合によっては数時間から十時間以上とか長時間にわたっての分娩になるわけです。
 そういう中では、もうこの医療用防護具、個人防護具というのは必要不可欠なんですけれども、一方で、この助産院というところは、通常はできる限り自然な状態でリラックスして妊娠、出産していただきたいと、出産していただきたいということで、通常の状態では、医療防護具みたいなフェースシールドとかそうしたものは常備していない、先ほど備蓄というお話ありましたけれども、そもそも持っていないという状態なわけですね。
 だから、やっぱりそういう、本来は常時備蓄はしていないけれども、こういう状態だからこそ必要だというところがこの助産院だと思うわけです。そういうところに抜け漏れないように、本当に国の責任で、自治体に丸投げということではなくて、国の責任として届け切るべきだと思いますが、もう一度、いかがでしょうか。

副大臣(橋本岳君)

 私どもも決して丸投げというつもりで申し上げているつもりはございません。
 ただ、やはり地域地域の医療提供体制の状況、もちろんお話しいただきました周産期医療の状況も含めて、それはやはり各地域の方がよく知っていらっしゃるというところもありますので、やはり都道府県と協力をしながらしっかりとお届けできるように私たちも努力をしてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 地域地域の状況というのはありますけど、やはり国の方で、先ほどニーズ調査では助産院入っていないという話でしたけど、やっぱり助産院も入れるようにということは是非周知をしていただきたいと思います。
 それで、もう一点言いたいのが、やはりお産の現場というのは分娩施設が中心になるわけですけれども、それだけじゃなくて、市区町村に対する支援というのも大事なわけです。この市区町村も、例えば新生児訪問であったり、両親、母親、父親学級等々、産前産後の母子、親子を支えるための様々な事業を行っているわけですけれども、それが現在コロナ禍において一時中止してしまっていたりとか、辛うじて希望者に対する訪問活動をやっているけれども、それこそ防護具が足りないから自ら割烹着を何枚も用意して、それを取り替えながら対応しているというお話も聞いているわけです。
 そういう自治体があって、産前産後、母子を支える支援に支障が出ている自治体もある一方で、出産間近の妊婦に対して公費でPCR検査全て行うよという自治体も出てきているとか、自治体の財政力等によって対応がすごく差が出てきてしまっている事態も見受けられるわけです。そうじゃなくても、妊産婦というのも、妊娠、出産、育児に対する不安も大きい、その上、コロナ感染症への不安も出てきて、なのに相談する場も機会も今奪われている状態で、もう孤立化しやすい状況なんですね。
 そうさせないきめ細かな支援の手を妊産婦に、又は新生児に届ける、手を届けていくのが各自治体の役割だと思うわけですけれども、そうした自治体が役割を果たせるように、財政力等の差によって地域格差が生じないように総務省としても是非目配りしていただきたいと思うんですが、総務副大臣、いかがでしょうか。

総務副大臣(長谷川岳君)

 吉良委員の御指摘のとおりです。マスクや防護服等の物資が直接住民と接する自治体職員にも行き届くこと、これは地方団体の業務執行、職員の安全確保の観点からも重要だというふうに思っています。
 総務省では、もう既に、都道府県、政令指定都市の幹部と総務省職員との間の連絡体制を創設するなど、日頃から情報連携を密に図っております。
 その中で、例えば、今の五月十八日現在でございますが、例えば医療体制確保の観点からも、千葉市から、医療機関用のマスク、ガウン、それから検体採取用の綿棒の確保について早急に対応をお願いしたいというような要望が来ましたところ、すぐに厚生労働省対策本部マスク班において対応済みをしていただいたり、あるいは、まだ、今度は、窓口業務で備蓄しているマスクや消毒用エタノールが不足している市町村において、至急確保、配布してほしいという兵庫県もございまして、ここはもう既に伝達をしております。
 いかに早く、総務省としては、市町村の要望を伝達済みから対応済みに変えれることができるかというのが勝負だと思っておりまして、早急な対応をしていきたいというふうに思います。
 医療機関、介護施設におけるマスク不足への対応としては、厚生労働省と連携をして、市町村が災害対応のために備蓄しているマスクの活用についても、地方団体に対して協力依頼を周知するよう事務連絡を発出したところでございますので、今後とも、意思疎通をしっかりと図って、省庁とも協力を行って地方団体の解決につながるようにしっかりと働いてまいりたいと思います。

吉良よし子

 お産というのは決して止められないし、延期もできないものなんです。だからこそ、そうした出産を安心、安全で行えるようにというのは、もう省庁連携して国の責任で、どの地域であっても安心に、コロナ禍であっても安心、安全に出産ができるように是非とも力を尽くしていただきたいと、このことを申し上げて、質問を終わります。